エプソン、反射型パネルで“黒”を高めたプロジェクタ

-「EH-R4000」は実売65万円。電動ズームなど


EH-R4000

 セイコーエプソンはホームシアタープロジェクタ「dreamio(ドリーミオ)」の新製品3モデルを10月下旬より順次発売する。価格はいずれもオープンプライス。

 上位2モデルは、プロジェクタとして世界で初めて反射型の高温ポリシリコンTFT液晶パネル(Reflective HTPS)を搭載。ネイティブコントラスト4万:1の最上位モデル「EH-R4000」と、25,000:1の「EH-R1000」を11月下旬より発売し、店頭予想価格はEH-R4000が65万円前後、EH-R1000が50万円前後。

 また、透過型のHTPSパネルを採用した新モデル「EH-TW3600」も10月下旬より発売。店頭予想価格は25万円前後。なお、2009年発売の透過型パネルのホームシアターモデル「EHーTW4500」は引き続き販売される。


EH-TW36002009年のフラッグシップ機「EH-TW4500」(左)も併売する

 


■ EH-R4000/EH-R1000

 新開発の反射型高温ポリシリコンTFT液晶パネル(3LCD Reflective HTPS)を3枚搭載したプロジェクタ。従来の透過型液晶に比べ、開口率が大幅に向上したほか、DEEP BLACKテクノロジにより黒の再現性を高めてコントラストを向上したことが最大の特徴。EH-R4000では、ネイティブコントラスト4万:1、ダイナミックコントラスト100万:1を実現。EH-R1000は、同25,000:1、50万:1を実現した。

 EH-R4000とEH-R1000はボディデザインは共通だが、ボディカラーがR4000はブラック、R1000はホワイトとなる。また、R4000はトリガー端子を2系統装備(R1000は1系統)するほか、R4000のみにEthernetを装備し、ネットワーク経由での電源操作などが行なえる。

EH-R4000EH-R1000
Reflective HTPSパネル

 パネルサイズは0.74型で解像度は1,920×1,080ドット。プロセステクノロジはD7。従来の透過型HTPSの構造をベースとしながら、透明電極を反射電極に変更したほか、C2FINE技術をReflective HTPSに最適化。反射電極層を独自の技術で極限まで平坦化し、光の錯乱を制御している。なお、開口率や応答速度などのパネルスペックは非公開としている。ソニーのSXRDやビクターのD-ILAなどの反射型液晶(LCOS系)は、基板にシリコンを採用しているが、Reflective HTPSは基板が高温ポリシリコンとなる点が大きな違い。

 開口率の向上により、120型や150型の大型投射でもなめらかでクリアな映像再現を可能としたほか、階調性やコントラストも向上したという。また、反射型液晶パネルとすることで、光漏れの原因のとなる楕円偏向きを補正しやすく、「DEEPBLACK」技術により偏光を高度に制御することでコントラストを向上する。オートアイリスを組合わせ、ダイナミックコントラストは、EH-R4000で100万:1を達成。輝度は両モデルともに1,200ルーメン。

 レンズはフジノン製の2.1倍の電動ズーム/フォーカス(F2.5~3.7)で、上下90%、左右40%のレンズシフト機能も搭載。オートアイリス機構も新開発し、応答性と静音性を改善。光量を20段階で調整可能で、映像ソースによって繊細にコントロール可能とし、コントラスト感を向上する。また、330cmの奥行きで、100型スクリーン投射可能な短焦点設計としている。

 ズームやフォーカス、レンズシフトで調整した画面位置を3つまで登録できる「レンズポジションメモリー」も搭載。アナモフィックレンズ利用時や、シネマスコープ/16:9などの利用映像にあわせて、任意の画面位置を簡単に呼び出せる。ランプは光効率を向上した200WのE-TORL(UHE)。

シネマスコープ映像で左右に無駄な領域が出ている状態レンズポジションメモリーで2.35:1に調節した設定を呼び出しシネマスコープ用のレンズ設定が呼び出され、プロジェクタに触れることなく設定可能

 超解像技術やフレーム補間技術を搭載。1枚超解像技術により、大画面投射にともなう解像度劣化を抑制。1フレームの入力画像から、演算処理することでリアルタイムの動画処理が可能で、効果は5段階から選択できる。フレーム補間については専用のICを搭載。残像感を抑えた映像再生を可能にする。

 映像エンジンは12bit処理の「HQV Vida」。精度の高いIP変換やブロックノイズやモスキートノイズ低減を図っている。「Color Reality III」機能を搭載し、ガンマを2.0/2.1/2.2/2.3/2.4の中から選べるほか、投射中の映像やグラフを見ながら階調や白とびを抑えるモードなど、2つのガンマ調整モードを用意。R/G/B/C/M/Yの各色の色相、彩度、明度を調整できる機能や、RGBのオフセットゲイン、肌色調整/アドバンスドシャープネスなどの機能を備えている。また、両モデルともとも「THXディスプレイ規格」の認証を申請中としている。

 HDMI入力2系統と、コンポーネント入力、S映像入力、コンポジット入力、アナログRGB(D-Sub 15ピン)、RS-232などの端子を各1系統装備する。トリガー端子はEH-R4000が2系統、EH-R1000が1系統。

EH-R4000の背面EH-R1000の背面

 騒音レベルは21dB(エコモード時)。消費電力は291W(待機時0.17W)。外形寸法は440×405×185mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約9.0kg。自照式のリモコンや、HDMIケーブルクランプやレンズカバー、3mの電源ケーブルなどが付属する。

EH-R4000のリモコン自照式でボタンが点灯する

 


■ EH-TW3600

 1,920×1,080ドットのフルHD D7/C2FINEパネルを搭載した液晶プロジェクタ。昨年の「TW3500」では、シアター向けのC2FINEでなく通常のD7パネルを採用し、明るい環境下での利用をアピールしていたが、TW3600ではC2FINEの採用により、黒の深みを向上し、コントラスト比を5万:1にアップした(TW3500は36,000:1)。また、輝度も2,000ルーメンに向上している(TW3500は1,800ルーメン)。ランプは200W出力のUHE(E-TORL)。

EH-TW3600背面

 レンズは光学2.1倍のマニュアルズーム/フォーカスレンズ (F2.0~F3.17)で、上下96%、左右47%のレンズシフト機構を搭載。色調整機能「Color Reality III」や、ダイナミック/リビング/ナチュラル/シネマ/x.v.Colorの5つのカラーモードも備えている。

 接続端子はHDMIを2系統と、コンポーネント入力、S映像入力、コンポジット入力、アナログRGB(D-Sub 15ピン)、RS-232C、トリガー出力などを各1系統装備する。騒音レベルは22dB(エコモード時)、消費電力は272W(待機時0.2W)。外形寸法は450×360×136mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約7.3kg。自照式のリモコンが付属する。


(2010年 9月 16日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]