LG、“超解像を超える”技術の液晶ディスプレイを発売
-120Hz/3Dを投入、IPSモデルの計画も。'10年度戦略説明
LGエレクトロニクス・ジャパンは18日、2010年度の液晶ディスプレイ戦略発表会を開催。そのなかで、超解像技術搭載モデルや3D対応モデルなど2010年の新製品を発表した。価格はオープンプライス。
また、LED搭載モデルの強化など、今後の戦略について日本法人社長らが説明。日本市場に対する同社の考えや、2012年度のグローバルNo.1シェア獲得という目標に向けた取組みなどを語った。
型番 | パネル解像度 | 特徴 | 画面サイズ | 発売時期 | 店頭予想価格 |
E2350VR | 1,920×1,080ドット | Super+Resolution (超解像+f-ENGINE) LEDエッジライト | 23型 | 5月 | 3万円前後 |
E2250VR | 21.5型 | 2万6,000円前後 | |||
W2363D | 3D Vision対応 120Hz駆動 | 23型 | 4月 | 5万円前後 | |
W2340VG | グレアパネル | 23型 | 3月中旬 | 2万円前後 | |
W2362TQ | スタンダードモデル | 23型 | 3月 | 1万8,000円前後 |
■ 2010年上期発売の新モデル
5モデルとも、1,920×1,080ドットのTNパネルを搭載する液晶ディスプレイ。スタンダードモデルの「W2362TQ」以外は全てHDMIを搭載し、ゲーム向けのW2363DはHDMIを2系統備えている。
「E2350VR」(23型)と「E2250VR」(21.5型)の最大の特徴は、超解像技術と同社の映像エンジン「f-ENGINE」を組み合わせた「Super+Resolution」を搭載すること。映像の鮮明さに加え、色味の最適化で、より自然な人肌などを再現するという。同機能の効き具合は、3段階のレベルから選択できる。超解像の方法について詳細は明らかにしていないが、1フレーム単位で処理を加える方式に比べ、遅延の無い形で表示できるとしている。同社は、超解像とf-ENGINEを組み合わせることで「超解像技術を超える」とアピールしている。
上記以外の仕様は、2月中旬より発売される「E2350V」(オープン/実売26,000円前後)、「E2250V」(同23,000円前後)とほぼ共通。光源にエッジライト方式のホワイトLEDを搭載する。スタンドが着脱式で、より低い画面位置での設置も可能となっている。
23型のゲーム向けモデル「W2363D」は、120Hz駆動対応パネルを採用するほか、NVIDIAの3D Visionに対応したことが特徴。NVIDIAが販売している専用メガネとトランスミッタ(実売18,900円前後)を追加することで、対応ゲームなどが3Dで楽しめる。なお、Blu-rayの3D映像にも対応予定としている。
【訂正】
記事初出時、「Blu-ray 3Dには対応しない」としておりましたが、正しくは対応予定でした。お詫びして訂正いたします。(2月19日)
その他の仕様は、2009年9月より発売されている「W2363V」とほぼ共通。映像処理をスキップすることで映像/音声間の遅延を防ぐスルーモードを採用している。
「W2340VG」は、2月18日発売の「W2340V」(オープン/実売22,000円前後)と同様に新たな筐体デザインとしたモデルで、W2340Vとの違いは表面処理をグレア(光沢)仕上げとしたこと。
デザインの主な特徴は、筐体ベゼルのエッジ部にしぼり加工を施しているほか、電源インジケーターに白色LEDを採用。光がベゼルを透過して、やわらかく点灯するという。
ベーシックモデルの「W2362TQ」は、フルHDパネルや、ダイナミックコントラスト7万:1など上位モデルからのスペックを継承しながらも、HDMIを搭載しないことなどで低価格化している。
型番 | E2350VR | E2250VR | W2363D | W2340VG | W2362TQ |
画面サイズ | 23型 | 21.5型 | 23型 | 23型 | 23型 |
パネル解像度 | 1,920×1,080ドット | ||||
輝度 | 250cd/m2 | 300cd/m2 | 300cd/m2 | 300cd/m2 | |
コントラスト比 | 1,000:1 (DFC ON時500万:1) | 1,000:1 (DFC ON時7万:1) | |||
