APDC、TVの動画性能を評価する新方式を開発

-「フルHD動画解像スピード」で最高値を定量評価


 次世代PDP開発センター(APDC)は、テレビやディスプレイにおける動画表示性能を評価する新手法「フルHD動画解像スピード」方式を開発した。

 APDCでは、2006年に「動画解像度」という評価方法(5秒で画面を横切る画像スピードでの解像度)を開発していたが、ディスプレイ性能の進歩により、より速い動きを正しく評価できないなどの課題があった。

 そこで、動画解像度を拡張し、フルHD解像度が表示されるスピードの最大値を「フルHD動画解像スピード」と定義した。新方式は高精細画像を正しく認識できる限界を、画像が動く速さで定義。ディスプレイの画素数がフルHD(1,920×1,080ドット)の場合、解像度1080TV本を正しく認識できる画像速度(1秒間に動く画素数)を測定する。単位は画素/秒(pps)。

動画解像度とフルHD動画スピードの関係1秒間に移動する画素数と速さのイメージ

 例えば、100ppsの場合は、水平方向の1画面1,920画素を19.2秒かけて移動する非常にゆっくりした速さ。1,200ppsの場合は、1.6秒で画面を横切る非常に速い速度になる。この数値が大きいほど、多くの動画で本来の解像度が楽しめることになる。

 評価用のパターン映像も用意し、複数の計測機器メーカーの信号発生器に搭載。フルHD解像度のパターンが正常に表示できているか否かは、機械測定システムや主観評価により判定する。フルHDのディスプレイだけでなく、4Kなどより高精細のディスプレイや、画素数やフレーム周波数が異なる映像フォーマットでも、共通の画素/秒という指標を利用できることから、今後のディスプレイ性能改善にも柔軟に対応できるという。

 APDCでは、同方式をディスプレイやテレビメーカー、計測機器メーカーなどに広く提案し、評価に同方式を活用するよう推奨していく。また、IEC(国際電気標準会議)にも提案し、早期の標準化を目指すとしている。


(2011年 2月 2日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]