三洋、同社初のiVDR録画対応デジタルチューナを9月発売

-今後はVOD対応などで家庭内の「情報サーバー」へ


9月1日発売

標準価格:61,950円


 三洋電機株式会社は、デジタル放送録画対応のリムーバブルHDD「iVDR-S」に録画が可能な地上/BS/110度CSデジタルチューナ「repoch」(レポック/IVR-S100M)を9月1日に発売する。価格は61,950円。日立マクセル製の160GB iVDR-Sも同梱する。

IVR-S100M
 地上/BS/110度CSデジタルチューナを各1基搭載し、録画用にiVDR-Sスロットを1基装備した製品。本体はA5ファイルサイズという小型筐体を採用する。1080i対応のHDMI出力を1系統装備する。

 主に、アナログテレビを持つユーザーや、2台目のテレビなどでの使用、小型テレビを持つ一人暮らしのユーザーなどをターゲットとしている。愛称のrepochは、epoch(新時代)とrecording(録画)を合わせた造語。

 録画フォーマットはMPEG-2で、TSをそのまま録画することしかできず、HD放送をSD解像度で録画したり、MPEG-4 AVC/H.264に変換する機能などは備えていない。付属の160GB iVDR-SにHD録画で約20時間(地上デジタル/約17Mbps時)の録画ができる。iVDRの著作権保護機能「SAFIA」をサポートする。EPGや字幕放送には対応しているが、データ放送や双方向サービスには非対応となっている。

日立マクセルの160GB iVDRを同梱する(写真は250GBモデル)

 本体で録画した番組のほか、日立製のiVDR-S録画対応デジタルチューナ「IV-R1000」や、薄型テレビ「Wooo」でiVDR-Sに録画した番組についても再生が可能。MPEG-2 TSとMPEG-4 AVC/H.264のどちらの形式の再生もサポートする。

【訂正】
記事初出時、MPEG-4 AVC/H.264形式の番組は再生できないとしていましたが、再生可能でした。お詫びして訂正いたします。(7月8日)

 録画予約は、EPGからのほか、ジャンル検索や、時間指定などで設定可能。録画予約した前の番組が延長した場合の、追従機能も備える。毎週録画の指定にも対応する。


 

EPG画面。写真は4:3のブラウン管テレビへの出力時録画予約の設定画面録画リストの表示(16:9テレビへの出力時)
番組のジャンル検索。大分類/中分類のカテゴリで絞り込むことができる

 HDMIはVer.1.3a。なお、CEC機能はサポートしない。HDMI以外には、コンポジットやアナログ音声出力も装備。Ethernetも備えている。なお、2009年秋の放送波アップデートで、アクトビラ・ベーシック/ビデオ/ビデオ フルにも対応予定。さらに、アクトビラ・ビデオのダウンロードについては、秋のアップデートでは対応しない予定だが、同社のロードマップでは検討を進めているとしている。

 消費電力は約18W(待機時約7W)。外形寸法は230×170×41mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約800g。リモコンや、縦置きスタンドなどが付属する。

HDMIを1系統装備横置き時付属リモコン
リモコンのメニューボタンを押すと、ガイドが表示され、十字キーと決定ボタンで必要な機能を呼び出せる秋のアップデートでアクトビラ・ビデオなどに対応リモコンのべんりボタンで、字幕切り替えや、iVDR-Sの残量表示などが可能



■ 第3世代モデルでは、家庭内ネットワークの中核に

 
三洋の車載機器事業部 事業推進部の佐々木慶宏部長
 同社はこれまでiVDR対応チューナの試作機を「iVDRセミナー」などで展示しており、2009年夏にiVDR対応レコーダの発表を行なうと予告。今回が第1弾製品となる。開発は、かつての携帯電話事業のチームが中心となって行ない、UIを含め独自に設計。携帯電話で蓄積されたDRM技術などのノウハウが活かされたという。
 
 発表会では、車載機器事業部 事業推進部の佐々木慶宏部長が製品化の背景について説明。2011年のアナログ放送終了により、国内に残るアナログテレビ2,000万台のうち、1,200万台がデジタルチューナに接続されず、放送を受信できない状態になるという予測をもとに、「“もったいない”状態をどうにかできないかと考えた」という。
 
 また、デジタル放送への移行やネットワークサービスの普及などで、コンテンツの著作権管理が複雑化することにより、「一般ユーザーには“めんどくさい”という環境が出てくるのでは? 」と指摘。これらの2つの問題に対する答えとして製品化したという。
 
 現状では、「iVDR-Sはメディアとして光ディスクに比べ不利」という見方については、「HDDが脱着可能で、コンパクトにできたことで、セット構成での低価格化が可能。Blu-ray Discレコーダなども1家に1台必要とは考えるが、iVDRはハイビジョン録画も可能ながら、2台目、3台目向けの低価格化に対応しやすい」とアピールした。なお、店頭販売での売り場が、“テレビチューナ”となるか、“レコーダ”となるかについては販売店の判断によるとした。
 
 同製品は海外への展開も視野に入れているが、具体的な時期は未定。また、同社テレビへのiVDRスロット搭載については、事業部が異なるため答えられないとした。
 
 今回発表された第1世代製品を皮切りに、今後はブロードバンド接続によるVOD配信サービスや、PCとの連携に対応した第2世代モデル、さらには他の家電をまとめる情報サーバーとしての第3世代モデルを計画。ホームネットワークの中核的な存在となることを目指し、車で録画番組を視聴するといった車載機器との連携も検討している。
アナログ放送終了後に残されたアナログテレビでの利用を見込むターゲットユーザー第3世代製品までの展望

日立マクセルのコンシューマ販売事業部 商品部 黒田一典主任技師
 発表会には、日立マクセルのコンシューマ販売事業部 商品部の主任技師である黒田一典氏も来場し、iVDRメディアの展望や、同社のiVDR製品「iV」(アイヴィ)について説明。大容量で高速アクセスできるiVDRは日常の映像管理向け、Blu-ray Discなど光ディスクについては長期保存のアーカイブ向けとして、使い分けが進むとした。
 
 また、アクトビラなどのネットワークサービスの進化や、DLNA環境の普及などに伴い、「iVDRは誰にでも簡単に使えるメディア」としてさらに普及が進むと期待を寄せ、今後もハードウェアメーカーとのタイアップなどを視野に入れ、ビジネスの拡大をメディアメーカーとしてサポートするとした。


(2009年 7月 8日)

[AV Watch編集部 中林暁]