キヤノン、フルHD AVC動画対応の一眼レフ「EOS 60D」

-EOS初のバリアングル液晶、操作系も一新。実売13万円


「EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS」装着時

9月中旬発売

標準価格:オープンプライス


 キヤノンは、フルHD動画撮影にも対応したデジタル一眼レフカメラ「EOS 60D」を9月中旬に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格はボディ単体が13万円前後。

 レンズキット2種類も同じく9月中旬に発売。「EF-S 18-55mm F3.5-5.6 IS」付属は14万円前後、「EF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS」付属のものは17万円前後となる。

3型バリアングル液晶を搭載

 APS-Cサイズ相当(22.3×14.9mm)の有効1,800万画素CMOSセンサーを搭載し、EFマウントを採用するデジタル一眼レフカメラ。フルHDのAVC動画撮影機能「EOSムービー」を備えている。映像エンジンはDIGIC 4を搭載。

 大きな特徴は、EOS初という横開きタイプのバリアングル液晶を搭載したこと。3型/約104万画素の「クリアビュー液晶」で、アスペクト比は撮影画像と同じ3:2となり、画面全体を使って画像表示が行なえる。視野角は170度で、反射防止コーティングも施している。

 動画記録のフォーマットはMPEG-4 AVC/H.264(MOV)で、音声はリニアPCM。コンテナはMOV。記録モードはFull HD(1,920×1,080ドット、30p/25p/24p)とHD(1,280×720ドット、60p/50p)、SD(640×480ドット、60p/50p)のほか、センサー中央部の640×480ドットの領域で動画記録し、約7倍の望遠撮影に対応する「動画クロップ」機能(60p/50p)にも対応している。

 新機能として「ウィンドカット」機能を搭載。風の影響を受ける屋外で撮影する際に、風の「ボコボコ」という音の影響を低減できるとしている。音声は内蔵のモノラルマイクおよび外部ステレオマイク端子から録音可能。録音レベルも調整できる。

 記録媒体はSD/SDHC/SDXCカード。動画撮影時のファイルサイズは、フルHDで約330MB/分、HDで約330MB/分、SD/クロップで約165MB/分。

 そのほかの動画撮影機能はEOS 7Dと同等で、マニュアル露出制御にも対応。これにより、明暗が複雑な場面での撮影や、意図的にハイキー/ローキーな撮影、大口径レンズのボケ味をフルに活かした撮影などが行なえる。さらに、カメラ内での動画カット編集も可能。



■ 静止画はオート機能が充実。操作系も見直し

 静止画撮影はJPEG/RAW。新たに、露出補正やホワイトバランスなどが“雰囲気”や周囲の明かりの種類を選ぶことで設定される「表現セレクト機能」を搭載。選べる“雰囲気”は「標準設定」、「くっきり鮮やかに」、「ふんわりやわらかく」、「暖かくやさしく」、「しっとりと深みのある」、「ほの暗くひっそりと」、「明るく」、「暗く」、「モノクローム」の9種類。明かりは「標準設定」のほか「日なた」、「日かげ」、「くもり」、「電球」、「蛍光灯」、「夕焼け」の計7種類。

 また、カメラで静止画に「ソフトフォーカス」や「トイカメラ風」、「ジオラマ風」、「ラフモノクロ」のフィルタ効果を加えられる「アートフィルター」も搭載した。

 静止画のアスペクトを「1:1」、「16:9」、「3:2」、「4:3」から選べる機能も搭載した。そのほか、RAW画像をカメラ単体でJPEGとして保存できるカメラ内RAW現像や、撮影画像に「お気に入り度」を付加し、それを基準に再生できる「レーティング機能」も搭載。

 液晶モニタとファインダー内表示パネルに電子水準器を表示する機能(横位置のみ)も搭載。露出レベル表示を使って±9度の傾きを表示できる。また、ワイヤレス制御対応のEXシリーズスピードライトをカメラ単体でリモート制御できる機能も搭載している。

 ジョグレバーの「マルチコントローラー」はサブ電子ダイヤルと集約し、8方向キーとサブダイヤルを同軸で配置。指の動きを少なくした。また、バッテリグリップを使って縦持ちした場合でも、マルチコントローラーに指が届きにくくなるケースを解消したとしている。そのほかの操作ボタンについても、片手であらゆる操作が行なえるように見直し、再配置したという。

ボディ背面。ダイヤルやボタンなど操作系も見直されているキットレンズ「EF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS」装着時

 連続撮影は最高約5.3コマ/秒。AF方式はTTL二次結像位相差検出で、測距点は9点。ISO感度は100~6400で、感度拡張により12800まで対応。ファインダー視野率は上下/左右ともに約96%、倍率は約0.95倍。

 インターフェイスはAV出力やHDMIミニ(CEC対応)、リモコン端子などを備えている。付属バッテリ「LP-E6」使用時の動画撮影可能時間は約2時間。静止画はファインダー撮影で約1,100枚。外形寸法は144.5×78.6×105.8mm(幅×奥行き×高さ)で、本体のみの重量は約675g。



(2010年 8月 26日)

[AV Watch編集部 中林暁]