【CEATEC 2011】進化を続けるHDMI連携、Wireless HD

-Silicon Imageが「InstaPrevue」などをデモ


InstaPrevueやMHLなど、Silicon Imageが対応を進めている技術

 Silicon Imageは、CEATEC JAPAN 2011の開催に合わせ、会場近くのホテルでプライベート展示を行なっている。

 その中で、9月に発表したHDMIの新機能である「InstaPrevue」や、スマートフォン向けの伝送規格である「MHL」などに対応したチップを使って実機デモを行なった。さらに、タブレットなどに実装可能なWireless HDの第3世代チップについても開発していることを発表している。


InstaPrevueやWireless HDなどに関する発表を行なっているビデオスケーリング技術などを持つアンカー・ベイ・テクノロジーの買収が完了。来年にテレビ/ホームシアター向け製品を拡充するという


■ InstaPrevueでHDMI接続機器の映像をサムネイル表示。2画面同時出力も

InstaPrevueのデモ

 InstaPrevueは、HDMI接続した機器の再生映像を、動画サムネイルでプレビュー表示できるもの。同社は、6入力×2出力に対応し、テレビからHDMI出力を可能にする「ViaPort」もサポートしたマトリックススイッチ技術を4日に発表しており、会場で試作機を使ったデモを行なっている。

 試作機では、テレビで動画を再生しながら、他のHDMI接続機器5つの動画を読み込んで、現在の視聴画面に重ねる形で他の入力映像を動画サムネイルとしてプレビュー表示。プレビューのなかから、再生したいものを選ぶことができた。

 また、出力を2系統備え、ソース機器を6系統の入力から自由に選べるため、例えばテレビとプロジェクタで映像を同時に表示させたり、別の部屋にある2台のテレビでそれぞれ違う映像を楽しむといったことも可能となる。

 実際に製品化する場合は、入力6系統のうち、空きポートがあるときにはサムネイルにせず、文字のみにするといったカスタマイズも可能。なお、現状の仕様でサムネイル表示の情報を取得するには「再生中」であることが必要で、接続機器の再生を停止すると映像を取得することはできない。

テレビの左にある6台のプレーヤーで動画を再生している画面右に動画サムネイルが表示2台のテレビに同時表示。違う映像も出力できる


■ HDMI HEC利用で、CECよりも強力な連携を可能に

 既報の通り、CEATEC 2011のシャープブースでは、HDMIの連携機能を強化した技術が展示されている。これは、例えばHDMI接続したBlu-ray Discプレーヤーにどの作品のディスクが入っているかをサムネイルなどで確認することなどが可能なもので、Silicon Imageと共同で実現した。

 この技術の特徴は、HDMI CECなどの信号をIPに変換して流すことで、単純にCECを使って連携するよりも多くの情報/複雑なコマンドをHDMIに流せること。IP信号はHDMIのイーサネットチャンネル(HEC)を利用して伝送する。

 BD画面の他にも、接続しているレコーダで録画済みの未視聴番組を画面隅で通知して、すぐに再生するということや、USB接続したデジタルカメラの写真をサムネイルで表示しながら、自動で取り込むということもこの技術の応用で可能になることを紹介していた。

 なお、シャープブースでは、操作にAQUOSのリモコンを使っていたが、Silicon Imageのデモ会場では、シャープが提供しているスマートフォン向けリモコンアプリを使って無線LAN経由で操作していた。

BDをトレイに入れると画面右下にタイトルや画像が表示されたUSB接続したカメラ(今回のデモではUSBメモリをカメラに見立てた)から静止画をレコーダに取り込み、取り込んだ画像のサムネイルも表示できる


■ MHLでスマートフォン接続できるテレビが欧州などで発売

MHL対応の東芝製テレビとGALAXY SIIを接続

 MHL(Mobile High-Difinition Link)は、スマートフォンなどモバイル機器の映像をテレビなどに映し出せるインターフェイス規格。スマートフォンのメニュー画面そのものを映し出すほか、YouTubeなどのアプリの画面をテレビに合わせて表示可能。さらに、接続したスマートフォンの充電も行なえる。

 MHL対応スマートフォンはサムスンのGALAXY SIIで、海外では既に対応テレビも発売。東芝が、欧州向けモデル「55WL863」や、オーストラリア向けモデルにおいて、HDMIとMHLの両方式に対応したポートプロセッサを採用したことをアナウンス。サムスン製の一部テレビも対応しているという。

 最高1080pの映像信号とデジタル音声信号を5本の信号線だけで出力可能で、HDMIよりピン数を抑えて端子を小型化できるほか、USBのような電源供給機能を備えている点が特徴。

 HDMI規格ではソース機器から再生機器への給電は行なえるものの、仕様上、逆方向への給電は行なえない。MHLを使うとスマートフォンで動画を再生しながら充電できるが、これはHDMIではできなかったことだ。

 HDMI CECのような連携機能も利用可能。MHLの場合は必須コマンドの数がHDMI CECに比べて多いことから、CECに比べて対応機器同士の互換性が高いことも特徴だという。

GALAXY SIIのフルHD動画もテレビで再生できるテレビがネットにつながっていなくても、テレビのリモコンを使って、スマートフォンでのYouTube再生やWebブラウズが行なえるMHLアダプタを介して、スマートフォン「HTC EVO 3D」の3D映像をHDMI搭載テレビに接続するデモも


■ Wireless HDはタブレットなど小型端末向けにも展開

Wireless HDの第3世代チップを実装したタブレットで、テレビとワイヤレス接続。ゲームのコントローラとして使うというデモ

 Wireless HDは、エプソンの3D対応ホームシアタープロジェクタ「EH-TW8000W」にも採用されるなど、対応機器が拡大している。

 展示されたWireless HDの第3世代チップは、「価格、サイズ、消費電力いずれも従来の半分になった」というもので、より小型な機器に搭載可能。2012年初めにサンプル出荷開始を予定している。今回は、試作機のタブレットをゲームのコントローラにして、テレビとワイヤレス接続して楽しむというデモを行なっていた。

 テレビの前という近距離で使うことを想定し、従来のチップよりアンテナ数を半分に減らして小型化や省電力化を実現。通信距離は5mで、テレビと同じ映像をタブレットにも表示可能。遅延は1~2msほどだという。

写真の上が第2世代、下が第3世代のWireless HDチップテレビに接続しているのは、VIZIOが発売したレシーバユニットSilicon ImageのCamillo Martino CEO。有線/無線を問わず、インターフェイスに特化した技術を推進しているという


(2011年 10月 5日)

[AV Watch編集部 中林暁]