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GibsonがLes Paulスピーカーを披露。IoTなどが集結する「CESアジア」5月開催

 全米家電協会(CEA)は、米国ラスベガスで毎年行なわれている家電/IT関連の展示会「International CES」のアジア版である第1回「2015インターナショナルCESアジア」を、5月25日〜27日に中国・上海で開催する。これに先駆けて、2月18日に東京で報道関係者やアナリストなどを対象とした事前イベント「CES Unveiled Tokyo」が開催された。

CES Unveiled Tokyo

 会場では、CES Asia出展企業を中心に、国内外の企業が新製品やサービスを紹介するブースを展開。この中で、Gibson Brandsがギター「Les Paul」の名を冠したスピーカー「Les Paul Reference Monitors」やヘッドフォンの「Les Paul」と「SG」を展示した。このほかにも、快適な睡眠を手助けするというアイマスク「NeuroOn」や、Bluetooth搭載のIoT生活家電など、ユニークな製品が数多く出展された。

Gibson Brandsの展示ブース

 5月に行なわれる第一回のCESアジアは、中国・上海にある上海新国際博覧中心(SNIEC)で開催。全世界の企業がアジア市場向けの最新製品とテクノロジーを紹介する。CEAは、上海国際展覧中心有限公司(インテックス上海)と共同で主催。特別共催者には、中国電子商会(CECC)と中国機電産品進出口商会(CCCME)が含まれる。

 CESアジアには、主要なグローバルブランドからスタートアップ企業まで参加し、初年度は20,000m2(ネット面積8,500m2)の展示スペースで開催。会場とカンファレンスのプログラムを通して、3Dプリンタや、ロボット、センサー、IoT、ウェアラブルといった注目分野の動向と製品が紹介されるイベントとして期待されている。

 出展を予定している企業は、アウディ、フォード、ガーミン、Gibson Brands、Hisense、IBM、Intel、MONSTER、TomTom、GGMM、Thinking Groupなど。アウディ会長のルパート・シュタートラー氏(Rupert Stadler)が開会前の5月24日にキーノートスピーチを行なう。

Gibsonから「Les Paul」のスピーカーが4月に登場

 CESアジアを前に、東京で行なわれたUnveiledでは、出展者や日本のスタートアップ企業などが、未発表の製品などを含めて展示するコーナーが用意された。アンカー・ジャパンや、アプリックスIPホールディングス、アクアビットスパイラルズ、Gibson Brands、インテルクリニック、シュアール、ニューオプトなどが参加した。

 この中で、Gibso Brandsが出展したのは、同社を代表するギター「Les Paul」の名を持つアクティブモニタースピーカー「Les Paul Reference Monitors」。名前の通り、ハイエンドなモニタースピーカーを想定して製品化するものだが、オーディオ向けの利用も想定。再生周波数帯域は上が47kHzという超高域までカバーする“ハイレゾ対応スピーカー”として提案する。4月に日本を含むグローバルで発売予定で、価格は4インチ径ウーファのモデルが15万円前後、6インチ径ウーファのモデルが20万円前後、8インチ径ウーファのモデルが25万円前後。

Les Paul Reference Monitors。外側の2台が6インチモデル、内側が4インチモデル
背面
Les Paul氏の写真が入ったシールが背面に。氏の生誕100周年を記念して製品化している

 また、ラスベガスでのCESに引き続き、同社初ヘッドフォンの「Les Paul」と「SG」も出展。これらは'15年夏に発売し、価格は10万円前後を想定している。'14年にGibson Brandsに加わったPhilipsのAV部門であるWOOXのチームがベースとなるヘッドフォンを作り、そのプレミアムモデルとしてGibsonが発売するのが両モデルとなる。米国ナッシュビルにあるGibsonギターのチームが協力し、Gibsonのギターに合わせた音の特性を持たせたというもので、高域の響きや、低域の輪郭などをチューニングした「リアルギブソンサウンド」を特徴としている。ヘッドフォンについては、モニター用途よりも楽しく音楽を聴くためのオーディオ向けといった位置づけになっている。

