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D&M、ペア約44万円のDALI製スピーカー「EPICON2」

180万円のフロア型「EPICON8」も。砂鉄から改善

左が「EPICON8」、右が「EPICON2」と別売スタンド「EPICON/STAND」

 ディーアンドエムホールディングスは、デンマークDALI製のスピーカー新モデルとして、「EPICON8」と「EPICON2」の2機種を2月下旬に発売する。価格はフロア型の「8」がペア180万円、ブックシェルフの「2」がペアで44万円。仕上げはどちらのモデルもブラック、ウォールナット、ルビーマカッサルの3種類を用意する。

 なお、「EPICON2」用にスタンド「EPICON/STAND」も2月下旬に発売する。価格はペアで9万円。

 昨年発売された「EPICON6」の姉妹機。「EPICON8」は8インチのウーファを2基、6.5インチミッドウーファを1基、さらに29mmソフトドームとリボンツイータを組み合わせたハイブリッド・ツイータ・モジュールを採用。3+1/2ウェイのフロア型となる。

 ブックシェルフの「EPICON2」は2ウェイで、6.5インチウーファと、29mmソフトドームツイータを採用する。

EPICON8
8インチのウーファを2基搭載
29mmソフトドームとリボンツイータを組み合わせたハイブリッド・ツイータ・モジュール
2ウェイブックシェルフの「EPICON2」
6.5インチウーファと、29mmソフトドームツイータを採用

 2モデルに共通する特長は、ウーファの磁気回路、SMC(ソフト・マグネティック・コンパウンド)と呼ばれる素材を使っている事。コンパウンド状の粒が小さい砂鉄の一粒一粒に、電気的絶縁性のある化学的コーティングを施し、その砂鉄に200トンの圧力を加え、500~550度の熱プロセスなどを経て作られている。

 このSMCを、磁気回路のポールピースとトッププレート内周部(ボイスコイルに近接する部分)に使用。これにより、渦電流の発生を抑制。よりスムーズな振幅が行なえ、「磁気回路に起因する歪を知恵弦し、アンプ並の歪特性を実現した」という。このSMCをスピーカーの磁気回路に使うアイデアは、デンマークで特許を取得。他国での特許取得にも動いているという。

小さい砂鉄の一粒一粒に絶縁コーティングを施したSMC
SMCはこのように作られる
SMCを使った磁気回路の断面

 振動板はEUPHONIA以来、各シリーズに採用されているウッドファイバーコーンを、EPICON用にチューニングしたものを使用。軽量・高剛性で低損失なのが特徴という。

 シルクソフトドームのツイータは29mm径と大型で、低い帯域の再生も可能にした事で、ウーファとの音の繋がりを改善。「EPICON8」に使われているリボンツイータは30kHzまでの再生に対応。EPICON8ではこの2基のユニットを、アルミダイキャスト製のプレートにマウントしている。EPICON2はドームツイータのみだが、専用にチューニングする事で、30kHzまでの再生を可能にしている。

 エンクロージャはバスレフ。EPICON8では2基のウーファの間に仕切りがあり、それぞれの低域干渉を防止。底部のネットワークボックスも空気圧の影響を受けないように隔離されている。ポートはユニットのほぼ真後ろにあり、バッフル板自体7本のネジの間を広くとれる設計で、ウーファ後部の自由な空気の流れを確保したとする。

 エンクロージャの素材はMDFで、側面部は6層、背面は多層構造を採用。EPICON8では厚さ63mm、EPICON2では53mm、正面バッフルは2層33mmで構成。塗装は塗りと研磨をそれぞれ10回施し、塗膜の厚みは2mmに達している。

EPICON8の背面
EPICON8のターミナル部分
EPICON2のターミナル部分とバスレフポート
艶やかな塗装も特徴。EPICON8の側面
EPICON2の背面上部

 スピーカーターミナルはバイワイヤリング/バイアンプに対応。金メッキ端子となっており、バナナプラグやYラグも取り付けられる。

 細かな仕様は下表の通り。両モデルターミナルリンクセット、ベースプレート、拭き布を同梱。EPICON8はスパイクも付属する。

モデル名EPICON8EPICON2
形式3+1/2ウェイ2ウェイ
再生周波数帯域35Hz~30kHz47Hz~30kHz
入力感度89dB87dB
インピーダンス
推奨アンプ出力50~500W30~200W
クロスオーバー550/3,100/15,000Hz3,100Hz
中低音域ユニット8インチ×2
6.5インチ×1
6.5インチ×1
高音域用ユニット29mmソフトドーム
リボン
29mmソフトドーム
外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
264×485×1,225mm214×366×386mm
重量47.5kg10.3kg



試聴してみる

 ディーアンドエムホールディングスの恵比寿ショールーム内で、EPICON8を試聴した。

試聴室でサウンドを体験した

 8インチウーファ×2基による張り出しの強い、量感豊かな低域が心地よく吹きつけており、パワー感のある新しいDALIのサウンドを感じさせてくれる。

 同時に、ウッドファイバーコーンらしいナチュラルな音色で、人の声や、楽器の響きがとても自然だ。低域の分解能は高く、細かな音もキッチリ聴かせてくれるが、冷たく、カリカリした描写にならず、ウォームな質感でまとめられているのが最大の特徴と言えるだろう。

 女性ヴォーカルも得意で、低域が伸びやかに沈み、リボンツイータだが、高域の音色にも冷たいキャラクターは乗らない。高級スピーカーらしい基本的な再生能力の高さを持ちながら、ストレスを感じさせないスムーズさと、親しみやすさを持っており、分析的になり過ぎず、美味しい中域をドラマチックに聴かせてくれるモデルだ。

(山崎健太郎)