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日立マクセル、2層空間採用で実売6,000円のカナル型

2つの空間で共振を制御したモニター系サウンド

「MXH-RF500」のレッド(レッド/ブラック)

 日立マクセルは、2層空間(デュアルチャンバー)設計を採用した、カナル型(耳栓型)イヤフォン「MXH-RF500」を2月20日に発売する。価格はオープンプライス。通常モデルに加え、スマートフォン向けマイクリモコンを備えたモデル「MXH-RF500S」も用意。店頭予想価格は通常モデルが6,000円前後、リモコンマイク付きが7,000円前後。

 カラーリングは、通常モデルがブラック(ブラック/レッド)、ホワイト(ホワイト/パープル)、レッド(レッド/ブラック)。リモコンマイク付きが、ブラック(ブラック/シルバー)、ホワイト(ホワイト/シルバー)の2色となる。

左から「MXH-RF500」のブラック(ブラック/レッド)、ホワイト(ホワイト/パープル)、レッド(レッド/ブラック)。リモコンマイク付き「MXH-RF500S」の、ブラック(ブラック/シルバー)、ホワイト(ホワイト/シルバー)

 10mm径のダイナミック型ドライバを搭載したイヤフォン。最大の特徴は、ユニット背面の音圧エネルギーを緻密にコントロールするため、ハウジング内に2つの空間を用意したデュアルチャンバー設計を採用した事。

 ユニット背面からの共振を、内部の連結通路を通して、後部にあるもう1つの空間へと伝え、共振をコントロール。低音を増強させると共に、全体をフラットにして、クリアな中高音域も実現したとする。

ハウジング内に2つの空間を用意したデュアルチャンバー設計
デュアルチャンバー設計により、低域を向上。特性をフラット化している
「MXH-RF500」のホワイト(ホワイト/パープル)

 筐体は流線型のデザインで、曲面のパーツを組み合わせている。ノズルは楕円形のオーバルポート。

豆のような流線型のデザインを採用している

 イヤーピースも新形状。先端を細くしており、装着時の形状変化を抑え、耳に高音を届けやすくしている。また、抗菌効果のある銀イオンを施している。サイズはS/M/Lの3種類。

 ケーブルはY型の30cm(本体側の入力プラグは2.5mm)で、通常モデルにはL型入力プラグ(3.5mm)付きの90cmと、30cmの延長ケーブルを同梱。用途に合わせて長さを選べる。

イヤーピースは先端を細くした新デザイン
通常モデルには2つの延長ケーブルを同梱する

 マイクリモコンを備えたモデルは、30cmケーブルのイヤフォンに、90cmのマイクリモコン付きケーブルを接続することになる。スマートフォンと接続し、着信応答、通話終了、音量調整が可能。クリップも備えており、洋服などに固定できる。

 主な仕様は2機種共通。インピーダンスは16Ω、再生周波数帯域は20Hz~22kHz。感度は107dB/mW。最大入力は50mW。ケーブルを含む重量は約8g。

マイク付きリモコンを備えたモデルも用意

デザイン面で女性にもアピール

 パッケージには「m」のシンボルマークが入っている。これは、低価格なイヤフォンを主に手掛けてきたマクセルが、ハイエンドオーディオカテゴリの創造に向けて作ったもので、マクセルのmであると同時に、ミュージックのm、人=manのmなどの意味を内包。縦の三本線は過去、現在、未来の“人”を表し、左右に突き抜けるラインが“音”をイメージ。「過去から新時代に、“音”でつながるコミュニケーション」を表現している。

 昨年11月の、バランスド・アーマチュア+ダイナミックのハイブリッド型「DBA700」(実売1万円前後)、ダイナミックのデュアルドライバ型「DD600」(実売8,000円前後)、そして今年1月のアルミ削り出しの「SQUEEZE CA200」(実売2,000円前後)に続く、「m」の第3弾が今回の「MXH-RF500/RF500S」となる。

パッケージに「m」のロゴが
「m」のコンセプト

 なお、型番の数字から、「DBA700」や「DD600」の下位モデルのようなイメージを受けるが、ユニットや構造、デザインなどは大きく異なる、別のモデルとなる。位置付けについて、コンシューマ事業部 商品企画部 事業企画・宣伝グループの佐藤利一主任は、「DD600ではデュアル・ドライバで音に厚みを持たせている一方で、RF500ではフラットで素直な再生音を追求した。また、滑らかな流線型のデザインやカラーリングも含め、女性に向けにもアピールしていきたいモデル」と説明した。

コンシューマ事業部 商品企画部 事業企画・宣伝グループの佐藤利一主任
女性に向けてもアピールできるデザインを採用

聴いてみる

 発表会場で試聴したので、印象をお伝えしたい。再生にはポータブルハイレゾプレーヤーの「iBasso HDP-R10」を使用している。

「MXH-RF500」のレッド(レッド/ブラック)

 装着感だが、先端が細くなったイヤーピースにより、抜けやすくならないかと心配になるが、挿入してみると流線型の筐体が、耳穴の外側にあるくぼみにスポッと入る。これにより、筐体そのものがストッパーの役目をする事で、ホールド性能が高められている。

 10mm径のダイナミック型ユニットを搭載したモデルだが、 「藤田恵美/camomile Best Audio」から「Best OF My Love」を再生してわかるのは、低域が上手く制御されている事だ。中低域にパワー感や厚みを出しやすいダイナミック型だが、それらをあえて出しすぎず、膨らませすぎず、量感はあるが、解像度や明瞭さも維持できるレベルにキッチリ抑えている。

 それゆえ、中低域が不必要に膨らんだモコモコした音にはなっておらず、中高域の見通しが良い、バランスド・アーマチュア(BA)のような高解像度サウンドが得られる。同時に、量感の豊かさ、低域のドッシリとした安定感はダイナミック型ならではの良さが感じられる。

 筐体の響きもあまり感じられず、音色もナチュラル。フラットな特性と合わせて、モニターライクで、マニア受けしそうな音作りだ。実売6,000円前後のイヤフォンというイメージではなく、1万円台やそれ以上の、高級モデルと比較できるクオリティと言える。

 価格的には、昨年末から発売されているBAとダイナミック型ユニットを搭載した「MXH-DBA700」(実売1万円前後)、ダイナミック型ユニットを2基搭載した「MXH-DD600」(実売8,000円前後)が存在するが、ユニットを2機搭載する事で、音に厚みを持たせ、パワー感を強く出したこれら2機種と比べ、「MXH-RF500」の音は、大きな特徴は無いが、ベースの実力が高く、様々な音楽に対応できる優等生的なサウンドに仕上がっている。下位モデルととらえず、ハイエンドイヤフォンユーザーにも試聴して欲しいサウンドだ。

(山崎健太郎)