モトローラ、Googleへの統合とホーム&モバイル事業を説明

-ハードを介して提供するユーザー体験の強化へ


米Motorola Mobilityのケビン・キーフ氏

 モトローラ・モビリティ・ジャパンは15日、CATV用のSTBやサービスなどホームビジネス部門の事業方針を説明する記者発表会を開催した。

 発表会には米Motorola Mobilityのアジア太平洋地区ホームビジネス バイスプレジデント兼ジェネラルマネージャーのケビン・キーフ氏も出席。8月に発表されたGoogleによる同社の買収と、同社事業への影響などについて説明した。

 米Motorola Mobilityは、CATV分野などのホーム事業部と、携帯電話やタブレットなどのモバイルデバイス事業部の2つで展開。日本法人であるモトローラ・モビリティ・ジャパンのホーム事業部は、主にKDDI向けのCATV用STBや、CATV事業者向けモデムなどを扱うほか、今年から注力しているというビデオヘッドエンド機器向けのソリューションをJ:COMなど多くのCATV事業者に提供している。モバイルデバイス事業部は、XOOMなどのタブレットや携帯電話、Bluetoothヘッドセットなどを提供している。


モトローラ・モビリティ・ジャパンにおけるホーム事業とモバイルデバイス事業の内容

 Googleによる米Motorola Mobilityの買収は、発表時に「Androidエコシステムを推進し、モバイルコンピューティング領域での競争を促すもの」と説明されていた。ケビン・キーフ氏は「まだ買収のプロセスが完了したわけではなく、'11年末~'12年初にかけて完了予定のもの」と断った上で、「Googleの発表により、業界にも“動き”が生まれた。Googleのラリー・ペイジCEOが『ユーザーに、より多くの選択肢とユーザーエクスペリエンスをもたらす』と述べて、Androidがオープンに提供し続けることを明確にするとともに、モトローラの技術を統合することで、このプラットフォームの将来を確固たるものにするという確信が見て取れる」とした。

 また、「(Motorola Mobilityの)Sanjay Jha CEOは買収について『モバイルビジネスだけでなく、ホームビジネスにも革新をもたらす』とコメントしている。市場は2社の融合で、映像関連のプラットフォームと、Googleのプラットフォームの統合に期待している」と述べた。

 キーフ氏は前述の「モバイル」と「ホーム」の分野に加え、それらを融合する「コンバージド・エクスペリエンス」の重要性を強調。その象徴としてAndroidタブレット端末のXOOMを紹介。「ハードウェアが肝となるのではなく、それをコンピュータとして、あるいは通話端末として、モバイルインターネット端末として使うという、“ハードを介して提供できるもの”が重要。業界はまさにその方向に進んでいる。コンバージド・エクスペリエンスはGoogleとモトローラの技術が統合され、大きな飛躍を遂げる分野。Googleによる買収が完了しても、この方向性や組織体系は変わらない」とした。

 さらに、「我々は単にCATV用STBを作っているだけではなく、ヘッドエンドの部分、家庭用設備など様々な機器を提供しており、コンテンツ保護といったセキュリティも重視している。関連する特許も多く、Googleはこうした知財にも大きな魅力を感じたのだろう」との見方を示した。
GoogleによるMotorola Mobilityの買収と、両社によるコメントホームとモバイルをつなぐ「コンバージド・エクスペリエンス」を強調ホーム事業における同社の先進技術の一例

 



■ 「ケーブルWi-Fi」などCATV事業者向けの最新技術を展示

「M4YOU」イベントの内容

 同社はCATV事業者に向けて、最新技術のデモや識者による講演などを行なう「M4YOU」というイベントを開催中。発表会の会場には、CATV関連の技術展示ブースも設けられていた。

 5月にはCATV事業者向けに、「ケーブルWi-Fi」の製品・サービスを発表している。これは、CATV加入者に対し、屋外での無線LANサービスを提供できるというもので、海外では既にCATV解約率の低下に効果が表れているという。カナダのBelAir Networksとの包括提携によって実現している。

 「日本でも興味をもたれており、今すぐにでもテストしたい、という声をもらっている」(モトローラ・モビリティ・ジャパンのホーム事業部 加藤秀徳事業部長)としており、スマートフォンの普及による3G回線のトラフィック増加が取り沙汰されていることから「今がまさに旬なタイミング。これを逸しないことが我々の大命題」(加藤氏)とした。

 このほかにも、スマートフォンやタブレット、PCなど様々な端末に向けた動画ストリーミング配信向けの技術として、通信帯域に応じた画質で提供することにより、映像を途切れを防ぐ配信ソリューションなどが説明された。

ケーブルWi-Fiのサービス概要ケーブルWi-Fi用アクセスポイントの「CW100SNE」ケーブルWi-Fi製品のラインナップ。地上/地下/空中と様々な場所に設置できる
モトローラが買収したSECURE MEDIA部門が提供するサービス。写真は、HLS(HTTP Live Streaming)を使った帯域適合型のストリーミング配信の説明ライブ放送やVOD配信において、スマートフォンやパソコン様々なディスプレイ向けに、一つのデータベース上から配信できるという技術。コンテンツホルダや事業者のコスト削減などに寄与するタブレット画面で、家庭内のセキュリティカメラ映像や、家電の消費電力などを管理できるサービスも


(2011年 9月 15日)

[AV Watch編集部 中林暁]