ニュース
【Inter BEE】キヤノン、4K/30型ディスプレイをアピール
CINEMA EOS SYSTEMとあわせて、プロ向け展開を強化
(2013/11/13 20:42)
キヤノンは、4K映像制作向けの30型液晶ディスプレイ「DP-V3010」を2014年1月下旬に発売し、映像制作用ディスプレイに本格参入する。Inter BEE 2013では、キヤノンブースでカメラからディスプレイまでのソリューション展示を行なうとともに、DP-V3010についての技術説明会を開催した。
DP-V3010は、30型/4,096×2,560ドットの高解像度IPS液晶パネルを採用したディスプレイ。アスペクト比は16:10で、特にデジタルシネマを意識して開発。DCI規格の解像度に準拠した4,096×2,160ドットの4K動画を拡大縮小処理をせず表示できるだけでなく、縦方向に400ドットの余裕があるため、画面下部にスライドバーを表示させ、映像を隠すこと無く画質調整などが行なえる。
バックライトシステムは独自開発で、直下型のRGB LEDバックライトを採用。コントラスト比は2,000:1。輝度は48cd/m2(DCI)、100cd/m2。表面処理は低反射グレア。DCIが定めるデジタルシネマ向けの色域だけでなく、放送規格のITU-R BT.709やEBU、SMPTE-Cに対応するほか、色域もAdobe RGBの色域表示にも対応。実売価格は315万円前後。
デジタルシネマでの4K制作が進み、4K作品が増加しているだけでなく、総務省の4K放送推進や4Kテレビの普及などにより、映像制作機材でも4Kへのニーズが高まっている。あわせて、ディスプレイでも4K対応のニーズが高まっていること、そしてCINEMA EOS SYSTEMとのシステムで提案できることなどから、映像制作ディスプレイへの本格参入を決めたという。
キヤノンがDP-V3010で目指したのは「究極のリアリティ」としており、4Kデジタルシネマ対応のリファレンスディスプレイにするために、あらゆる点からデジタルシネマのDCI規格を満たすべく取り組んだという。具体的には、色再現と解像度、高コントラストの3点で、色再現についてはDCIの色域を満たすともに、ユニフォーミティ(均一性)の追求、10bitドライバの採用などによる正確な階調特性を追求。解像度はDCI規格(縦2,160ドット)を超える縦2,560ドットとし、ドット・バイ・ドット表示を可能にした。また、コントラストも2,000:1で規格上の規定を上回っている。
この3つの要素を満たすために、映像エンジン、パネル/バックライト、高画質アルゴリズムの3点を中心に自社の画質技術を盛り込み、エンジンやバックライトは新開発した。マスターモニター利用のため、経年変化に対しても、自動で補正を行ない、色や均一性を保つ仕組みなどを搭載した。自動補正技術の詳細については非公開としている。
モニターとしての基本性能だけでなく、映像制作のサポートのための機能強化にも注力。CINEMA EOS EYSTEMのCanonLogに対応したピクチャーモードを搭載し、C500など同社カメラでの撮影時に、モニタリングに適した階調特性に変換し、4Kリアルタイムモニタリングを可能にする。米国撮影監督協会(ASC)が定めるカラーディシジョンリスト「ASC CDL」にも対応し、撮影や編集の現場での色や階調表現を保存し、別の現場で再現可能にするなど、ワークフロー全体で同一の表示を行なえるよう配慮した。
また、フルHD映像についても、独自のアップスケーリング技術などを導入し、高画質化。ドットバイドットや拡大表示に対応し、システム内に4K/HDのいずれの素材が来ても対応可能としている。