レビュー
DALI「RUBIKORE2」購入したら、“全部RUBIKOREシアター”への沼に足を踏み入れていた
2025年2月4日 08:00
試聴機に惚れ込み、「RUBIKORE2」を買ってしまった
筆者は、昨年10月に発売されたDALIの新たなブックシェルフスピーカー「RUBIKORE2」(1台264,000円)をレビューした。RUBIKOREはDALIが発売した新シリーズで、超弩級スピーカーとして君臨する「KORE」のテクノロジーを受け継ぎながらも、購入できる価格圏内にまとめあげられていた。
実は筆者、「Royal Tower」を初のDALIスピーカーとして迎えて以来のDALIファンだ。2013年に「MENTOR2」に買い換え、2019年にはRUBICON2を追加導入。当時の導入記で「高い解像度と歪み感の少なさ、ナチュラルな帯域バランスと、有機的な質感が特徴」と書いた。
そんなRUBICON2から、10年ぶりの後継モデルとなるRUBIKORE2の登場には胸が高鳴った。実際にRUBIKORE2を聴いてみると、RUBICON2のナチュラルなバランスはそのままに、あらゆる面で進化を遂げており、心の底から惚れ込んでしまった。
記事のために借りていたRUBIKORE2のデモ機を返却して、数日。「もう一度あの音を聴きたい……」と心が揺れた。それから導入するまでにあまり時間は掛からなかった。いずれ買うのだから悩むくらいなら今思い切れ、と。
こうして、新たに防音スタジオのメインスピーカーとしてRUBIKORE2が鎮座することとなった。カラーは、RUBICON2に合わせてナチュラル・ウォルナット。光沢がないことや、穏やかな木の雰囲気が味わえるこのルックスが気に入っている。
音も期待したとおり。音楽ソースに含まれる情報を克明にかつ正確に描きながら、高い音楽性を両立させるDALIの技術レベルに感動する日々だ。
筆者が思う“ここがよかった”は、どこまでも不純物がないピュアさ、聴こえなかった音が聴こえる高い再現性だ。注意をして聴かなくても、録音環境の空気感や容積が伝わるとか、実はシンセの音がうっすら鳴っているとか、音楽の情報量がアップしている。低歪み設計がRUBICONからグレードアップし、ますます現代的なサウンドに近付きつつも、DALIらしい音楽性はブレていないのもさすがだ。
RUBIKORE2を導入して1カ月弱となり、エージングも済んでだいぶこなれてきたところだが、筆者が総合プロデューサーを務める音楽ユニットBeagle Kickのアルバム「MIRACLE」から「Anyway」を再生すると、サビで音数が多くなっても各楽器の分離は良好で、ドラムやブラス、コーラスといった重要パートの音像もはっきりと捉えられる。サイレンサーを付けたトランペットの高域も透明感に磨きが掛かり、こんな音で聴いたことない! と膝を打った。
「VOTEVOLUTION」はブラスがゴキゲンなファンクロック。瞬発と制動に劣るスピーカーでは、ノリが悪く寝ぼけたような音楽になってしまう。しかし、RUBIKOREなら心配ご無用。歪み感の減少と、トランジェントの向上が効いているのだろう。リズムセクションにRUBICON以上のキレがあって、ドラムの金物は立ち上がりが鋭く、トランペットとサックスによるブラス隊もゴキゲン度UP。DALIはジャズやクラシックだけじゃなく、ファンクロックもイケるじゃんと。それでいてオーガニックな質感も併せ持っているから、聴いていて心地がいい。
女性ボーカルも良い。北海道在住のシンガーソングライターChimaのアルバムnestより「Lien」。ストリングスとピアノが特徴的な、ドラマティックなバラード。ストリングスの高域は伸びよく、歪み感もより極小になったことで、耳に優しいピュアな演奏を楽しめる。ボーカルは、適度な温かみを備えつつ、アタック感はリアリティを増し、定位はフォーカスがより精密になった。ピアノのリバーブもクリーンで、不純物は欠片もない。
