【CES】DTSが目指すトータルサウンドソリューション
3Dオーディオも視野に。ドルビーもモバイルなど強化
■ DTSは3Dオーディオ強化に向け「Neo:X」アピール
DTSブース |
DTSは、昨年までのサウスホールからセントラルホールへ移動。最新のDTS技術導入事例を紹介しているほか、AVアンプなどで導入が始まった「DTS Neo:X」を最大チャンネル数11.1chで体験できるシアターも設置。シアターの入場者にはDTSデモディスクを配布し、人気を集めている。
ブースには、Blu-rayやホームシアターだけでなく、モバイル、PC、カーなど様々な領域でのDTSの採用例を紹介。Blu-rayについては2011年に米国で発売されたタイトルの86%でDTS-HD Master Audioが採用されている。
パソコンにおいては、富士通やASUSのパソコンにフロントスピーカーだけでサラウンド音場を生成する「DTS Surround Sensation」が採用されている。同技術のパソコンでの採用例が多いのは「メモリの制限がほぼないため」とのこと。
モバイル機器においては、ファーウェイやLGのスマートフォンでDTS Enveloが採用されているほか、パンテックの携帯電話や中国のTCLやSkyworthなどのテレビではDTSデコーダの搭載も増えているという。また、カーオーディオでもHD radioにDTS Neural Surround技術を導入するなど、幅広いアプリケーションにおいてDTSの技術を提供している。
昨年のBlu-rayトップ10タイトルのうち9本がDTS-HD Master Audio | DTS Surround Sensation搭載のPC | ファーウェイの携帯電話でDTS Envelo対応 |
DTSの目標は、「トータルなサウンドソリューションの会社」とのことで、「パッケージや放送、モバイルやホームといった区別はなしに、音に関するあらゆる課題に対応したい」(dts Japan 伊藤哲志氏)という。
Ultra Violetに参加 |
そうした方針のもと、ハリウッドの主要スタジオが集まって推進している映像配信技術「Ultra Violet」にも参加し、規格提案などを行なっている。Ultra Violetは、コンテンツを購入した消費者が、様々な対応デジタル機器からクラウドを通じて購入コンテンツを楽しめるようにするための仕組み。数ある配信方式の中でも有力な1つとして、力を入れていくという。
また、DTSが進めている技術の方向性の一つとして「3Dオーディオ」がある。実は11.1ch拡張規格のDTS Neo:Xも、この方針の第1弾として企図されたもので、「まずはスピーカーを単純に増やすことでサラウンド感を向上するというやり方ですが、この先の計画もあります」とのこと。今後の展開にも期待が持てそうだ。
シアタールームにおけるDTSデモには、7.1chからの変換でなく、スタジオで11.1chディスクリートでオーサリングしたコンテンツを用意。3Dコンテンツを交え、Neo:Xの迫力をアピールした。新しいDTSデモディスク(Volume sixteen)には、同デモディスク初の3Dコンテンツも収録。「トロン・レガシー」などのタイトルの一部を3D映像+DTS-HD Master Audio音声で楽しめる。
ブース内シアターの様子 | DTSデモディスク Volume sixteen |
■ ドルビーは、既存技術の採用例を紹介
ドルビーブース |
ドルビーもセントラルホールの入り口付近のスペースにブースを設営。スマートフォンやタブレットなど、モバイル機器での採用例や、IPTV系での採用例、ドルビーTrueHDシアターなどで、同社技術をアピールしている。
IPTV系サービスでは、ドルビーデジタルおよびドルビーデジタル+(DD+)が採用されるケースが増えており、これまでもNetflixなど数社の事例があるが、新たにHBO GOでDD+が採用された。これらのコンテンツの実際のストリーミングデモなども実施している。
また、富士通のARROWSやAcerのICONIAなどのタブレットでもドルビーモバイルの採用例が増加。タブレットの音質向上のための技術として、アピールしているという。加えて、iOSデバイスでもDD+音声を再生できるアプリ「CineXPlayer」が有償で提供開始(2.99ドル)など、モバイル向けの再生環境整備にも力を注いでいるという。
HBO Goでドルビーデジタル+配信開始 | IPTVサービスのデモ | ARROWSなどタブレットでもドルビーモバイル採用が進む |
ドルビーTrueHDのシアタールームは、ドルビーが協力したスノーボード映画「The Art of FLIGHT」を上映している。
シアタールームで「The Art of FLIGHT」を上映 |
(2012年 1月 13日)
[AV Watch編集部 臼田勤哉]