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「ニュータイプの概念に関して、新しい解釈を」機動戦士 Gundam GQuuuuuuX舞台挨拶
2025年2月3日 11:54
公開中の劇場先行版「機動戦士 Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス) -Beginning-」の大ヒット御礼舞台挨拶が2月2日に行なわれ、石川由依や土屋神葉といったキャスト陣、鶴巻和哉監督、シリーズ構成・脚本の榎戸洋司氏といったスタッフ陣が登壇した。鶴巻監督は「ニュータイプの概念に関して、新しい解釈をしたい」と語った。
大ヒット御礼舞台挨拶は東京・新宿にあるTOHOシネマズ新宿にて、2月2日の午前(10時~の回、上映後)と午後(16時~の回、上映後)の2回行なわれ、午前の回にはシュウジ・イトウ役の土屋神葉と鶴巻監督、シリーズ構成・脚本の榎戸氏が登壇。午後の回には3名に加え、ニャアン役の石川由依も登壇した。
10時の回 上映後舞台挨拶
MCの松澤ネキに続いて、土屋、鶴巻監督、榎戸氏の3名が登壇。1月17日に公開された今作は、3週目突入を前にはやくも動員100万人を突破するなど、大ヒットを記録している。
公開後の反応について問われると、土屋は「100万人も観に来てくださるのは想像が付かなかった」と率直な感想を述べ、榎戸氏は、「緑のおじさんが人気だと聞きました(笑)」と、SNSで話題のキャラクターについて言及。鶴巻監督も「先行上映のつもりだったので、こんなにヒットするとは。ファンアートが盛り上がっているのが嬉しい」と語った。
ここでMCの松澤は、シュウジ役の土屋が「機動戦士 Gundam GQuuuuuuX –Beginning-アンバサダー」に就任することを電撃発表。鶴巻監督から“司会進行だ、とガンダムが言っている。”と書かれたタスキを託されると、土屋は「がんばるぞ、とガンダムが言っている」と、シュウジの印象的なセリフに合わせて喜びを表現した。
舞台挨拶では、すでに今作を3回鑑賞しているというMCの松澤から、作品の企画や内容の構築についてスタッフ陣に質問が。『機動戦士ガンダム』リアルタイム世代である鶴巻監督、榎戸氏が「ifの世界」を描いた理由や、庵野秀明氏も脚本に参加した冒頭のパートがどのように描かれたかなど、物語の構成についても語られた。
榎戸氏は「これが一番、最適解かも」と、今回の内容がある意味で必然だったのではないかと話していた。また、以前から鶴巻監督、榎戸氏はガンダムについて熱く議論を交わしていたようで、榎戸氏は「リック・ドムとジム、どっちが強い?」といった話をしていたと回想。鶴巻監督も、「僕くらいの年齢のアニメ好きだと、ガンダムは骨身に沁みて一体化している。しかも、それぞれに自分の中のガンダムがある」と、改めてガンダム好きの強い愛を明かした。
トークパート後半では、アンバサダーに就任したばかりの土屋が質問を投げかける。
まずはシャア・アズナブルとシャリア・ブルについて。「『FLCL(フリクリ)』の頃から、シャリアでリメイク作ったら面白いよねと話していた」と榎戸氏が過去を振り返れば、「シャリアを掘り下げてみたいという気持ちはあった」と鶴巻監督が重ねる。
さらにバトルシーンやモビルスーツについても話は展開され、鶴巻監督は、「モビルスーツがおもちゃになることが前提のアニメを作ってみたかった。(デザイナーの)山下いくとさんにも、“ガンプラ映え”するようなデザインがほしいとリクエストした」と秘話を明かす。
もうひとつ、土屋が気になっていたという“マヴ”についても質問。「クランバトルのアイデアとして監督から、2対2で戦うモビルスーツ戦という設定を頂きました。富野由悠季監督が描くニュータイプの概念にも、ニュータイプというのは一人ではなく、アムロとララァのように対になる存在がいて、そこで精神が交換されて、よりニュータイプの能力が発現していくというのがあるから、二人組というのはガンダムの中では意味のある組み合わせだと思うので、そこを分かりやすく、今作ならではの様式になるネーミングないかなと思った時に『マヴ』という言葉がふと思い浮かび、監督に提案した。”二人組”を表すのに、戦術的にも、日常的にも、バディ以上の言葉として、本作ならではの『マヴ』という言葉を作りました」と、榎戸氏がその言葉を思いつくまでの流れなども丁寧に説明された。
話はマチュやニャアン、シュウジが登場するパートについて移行。マチュとニャアンが出会う改札のシーンや、川辺でマチュとシュウジが対面するシーンなどについて具体的に解説が行なわれた。
橋の下や、日本ならではのシーンが登場する理由、またコロニー内の地名についても話が及んだ際、その背景に鶴巻監督、榎戸氏が制作に携わった『トップをねらえ2!』の影響があったことなど、興味深いエピソードも披露された。
トークコーナー最後は、松澤から土屋への質問コーナー。「ガンダムに乗るとわかったのはオーディションの段階。合格したときは興奮した」とシュウジ役に選ばれたときのことを回想。さらに、好きなシーンについて、まだ選びきれないと話ながらも、「先行上映版冒頭のBGMが流れた瞬間に、その世界観にグワッと入っていった」と明かす。
シュウジについては、「う~ん、これは悩ましい質問で。最後まで見て! それしか言えません!」と、謎めいた存在の正体についてコメントした。