「たより (弾き語りVer.) 」はアコースティックギターを演奏しながら同時に歌う、本物の弾き語りだ。音数が少なく穏やかなテンポ、どうしてもシビアに音の善し悪しが見えてしまう。しかし、そこはリスナーの要求に応えるRUBIKORE2。ボーカルの優しい手触りと、シャープなトランジェントの両立は圧巻だ。なまった音にならず、それでいて音像をこれでもかと強調するキツさはない。ギターは間近で演奏を聴いているような生っぽさ。弦の震えている様が頭に浮かぶ。
久しぶりにじっくり聴くソースは、今まで気付けなかった魅力にハッとする。もっと昔のソースをいくつか聴いてみたが、録音やミックスのクオリティの高さに感動するものもあれば、イマイチな部分が見えてしまう楽曲もあった。筆者的には、良いスピーカーの証だと思う。
全部RUBIKOREシリーズでシアターを構築してみたい
……と、これで満足していれば、記事はここで終わりなのだが、RUBIKORE2を導入してからさらなる欲(夢)が沸いてきてしまった。
防音スタジオでは、センタースピーカーを省いた6.1.2chのシアターを組んでいる。天井の2発とサラウンドの4発は、フォステクスのフルレンジスピーカーを使っているのだが、口径が小さく、中低域がどうしても量感不足で、低音はサブウーファーに頼り切っている。
サラウンド4発に関しては、去年10cmのスピーカーを12cmに変更したことで、大幅に音が良くはなった。だが、RUBIKORE2が家に来てからというもの「全部RUBIKOREシリーズでサラウンドを構築したらどんな音になるのだろう」という思いが頭から離れなくなってしまった。RUBIKOREシリーズには、センタースピーカーもフロアスタンド型もあるのだ。
そこで、輸入元のD&Mホールディングスにお願いしたところ、RUBIKOREシリーズで構築したシアター環境を試聴できることに。さっそく川崎のD&Mにお邪魔すると、製品開発にも使用される大きな試聴室に、RUBIKOREをはじめとしたハイエンドな機器がそろった、夢の空間が待ち受けていた。
- フロント「RUBIKORE 8」704,000円(1台)
- サラウンド「RUBIKORE 6」528,000円(1台)
- サラウンドバック「RUBIKORE 2」264,000円(1台)
- センター「RUBIKORE CINEMA」418,000円(1台)
フロントスピーカーは、RUBIKOREシリーズの頂点である「RUBIKORE8」。サラウンドに「RUBIKORE6」。もうこの時点で興奮度MAXだ。本来なら、フロント用に揃えるのも相当な決断とお金が要るRUBIKORE6をサラウンドスピーカーに使ってしまうなんて。
そして、サラウンドバックには私も使っているRUBIKORE2。サラウンドバックに割り当てるなんて! 贅沢すぎるっ! と叫びそうになった。自分からお願いしておいて、そのシステムに動揺する筆者。興奮が収まらない。
センターは「RUBIKORE CINEMA」を使用。トップスピーカーは、トップフロント・トップミドル・トップリアと左右に3発、計6発。B&Wの埋め込み型を天井に設置していた。サブウーファーは、B&Wの「DB1」を左右に2台。サブウーファーって2台も置くの!?と思われるかもしれないが、広い部屋で映画を楽しむときなどサブウーファーを2台置くこともアリだ。高級機のAVアンプにはサブウーファーのプリアウトが2系統ある機種も多く、その機能をフル活用しているわけだ。
そんな夢のスピーカーたちを駆動するAVアンプは、デノンのAVアンプ「AVC-A10H」。フラグシップ「A1H」に迫るサウンドクオリティと機能性を備えたAシリーズの新顔だ。13chものパワーアンプを搭載し、今回のシステムを外部アンプなしで鳴らせる。DHCT(Denon High Current Transistor)搭載のパワーアンプ基板を13枚個別の基板に独立させた、自慢のモノリス・コンストラクション・パワーアンプ。筆者もモノリス・コントラクションの最初期を飾った「AVR-X6300H」を使っていたので懐かしい気持ちになった。
