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アイ・クオリア、8chのDSD/PCMに対応するUSBオーディオを今夏発売へ

I88A-U2(仮称)のイメージ

 アイ・クオリアは3日、マルチチャンネルのDSD/PCMに対応するUSBオーディオインターフェイス「I88A-U2(仮称)」の開発を発表した。発売時期は2014年夏頃を目指す。価格は未定。

 アイ・クオリアは、音楽映像ソフトやPC用ソフト・ハードの企画制作・製造などを行なうメーカー。ホールでの録音サービスなども実施しており、発表したUSBオーディオもそのような現場での業務使用を想定している。

 I88A-U2は、5.6MHzまでのDSDと192kHzまでのPCM音源に対応し、最大8chまでのマルチチャンネル入出力が可能なUSB 2.0接続のオーディオインターフェイス。1Uハーフラックサイズのコンパクトな筐体を採用。Windows OS(XP/Vista/7)では、ASIO 2.1ドライバによりDSD/PCMに対応。Mac OSでは、CoreAudioドライバによりPCMのみ対応する(DSD対応は検討中)。

 単体でAD/DAコンバータとしても使用でき、ADCはTI製「PCM4204」、DACはESS Technology製の「ES9018」を搭載する。アナログ入出力回路はオペアンプのフルバランス構成により、高いSN比を実現。内蔵クロックとして、高精度のOCXO(恒温槽付水晶発信機)を使用し、信号クロック補正回路で制御することで、安定した動作が可能という。

背面

 入出力は、D-Sub 25pin端子のバランス入力と出力(8ch アナログ音声)、AES/EBU入出力(8+8ch PCM)、SDIF-3入出力(8+8ch DSD)を装備。ほかにも、光デジタル入力/出力(2ch PCM)、BNCのWordClock入力/出力、HDMI入力/出力(2ch DSD/PCM ※PS AUDIO仕様)、D-Sub 9pinのブレイクアウトケーブル端子(S/PDIFおよびMIDI入出力)、ステレオ標準のヘッドフォン出力を備える。外形寸法は215×240×44mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約3kg。電源は外部電源アダプタを使用する。なお、仕様は試作段階のもののため、製品化までに変更となる場合がある。

DSDの音質に感銘を受け、機材の開発に着手

アイ・クオリアの相川宏社長

 アイ・クオリアの相川宏社長は、DSD対応オーディオインターフェイス開発の理由について、「初めてSACDを聴いたときに、DSD音源の透明感や自然な表現に感銘を受けた。その後、自主レーベルを立ち上げ、SACDの制作に携わったが、DSD音源制作のための機材やソフトウェアが十分に提供されていないと感じ、機材が無いなら自分で作ろうと思った」と説明した。

 ハードの開発にあたっては、録音制作に携わる立場から、「ホールなどでの録音に取り回しのよい大きさ、マルチチャンネル録音/再生への対応、汎用インターフェイスによる既存機器との接続性の確保」をコンセプトに掲げているという。ハード開発には電子機器の設計・開発を手掛けるディーエスオーが協力。また、DSDマルチチャンネルの録音/再生に使用できるソフトの開発にも取り組んでいるという。

3Dプリンタで作成した試作2号機の模型
開発動機
製品のコンセプト
試作機0号の説明
試作1号機の説明
試作2号機の説明

 現在までに3台の試作機を製作。説明会では、最新の試作機となる2号機を使ったDSD音源の再生デモも行なわれ、バイオリンやチェロの独奏のほか、バレエ組曲「火の鳥」などを5台のスピーカーでサラウンド再生した。

PCから試作2号機を経由して、AVアンプに出力。5台のスピーカーを用いてサラウンドでのデモ再生が行なわれた
デモに用いられた試作2号機
会場には自主レーベル「etendue(エタンデュ)」のSACDも展示されていた

(一條徹)