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HiBy、約3年ぶり最上位DAP「RS8 II」。新開発「アダプティブ・アンプ」

「RS8 II」

ミックスウェーブは、HiBy Musicより、デジタルオーディオプレーヤー(DAP)の約3年ぶりとなるフラッグシップモデル「RS8 II」を、2026年2月上旬に発売する。価格はオープンで、市場想定価格は598,000円前後。カラーはBlackとGold。

2022年に登場した「RS8」から3年の歳月を経て、進化を遂げたという後継機で「フラグシップクラスのハイフィデリティオーディオを再定義する新世代『RSシリーズ』」と位置づける。

HiBy独自のハイレゾ音源処理アーキテクチャである「DARWIN」は、前世代からアーキテクチャ全体を刷新した「DARWIN III」に進化。抵抗素材や配置構造、FPGAの規模に至るまで全面的に見直され、プログラム処理能力を大幅に向上させた。

さらに、高精度抵抗器の採用とSMT実装前のマッチング精度向上により、D/A変換過程で生じる微細な誤差を徹底的に解析。HiBy独自のアルゴリズムによってこれを補正することで、歪みレベルを従来比で約1/10にまで低減した。

この技術的進化が「より純度の高いアナログ再生と、自然で立体的なサウンドの実現へとつながっている」という。

このDARWIN IIIは高性能FPGA、R2Rネットワーク、独立電源設計の3本柱で構成されている。

高性能FPGAは、前モデル「RS8」の5倍にあたる100Kロジックユニットと212基の高速DSPユニットを搭載。その処理能力で、従来では実現不可能だったリアルタイム信号処理が可能になった。

R2Rネットワークは、HiBy独自のR2R変換モデルをさらに発展。実測データに基づいてR2Rネットワークを再定義することで、理論値に依存しない精密なデジタル→アナログ変換を実現したという。

さらに高速電子スイッチが個別の分圧抵抗を制御し、オリジナルのデジタルエンコードに忠実なアナログ信号を再現。高周波ノイズやデジタルアーティファクトを排除し、より自然で透明感のあるサウンドを提供する。

電源設計は、左右チャンネルを完全に電源分離することで、クロストーク干渉を徹底的に排除。さらに多段階降圧回路を採用することで電源リップル除去比(PSRR)を大幅に高め、よりピュアでダイナミックな再生を実現したとのこと。

対応フォーマットは最大1,536kHz/32bitまでのPCMとDSD 1024。MQA 16x展開にも対応する。

HiBy独自の新開発「Adaptive Amplifier(アダプティブ・アンプ)」も採用した。Class AとClass ABアンプそれぞれの長所を組み合わせた革新的なシステムだという。

Class Aアンプは常に最大出力で動作するため、豊かな駆動力と即応性、優れた音質を実現するが、発熱と消費電力が大きいため、再生時間に影響を与える。Class ABアンプは効率性に優れており、より長時間のバッテリー駆動を可能とする。

アダプティブ・アンプは、再生中の音楽信号をFPGAがリアルタイムで解析し、瞬時に最適な駆動モードに切り替えるもの。「大きなエネルギーが必要なアタック音が発生する20ミリ秒前にClass A モードへ自動切替し、繊細なパートや静かなシーンではClass ABモードの64段階制御によって効率的な駆動を実現する」ことで、音質と再生時間を両立する。

アナログ出力は3.5mm端子(Phone/Line Out兼用)と4.4mmバランスPhone Out、4.4mmバランスLine Out。デジタル入出力としてI2S(HDMIミニタイプC)、USB-Type C(S/PDIF、USBオーディオ出力)を備える。Bluetooth出力も利用できる。Wi-Fi 7に対応。

また今後のファームウェアアップデートで、USB DAC入力、Bluetooth入力にも対応予定。Bluetooth対応コーデックは、出力がSBC、AAC、LDAC、aptX、aptX HD、aptX Lossless、aptX Adaptive。入力はSBC、AAC、LDAC。

バッテリー駆動時間は、Adaptive Amplifier利用時で、3.5mm接続で約17時間、4.4mm接続で約15時間。最長はClass AB利用時、3.5mm接続で約20.7時間。

最大12A(PD3.0規格換算で約80W)の高電圧充電に対応しており、急速充電プロトコルにより、従来モデルから充電速度も大幅に向上している。

チップセットには、「Qualcomm Dragonwing QCS8550 SoC」(Snapdragon 8 Gen 2相当プラットフォーム)を搭載。最大2,500 GFLOPS の処理性能を発揮する1+4+3構成CPUと、48TOPSの性能を誇る第8世代AIエンジンを組み合わせたアーキテクチャにより、音楽再生だけでなく、複雑なオーディオ信号処理やマルチタスクを余裕をもってこなすことができる。

メモリ容量は16GB、ストレージ容量は512GB。最大2TBのmicroSDカードにも対応する。

OSは、HiBy独自開発の「HiByOS Android」。一般的なAndroid OSで発生するリサンプリング処理を完全に回避しており、サードパーティ製アプリでもビットパーフェクト出力を実現している。

今後のファームウェアアップデートでは、独自のAI音響再現システム「Sankofa(サンコファ)」も利用可能になる。LP、MD、CD、カセットデッキ、リール式テープデッキなど、さまざまなクラシックオーディオ機器の音響特性をリアルタイムで再現・シミュレートするというもので、自社のラボで実際にサンプリングしたオーディオデータを基に、AI分析モデルが各トーンの特徴を学習して実現する。

筐体はアルミインゴットから削り出されたモノブロックシャーシ構造。1枚のアルミニウムブロックから、6種類のCNC精密加工プロセスと、17段階の製造工程を経て形成されたあと、19時間におよぶ手作業の研磨で高い質感を耐久性を実現する。

王冠を模したクラウンデザインのボリュームノブ
ガラス製バックプレートも採用した

ボリュームノブには、王冠を模したクラウンデザインを採用。HiBy独自のDARWINアーキテクチャを象徴するという筐体に一体化された六角形ボタンも備える。ガラス製バックプレートも採用し、軽量性と高剛性、耐久性を両立した。

ディスプレイは5.5型で、解像度は1,080×1,920ドット。外形寸法は148.5×75.7×24.1mm(縦×横×厚み)、重さは411g。