SACD/CDプレーヤーはフラグシップ「DCD-3000NE」。USB-DACなどの機能を搭載しない一方、データディスクによるファイル再生に対応した仕様は、硬派な音質追求へのこだわりを感じる。そして、Blu-rayプレーヤーは、UHD BDにも対応したOPPOの「UDP-205」だ。
最上位、RUBIKORE8の音に圧倒される
RUBIKORE2の技術的な詳細は、筆者のレビュー記事を参照いただきたい。今回試すRUBIKORE8/6/CINEMAについて、RUBIKORE2にはない特徴を見ていこう。
バス/ミッドレンジ ドライバーの搭載数はモデルによって異なるが、大きな違いとして、RUBIKORE8/6/CINEMAにはリボン・ツイーターが搭載されている。CINEMAは、ハイブリッド・ツイーター(Low-Lossドームツイーター+リボンツイーター)が設置環境に合わせて回転させることのできるギミックも備えている。その昔、縦置き/横置きでロゴが回転したゲーム機があったが、それと似たイメージだ。
8と6ならではの仕様は、「SMC-KOREクロスオーバー・ネットワーク」だ。標準的な空芯や鉄芯のインダクターに比べ、SMCコアを採用したインダクターはインダクター間のクロストークの影響を受けにくくなる。また、同等の鉄粉コア・インダクターよりも電流歪みが約12dB減少したという。
では試聴してみよう。
まずは2chから。最上位RUBIKORE8の素の音をチェックしてみる。CDプレーヤーにCDを入れて、AVアンプ側の設定はピュアダイレクトに設定。自宅でチェックした音源を中心に、RUBIKORE2との比較を試みた。
「Beagle Kick/MIRACLE」は、一聴して、音の厚みや実体感がRUBIKORE2とは別世界で、マスタリング目的でラージスピーカーから聴いているような感覚に襲われる。率直に言って、音がリッチだ。「Anyway」は、ベースが肉厚で、色気や艶といった要素が感じられる。中音域の余裕と量感が支える、オルガンの実在感も大きく違う。「VOTEVOLUTION」は、サックスとトランペットのエネルギーがふくよかで、ライブさながらの圧倒的な質量に興奮した。
「Remenbrance」は、ホールで録ったDSD録音をアルバム用にPCMでマスタリングしたトラック。RUBIKORE2に比べ、ミッド~ローエンドまでの帯域の広がりや、エネルギー量に余裕が生まれたことで、空気感が段違い。ホールでコンサートを聴くときの、かすかな音がザワザワする感じ。その暗騒音までリアルだ。
Chimaのアルバムnestより「Lien」。上から下まで自宅とは別次元の広いレンジ感だ。ユニットが複数ある分、帯域ごとの音に余裕が感じられる。スネアは、意外に下の方まで鳴っていることに気付かされる。「たより (弾き語りVer.) 」はアコギの音が、まあ、生々しいこと! ローエンドは深く、かつ余裕を持って鳴ることで、胴鳴りまでしっかり認識できる。スケール感は、ライブで生音を聴いているのに近い。それを好みの音量でいつでも聴けるのが再生音楽の楽しみだろう。もちろん、音量を下げていけば限界はあるだろうが。
小さいスピーカーでどんなに音量を上げても再現できない、スケール感や空気感を描く能力。RUBIKORE2の点音源に近い音のまとまりや音像のシャープさこそ、ブックシェルフに優位性はあるが、フロアスタンドにはフロアスタンドの良さがある。
これぞ夢の“RUBIKOREシアター”
映画はどうだろうか。
持参したディスクでは唯一のDolby Atmos対応タイトル「グランツーリスモ」。映像はソニーっぽさが炸裂していて、バッキバキに鮮度高めの画作りが好み。ライセンス取得を掛けたドバイでの最後のレースシーンを再生。
