台湾の“夜市”で、日本コンテンツの海賊版DVDを一斉摘発

-「家政婦のミタ」など、約1万枚のDVDを押収


 台湾の保護智慧財産権警察(IPR警察)大隊は1日、台北市内とその周辺に所在する海賊版販売店3店舗の一斉取締りを実施。これまで、約1万枚の海賊版DVDが押収された。コンテンツ海外流通促進機構(CODA)が明らかにした。

 IPR警察では2011年11月よりCODAの要請に基づき、日本コンテンツの海賊版取締りを実施している。今回の取締りを含め、これまで4カ所の夜市で露天商を含む5店舗を摘発、それぞれの経営者を逮捕している。台北市内の「通化街夜市」で露天商を摘発して約1,900枚の海賊版を押収したのを皮切りに、12月には同市内の「士林夜市」で約900枚の海賊版を押収。これまでに押収された海賊版DVDの合計は約1万枚に上っている。

 この一斉取締りは、台湾において蔓延する日本のテレビ番組の海賊版を排除する目的で実施されたもので、台湾全土に広がっているとされる日本コンテンツ専門の海賊版販売店に対象を絞ったのは初めてだという。

 3月1日の家宅捜索では、台北市内の2店舗と新北市内の1店舗が対象となった。このうち台北市内の2店舗は、観光客などで賑わう「饒河街夜市」に所在。夕刻の営業開始を確認して実施された強制捜査により、1店舗において「坂の上の雲」や「家政婦のミタ」、「深夜食堂 第二部」などの最新の日本ドラマを含む、約6,500枚の海賊版DVDが押収された。

 また、同じ夜市で行なわれたもう1店舗の家宅捜索では約1,000枚、新北市の「楽華夜市」での家宅捜索では約500枚の日本コンテンツの海賊版DVDが押収された。



■ 日本のドラマが放送後2週間で1枚約300円の海賊版DVDに

 CODAと業務提携している現地の公益財団法人「台湾著作権保護基金会」(TFACT)の調査によれば、台湾全土では約60店舗の日本コンテンツ専門の海賊版販売店が存在しており、市場に出回っている海賊版は約30万枚と推定している。また、製造工場については2、3カ所に集中的に存在していると考えられ、製造過程にある海賊版ディスクも合わせると100万枚以上の海賊版が存在していると推測。

 テレビドラマの場合、日本での放送終了後2週間程度で台湾の市場に海賊版として現れ、1枚当たり100台湾ドル(約300円)前後で販売されているという。

 CODAは「この一斉取締りを非常に大きな成果であり、海賊版の製造業者、流通業者に対する今後の大きな抑止力になることを期待している」とする一方、「今回の取締りのみで台湾の市場が一気に正常化するものではなく、この成果で如実になった被害の状況は『氷山の一角』にすぎない。今後も、日本コンテンツの海賊版への対応は、長期的視野に立ち、定期的かつ継続的に行なっていく必要がある」としている。



(2012年 3月 6日)

[AV Watch編集部 中林暁]