ファイナル・オーディオ、金属削り出し筐体のイヤフォン

-実売20万円のクロム銅など3製品。ABS筐体イヤフォンも


金属削り出し筐体を採用する3モデル

9月上旬発売

標準価格:オープンプライス


 ファイナル・オーディオデザイン事務所株式会社は、金属100%削り出しの筐体を採用する3モデル含む、コンシューマ向けカナル型(耳栓型)イヤフォン5モデルを9月上旬より発売する。価格は全てオープンプライス。店頭予想価格は下表の通り。

筐体の種類

型番

店頭予想価格

金属削り出し

クロム銅

FI-DC1601SC

200,000円前後

ステンレス

FI-DC1601SS

78,000円前後

真鍮

FI-DC1601SB

59,800円前後

ABS成形(特殊天然樹脂塗布)

FI-DC1350M2

29,800円前後

ABS成形

FI-DC1350M1

19,800円前後


■ 金属削り出し筐体イヤフォン

 ハウジングに金属削り出しの素材を採用したダイナミック型のカナル型イヤフォン。使用する金属の種類によって3モデル用意する。FI-DC1601SCはクロム銅、FI-DC1601SSはステンレス、FI-DC1601SBは真鍮で、いずれも100%削り出し筐体を採用。同社では、ピュアオーディオリスニング用のイヤフォンと位置づけ、「自宅で椅子に座りながらじっくりと音楽を聞くもの」としている。

 クロム銅筐体は、「音の立ち上がりだけでなく、楽器が発した音が空間に消えていく余韻の再生」が特徴としている。ステンレスの特徴は、「真直ぐでスピードの速い音によって音楽をありのまま再現する」とし、真鍮は「明るく華やかな音質で、音楽を生き生きと再生する」としている。

「FI-DC1601SC」。クロム銅を採用「FI-DC1601SS」。ステンレスを採用「FI-DC1601SB」。真鍮を採用
FI-DC1601SCFI-DC1601SSFI-DC1601SB

 イヤーピースはハウジングと同じ金属製のものを同梱。ゴム製イヤーピースによる低音共振を防ぐため、「ゴム製ピースを着けずに、金属製ピースのまま耳に入れてリスニングすることをお勧めする」としている。同梱の金属製ピースの大きさは1サイズのみだが、将来的には別売で数種類のサイズを用意するという。ゴム製イヤーピースも付属しており、先端に切れ目が入った開口型と、切れ目がない通常のものの2種類を用意。ともにS/M/Lサイズが同梱する。

金属製のイヤーピースを外したところ。金属製ピースを使って耳に装着すると、サイズが合わないのでイヤフォンが落ちてしまうことも……。自宅でじっくりと聞くイヤフォンということで、同社では「手で押さえながら使用してください」と冗談(?)を交えて説明していたゴム製のイヤーピースも同梱。切り込みにより、低音共振を抑えることができるという

 金属の違い以外、仕様や特徴はほぼ同じとなっている。ドライバユニットは16mm径のネオジウムマグネットを採用。ハウジング内部の空気圧を最適化する「エアコントロール機構」により、「誇張のない低音が再生可能」としている。

 また、振動板前面に振動板前後の圧力差をコントロールするプレッシャーリングを配置し、振動板の歪みを低減。「自然でスピード感のある音質を実現」するという。さらに、振動板を軽くした上で、振動板からのエネルギーを、ゴムなどのダンピング材を介さずに金属削り出し筐体で受け止め、低音から高音まで同じスピードで出力することができる。

 いずれも、感度は108dB/mW、インピーダンスは16Ω。プラグはストレートのステレオミニ。ケーブルには絡みにくいという布被覆を採用。ケーブル長は1.2m。重量は22g。キャリングケースなどが付属する。

プラグはストレートのステレオミニ製品のパッケージ

■ ABS筐体イヤフォン

 ハウジングの素材にABS成形を採用したカナル型イヤフォン2モデル。FI-DC1350M2は筐体の上から高硬度の特殊天然樹脂を塗布しているモデルで、ハウジングの剛性を高め、ABS筐体特有の鈍重な箱鳴り音を除去するとともに、「ハウジングの振動音を楽曲と同化することに成功した」という。FI-DC1350M1は特殊樹脂などが塗布されていないモデルとなっている。

「FI-DC1350M2」(M1も同型)。筐体にABSを採用する切り込みが入った開口型のイヤーピースを装着

 2モデルとも、ドライバユニットは13.5mm径のネオジウムマグネットを採用。ハウジング内部には「エアコントロール機構」を、振動板前面にはプレッシャーリングを搭載している。付属のイヤーピースはゴム製で、先端に切れ目が入った開口型と、切れ目がない通常のものの2種類を用意。ともにS/M/Lサイズが同梱する。

 FI-DC1350M2はドライバユニットフレームに、制振用に開発された特殊合金を塗布しており、鉄フレームの固有の振動音も消去可能だとしている。感度は105dB/mW、インピーダンスは16Ω。プラグはストレートのステレオミニ。ケーブルには布被覆を採用し、ケーブル長は1.2m。重量は9g。キャリングケースなどが付属する。

 FI-DC1350M1の感度は106dB、インピーダンスは16Ω。プラグはストレートのステレオミニ。ケーブルには布被覆を採用し、ケーブル長は1.2m。重量は9g。こちらもキャリングケースなどが付属する。


■ 「ホームオーディオに圧倒的に勝てるイヤフォン」

代表取締役 高井金盛氏

 ファイナル・オーディオデザインは、ピュアオーディオ用機器を製造・販売するメーカーで、今までは主に海外で自社製品を展開。今回、コンシューマ向けのイヤフォンとして、同社では初となる日本市場向けの製品を発表した。

 新製品発表会では、同社代表取締役 高井金盛氏が登壇。今回の新製品に関して、「ホームオーディオに圧倒的に勝てるイヤフォンを提供したいという思いで作り上げた」と説明。また、「多少高価なイヤフォンだが、演奏者の想いをしっかり伝えるものでなければいけないと思う。その点で今回の新製品は良いものができたと自負している」と自信をのぞかせた。

 なお、今後もコンシューマ向けのイヤフォンを日本で展開していくとし、秋から冬にかけて、アーマチュア型イヤフォン含む新製品を投入することも明らかにした。


(2009年 8月 26日)

[AV Watch編集部 大類洋輔]