なんてこった。アメイジング&ファンタスティック! 車の移動感の自然さや迫力は言うに及ばず、コクピットでエンジン音に包まれるシーンは段違いの臨場感だ。自宅の環境とはまるで別物。BGMはあまりリアにアンビエンス以外は振らない傾向があると思っていたら、後方でシンセトラックが鳴ってることに気付く。自宅でも鳴っていたはずだが、ほぼ溶け込んでいて分からなかったから、驚いた。
トランジェントやサステインの表現がRUBIKOREシリーズの高いパフォーマンスによって支えられることで、実に本物らしい音で没入できた。A10Hはトップスピーカーを計6個配置することが出来る訳だが、全部鳴らしている贅沢感といったら! 音の隙間がないし、質量も違う。
「ガールズ&パンツァー 最終章 第4話」より、後半のサンダース対黒森峰の戦い。荒野の戦車戦で砂嵐なども襲ってくる。DTS-HD MA 5.1chソースをDTS Neural:X(全スピーカー駆動)で再生した。やっぱりサラウンドスピーカーに高解像度で低歪み、広帯域のスピーカーを使うと、映画の没入感が圧倒的だ。砲弾の風切り音のような「シュン!」「ヒュン!」というSEが怖いくらいだ。
高低差のある渓谷での戦いでは、広大な空間で反響する砲撃音が「ああ、こういうフィールドだから、このくらいのリバーブね」と納得できる。自宅環境でも響きは聴こえてはいる。ただ、ミッド~ローまでの帯域が十分な量感で鳴っておらず、解像感やトランジェント、低歪みの面でも劣っていると、“そこに自分もいる感”は薄れてしまうのだ。
おやっと思ったのは、台詞を主に受け持つセンタースピーカーから、戦車の駆動音が鳴っていたこと。自宅ではセンターが無いので、フロントに振り分けているのだが、センターがあればフロント側に余裕が生まれ音の見通しが良くなっている効果も見逃せない。視聴場所から前方のスピーカーまで距離はあったし、センタースピーカーが苦手な筆者でもまったく違和感なく楽しめた。
劇伴の壮大なオケは、広帯域が実現することで映画館のようにリッチに。台詞の聴こえ具合は、クッキリとした音像が魅力だが、程よい有機的な質感が加わることで、聴き疲れしにくい音色となっている。音楽も台詞もSEもすべてが調和していて、シビアな音像の羅列に留まらないところはDALIならではといえよう。
小さなSEが後方で鳴って、フロント側で盛大にBGMが鳴っていても、それぞれを認知しやすいのは、低歪みをさらに追求したRUBIKOREシリーズの成せる技だ。
続いて、ローランド・エメリッヒ監督の「ミッドウェイ」。チャプター2の真珠湾攻撃のシーンを中心にチェック。銃撃や爆撃の音の厚み・重さが段違いだ。SEでも、前後、斜め、左右など、平面軸の定位や移動の自然さがやはり自宅とは雲泥の差である。
リアスピ―カーの鳴らせる帯域が狭いと、映画サウンドの説得力に関わる。サラウンド4発の口径を10cmから12cm変えた時につくづく痛感した。今回の視聴で「さらに欲を言えば……」といった+αが芽生えてしまったのは間違いない。
戦争映画は効果音があちこちに定位しながら移動し、AVアンプにとって忙しい素材だ。余裕を持ってこなすA10Hと、アンプの駆動力を存分に活かしたスピーカー陣によって、映画館じゃないのに、映画館らしい極上の体験が出来たと思う。
最後に視聴したのは「交響曲ガールズ&パンツァー コンサート」。コロナ禍の影響で無観客開催になってしまったが、観客がいないホールでのオーケストラ演奏を収録した、ファンにとってもいろんな意味で記念になるディスクである。
収録はマルチマイクとなっており、オケコンの音場をリアルに楽しむというより、楽曲の中でフォーカスしたい楽器がより際立つようなミックスが行なわれている。オープニングと、チャプター6「第五楽章/それぞれの想い」から7「最後の戦い~フィナーレ」の序盤までを見た。今度は、ダイレクトモードでそのままの音を聴く。サラウンドバックやトップスピーカーはお休みだ。
ライブ映像は、DSPによる音場処理を使わないで聴くのが好みである。純度や鮮度の面でメリットがあるので、いつもなんとなくサウンドモードを選んでる方は、試してみてほしい。
