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ヤマハ、無線LAN内蔵でネット再生強化の7.1chAVアンプ「RX-V577」。5.1ch「V477」も

7.1ch AVアンプ「RX-V577」

 ヤマハは、無線LANを内蔵し、ネットワークプレーヤー機能を強化した7.1ch AVアンプ「RX-V577」を4月中旬に、その下位モデルで5.1chの「RX-V477」を4月上旬に発売する。価格は「RX-V577」が71,280円、「RX-V477」が59,400円。

7.1chの「RX-V577」
5.1chの「RX-V477」

無線LAN機能とネットワークプレーヤー機能

「RX-V577」の背面。無線LANアンテナを取り付けたところ

 「RX-V577」の最大出力は135W×7ch、「RX-V477」は135W×5ch。V577の特徴は、本体にIEEE 802.11b/gの無線LAN機能を搭載している事。背面に付属の無線LAN用アンテナを取り付けて利用する。有線LANポートも備えているが、併用はできない。

 ルータに接続し、LAN内のNAS(ネットワークHDD)などに保存した音楽ファイルを再生できる。無線LANルータに接続する際は、WPS(プッシュボタンかPINコード)が利用できるほか、iOS 5.0以降のiOS端末を使っている場合は、端末側の接続設定をAVアンプ側にコピーし、設定を簡略化できる。

 ルータを使わずに機器と直接ワイヤレス接続する「Wireless Direct」機能も用意。AirPlay、HTC connectに対応。Bluetoothと異なり、1台のアンプに複数の端末を接続して利用する事が可能。AVアンプ制御用アプリの「AV CONTROLLER」も利用できる。

無線LANの設定方法画面。WPSボタンやPINコードを用いた設定ができるほか、iOS機器をUSBで接続し、iOS側の設定をAVアンプ側に流し込む、設定の共有にも対応する
iPadからAirPlayで再生しているところ

 「AV CONTROLLER」もバージョン4.00に進化。V577/V477以降のAVアンプで利用できる新機能として、シネマDSPの音場効果をピンチ&スワイプ操作で直感的にカスタマイズできる「DSP調整」機能を追加。操作感・視認性に優れるというロータリー型の音量調整機能や、UIのデザインも変更されている。iOS 5.0以降をインストールした第3世代以降のiPod touch、iPhone 3GS以降、iPad。Android 2.1以上の端末で利用可能。

シネマDSPの効果をカスタマイズしているところ
RX-V477

 ルータ経由でネットワークプレーヤーとしても利用でき、MP3/WMA/AACと、24bit/192kHzまでのWAV/FLAC再生にも対応。新たに、24bit/96kHzまでのApple Lossless再生にも対応している。ギャップレス再生も可能。USB端子も備えており、USBメモリなどに保存した、これら音楽ファイルを再生する事もできる。USB端子でiPhoneと接続し、デジタル再生する事も可能。

 5.1chのV477は、無線LAN機能は内蔵していない。ネットワーク機能は搭載しており、V577と同様に24bit/192kHzまでのWAV/FLAC再生や、24bit/96kHzまでのApple Lossless再生にも対応する。

2モデル共通の特徴

 薄型・大画面テレビの普及で、テレビ両脇のスペースが少なくなり、トールボーイなどの大型スピーカーが置きにくいリビングが増えている事や、テレビに合わせてテレビラックの奥行きが短くなり、ラックの上に小型のスピーカーしか置けないといった、AVアンプまわりの環境変化に対応するため、「Extra Bass」と「Virtual CINEMA FRONT」の2機能を新たに搭載している。

 「Extra Bass」は、小型スピーカーを接続した場合や、サブウーファが無い環境での利用を想定し、重低音再生能力を高めるもの。再生していない低域でも、その倍音成分を聴くと、その低音が出ていると感じる人間の特性を活用。視聴環境最適化システム「YPAO」で把握したスピーカーの再生能力を踏まえ、再生可能な帯域の倍音を足し込むことで、聴感上の低域の量感を増強する。サブウーファでも同様の機能が利用可能。