視野角 | 上下160/左右170度 | ||||
応答速度 | 5ms | 2ms | 5ms | ||
入力端子 | HDMI×1 DVI-D(HDCP対応)×1 アナログRGB(D-Sub 15ピン)×1 | HDMI×2 DVI-D(HDCP対応)×1 アナログRGB(D-Sub 15ピン)×1 | HDMI×1 DVI-D(HDCP対応)×1 アナログRGB(D-Sub 15ピン)×1 | DVI-D(HDCP対応)×1 アナログRGB(D-Sub 15ピン)×1 | |
消費電力 (待機時) | 28W(0.5W以下) | 23W(0.5W以下) | - | 45W(1W以下) | 42W(1W以下) |
店頭予想価格 | 3万円前後 | 2万6,000円前後 | 5万円前後 | 2万円前後 | 1万8,000円前後 |
■ IPSパネル搭載モデルも参考展示
参考展示されたIPSパネル搭載モデル「W2220P」 |
展示されたモデルはグラフィックモニタと位置付けられており、優れたガンマシフトや、長時間使用しても目に優しいことなどが特徴だという。また、カラーコントロールモードキーを備えるほか、ピボットやチルト/スイーベルなどプロ向けの使い勝手に配慮している。
IPSパネルにより上下/左右178度の広視野角を実現。解像度はフルHDではなく、1,680×1,050ドット(16:10)。コントラストは1,000:1で、応答速度は12ms。バックライトはCCFL。入力端子はHDMIとDVI-D(HDCP対応)、アナログRGB(D-Sub 15ピン)を各1系統装備する。消費電力は67W(待機時1W以下)。
■ 付加価値戦略で2012年度にマーケットシェアNo.1を目指す
日本法人の代表取締役である李揆弘(リ ギュホン)氏は、液晶ディスプレイ分野の昨年の実績について、グローバルで2,000万台を売り上げ、シェア2位となったことに触れ、「スタイリッシュなデザインや技術力などで業界をリードしてきた」とアピール。グローバルでの目標として、2012年でNo.1を目指すという。
日本市場についてはコンシューマが品質に厳しいと認識しながらも、「コンシューマ視点で開発を行なうことが責務であり、No.1ブランドへの近道」との見方を示し、「顧客に満足度や感動を与えることが課題」と述べた。
朴 胤根マーケティングマネージャー |
日本における液晶ディスプレイの市場と、2010年の戦略については、朴胤根マーケティングマネージャーが説明。
サイズについては、BCNやDisplay Searchなどの調査を元に、コンシューマ向けを中心に21.5型以上の16:9モデルの比重が高まるとの認識を示し、同社は21.5型以上をリーディングマーケットと位置付けている。
'09年度の実績をメーカー別で見ると(Display Searchと同社調査)、売上金額では5位だったが、平均単価では2位になったという。このことから、製品の価格だけでなく、16:9モデルの早期投入など機能面での付加価値が市場で認められたと見ている。特に'09年はプレミアム製品の拡充で、販売金額が成長したという。
続いて示したグラフでは、平均単価をX軸、売上額をY軸で示し、'06年からの各メーカーの推移を説明。4:3がまだ主流だった'06年時点では、LGは単価が他メーカーと同等水準ながら、全体の売上額では下位となっていた。しかし、その後はワイドモデルが主流になったことや、新製品の投入サイクルを短縮したことなどを要因に、同社は単価を維持しながら徐々に売上額が上昇。「質的成長を維持している」という。
2012年のシェアNo.1に向けた今後の付加価値戦略としては、「LED」、「Super+ Resolution」、「3D + 120Hzゲーミング」の3つの柱で差別化と競争力強化を図る。LEDについては、今後ラインナップのうち40%をLED搭載モデルにするという。
宇佐美夕佳マーケティング アシスタントマネージャーからは、同社のプロモーション戦略について説明。同社の調査でLED搭載ディスプレイに対する好感度が日本で特に高かったことなどから、リテラシーの高いユーザー層への訴求を継続的に行なうとしている | 同社のプロモーション活動のスケジュール |
(2010年 2月 18日)
[AV Watch編集部 中林暁]