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有料動画配信利用者のモバイル視聴、50.3%に拡大。「PCのみで視聴」は減少

 インプレスビジネスメディアのシンクタンク部門・インプレス総合研究所は、動画配信ビジネスの最新動向をまとめた「動画配信ビジネス調査報告書2014」を5月15日より発売。この中で、有料の動画配信サービス利用者の50.3%はモバイルで視聴しているという調査結果を明らかにした。

有料VODの視聴環境(出典:インプレス総合研究所)
VODの利用経験(出典:インプレス総合研究所)

 インターネットユーザーを対象としたVOD利用率のWeb調査(1,098サンプル)では、「3か月以内に、有料の動画配信サービスを利用したことがある」という回答が6.9%で、'13年の5.8%から1.1ポイント増加した。3カ月より前の利用者も含めた有料VODの利用経験者は12.2%(同2.2ポイント増)だった。

 有料VODサービス利用者に対するWeb調査(840サンプル)では、視聴環境(複数回答)は「パソコン」が66.8%でトップ。これに「スマートフォン」(36.5%)と「タブレット」(26.7%)が続いた。視聴環境をパソコン、モバイル(タブレットとスマートフォン)、テレビの3つに集約すると、最も比率が高いのは「パソコンのみ」の32.0%だが、'13年からは7.3ポイント減少した。

 「パソコンとモバイル」は23.8%(前年比10.7ポイント増)、「モバイルのみ」は16.3%(同4.7ポイント増)、「モバイルとテレビ」は3.2%(同0.9ポイント増)、「パソコンとモバイルとテレビ」が7.0%(同0.8ポイント減)。これらを合わせると、モバイルで視聴しているという回答は50.3%と半数を超え、前年の34.7%から大きく増加した。「テレビのみ」は13.3%(同3.5ポイント減)。単一の環境で視聴しているユーザーの比率が減少した。

有料VODの視聴頻度(出典:インプレス総合研究所)

 有料VODの視聴頻度を、利用サービスの料金モデル別に見た場合、都度課金(TVOD)利用者に比べて定額制(SVOD)利用者の視聴頻度の方が圧倒的に高かった。1週間に1回以上視聴するユーザーの合計は、都度課金利用者が21.4%だったのに対し、定額制利用者は76.0%となった。

有料VOD利用者の広告モデルへの意向(出典:インプレス総合研究所)

 有料VODの利用者に対し、広告モデル(無料視聴)への意向を聞いたところ、現状のような有料モデルのほうが良いと思うユーザーの合計は39.8%、一定時間のCMの視聴が義務付けられるなどの広告モデルの方が良いと思うユーザーの合計は31.6%だった。利用サービスの料金モデル別に見ると傾向は異なり、都度課金サービス利用者では広告モデルの意向が合計で47.3%と高く、定額制利用者は広告モデルへの意向は合計で25.9%にとどまり、有料モデルへの意向は合計で44.3%だった。

 「動画配信ビジネス調査報告書2014」は、インターネットユーザーを対象として有料動画配信(VOD)サービスの利用率や利用意向、ユーザーの利用動向などを調査。これらの1年間の変化や、料金体系別、性年代別、視聴環境別などのクロス軸による集計を行ない、分析している。価格はCD(PDF)版が68,000円、CD+冊子版が78,000円。著者は甲斐祐樹氏。

 動画配信ビジネスの最新概況や業界構造、ビジネス構造、収益モデルなどについて分析しているほか、米国など海外の動きや、国内・海外の注目すべき事業者の概要と戦略なども解説している。

(中林暁)