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機能強化した「HDR10+ ADVANCED」発表。Prime Videoで順次展開へ

HDR10+ Technologies, LLCのページより

米HDR10+ Technologiesは10日(現地時間)、ロイヤルティーフリーの新しいダイナミックメタデータ技術「HDR10+ ADVANCED」を発表した。現在提供されているHDR10+規格の強化版で、高輝度テレビ対応やジャダー低減などの新機能を盛り込んだ。Prime Videoがいち早くサポートを表明。厳選タイトルで提供した後、ライブラリー全体に同技術を展開する。

HDR10+ ADVANCEDで加わる新機能は以下の6つ。

  • Enhanced Overall Brightness
  • Intelligent Motion Smoothing
  • Local Tone Mapping
  • Genre-based Optimization
  • Advanced Color Control
  • Adaptive Cloud Gaming

「Enhanced Overall Brightness」は、追加される拡張統計メタデータにより実現。3,000nit、4,000nitなど、制作者の想定を超える近年の高輝度テレビでコンテンツを表示する際にも、階調性を向上させつつ、より明るい映像を描写できるようになる。

「Intelligent Motion Smoothing」は、HDR10+ ADVANCED対応ディスプレイがモーションスムージングの適用量を動的にコントロールするもの。大きな画面で映像を視聴している状態で、カメラがパンした時に感じやすいジャダーの影響を低減する。

「Local Tone Mapping」は、液晶テレビで使われるローカルディミングの機能をサポートするもの。クリエイター側で画面の特定のエリアの輝度をより細かく制御できるようになるため、テレビのローカルディミング精度が向上し、映像の明暗やディテール向上が可能になる。

「Genre-based Optimization」は、新しいメタデータツールを使い、コンテンツプロバイダーやエンコーダー側でカスタマイズされたジャンルを動的に作成できる機能。これまでジャンルデータの無かった配信コンテンツに対しても、テレビがジャンル情報に応じて最適な画像処理を施すことができるようになる。

「Advanced Color Control」は、クリエイター側で色域データを動的に計算できるようにする機能。結果として、テレビ側ではそのメタデータを活用し、コンテンツ本来の色を高精度に再現できる。

「Adaptive Cloud Gaming」は、クラウドベースのゲームをサポートした機能。既存のHDR10+ GAMING画質モードと互換性を持ちながら、周囲の照明環境に応じた自動画質調整を適用し、より最適なゲーム映像を描写できるようにする。

HDR10+ Technologies, LLCの共同マネージャーを務めるビル・メンデル氏は、「HDR10+ ADVANCEDのダイナミックメタデータ開発により、コンテンツクリエイターやエンターテインメント愛好家は、どんなに厳しいニーズにも応えられる究極のビデオ体験を実現できるようになる。この新技術は、コンシューマから様々なビジネス、アプリケーションで広く受け入れられると確信している」とコメントしている。

現在、HDR10+規格をサポートしているテレビブランドは、パナソニックのビエラ、TVS REGZAのレグザ、ハイセンス、TCLなど。

なお今年9月には、米Dolby Laboratoriesが、テレビのさらなる可能性を引き出し次世代の視聴体験を実現すると謳う「Dolby Vision 2」を発表。

最新の高輝度テレビを想定した輝度拡張やジャダー低減などの新機能が盛り込まれ、中国ハイセンスがRGBミニLEDテレビなどのプレミアムモデルにDolby Vision 2を搭載することを明らかにしている。