 「Virtual CINEMA FRONT」は、リアスピーカーを設置できない環境向けの機能。リアスピーカーをフロントやセンターと同様に、テレビの脇など、前方に設置した状態でも、包み込まれるようなサラウンド再生ができる、新バーチャルサラウンド技術となる。

「Extra Bass」やハイレゾ対応のネットワーク再生機能を搭載する事で、組み合わせるスピーカーがブックシェルフ2台からでも、気軽に始められると訴求している

 前面には「SCENE」ボタンを備え、映像ソースと音場プログラムなどの設定の組み合わせをワンタッチで呼び出せる。

RX-V477の背面

 HDMI入力は2機とも6入力、1出力。4K映像のパススルーにも対応する。V577のみ、ゾーン機能もサポートする。

 TIバーブラウンの24bit/192kHz対応のDACを搭載。内蔵デコーダはHDオーディオをサポートし、ドルビーTrueHDや、DTS-HD MasterAudioなどのデコードが可能。前方を中心とした高さ方向を含む空間情報の再現も可能にするという音場創生技術「シネマDSP 3Dモード」、VPS(バーチャル・プレゼンス・スピーカー)も利用可能。ポータブルプレーヤーの音楽再生時に音質を向上させる「ミュージックエンハンサー」機能も備えている。別売のBluetoothレシーバ「YBA-11」への電源供給も可能。

 付属のマイクを使い、視聴位置に最適な音響特性へ自動的に設定できるYPAO(Yamaha Parametric Room Acoustic Optimizer)も搭載。AM/FMチューナも内蔵する。

 HDMI以外の入出力として、音声入力は、アナログステレオ×4(RCA×3/ステレオミニ×1)、光デジタル×1、同軸デジタル×2を用意。映像入力はコンポジット×4、コンポーネント×2。出力は、コンポジット×2、コンポーネント×1。アナログ音声出力(RCA)×1、サブウーファ用プリアウト(V577は2系統/V477は1系統)、ヘッドフォン出力×1。

 消費電力はどちらも260W。外形寸法は435×315×161mm(幅×奥行き×高さ)。V577がアンテナを装着した場合は435×327×221mm(同)。重量はV577が8.1kg、V477が8kg。

音を聴いてみる

ヤマハの試聴室で聴いてみた

 シンプルに2chで試聴すると、両機種とも、従来モデルと比べ、空間描写能力が向上し、音場がグッと広くなった。音の鮮度もアップ。V577はワイドレンジでバランスの良い音になっており、低域の中の細かな音の描写がよくわかる。

 それに対してV477は、低域が若干パワフルになっており、ドラマチックに描写するタイプだ。生々しさという点ではV577が優れているが、V477の中低域の押し出しの強いサウンドが好みという人もいるだろう。V477で特筆すべきは、パワフルさを持ち味としながら、広い空間描写や細かな情報量はV577に迫るクオリティを持っている点だ。2機種とも、アナログ接続/同軸デジタル接続時の音質の違いも少ない。

 なお、V577/V477には上位のセパレートモデルで培った配線や電源まわりの技術が投入されており、描写力の向上に寄与しているという。

 V577でマルチチャンネルソースも試聴。BDの「マン・オブ・スティール」から、スーパーマンが小石が転がる平原で、自らの飛行能力や戦闘能力をテストするシーンを再生すると、風を切る音がシアタールーム全体を包み込み、豊かな音圧に圧倒されると同時に、地面で巻き上げられた小石がはぜる細かな音がキッチリ聴き取れる。

 ニュートラルなバランスであり、分解能も高いため、音の数が多てゴチャゴチャしたサウンドのシーンであっても、1つ1つの音の輪郭がクリアで、大切な中央のセリフが明瞭で聴き取りやすい。抜けの良い音でもあるため、「シネマDSP 3Dモード」で9.1chのサラウンドを再現すると、音の高さも良く出る。派手さよりも、基本的なサウンドクオリティの高さが光るモデルだ。

(山崎健太郎)