オンキヨー、32bit DAC搭載/USB装備のプリアンプなど

-PCからアシンクロナス伝送対応。CD/パワーアンプも


上段から順にCDプレーヤーの「C-7000R(S)」、プリアンプ「P-3000R(S)」、パワーアンプ「M-5000R(S)」

 オンキヨーは、セパレートのピュアオーディオ新製品として、プリアンプ「P-3000R(S)」と、パワーアンプ「M-5000R(S)」、CDプレーヤー「C-7000R(S)」を12月18日に発売する。価格は、プリが18万9,000円、パワーが27万3,000円、CDプレーヤーが16万8,000円。

 同社で約15年ぶりとなるセパレートのピュアオーディオアンプと、CDプレーヤーの新モデル。プリアンプには32bit/192kHzのTI/バーブラウン製DAC「PCM1795」を搭載し、光/同軸、USBなどのデジタル入力に対応。同社が配信している高音質音楽ファイルなど、パソコンからの音声も高品質で再生できる。

 3製品共通のテーマとして、デジタル音源の“動的ノイズ”低減を追求。「P-3000R(S)」ではDA変換の際にCD(16bit/44.1kHz)の約8倍のオーバーサンプリングでデジタルフィルタを形成するが、この約350kHzという周波数帯域における音質成分に着目。人の可聴域を大きく超えた帯域であっても、そこで何種類かの近接した周波数が存在すると、それらの差(ビート)が可聴帯域や、倍音成分のような極小レベルの音声に影響するという考えから、こうしたノイズ(混変調歪み)の排除を図っている。

 一般的な製品のスペックとして書かれる「SN比」は、信号が無いときの残留ノイズレベルを表すが、前述のビートによるノイズは、残留ノイズレベル以下となるため、測定器には表れない。しかし、同社では「残留ノイズより遥かに低いレベルで含まれる楽器の倍音が識別できるのと同様に、ビートによるノイズはたとえそれが低いレベルであっても、人の耳には音色の変化として感じてしまう可能性は否定できない」と説明している。

 

P-3000R(S)M-5000R(S)M-5000R(S)

 対策として搭載した新回路「DIDRC」(Dynamic Intermodulation Distortion Reduction Circuitry)は、高い周波数に至るまでの高変調歪みを抑えることで、可聴帯域に影響するノイズを減少。

 これまでノイズ対策として行なわれてきた高調波歪率(THD)や可聴帯域内混変調(IM)の抑制については、「測定項目がアナログオーディオ時代に制定されたもので、デジタルオーディオで発生する高周波での問題は想定していなかった」とし、新回路のDIDRCでは、「測定値には表れない動的ノイズの発生メカニズムを究明し、高周波帯域まで増幅性能に優れ、上下の対称性が良く、低歪率を達成した」という。同回路はモジュール化され、プリアンプ、パワーアンプ、CDプレーヤーの各増幅器に搭載している。



■ プリアンプ「P-3000R(S)」

P-3000R(S)

 音声DACに32bit/192kHz対応の「PCM1795」を採用したステレオプリアンプ。PCM1795自体は2チャンネル分を1チップに備えているが、P-3000RではL/R各チャンネルに1チップずつ搭載し、各チップの2チャンネルを差動で使用する。

 光/同軸デジタルの入力に加え、USBと、AES/EBUの入力も装備。同軸とAES/EBUは最大24bit/192kHz、光デジタルは最大24bit/96kHzの入力に対応。入力信号の192kHzまでのアップサンプリングにも対応する。

 USBはPCと接続してUSBオーディオとしても動作。さらに、対応ドライバを使用することで、PCではなくアンプ側のオーディオ専用クロックを使用したアシンクロナスモードでコントローラを動作させ、ジッタの少ない再生が可能になる。パソコン接続時の対応OSはWindows XP/Vista/7で、Vista/7の64bit版もサポートする。

