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ピクセラ、4K/60pで360度撮影のSphericam 2を国内販売

旅先の風景をVR映像で配信するシステムも

 ピクセラは、4K/60fpsで動画撮影できるパノラマVRカメラ「Sphericam 2」の開発設計を手掛ける米Sphericamと業務提携し、2016年4月〜6月頃に国内販売を行なう。価格は未定だが、2,000ドルを若干上回る見込み。さらにピクセラはこのカメラを使い、旅行先の風景やマンションの室内レイアウトなどをパノラマVR映像で体験できる商用サービスを'16年3月より提供開始する。

Sphericam 2
法人向けのパノラマVR配信商用サービスのシステム概要
ピクセラのAR/VR事業の概要

 パノラマVR配信サービスは、パノラマVRカメラを用いて撮影し、作成したMPEG-4 AVC/H.264映像を使って360度の4Kコンテンツ制作を行ない、独自のサーバーを用いて圧縮率の高いHEVC/H.265映像に変換。データサイズを縮小し、VR HMD(ヘッドマウントディスプレイ)の「Oculus Rift」を接続したパソコンのほか、スマホの専用プレーヤーアプリにオンライン配信して視聴できるようにする。

パソコンとOculus Riftを使ったパノラマVR配信サービスのイメージ
発表会場では観光地などのVR映像(タイムラプス撮影による動画)のデモが行なわれていた

 サービスの具体的な提供先については「検討中」としているが、現時点では旅行代理店や不動産販売店などへの提供を予定。Oculus Riftを使った店頭での視聴や、旅行雑誌やカタログなどに掲載されたQRコードをカメラで読み取って視聴できるようにするという。

 VR技術を使い、旅行先の風景やホテル、マンションの室内レイアウトなどを店頭に居ながらにしてリアルに体験できるサービスを、提供先の各企業とピクセラが協力して開発・構築。また、利用時のユーザー情報を活用した新たなマーケットリサーチ手法も提供できるという。

スマホ向けの「パノラマVRプレーヤー」
デモアプリが動くタブレットなどが用意されていた
QRコードを読み取ってモデルルームなどのVR映像(静止画)を見ることができた

単体で4K/60p撮影できる「Sphericam 2」。オリジナルPCの販売/レンタルも

 コンテンツ制作に利用するパノラマVRカメラとして、米Sphericamの「Sphericam 2」を採用。同社のJeffrey Martin氏がクラウドファンディング「Kickstarter」を介し、資金を集めて開発したカメラで、テニスボール大の筐体に6つのカメラユニットと2,400mAhのバッテリを内蔵し、単体で4K(4,096×2,048ドット)/60fpsの動画撮影が行なえる。Wi-Fi経由のライブストリーミング機能も備える。

Sphericam 2の概要
カメラの実物展示は無く、スペックのみが展示されていた

 各カメラユニットのセンサー解像度は1,280×960ドットで、自動でステッチ処理が行なわれる。マイクは4つ搭載。録画フォーマットはMotion JPEGで、Cinema DNGに変換可能。記録メディアはmicroSDカード×6、録画時間は最大90分。USB端子も備える。

 設計仕様では、外寸は直径77mm、重量は400g程度となっているが、国内販売モデルはバッテリ関連の仕様が変更され、若干大型化するという。

パノラマVRライブ配信システムのライブストリーミングのイメージ

 将来的には、Sphericam 2のライブストリーミング機能を用いたパノラマVRライブ配信システムの構築も検討。撮影した映像を「モバイル配信BOX」を用いてLTE通信で送出し、コンテンツサーバー経由でパソコンやスマホにライブ配信を行なうもので、音楽コンサートやスポーツ、観光地の風景といったVR映像の配信に加え、バーチャルサラウンド音声の配信も検討しているという。

 なお、360度の4Kサイズの動画はH.264映像はデータサイズが大きいため、ネットワーク負荷を軽減し効率的に配信するため、サーバー側でH.265形式にリアルタイム変換する。この仕組みは2016年中に実現するという。

ピクセラのオリジナルブランドパソコンも用意される

 このほか、パノラマVR配信サービス専用のオリジナルパソコン「パノラマVR PC」も用意。発売時期や価格は未定だが、シアタールームやホテル、店舗などへの設置を想定し、外装にはAV機器のようなデザインを採用している。暫定の製品仕様は、CPUが第4世代「Haswell Reflesh」のIntel Core i7-4790、メモリは8GB、GPUはNVIDIA GeForce GXT970 4GBを採用。2TBのHDDとDVDスーパーマルチドライブも搭載する。

 Sphericam 2や「パノラマVR PC」など、VR配信サービスに関連した機器の販売だけでなく、レンタルも予定。ただし開始時期や価格は未定。

「パノラマVR PC」はオーディオ機器のようなデザインを採用
サービス用機器の販売のほか、レンタルも行なわれるという。開始時期や価格は未定

Jeffrey Martin氏がSkype中継で登場。 H.264記録できるSphericam新モデル検討も

 ピクセラの営業企画本部 本部長の森 佳昭氏は「Sphericam 2は現在、世界で唯一、360度の4K/60p撮影ができるカメラ。複数台のGoProを使う方法や、他の全天球カメラも検討したが、高画質なパノラマVR映像配信を提供するためには、4Kで360度撮影できるカメラが必要だった」とコメントした。

 また、Sphericam 2開発責任者のJeffrey Martin氏はSkype中継で「ピクセラの協力の元で日本市場にSphericam 2を紹介できることを嬉しく思う」とコメントし、テニスボールとカメラ本体を取り出して並べ、その小ささをアピール。

 Sphericam 2の国内販売については「最終決定ではないが、現在、ピクセラ1社からの販売を検討している。発売時期や価格の詳細も詰めているところだが、2,000ドルプラスアルファになるだろう」と語った。また、現在はMotion JPEGの動画からH.264映像の作成するが、単体でH.264記録できる新モデルの検討も行なっていることを明らかにした。

ピクセラの営業企画本部 本部長の森 佳昭氏
Sphericam 2開発責任者のJeffrey Martin氏
パノラマVR体験アプリ(無償)を用意し、年内に配信予定

 今回発表されたVR映像配信は、提供先の各法人が'16年3月以降に展開するサービスで体験できるが、ピクセラではそれに先駆けて同社の配信システムを使ったパノラマVR体験アプリ(無償)を用意し、年内の配信開始を目指している。観光地の風景映像などのコンテンツが用意され、随時拡充していく予定。

 このほか、参考出展でピクセラの地デジチューナとパソコン、Oculus Riftを組み合わせた「VR TV」システムを展示。映画館を模した大空間の左右に6チャンネル分のテレビ番組が表示され、そのどれかに目を向けるだけで中央の大画面に同じ映像を大きく表示できるというもの。顔(Oculus Rift)の向きを専用センサーで検出することにより、見たい番組が表示されている方向を見つめるだけでシームレスにチャンネル遷移できていた。

会場では参考展示の「VR TV」システムも体験できた

(庄司亮一)