終盤には、舞台挨拶当日(2月2日)が誕生日だった鶴巻監督にサプライズが。土屋から「お誕生日おめでとうございます、とガンダムが言っている」という言葉と共に、花束が贈呈された。会場からの拍手に加え、年齢を問われた鶴巻監督は、「17歳と言っておこうかな(笑)」と、少し恥ずかしそうに応じた。
フォトセッションのあと、登壇者を代表して鶴巻監督は「映画はまだまだ上映が続くわけですが、TV シリーズになるとこのままの形では放送されません。映画でしか見られないつなぎ方、シーンが多くあります。このあとも『機動戦士 Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス) -Beginning-』をよろしくお願いいたします」と語り、午前の回は締めくくられた。
16時の回 上映後舞台挨拶
午前の回と同じくMCの松澤に続いて、鶴巻監督、榎戸氏、さらにニャアン役の石川がハロを、シュウジ役の土屋がコンチを抱えて登壇した。
上映後の周囲からの反応について、石川は「ネタバレなく楽しんで欲しいという、ファンの方のガンダムへの強い愛を感じました」と、この作品を盛り上げようとするファンの姿勢について感謝を述べる。
榎戸氏は「TVシリーズの先行上映という形でしたが、もうすべて映画にしたほうが(笑)」と、予想以上のヒットに驚いた様子。鶴巻監督は、「内容から言っても賛否両論ありそうと思っていた。でも、マチュやニャアン、緑のおじさんのファンアートが盛り上がっていて嬉しいし、もっと描いてほしい」と顔をほころばせていた。
また、1回目の舞台挨拶後に“緑のおじさん”ことシャリア・ブルの情報が解禁されたこともあり、松澤が「これからは本名で呼んであげてください」と伝えると、会場には喜びの歓声・笑いが広がった。
さらに、残念ながら舞台挨拶に参加できなかったマチュ役の黒沢ともよから「思う存分楽しんでください! 私も早くみなさんの前でお話したい!」とのメッセージが届けられたのち、4名によるトークショーがスタートした。
最初の質問は、『機動戦士 Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』のテーマについて。榎戸氏は、「ガンダムを描くならニュータイプをきちんと描きたかった」とし、その中でシャリアが選ばれたとフィーチャーされた理由を明かした。
一方の鶴巻監督は、「スペース・コロニーの描写を大切にした」と話し、コロニー内の生活描写や重力表現などにもこだわったとコメント。
「ガンダム」シリーズのマスコット的存在であるハロに関しての質問では、「鶴巻監督は最初、ハロを出さないと言っていて……(苦笑)」と榎戸氏から爆弾発言が。しかし結果的にハロが登場することとなり、鶴巻監督は「画面にいると面白くなった」と、登場させたことに後悔はない様子。また、石川も「重要な部分を担っている」と話すなど、ハロの役割について語った。
また鶴巻監督は、改めてニュータイプに言及。「富野由悠季(監督)さんのニュータイプの概念に関して、新しい解釈をしたい」と、本作ならではのニュータイプの在り方を説明した。
トークパートも中盤に入ると、午前の回でアンバサダーに任命された土屋がシュウジ、ニャアンのお芝居について鶴巻監督、榎戸氏に質問。すでにSNSでは話題となっているシュウジの“と、言っている”というセリフが生まれた理由や、ニャアンのセリフ作りが難しかったことなど、制作者ならではのエピソードが次々と飛び出した。
鶴巻監督はニャアンについて、「見た目通りじゃない、昨日と今日で違う」「どう扱えばいいの?というキャラにしたかった」と明かす。それを受けて石川も、「見た目はクールで、そつなくこなせそうだけど、意外と臆病でポンコツ」と演者視点でコメント。
このほか、「コンニチワオイソギデスカ」も含めた過去ガンダム作品へのオマージュや、思い入れのあるキャラやシーンについても話が及んだ。その中で鶴巻監督は、マチュのカバンについているマスコットについてコメント。今作のキャラクターデザインの竹氏が参加した短編映像『I can Friday by day!』に登場するキャラクターであることを明かした。
トークショーも終盤となり、MCは再び松澤にバトンタッチ。今後の注目してほしいポイントについて、石川、土屋は、「キャラクター同士の関係性」と話す。石川は、対となっているマチュとニャアンの関係性を説明しながら、その変化を見てほしいと語る。
一方で、土屋はシュウジについて、口数の少ないキャラクターではあるが「重要なことは言わせてもらっている」と、今後の活躍についてもアピールしていた。その上で「物語を見た人が考える余白が残る作品だと思います」と、今作の奥深さにも言及した。
鶴巻監督は、「エグザベが出撃する時に、緑のおじさんに不満をこぼしているシーンは好きです。ああいうシーンがあると深みが出る」と説明したあと、「シャリアとエグザベ、ふたりの関係性がどう展開していくのかは、楽しみにしてほしい」とTVシリーズを待ち望むファンにメッセージが送られた。
最後は登壇ゲスト全員によるフォトセッションのあと、ゲストを代表して鶴巻監督が挨拶。「TV シリーズとして制作されたので当初、一本の劇場先行版にするのには無理があるかなと思ったけれど、予想以上にうまく行きました。TVシリーズと作りは違いますが、美しい作品になっているので、ぜひよろしくお願いいたします」と語ると、観客からは大きな拍手が送られ、2回目の舞台挨拶も大盛況の中、締めくくられた。