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ドローンの技術で手ぶれ補正、DJIのスティック型4Kカメラ「Osmo」を体験
(2015/10/14 17:41)
DJIは、手ぶれ補正機能を備えたスティック型のグリップを採用した手持ち撮影用4Kカメラ「Osmo(オズモ)」のメディア向け体験会を開催した。直販サイトで先行予約を受付しており、出荷は10月中旬の予定。価格は85,000円。
概要は10月9日に発表発表された通り。ドローンを開発しているDJIは、空撮用のカメラに伝わる振動を排除し、安定した撮影を行なうためのジンバル映像安定化技術を培っている。その技術を投入し、3軸の手ぶれ補正機構を備えたスティック型のグリップと、その上部に取り付けた小型カメラで構成するシステム。
映画などで、ドリーやクレーンといった高価で大型な機材を使って撮影していた滑らかな移動映像が、手持ちで誰にでも撮影できるのが特徴。「今回の新モデルは空ではなく、地上におけるカメラ撮影の常識を覆したいと開発したもの」(DJIの丸川英也氏)だという
カメラ部はDJIの製品であるZenmuseシリーズの1つと位置づけられており、名前は「X3」。1/2.3型センサーと、開口角94度のレンズを搭載。4K動画として4,096×2,160/24/25p、3,840×2,160/24/25/30pが撮影できるほか、2.7K(2,704×1,520/24/25/30pモードや、1080/24/25/30/48/50/60/120pの撮影モードも用意。フルHDの120fpsでスローモーション撮影も可能。撮影ビットレートは、4K時で最高約28Mbps。1,200万画素の静止画撮影機能も備えている。記録メディアはmicroSDで、マイクも搭載している。
カメラ部分は取り外し可能で、Zenmuse X5、Zenmuse X5 Rというマイクロフォーサーズマウントを採用したカメラを取り付ける事も可能。交換レンズを使って表現の幅が広がるほか、センサーサイズが大型化する事でより高画質になり、X5 RではRAW形式の動画撮影にも対応。プロフェッショナルの利用にも耐えられるとする。
なお、X5/X5 Rの価格や発売時期は未定。これらのカメラ部はドローンに既に搭載されており、同モデルを所有しているユーザーは、カメラ部を取り外してOsmoに接続する事もできる。そのために、Osmoのカメラ部(X3)が付属しないスタビライザースティック部のみも今後発売予定。
滑らかな移動映像が撮影可能
カメラ部は360度回転するようになっており、グリップを右手で握った際に親指で触るスライドボタンを操作して向きが変えられる。胸の前あたりに持ち上げて撮影するモードに加え、腰のあたりに固定して撮影、床すれすれまで下げての撮影も可能。人差し指で操作するトリガータイプのスイッチを2回押すと、姿勢を変えた状態でもカメラ部が正面を向き、そのアングルを自動で維持する。
カメラを固定する向きは自由に変えられるため、例えば歩いている人の横を、撮影者が同じように歩きながらOsmoで撮影する場合、Osmoのカメラを横向きに固定させていれば、撮影者が横向きに歩く必要が無い。
カメラを天井に向けて、カメラ部のみをグルグル回転させながら撮影する事も可能。ワンタッチで撮影者の方を向き、“自撮り”がすぐにできる機能も備えている。
静止画撮影に利用できる機能も豊富。パノラマ写真の撮影では、カメラが自動的に向きを変えながら数枚静止画を撮影。それを合成し、パノラマ写真として保存する。人間が動くパノラマ撮影と比べ、ブレが少なく、高画質な撮影ができるとする。
長時間露光撮影も可能で、夜景を前に、手持ちでシャッターを開き、ブレを吸収しながら露光。最長2秒間シャッターを開けての撮影ができるとする。
スティックの脇に、スマートフォンなどを固定するためのマウントを用意。アプリの「DJI Go」を使い、撮影中の映像や、撮影した映像が確認できる。さらに、カメラのISO感度、撮影モードなどの設定も可能。カメラ部の回転などもアプリから制御できるため、遠隔コントロール撮影も可能。Osmoを自撮り棒の先に取り付け、ハイアングルからの撮影を行ない、手元のタブレットのアプリからそれを制御するといった使い方もできる。
他にも別売アクセサリとして、自転車などに取り付けるバイクマウント、自動車に取り付けるためのマウント、ユニバーサルマウントなども用意する。
実際にOsmoを使い、作品を撮影したカメラマンのMatthew Carmody氏は、小型であるため、公園の遊具などに入り込んでの撮影が可能な事、撮影までの準備が簡単である事、レンズのディストーションが少なく、他のカメラで撮影した映像と繋げても違和感が少ない事などを利点として紹介。「撮影が素早くできるだけでなく、撮影後もこれまで丸一日かかっていたような映像処理が、2時間足らずで完成する。狭い場所にも入り込んで撮影できるため、ブライダルなど、様々な場所で活用できる」と魅力を語った。