ニュース

全面直下LED+Netflixのプレミアム2Kテレビ「REGZA J10」

REGZA最速ゲーム表示。東芝TVは日本特化し自社開発

 東芝ライフスタイルは、直下型LEDバックライトや広色域IPSパネルの採用により、色やコントラスト表現など画質を強化した“プレミアム2K"テレビ「REGZA J10シリーズ」を2月20日より発売する。55型の「55J10」、49型「49J10」、43型「43J10」の3モデルを用意し、価格はオープンプライス。店頭予想価格は55型が20万円前後、49型が17万円前後、43型が13万円前後。また、国内のテレビとして初めて、今秋にスタート予定の映像配信サービス「Netflix」に対応する。

REGZA J10シリーズ

 “プレミアム2K”を謳う、フルHD REGZAの上位シリーズで、2013年10月発売のZ8/J8の後継機種と位置づける。東芝では、手に届く最上位シリーズとして「Z」を展開しているが、Zシリーズは4Kやタイムシフトを訴求、J10シリーズは、フルHD/2Kのフラッグシップモデルとして、直下型LEDによる高画質やクリアな音質、地デジW録など充実した録画機能、DLNA、TimeOn、YouTube、Netflixなどの豊富なネットワーク対応を軸に、4Kよりは手頃かつ、高付加価値のテレビとして訴求していく。

55J10
49J10
43J10

 なお東芝は、海外テレビ事業を縮小し、他社へのブランド貸与による展開とすることで収益を改善する方針を示しているが、日本においては自社開発し、より日本のニーズにあった製品づくりを強化する。「市場のニーズを踏まえ、感動を提供する価値を持ったREGZAを自社開発していくという部分はなにもかわらない」(東芝ライフスタイル ビジュアルソリューション事業部 VS第一事業部 地域第一部 国内TV商品企画担当 参事 本村裕史氏)としており、J10シリーズも自社開発製品となる。

Netflixに初対応。専用ボタンも

REGZA J10「49J10」

 2015年秋に国内展開が発表された、米国の映像配信最大手「Netflix」。J10シリーズは国内の対応第1弾製品となる。実際のサービス開始は2015年秋の予定で、価格やコンテンツ概要などは追って発表される。秋のソフトウェアダウンロードにより、Netflixの視聴が可能になる。

 Netflixは、全世界50カ国、5,740万契約という世界最大規模の映像配信サービス。月額制の映像ストリーミングを行なっており、米国では最も安いプランで、8.99ドルとなる。

 東芝は、J10シリーズのNetflix対応にあたり、リモコンには専用ボタンを用意。これはNetflixの規定によるもので、今後のNetflix対応テレビはいずれもこのボタンが必要となるようだ。Z10Xシリーズなどと共通のデザインとなる「新レグザリモコン」により操作性の改善を図っている。

リモコンにNetflixボタン
新レグザリモコン

 ただし現在ボタンを押すと、「Netflixは皆様にワクワク、ドキドキを届けるためにただいま日本サービスを開始準備中です!」というメッセージが表示されるだけとなっている。サービス開始後は、リモコンのNetflixボタンやリモコンのカーソルキーなどを用いて、コンテンツの検索や再生操作などが行なえるようになる見込み。

「Netflixは皆様にワクワク、ドキドキを届けるためにただいま日本サービスを開始準備中です!」とのこと。今秋のアップデートで対応

 Netflix以外にも、YouTubeやTSUTAYA TV、スカパー! オンデマンド、U-NEXT、DMM.com、Yahoo! Japan、アクトビラ、T's TVなどのネットサービスに対応している。これらの利用にはインターネット接続が必要。

全面直下LED+広色域のプレミアム2K画質

 液晶パネルは、55/49/43型のいずれもIPSで、1,920×1,080ドットのフルHD。東芝が「全面直下型LED」と呼ぶ直下型配置のLEDと、広色域パネルの採用により、高輝度や広色域化を実現し、光の輝きや立体感の表現を向上している。ただし、Z8シリーズとは異なり、LEDのローカルディミング(エリア駆動)には対応していない。液晶パネルは倍速表示非対応だが、残像低減技術「スムーズダイレクトモーション120」により、残像感の低減を図っている。

全面直下型LEDを採用

 映像エンジンも一新され「NewレグザエンジンCEVO」を搭載。放送の色域に圧縮された映像をパネルの最大色域まで拡大し、微妙な色の違いなどを正確に再現。超解像技術により、テクスチャー部のディテールや文字周りの表現など、特に地デジ放送の画質を改善する「マスターリファイン」も新搭載した。