オープニングで指揮者の栗田氏が入ってくるまでの暗騒音からして、もう全然違う。空気感や空間のボリュームまで情報量が増加した。指揮者が入ってきてスタッフだけの拍手がパラパラと響くとき、リアのスピーカーが主に鳴る。自宅では後ろから鳴ってるなぁ、くらいの認識だったのが、「左後ろ辺り」であるとすぐに分かった。定位表現がとても精密で分かりやすい。曲間の譜面をめくる音や観客の出す物音も、息を呑むリアルさだ。
コントラバスのローエンドの密度やエネルギーは、質・量ともに別次元。ティンパニやグランカッサの実在感は、中高域の管楽にまったく負けていない。自宅だと鳴らせない帯域は全部サブウーファーに振っているので、そこでも大きな差が現れた。大宮ソニックシティのホールに反響する低音は、深くたっぷりとしたもので、自宅では到底味わえない贅沢感だ。
最後の戦い~フィナーレの序盤は、大音量に対する瞬発力は申し分なし。A10Hのパワーはもちろん、スルーレートが優秀なのだろう。リア側の反響も低音がホールで響いたときのあの感覚に近く、ホームオーディオで味わえるのかと感激した。
あまりにコンサートの音が良かったので、もう一曲だけ。佐咲紗花による劇場版主題歌「piece of youth」のカバー。オーケストラアレンジによって、さらに心染みる一曲になっている。佐咲のボーカルがセンターから聴こえてきた途端、その“美音”に感動して、初めてDALIを買った約20年前の感覚に襲われた。当時のちょっと癖のある“美音”とは違うけれど、現代的なサウンドを取り入れたDALIの美音は未だ健在。ストリングスと女性ボーカルこそ、DALIの良さが際立つコンテンツの1つだろう。
あまりソースの向き不向きを語ることは避けている筆者も、今回ばかりはいちオーディオマニアに立ち戻って、今日一番の感動が「piece of youth」にあったことを書き記しておきたい。一曲まるまる聴いてしまったのだが、終わったときは半泣き寸前だった。
トランジェントの優れたボーカルは、ライブのような生音らしさを魅せてくれるし、適度な色気と艶は、女性ボーカルとオケの共演にぴったりだ。声のディテールも克明で、リップノイズまで生々しすぎてゾクゾクする。ホール全体で作り出す、直接音と響きのコラボレーション。リアも広帯域で高解像だから、どっぷりと演奏と歌に聴き惚れる自分がいた。
現代的な音に進化しても、やっぱり美しい“DALIサウンド”
最近のDALIは、現代的な解像感のあるシャープな音像、トランジェントに優れ、スピード感の表現力も備えている。そして、音色の癖(個性)も抑えた音に変わってきたように思う。それはエンジニア業もやり始めた筆者の好みにマッチしていて、とても好感を持っていた。RUBIKOREシリーズは、KOREのテクノロジーを取り入れてRUBICONを進化させたモデルであり、「現代的な音」へのステップアップが著しい。でも、やっぱりDALIなのだ。音が暖かい、どこか優しい、そしてどこまでも美しい。
「piece of youth」を聴いたとき、ウットリと浸れる、気持ちのいい音だと強く感じた。音楽が楽しいものだと心から思える、機材の存在を忘れてしまうほどの。それこそがDALIの掲げる“Musical Emotion”から導かれるフィロソフィーなのだろう。どんなに性能が進化しても、決してブレないDALIらしさ。シアターサウンドでも存分に堪能することが出来た。
今回、サラウンドも含めてメーカー/シリーズが揃っていること、サラウンドに十分な低域再生能力を持つスピーカーを使うメリットを確かめることが出来た。RUBIKOREシアターは、正確さを備えながらも、適度に優しい音で聴き疲れがなく、しかも音楽的だ。
KOREテクノロジーの採用によって、価格はRUBICONよりも上がったが、いつかはRUBIKOREで揃えたシアターを構築したい夢を抱いて帰路についた筆者であった。