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レンズ交換型オープンプラットフォームカメラ「OLYMPUS AIR」

SDK公開、他社もアプリやアクセサリを開発

 オリンパスは、マイクロフォーサーズマウントのレンズを装着してスマートフォンからの操作で撮影できる小型デジタルカメラ「OLYMPUS AIR A01」を、3月6日に発売する。価格は、ボディ単体が33,800円、M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6 EZレンズ付きのレンズキット「OLYMPUS AIR A01 14-42mm」が49,800円。'14年に「オープンプラットフォームカメラ」としてプロトタイプを発表したモデルの製品版となる。カラーはブラックとホワイトを用意する。

「OLYMPUS AIR A01」iPhoneに装着して撮影した例

 マイクロフォーサーズマウントと撮像素子で構成する円筒形の小型モジュール。重量は147g(バッテリやメモリーカード含む)。モニターは搭載せず、スマートフォンをライブビューファインダとして利用し、マイクロフォーサーズのレンズを使った“一眼画質”の撮影が行なえるのが特徴。スマホの内蔵カメラでは難しかったクオリティの高い撮影を、スマホの直感的な操作でできることを目指して開発したという。

 本体に4/3型1,605万画素LiveMOSセンサーを搭載し、JPEG/RAW静止画や、最高1,920×1,080ドット/30pのMPEG-4 AVC/H.264(MOV)動画撮影に対応。3倍デジタルズームとデジタルテレコン、電子手ブレ補正機能も搭載する。コンパクトな筐体だが、画質は同社ミラーレス一眼の「E-P5」相当だという。通信機能としてIEEE 802.11b/g/nの無線LANと、Bluetooth Smartに対応。なお、NFCは搭載せず、Wi-Fi認証はボディ背面にあるQRコードをスマホで読み込むことで完了する。外形寸法は56.9×43.6×57.1mm(幅×奥行き×高さ)。

片手で持って、スマホから操作して撮影
レンズを外した本体部分

 スマートフォンによる直感的な操作で、撮影から画像の加工、SNSへのアップロードまで可能。アプリで絞りやシャッタースピード、アートフィルターの設定など撮影時の細かな設定や、撮影後の編集などが行なえる。記録はOLYMPUS AIR内のmicroSDカードに行ない、スマートフォンへの転送も可能。静止画の場合は撮影後にスマホへ自動転送させることもできる。動画はファイルが大きくなり、時間のかかる場合があるため、転送する場合は手動で行なう。

 OLYMPUS AIRにはハードウェアのシャッターボタンも備え、スマホを使わなくても撮影は可能。ハードウェアのシャッターボタンは横長なため、様々な形状のアタッチメントを取り付けたり、スマホを縦位置にした場合でも押しやすくなっている。

 1台のスマホと同時にWi-Fi接続できるのは1台のOLYMPUS AIR A01だけだが、Bluetooth経由の操作は1つのスマホから複数台のOLYMPUS AIRへ行なえるため、アングルを変えて複数のOLYMPUS AIRを置くと、1台のスマホからの操作で同時にシャッターを切ることも可能だという。

14-42mmレンズ装着時
背面カバーを開くと、スマホを装着できる
上面にある横長のボタンがシャッター
三脚穴
ストラップなどを着けられる六角穴
動画撮影は最高フルHD/30pに対応
microSDカードスロットやUSB端子部
主な機能
手持ちのマイクロフォーサーズレンズ「NOKTON 17.5mm F0.95」を装着したところ。MF撮影時は、デジタルテレコンで拡大するとフォーカスを合わせやすい

 スマホアプリは8種類用意。静止画撮影アプリとしては、1回の撮影でフレーミングやエフェクトなど6パターンの写真が楽しめる「OA.Genius」や、14種類のアートフィルターと9種類のアートエフェクトの組み合わせで写真の仕上げを変えられる「OA.ArtFilter」、色彩や彩度、明るさを細かいレベルで自在にコントロールでき、トーンカーブ調整も可能な「OA.ColorCreator」、同社デジカメに搭載されているフォトストーリー機能が使える「OA.PhotoStory」、デジタル一眼の一連の操作をスマートフォンで行なえ、交換レンズの価値を活かせるという「OA.ModeDial」を用意。

 動画用のアプリとしては、ショートムービーの撮影/編集が行なえる「OA.Clips」が利用可能。2秒など短い時間で録った複数の動画をつなぎ合わせて、トランジション効果や、トイフォトなどのアート効果、BGMを加えてショートムービーを作成できる。

