LG、IPS搭載/21.5型フルHDで実売2万円の液晶ディスプレイ

-実売24,000円の23型も。高開口率IPS採用、LED光源


23型(左)と21.5型(右)

 LGエレクトロニクス・ジャパンは、IPSパネルとLEDバックライトを搭載するフルHD液晶ディスプレイ2モデルを11月上旬より順次発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格と発売時期は21.5型の「IPS226V」が2万円前後で11月上旬発売、23型の「IPS236V」が24,000円前後で12月上旬発売となる。

 液晶ディスプレイ「FLATRON」シリーズの新製品で、従来のIPSパネルから開口率を改善させた新パネルを採用する「IPS6 series」として展開。23型は、既存のH-IPSから18%開口率を高めた「UH-IPS」パネルを、21.5型はそこからさらに11.6%高開口率化した「S-IPS II」パネルを採用する。解像度はいずれも1,920×1,080ドットで、駆動は60Hz。表面はノングレア。本体の最薄部は21.5型で19.7㎜とした。

【訂正】記事初出時、「21.5型は、既存のH-IPSから18%開口率を高めた『UH-IPS』パネルを、23型はそこからさらに11.6%高開口率化した『S-IPS II』パネルを採用する」としていましたが、LGより内容の修正が発表されたため、反映しました(11月22日)


21.5型「IPS226V」23型「IPS236V」23型の側面

 輝度はいずれも250cd/m2、コントラスト比は1,000:1で、DFC(デジタルファインコントラスト)機能によるコントラスト拡張時は500万:1。視野角は上下/左右178度。LEDはエッジライト方式で、従来はディスプレイ下部に備えていたが側面に変更。LEDの性能向上などにより、LEDの数を従来から減らしても高い輝度を実現しているという。

 LEDのユニットはほぼゼロ水準に近いレベルまで調光可能。LEDの調光制御技術や映像エンジン「f-ENGINE」により、画面全体に一定の明るさを保つとしている。

IPSパネルの開口率を従来品に比べ向上させた他の方式に比べ色再現の高さをアピールLEDバックライト搭載による画質面の特徴

 また、今回のモデルより採用した新機能として、R/G/BとC/M/Yの6色それぞれの色相/彩度を設定できる「ユーザーモード カラーコントロール」も利用できる。

 そのほか、Webサイトなどで動画以外の部分を暗くすることで動画鑑賞に最適化する「シネマモード」や、ワンクリックでのPinP(子画面表示)が可能な「デュアルウェブ」、オリジナルのアスペクト比を固定して表示する「オリジナル画面比」の各機能で構成する「smart+」も利用可能。

 IPSで弱点とされる応答速度については、G to Gでは14ms、黒/白は6msだが、同社ではIPSの場合、TNなど他の方式に比べ各画素の応答速度にばらつきが無い点を強調。中間階調→中間階調の偏差の平均値「G to G(σ)」が4.4ms、中間階調から白/黒への偏差の平均値「G to G BW(σ)」が1.2msを実現したとアピールしている。

RGB、CMYの6色それぞれをコントロール可能。リセットもできる「smart+」機能の説明応答速度の安定性を強調

 入力はHDMI 1.1とHDCP対応DVI、アナログRGB(D-Sub 15ピン)が各1系統。スピーカーは備えていないが、ヘッドフォン出力を1系統備える。消費電力は21.5型が33W、23型が36Wで、オフ/待機時は0.5W以下。

 デザイン面では、ワイングラスをイメージしたというクリアなスタンドネック部や、立体的にデザインした電源ボタンなどを採用している。本体メニューの操作は下部のベゼル部にタッチインターフェイスで行なう。

 スタンドは上15度/下5度のチルトが可能。VESAマウント(75㎜ピッチ)にも対応する。外形寸法と重量は21.5型が514.7×403×230mm(幅×奥行き×高さ)、3.49kg。23型が548.7×421.9×230mm(同)、3.95kg。

背面の端子部スタンドのネック部はクリアデザインディスプレイ右下の電源ボタンとタッチ操作部
IPSとVA/TNの画質比較。色再現性の違いがはっきり表れており、斜めから見ると特に違いが分かりやすく、同じ画像でも見え方が大きく異なる


■ IPS搭載モデルを順次拡大

LGエレクトロニクス・ジャパンの和田恵一郎氏

 LGは、グループ会社であるLG Displayでパネルを、LG Innotekでバックライトを、LG Ghemで偏光板をそれぞれ開発。垂直統合により、市場のニーズに高いレベルでこたえられることを強みとする。

 今回の新モデルについてLGエレクトロニクス・ジャパンのコンシューマーエレクトロニクス セールスグループの和田恵一郎氏は、IPSの画質や、最薄19.7mm(21.5型)の薄型デザイン、ネック部のデザイン性などを訴求。「IPSパネルとLEDを搭載した製品を普及価格で投下して、年末、日本で大きく展開したい」と意気込みを見せ、IPSパネル採用モデルを今後増やしていく意向を示した。

 また、韓国のLG DisplayからはITマーケティング/ITプロモーションチームのチョウ・ヒョン氏が来場し、IPSの長所を説明。広視野角だけでなく、どの階調でも安定した色温度を保つという色再現性の高さ、応答速度のムラが無いことによる眼への負担の少なさ、液晶の分子の向きの違いにより、VAなどのように画面に指で触れても表示が変化しにくいことなどを解説し、優位性を強調した。


LG Displayのチョウ・ヒョン氏IPSの4つの長所をアピールパネルやバックライトなどをグループで内製している

(2010年 10月 27日)

[AV Watch編集部 中林暁]