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フジテレビとNetflixが協力。「テラスハウス」新作など放送より先に独占先行供給

 フジテレビジョンは17日、今秋の日本上陸を予定している映像配信サービス大手「Netflix」にオリジナルコンテンツを独占供給すると発表した。シェアハウスで同居する男女6人の青春模様を記録するリアリティショー「テラスハウス」の新作「TERRACE HOUSE NEW SEASON COMING(仮)」と、連続ドラマ「アンダーウェア」(英題:Atelier)の2作品を独占プレミア(先行)配信を行ない。放送より先に配信するという。

フジテレビジョンの大多亮常務取締役と、Netflixグレッグ・ピーターズ代表取締役社長

 Netflixは、世界50カ国、会員数6,200万人を誇る世界最大のインターネット動画配信サービス。今秋に日本でのサービスを予定しており、すでに各テレビメーカーの新製品などには[NETFLIX]ボタンが追加されている。なお、サービス開始日時や料金体系についての新情報はなく、現時点で公表しているのは、「今秋スタート」のみとなる。テレビのほか、タブレットやスマートフォン、PS3/Xboxなどでも視聴できる。

会見は東京お台場のフジテレビで行なわれた

 今回Netflixにフジテレビが供給する「テラスハウス」と、「アンダーウェア」の2作品は、Netflixが独占先行配信した後、地上波での放送に加え、動画・コミック配信サービス「FOD・フジテレビオンデマンド」でも配信する。

 テラスハウス(テラハ)は2012年10月から'14年9月に放送されたシェアハウスで同居する男女6人の青春を追ったリアリティショー。今秋配信予定の新作では世界中から新たな住人を募集。オーディションにより新たなメンバーを募る予定で、17日からメンバー募集を開始する。配信話数は18話を予定している。

 テラハを最初のコンテンツとして選んだ理由について、フジテレビジョンの大多亮常務取締役は、「毎週更新したYouTubeの累計再生数は2億8,000万回と圧倒的な支持を得ている。2013年のYahoo!検索ランキングも、「あまちゃん」、「半沢直樹」に続いて3位で、ネットとの親和性が高い」(大多常務)と判断。また、Netflixからも若者向けのコンテンツという要望がでていたため、まずテラスハウスを提案したという。

テラスハウス新作を投入

 アンダーウェアは銀座の高級下着メーカーに勤める主人公繭子が、それまでの彼女の人生になかった価値観の世界で戸惑いながらも奮闘成長する姿を描き、「アメリカンドリームならぬジャパニーズドラマをつかむストーリー」としている。

テラハは「ブランド」。日本のネットテレビをNetflixに

フジテレビジョン 大多亮 常務取締役

 会見には、Netflixのグレッグ・ピーターズ代表取締役社長と、フジテレビジョンの大多亮常務取締役が出席。両社のパートナーシップを強調した。

 大多氏は、「交渉開始から1年弱で発表に至った。なぜ、Netflixなのか? 一緒に話してみると、規模や仕組みもあるが、やはりコンテンツへの愛が深い。コンテンツについて色々深く考えている。そこがいいな思った。また、ターゲットとして『若い層が欲しい』、『10〜20代』を増やしたいということなので、これはフジテレビが得意。それであれば『テラスハウス』と提案した」と提携の経緯を説明した。

Netflix株式会社グレッグ・ピーターズ代表取締役社長

 日本法人Netflix株式会社のグレッグ・ピーターズ代表取締役社長は、「フジテレビは、素晴らしいコンテンツクリエーターであり、素晴らしい視聴者を抱えている。多くのコンテンツが愛されている。それよりも魅力に感じたのは、テレビの未来に向けたビジョン、チャレンジャー精神に共感した」と言及。「テラスハウスは、驚くような“ブランド”、人気シリーズとして確立し、熱いファンに愛されている。若く、熱心で、インターネットテレビで楽しみたいと思ってもらえると考えている。アンダーウェア(英題:Atelier/アトリエ)は、まさに共同制作していく番組で、パートナーシップの中で推進していきたい」と語った。