ヘッドフォンの「Les Paul」(右の3台)と「SG」(左の3台)
ハウジング部
内側にも細かな装飾

 レーザー光測定装置や医療機器とともにヘッドフォンアンプなどのオーディオ機器を手掛けるニューオプトは、米国市場に同社ヘッドフォンアンプの「KHシリーズ」を展開することを表明。同社はレーザー光測定装置の開発を約35年間行なっており、KHシリーズのアンプは、同社の高周波信号の制御技術を活用しているのが特徴。

 同社は2011年に据え置き型ヘッドフォンアンプ「KH-07N」(32万円)でオーディオに参入。左右独立の低ノイズ電源トランスや、左右チャネル独立・等長回路、削り出し素材を用いたケースなどを特徴としている。2014年にはポータブルアンプ「KH-01P」(9万円)を発売。米国展開に先駆け、会場でこれらの製品を展示した。

据え置き型ヘッドフォンアンプ「KH-07N」
ポータブルアンプ「KH-01P」

睡眠効率を上げるアイマスク「NeuroOn」なども

 インテルクリニックが出展したのは、“1日たった2時間で効率的な睡眠を可能にする”としてKickStarterでも話題を集めたアイマスク「NeuroOn(intelligent sleep mask)」を展示。量産モデルの価格は299ドルで、10月ごろの出荷を予定。日本からでも注文できる。

NeuroOn

 睡眠前に装着することで、目の部分から発する光や振動などで、快適な睡眠と目覚めをサポートするという製品。短時間睡眠を推奨するものではないが、何らかの問題で短い睡眠時間しか取れない場合でも、効率を上げられるとしている。スマートフォンアプリと連携し、睡眠の状態を後からチェックできる。バッテリを内蔵したコア部分が着脱可能で、USB経由で充電して繰り返し使える。

内側
コア部分は着脱可能

 アプリックスは、家電機器などへ組み込み型IoT技術を搭載したコンセプトモデルを披露。IoT技術を活用したシーリングライト、扇風機、セラミックヒーター、アロマディフューザーが展示された。家電製品を操作するためのスマートホーム規格「HomeKit」に対応したBluetooth Low Energy(BLE)モジュールを搭載。スマートフォンと連携し、(スマホを持った)人が近づくとヒーターがONになったり、電話がかかってくると扇風機の風が(音を静かにするために)弱まったり、iOSのSiriを活用してiPhoneに話しかけると照明が点くといった機能を紹介している。これらのコンセプトモデルはドウシシャが製品化を進めており、発売時期は未定。

アプリックスのBluetoothモジュールを搭載した、ドウシシャのコンセプトモデル
アンカー(Anker)は、同社の代表製品であるUSB急速充電器の新モデルに加え、新たな展開として「Zolo」というブランドの立ち上げを紹介。タブレットケースに、車載用マウントをマグネットで装着するなど、様々な組み合わせができる製品として提案するという。発売時期は3月前半を予定
手話とITを組み合わせた事業を手掛けるShuR(シュアール)が出展していたのは、手話の意味をタブレットなどで調べられるクラウド型オンライン手話辞典「スリント辞書」や、聴覚に障害を持つ人向けにYouTubeで配信している日本初の手話総合バラエティ番組「GO! GO! しゅわーるど」など

中国市場とスマホの拡大、スタートアップ企業の動向に注目

CEAのゲイリー・シャピロ会長兼CEO

 CES Unveiled Tokyoのプレゼンテーションでは、米国の家電業界団体であるCEAが、アジアと世界の市場調査や、CESの最新ニュース、2015 International CESにおける製品動向などを発表。5月25日開幕の第1回2015インターナショナルCESアジアへとつなげるイベントと位置付けている。なお、ラスベガスでのCESとは異なり、規模を追うのではなく、「イノベーティブな企業を選んで展示する」というのも特徴。

