ニュース
今秋日本展開のNetflixが戦略説明。「日本のコンテンツが王様。アニメも強化」
(2015/6/18 14:24)
今秋に日本でのサービス開始を予定している世界最大手の映像配信サービス「Netflix」。18日にNetflix日本代表のグレッグ・ピーターズ(Greg Peters)氏が日本での戦略を発表。「よりよい体験とコンテンツ」を軸に据え、秋のスタートに向けて準備を進めていることを明らかにした。なお、開始日時や料金体系についての新情報は特に無い。
Netflixは、世界50カ国、会員数6,200万人を誇る世界最大のインターネット動画配信サービス。17日にはフジテレビとのオリジナルコンテンツ契約を発表しているが、今回はNetflixが日本市場にどう取り組むかが説明された。
「王様」の日本のコンテンツを準備。アニメも頑張る
日本法人Netflix株式会社のグレッグ・ピーターズ社長は、「技術は、よりよい体験のスタート地点。重要な事はコンテンツを楽しめること、パーソナライズされた形で体験できる。それがNetflixの基盤。どんなコンテンツ、ストーリーが楽しめるかが最も重要だ。日本は素晴らしい資産があり、また多くのコンテンツクリエータがいる。そのコンテンツを世界に発信するとともに、これまで日本の方が触れていない新しい海外コンテンツに触れるチャンスになる。国に限定されない広がりこそ、視聴体験の革新。Netflixにワクワクしていただけるのでは」と語った。
日本の市場特性については、「日本市場はユニークでは? と聞かれるが、もちろんユニーク。ただ、Netflixがサービス展開しているどの国でもユニークな文化がある。日本の特徴は、やはり強いローカルコンテンツ(日本国内コンテンツ)への興味。日本のコンテンツが王様。Netflixでも、そのユーザーの期待へ応えていきたい」とした。
Netflixの大崎貴之副社長は、「我々は、テレビドラマや映画、ドキュメンタリー、コメディなどにフォーカスしているが、重視しているのは『クリエイティブフリーダム』。クリエーターを信じて作品を創って頂いている。フォーマットについても(2時間の映画だけでなく)1シーズン13話であれば約7時間。その中でひとつの大きな映画、大きな物語を作ってもらうこそが、革新的なエンタテインメントにつながる」とクリエーターの自由度を重視する姿勢を示した。
「また、私もマンガ・アニメで育ってきているし、それらは日本の宝です。日本の成功というビジョンだけでなくて、日本の作品を世界に届けるのもミッション」とアニメを重視する方針についても言及。ピーターズ社長も、「非常に大事なカテゴリ。日本のクリエータと最初に協力したのもアニメ。ポリゴン・ピクチュアズと協力し『シドニアの騎士』の世界先行配信を'14年に行なっている。アニメ畑のクリエータと関係を深めて、世界に届けていきたい」とした。
どのデバイスでも均一なNetflix体験を
ビジネスデベロップメント担当の下井昌人氏は、Netflixサービスの特徴とデバイス対応の取り組みについて説明した。
下井氏はデバイスへのNetflix機能の組み込みを促進するため6年以上取り組んでおり、その成果として、東芝、パナソニック、シャープ、ソニーの4社がNetflix対応テレビを発表済みである点を説明。「今後発売される大手のテレビは全てNetflix対応になる」とした。
Netflixは、テレビだけでなく、タブレットやスマートフォンにも対応する、「いつでもどこでもすぐに同じ視聴体験」を目指して展開しているという。iOSやAndroidアプリはもちろんだが、テレビや、BDプレーヤー、ゲーム機なども機能を組み込んだものを米国のNetflix本社において、Netflixの体験が必ず再現出来ていることを確認。「どのデバイスでも均一の視聴体験を実現している」とした。今後も対応機器の増加が見込まれるが、こうした認証プロセスは継続していくという。
Netflixが他のVODサービスと異なるのは、テレビリモコンに直接[NETFLIX]ボタンを備えていること。南米や欧州で導入したところ「格段に視聴時間が増えた」とのことで、テレビリモコンへの導入を積極的に進めている。
ユーザーインターフェイスは、レコメンデーション(オススメ)を中核に据えて、ユーザープロファイルごとの視聴履歴や関連番組を案内。さらに、「イッキ見(Binge-Watching)」や続き(ポストビュー)の見やすさにこだわっているとする。下井氏は(会員数が6,200万なので)「6,200万通りのパーソナライズが行なわれている」とした。
また、回線状況などを勘案して再生ビットレートを調整する「アダプティブストリーミング」にも対応。デバイスや回線状況、場所などを判断し、回線が細ければSD画質で低ビットレートで送出し、その後画質を上げていく。また、4K映像などの場合はレスポンスを重視し、まずは5Mbps程度のHDを送出し、回線の安定とともに徐々に4Kに上げていくといった制御も行なっている。「バッファ待ち」のような、レスポンスを損なうような制御ではなく、破綻がない範囲でしっかり映像を見せながら、画質を調整していくものとなる。
必要な回線環境はSDが3Mbps、HDで5Mbps。4Kはフレームレートが24/30/48/60fpsが用意されているが、4K/60pで最高画質で見る場合は25Mbpsを推奨。ただし、10Mbpsあれば4K映像を楽しめるという。また、Netflix 4K対応のデバイスでも、4K/60pは受信できず、4K/24pまでといった製品もあるとのこと。
早送りやシーンスキップでも、すぐに任意のシーンにジャンプできる点も特徴。実際に映画を再生し、エンドロールまで一気にシーンスキップするデモも行なわれたが、操作後4秒程度でシーンスキップが実行された。
なお、デバイスごとの利用状況については、海外ではPlayStationやXboxなどのゲーム機やBDプレーヤーを、テレビに接続して楽しむ「リビング」利用が多く、スマートテレビも拡大している。米国においては、スマートフォンやタブレットが急伸しているという。
「日本はテレビが発売されたばかりだが、BDプレーヤーや安価なセットトップボックス(STB)、アダプタなどが出てくると想定している。テレビのインストールベース(対応製品の台数)はまだ少ないが、リビングのデバイスはそうしたアダプタ製品も選択肢になる。また、スタート時にはiOSとAndroidのアプリも投入する」とした。また、光回線事業者のSTBなどとの連携については、「海外のCATVオペレータのSTBなどでは大きな流れ。日本においても同様なことは起こりうる」とした。