 大多氏は、「テラスハウスは、YouTubeでの再生回数が日本のテレビ番組で1位。Yahoo!の検索ランキングも2013年は、あまちゃん、半沢直樹に続き3位。日本で始めるにはテラスハウスが一番インパクトがあるんじゃないか。今日から新たな住人も募集します。すぐに海外の人が参加とはいかないかもしれませんが。アンダーウェアは、下着業界を舞台にした若い女性のドラマ。Netflixを通じて若い女性が元気になるようなものになって欲しい」と説明し、今回のコンテンツ選択が若年層、特に若い女性をターゲットにしたものであることを強調。さらに、アンダーウェアの英題「アトリエ」については、「Netflixとの協議で、海外展開ではそちらが良いとなった」と語った。

テラスハウスの紹介。まだ撮影に入っていないとのこと
アンダーウェア

 また、「まだ、次は"エッ”と思ってもらえるコンテンツを準備している」と今後のコンテンツ追加も示唆。ピーターズ社長は、「日本で人気ブランドである『テラスハウス』。これを海外に発信していくよい機会にしていきたい」と述べた。

 Netflixでの独占配信以降は、フジテレビが展開するフジテレビオンデマンド(FOD)でも配信予定。FODとNetflixとの競合関係について、大多氏は「狭い意味ではライバルかもしれないが、Netflixは月額課金のいわゆるSVOD、FODは都度課金のTVODなので棲み分けていけるのではないか。また、最初は独占先行供給だが、その後はいろいろなウィンドウ展開が考えられる。我々はドメスティックな事業になっているが、Netflixのような発射台を使って、世界の意外なところで見てもらえるのではないか、と期待している。世界にでていきたい」と意気込みを語った。

 テラスハウスとアンダーウェアの制作費用は、「通常のテレビドラマとほぼ同じぐらい」とのこと。大多氏は、(Netflixがハリウッド大作並みの予算をかけて制作した)「ハウス・オブ・カーズみたいな大きいお金を出す気はまだないですが(笑)。いつかはやりたいですね。企画を出します」とピーターズ氏に提案した。

 なお、著作権はフジテレビに帰属。コンテンツ提供に対する対価の支払は守秘義務契約があるので回答できないとしたが、「1回再生して幾ら、という契約ではない」とのこと。

 テレビ離れを加速させるのでは? との質問に対して、大多氏は「社内にはそうした懸念はあります。ただ、やらないとさらに離れると考えている。スマホやタブレットでのテレビやコンテンツ視聴があたり前になりつつあり、それも若い層からより広がっている。自分たちで出て行かないと。今回のパートナーシップは、そのきっかけ」と言及。Netflixのピーターズ氏は、「日本のテレビが無料だったので、お金を払いたくないという人もいるかもしれないが、ネットTVの可能性を感じる人もいるだろう。また、日本のマーケット、ネットテレビの可能性を知ってもらいたい」と述べた。

 テラスハウスなどの海外展開については、「グローバルに展開する計画。ただし、これからコンテンツの特性や市場性を分析して決めていく。例えば字幕をどうつけるか、スウェーデンにおいては字幕がいいのか吹き替えがいいのか? など、調査が必要。フジテレビにもそうしたコンテンツへの意見をフィードバックして、時間をかけて良いコンテンツを作っていきたい」とした。

 Netflixの会員数目標については、「具体的な数字は無いが、日本の市場に注力している。すばらしいカルチャーとストーリーテリングがあり、多くのクリエータがいる日本で、10年〜30年の長時間をかけて、ネットテレビの世界に日本が大きな位置をしめるきっかけにしたい」(ピーターズ社長)と回答。大多氏は「FODの会員数を簡単に抜いて欲しくない」とコメントした。

(臼田勤哉)