 CEAの会長兼CEOであるゲイリー・シャピロ氏は、1967年から始まり、コンシューマ向けのショーやビジネストレードの場として機能するCESの役割を改めて説明。ソニーやパナソニックといった日本メーカーを含む企業が、革新的な製品をこの場で発表してきたことに加え、最近のトレンドとしてベンチャー/スタートアップ企業がトレンドをけん引する大きな存在になっている点を説明。「CESは、良いアイディアを持つ人が露出できる場でなければならない」として、'15年1月のCESでもスタートアップ企業を集めたコーナーでアピールしたことなどを紹介。こうした取り組みにより、CES出展社全体の81%が小規模な企業であるといった点を説明した。

これまでのUnveiled
日本企業のCES参加
CES Asiaの出展企業の一部
スティーブ・コーニング氏

 続いて、CEAで業界分析部門ディレクターを務めるスティーブ・コーニング氏が、グローバルでのテクノロジートレンドについて説明。コンシューマによるテクノロジーへの支出が、デバイスだけに限っても'10年の9,210億ドルから、'14年は1兆200億ドル規模まで伸びているという調査結果を紹介。この支出を世界を7つの地域に分けて見ると、中国を含む新興国地域が北米を'12年から上回っており、この差はさらに広がっていくと予測した。

 また、特に注目されている製品カテゴリを7つ挙げて「7人の侍」や「荒野の七人」になぞらえ、「これらの作品は、7人の侍やカウボーイが、まるで700人いるような力で戦ったという内容。7カテゴリの中で最も多くを占めるスマートフォンも、アプリなどを含めると700を超えるユースケースがあり、可能性は無限」と述べた。

テクノロジーへの支出の伸び
地域別での支出比較
支出の中心はスマートフォン
7つの主要カテゴリを荒野の七人に例えて説明
地域別の売り上げシェア

 新しい技術トレンドとしては、テレビでは「量子ドット」や有機EL、HDR(ハイダイナミックレンジ)や4K、Curved(湾曲)などをピックアップして説明。Curvedについては、テレビ出荷予測全体に占める割合は2%とニッチな市場であり、大画面テレビよりもデスクトップのモニターとしての用途がCESでは目立ったことなどを紹介した。

 また、オーディオについてはソニーがハイレゾ対応ウォークマンのNW-ZX2をCES発表したことなどを説明。「コンシューマは高度なオーディオ体験を求めている。業界では競争が激しいため、ハイレゾでもコストが下がり、コンシューマにも手が届きやすくなる」との見方を示した。

 マスマーケット以外の製品としては、ドローンや3Dプリンタといった製品の広がりも説明。これらはコンシューマが直接購入するというよりは、製品の作り手側に大きな変革をもたらすとして期待を寄せた。

 そのほか、「スマートホーム」についても、従来からのコンセプト的な段階から、より現実的なフェーズに入ったと分析。家にあらかじめ用意された据え置き型のものではなく、ユーザーが自分で作る「DIY型」のスマートホーム化が始まっていると指摘し、例としてLED電球にカメラやマイク/スピーカー、無線LANなどを備えた製品「Sengled Snap」を紹介。これを従来の電球から置き換えることで、簡単にスマートホーム化が進められる製品として注目されたという。

テレビのトレンド
4Kテレビの米国での出荷数予測
ソニーのハイレゾ対応ウォークマンNW-ZX2
スマートホームを実現するLED電球「Sengled Snap」
ドローンや3Dプリンタ
ロボット技術やAR/VRなども紹介
自動車関連も注目分野として説明

 イベントでは、スタートアップ企業らによるパネルディスカッションも開催。日本経済新聞社 論説委員兼編集委員の関口和一氏が司会を務め、パネリストとして、ベンチャーキャピタルファンド・WiLの共同創業者ジェネラルパートナーである西條晋一氏と、Cerevo代表取締役の岩佐琢磨氏が登場。パナソニックでの経験を経てCerevoを立ち上げた岩佐氏が、スタートアップから見た日本の強みなどを述べたほか、ソニーとのジョイントベンチャーでスマートロックの製品化を進めている「Qrio」の代表取締役も務める西條氏が、現在のベンチャーキャピタルには資金が余っており、起業家にはチャンスであることなどを語った。

左から、WiLの共同創業者ジェネラルパートナーである西條晋一氏、Cerevo代表取締役の岩佐琢磨氏、日本経済新聞社の関口和一氏

(中林暁)