 内部はアナログ/デジタルの完全分離構造を採用。電源部もアナログ/デジタル独立の大容量トランスを搭載する。筐体には肉厚のアルミ材(フロント/サイドパネル)と肉厚スチール材(底板)を使用し、回路基板を直付けせず、内部に渡した“梁”で支持しているほか、真鍮削り出しのインシュレータなどで振動対策を徹底している。

 ディスクリート回路のフォノイコライザを搭載する。そのほか、小音量でも微弱な音声信号を引き出すオプティマム ゲイン ボリュームを搭載。純銅バスプレートによるグランド電位安定化も図っている。

 周波数特性は5Hz~100kHz/+0dB、-3dB。総合歪み率は0.005%。SN比は110dB。入力端子は光/同軸デジタル×各2、AES/EBU×1、アナログ×4、PHONO×1、USB×1。出力は光デジタル×1、アナログ×1、12Vトリガー×1、ヘッドフォン×1。RCA端子は真鍮削り出し/金メッキ。

 外形寸法は435×333.1×99mm(幅×奥行き×高さ)、重量は11kg。リモコンが付属する。

内部構造

背面

付属リモコン


■ パワーアンプ「M-5000R(S)」

M-5000R(S)

 定格出力80W(8Ω)/150W(4Ω)のステレオパワーアンプ。BTLモノラル駆動時は定格出力180W(8Ω)/220W(6Ω)となる。再生周波数の広帯域化を図る「A-WRAT(Advanced Wide Range Audio Technology)」を搭載する。

 入力とNFBのポイントが1点となる正確な負帰還を実現する回路方式を採用。増幅回路を2段構成とすることで、2段目の入力感度を下げ、聴感上のSN向上に貢献するという。また、前置増幅部はモジュールで構成された応答性能の優れた回路を採用。

 クアッドプッシュプル出力段を備えた3段インバーテッドダーリントン回路を内蔵し、出力段からのNFBを12dBに抑え、低歪みで強力にドライブ。瞬時電流供給能力(HICC)が150Aという低歪みと超強力な出力段により、ドラムやピアノのアタック音など瞬時の立ち上がりにおいて信号に忠実な再生が行なえるとしている。

 前面には追随性に優れた大型レベルメータを採用。左右独立ツインモノラル構成で、大容量トロイダルトランスを左右独立で配置している。平滑回路には27000μF×4の大型電解コンデンサを搭載する。プリアンプと同様に、筐体にはアルミ押し出し材と肉厚スチール材を使用。梁構造による回路基板支持や、真鍮削り出しインシュレータなどにより振動の影響を抑えている。

 入力端子はアナログ×1、XLR×1、12Vトリガー×1。XLRはBTLによるモノラル駆動での使用を想定する。出力は12Vトリガー×1。RCA端子は真鍮削り出し/金メッキ。外形寸法は435×432.5×187.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量は23.5kg。

内部構造

背面



■ CDプレーヤー「C-7000R(S)」

C-7000R(S)

 音楽CDとCD-R/RW再生に対応し、MP3/WMAを記録したディスクも再生可能。TI/バーブラウンの24bit/192kHz対応DACを各チャンネルに搭載。クロック部には、発振周波数偏差±1.5PPM/温度安定度特性±0.5ppmの高精度水晶発振器「スーパー・プリシジョンクロック」を搭載。ジッタを除去するPLL方式のジッタクリーナも備える。

 ドライブ部は、アルミダイキャストトレイを備えた制振性の高いメカを、真鍮製の脚で支持。筐体にはアルミ押し出し材と肉厚スチール材を使用。内部は梁構造による基板支持や、真鍮削り出しインシュレータなどで振動の排除を徹底している。

 出力端子は光/同軸デジタルとAES/EBUが各1系統とアナログ1系統。RCA端子は真鍮削り出し/金メッキで、XLR端子はアンフェノール製。外形寸法は435×315.2×99mm(幅×奥行き×高さ)、重量は12kg。リモコンが付属する。


内部構造

背面

付属リモコン


(2010年 11月 17日)

[AV Watch編集部 中林暁]