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デノン、Atmos/DTS:X対応、旭化成DAC搭載の7.2ch中核AVアンプ「AVR-X4200W」
(2015/9/7 11:00)
デノンは、Dolby Atmosに対応し、DTS:Xにも後日のファームアップで対応する7.2ch AVアンプの新モデル「AVR-X4200W」を10月中旬に発売する。価格は15万円。カラーはブラック。
同社中核モデルの最新機種。新世代のオブジェクトオーディオ、Dolby Atmosに対応するほか、後日のアップデートでDTS:Xもサポート予定。Atmosでは、内蔵の7chアンプで5.1.2のスピーカー配置に対応。外部パワーアンプを追加することで、5.1.4、7.1.2まで拡張する事もできる。ドルビーイネーブルドスピーカーを利用する場合は、音を反射させる天井までの高さを設定でき、精度の高い補正ができる。
DTS:Xでもオブジェクト信号を付加したサラウンドが楽しめ、既存のオブジェクトオーディオを含まない信号については「Neural:X」により、スピーカーの構成に応じて最適なアップミックス再生ができる。
柔軟なアサインができるのがデノンAVアンプの特徴。内蔵アンプでサラウンドバックを含む7.1chシステムを駆動し、ハイトスピーカーの信号をプリアウトできる一方、内蔵アンプをサラウンドバックやハイトスピーカーにアサインし、フロントスピーカーの信号をプリアウトすることも可能。フロントスピーカーだけ、別の2chアンプで再生するといった使い方もできる。
サラウンドバックやハイトスピーカーを使用しない場合、フロントスピーカーの駆動に4チャンネルのアンプを使用するバイアンプ駆動、2系統のフロントスピーカーを切り替えて使用できるA+Bなどのアンプアサインも可能。ゾーン機能にも対応し、ゾーン2、ゾーン3のスピーカーにアサインすることでもできる。
最大出力は235W×7ch(6Ω)。全チャンネル同一構成のディスクリート・パワーアンプを搭載。パワーアンプ出力段の保護回路にパワートランジスタの温度変化をリアルタイムにモニターする回路を備え、従来の電流リミッタ回路を排除。ピーク電流を大幅に強化し、微小信号から大きな信号まで音色を変えずに、余裕のあるダイナミックなサウンドが再生できるという。
DCサーボ回路には大容量コンデンサを採用。可聴帯域よりもさらに低い、超低域からの再生を可能にした。
独自のD.D.S.C.(Dynamic Discrete Surround Circuit)は、最新バージョンの「D.D.S.C.HD」を搭載。サラウンド再生に必要な信号処理回路を一つ一つのブロックに独立させ、32bit DSPなどを用いてディスクリート化。SHARCプロセッサは4基搭載しており、Dolby Atmos/DTS:Xの再生、AL24 Processing Plus、Audyssey MultEQ XT32による音場補正などの処理を行なう。
全チャンネル同一レスポンス、同一クオリティを念頭に構成しており、ピュアオーディオで培ったノウハウも投入したという。
「AL24 Processing Plus」は、アナログ波形再現技術。16bitなどの信号を、24bit精度に拡張。デジタルデータをハイビット化により元のアナログ波形に近づけ、微細な音の再現能力を高めるという。マルチチャンネル音声にも対応する。
DACは、上位モデルの「AVR-X7200WA」でも採用された、旭化成の最新世代32bit DACに変更。「従来のDACに比べ大幅に歪が少なく、解像感や繊細な空間表現力にさらに磨きがかかった」という。D/A変換回路は映像回路やネットワーク回路から独立した、専用基板にマウントすることで相互干渉を排除している。
音場補正技術は「Audyssey MultEQ XT32」を採用。付属のマイクを使ってスピーカーの有無やサイズ、距離、音量などの基本的な調整値を自動的に設定できる。最大8カ所の測定データを解析することで、部屋の反響音などによる悪影響の要因を取り除き、多人数で映画を見る場合でも視聴する全員が理想的なサウンドを得られるようにチューニング可能。「Sub EQ HT」も搭載し、2台のサブウーファを接続した際には個別に測定し、それぞれに最適な音量、距離の補正やイコライジングができる。
ネットワーク再生機能も
USBメモリやDLNAネットワーク経由でのハイレゾ音楽ファイルの再生に対応。AIFF/WAV/FLACは192kHz/24bitまで、AppleLosslessは96kHz/24bit、DSDは2.8MHzまで。AAC/MP3/WMAの再生にも対応。FLAC/WAV/DSD/AIFF/AppleLosslessではギャップレス再生もサポートする。
USB端子は、iPod/iPhoneとのデジタル接続にも対応。iPod/iPhoneの充電もサポートする。
ネットワーク再生機能は、AirPlay、インターネットラジオの受信もサポート。AVアンプ本体に無線LAN機能も備えている。Bluetooth受信にも対応しており、対応スマートフォンなどと手軽にワイヤレス接続できる。プロファイルはA2DP 1.2、AVRCP 1.4を、コーデックはSBC/AACをサポート。機器は8台まで登録可能。
iOS/Android向けに、リモコンアプリ「Denon Remote App」を用意。ホーム画面のショートカットキーには、使用頻度の高い入力や機能を最大8個まで登録できる。
FM/AMラジオも搭載。FMラジオは補完放送の受信にも対応する。
その他の仕様
HDMI端子は8入力、2出力。すべての端子がHDCP 2.2に対応する。4K/60p/4:4:4/24bitや、4K/60p/4:2:0/30bit、4K/60p/4:2:2/36bitなどのパススルーが可能。映像のダイナミックレンジを拡張する新技術「HDR(ハイダイナミックレンジ)」や、広色域な「BT.2020」のパススルーにも対応する。4K映像へのアップスケーリング機能や、ビデオコンバージョン機能も備えている。
デノンのBDプレーヤー「DBT-3313UD」と組み合わせ、ジッタ・フリーの伝送を行なう「Denon Link HD」にも対応。AVアンプのDACを動作させるマスタークロックをプレーヤーに供給、同一のクロックで同期させることで、ジッタを抑えた伝送を実現している。専用プレーヤー以外との接続では、「ハイブリッドPLLクロックジッターリデューサー」を使ってジッタを低減。HDMIだけでなく、光や同軸デジタル、A/D変換されるアナログ接続でも最適なジッタ低減ができる。
電源部のブロックコンデンサは、AVR-X4100Wの12,000uFから大幅に容量アップし、15,000uFのカスタムコンデンサを搭載。かつてのフラッグシップモデルでも使用されていた高品位なパーツで、大出力時でも安定した電力供給が可能という。4Ωスピーカーもドライブできる。
AVR-X7200WAと同様に、パワーアンプ初段の差動増幅段に特性のそろった2つのトランジスタを内包した、デュアル・トランジスタを採用。チップ内部の構成やワイヤリングもリファインされ、音質対策が図られたオペアンプをDACのポストフィルタに採用するなどして、音の密度や解像感、空間表現も向上させた。
ヒートシンクや電源トランスなどの重量物はフットの直近に配置。脚部にはAVR-X7200WAと同じ、共振を防止するリブを設けた高密度フットを採用している。
HDMI以外の端子は、アナログ映像がコンポジット入力×2、コンポーネント入力×1。音声入力は、アナログ×4、光デジタル×2。出力は、サブウーファプリ×2、ゾーンプリ×1、ヘッドフォン出力×1を用意。Ethernet、USB端子も装備する。消費電力は670W。外形寸法は434×389×236mm(幅×奥行き×高さ)。重量は12.6kg。