 「OA.Viewer」は撮影した写真をスマートフォンで閲覧/編集するアプリ。microSDカード内のデータをスマートフォンで閲覧、編集できる。アスペクト比の変更やトリミングなどの編集機能に加え、スマートフォンに保存された音楽をBGMにしたスライドショー機能も備える。「OA.Central」は、OLYMPUS AIRとスマホを接続する基本アプリ。

基本アプリは3種類
クリエイティブな撮影や、ショートムービー作成などのアプリも用意
スマホ画面で仕上がりを確認しながら撮影
「OA.Clips」でショートムービーを作成。複数の動画を録って選択すると、自動でつなげてエフェクトを加え、1つの動画になった
8種類のアプリ

アプリで一眼画質を楽しむ。SDK公開で体験を広げる

 レンズ交換型で、スマホをビューファインダとして使うデジタルカメラとしては、ソニーの“レンズスタイルカメラ”(ILCE-QX1)が知られている。

オリンパスイメージングのIBP推進本部部長の上 高明氏

 オリンパスイメージングのIBP推進本部の上 高明部長は、OLYMPUS AIR A01と他社製品との違いとして、「アプリで楽しんでいただくカメラ」という点を挙げ、撮影や編集などに様々なアプリを用意していることと、iOS/Android用のSDKを公開している点などを説明。サードパーティのメーカーや個人がアプリや周辺機器を開発できる環境を整えることで、開発した新しい楽しみ方を共有でき、この製品でできる体験を広げられることを特徴としている。

 同社調査によれば、国内のスマートフォンユーザーの中には、週に2〜3回以上スマホのカメラで撮影し、プロが撮ったような写真や自分のイメージに近い写真を撮れるアプリに関心が高く、話題になっているカメラ/写真アプリを積極的に試すユーザーは4.7%(市場としては220万台)存在するとのこと。こうしたユーザーに対し、スマホの簡単操作と、同社が持つ一眼カメラの画質、デジカメ撮影のノウハウを組み合わせた製品が「OLYMPUS AIR A01」だという。

国内市場と、スマホユーザーへの調査
OLYMPUS AIRのポジショニング
カメラの知識と撮影ノウハウをアプリに、一眼カメラの画質をOLYMPUS AIR本体に投入
この形状を活かした新しい撮り方として、グラスの底を撮影した例
OLYMPUS AIR本体を転がしながら撮影
3Dプリンタで出力したパーツをブロックのように組み立て、真上から撮影する台を作成

 同社は'14年から、オリンパスの技術をオープンにして、デベロッパーやクリエイター、ユーザーと共に新しい写真体験を開拓することを目的としたプロジェクト「OPC Hack & Make Project」を開始している。

オープンプラットフォームカメラのプロトタイプ
「OPC Hack & Make Project」のサイト
Android/iOS用のSDKを公開
3Dプリンタなどを活用することで、従来に比べて簡単に周辺機器が開発できるような環境を目指す
プロトタイプのテスター募集なども行ない、様々なアイディアが集まっている

 これまで、開発者を対象として、オープンプラットフォームカメラのプロトタイプを使ったハッカソン(プログラミングやシステム開発のイベント)を実施。様々なアイディアを募り、試作機などが生まれている。発表会では開発者とOPCプロジェクトメンバーによるトークセッションも行なわれ、これまでに様々な種類のカメラが生まれたという。

 同プロジェクトのサイトではSDKや3Dデータを公開。3Dプリンタなどで対応アクセサリーをサードパーティから製品化しやすくしているのも特徴。開発者やクリエーター、ユーザーととともに新しい映像、写真体験の実現に向けてプロジェクトを進め、アプリケーションやアクセサリー登場の促進を図る。

 これまで考案されたユニークな例として、撮影者がカメラを持つのではなく、建物など周りの環境の中にカメラが設置され、スマートフォンからサイトにアクセスすると写真が撮影される「スパイカメラ」や、イベントの会場などで、天井に備えたレールに沿ってカメラが移動し、室内を広く見渡す構図で写真や動画を撮影する「movement」、カメラとPC、プリンタなどをまとめて身に着ける「ウェアラブルモバイル・プリクラ・スタジオ」などが紹介された。

開発者から提案された「スパイカメラ」
movement
ウェアラブルモバイル・プリクラ・スタジオ

(中林暁)