 撮影時に圧縮された輝きや階調などの情報を復元し、リアルに物体の輝きなどを描き出す「HDR(ハイダイナミックレンジ)復元」も搭載。ディテール感を向上する質感リアライザーも、新アルゴリズムの採用により、暗部と明部の質感表現を向上し、立体感の再現性を高めたという。周囲の明るさやコンテンツによって画質モードを最適化する「おまかせオートピクチャー」も搭載。なお、3Dには対応しない。

 デザインにおいても、最上位Z10Xシリーズのデザインアイデンティティを2Kに展開。メタルスタンドやスリムフレームなどのコンセプトを踏襲しながら、サテンゴールドのスタンドにより高級感を高めている。

REGZA最速ゲーム表示は、遅延0.05フレーム

 REGZAの特徴である、ゲームモードの低遅延も強化。映像遅延を約0.05フレームに抑える「瞬速ゲームダイレクト」を新搭載した。1080p映像入力時で、[Dot by Dot]、[フル(ジャスト)]表示時に0.05フレームの低遅延を実現。その他の条件では、0.2フレームとなる。

 また、映像モードが[ゲーム]の際にも、HDMI入力したコンテンツの情報を自動検出し、最適な画質モードに調整する[オート]を追加。フルHDゲーム(1080i/p入力を想定)、HDゲーム(720p)、ポータブルゲーム(540p)、SDゲーム(480p)から最適な画質に調整する。また、ゲームシーンでは720p、ムービーシーンでは1080pと解像度が変わるようなゲームにおいても、最適な画質でプレイが楽しめるとする。

 音質面では、ラビリンスバスレフ型のボックス構造の採用により、スピーカー背面の容積を確保しながら、バスレフポートを延長。低音再生力を向上している。

 出力は10W×2ch。8バンドのパラメトリックイコライザによるサウンドチューニングにより、スピーカーの能力を引き出す他、適切なピーク信号補正を行なうことで、実用音量域でのひずみ感を抑えている。壁掛け設置にも対応する。

タイムシフトマシン連携も

 チューナは、地上デジタルが3系統、BS/110度CSデジタルが2系統。全録のタイムシフトマシンには対応しないが、別売のUSB HDDへの録画は可能で、2番組同時録画の地デジ見ながらW録に対応する。USBハブを利用して、最大4台までのUSB HDDを同時接続できる。録画番組に自動的にチャプタを付与し、見たいシーンを頭だしできる「Wマジックチャプター」に対応する。

レコーダ連携「タイムシフトリンク」に対応

 全録機能の「タイムシフトマシン」には対応しないが、東芝の全録BD/HDDレコーダ「レグザサーバー/ブルーレイ」をREGZAのリモコンから操作できる「タイムシフトリンク」に対応。J10のリモコンの[タイムシフト]ボタンを押して、過去番組表を選択すれば、HDMIとネットワークで接続したレグザーサーバー内の録画番組にアクセスし、テレビ内蔵HDDのように利用できる。

 対応のレグザサーバーは、DBT-R560/T550、D-M430/M470と、DBR-M490/T460/T450/M180/M190。DBR-B560/T550とD-M430/M470では、番組の冒頭から再生開始できる「始めにジャンプ」にも対応している。

J10のリモコンからレグザサーバーの過去番組表を呼び出して再生

 HDMI入力は4系統。4KやHDCP 2.2には非対応。Ethernetと無線LANを装備し、DLNAにも対応。DLNAのDMP(デジタルメディアプレーヤー)として利用できる。クラウドサービスの「TimeOn」による、おまかせ録画コミュニティや見どころシーン再生なども利用できる。

 また、スマートフォンアプリからの操作も可能。「TimeOn番組シーン検索(アプリ)」では、人物名などのキーワードで見たい番組を検索できるほか、録画番組の中から見たい番組やシーンをスマホ上で検索し、再生できる。アプリの対応OSはiOS 7.1以降。

REGZAは日本に集中。J10は「骨太の2Kテレビ」

REGZA商品企画担当の本村氏

 海外テレビの自社展開撤退発表もあり、今後の東芝テレビの国内展開に不安を抱く人もいるかもしれない。その懸念について、REGZAの商品企画を担当する東芝ライフスタイルの本村裕史氏は、「市場のニーズを踏まえ、感動を提供する価値を持ったREGZAを自社開発していくという部分はなにもかわらない」と明確に否定する。

 東芝の決算会見でも、「日本の事業に集中特化していく」と説明されていたように、海外においてはブランドを供与し、他社が東芝ブランドの製品を展開するが、日本においては東芝が企画、開発した東芝ブランドのREGZAを手がけるという方針に変更はない。

 本村氏は、「そもそも、タイムシフトマシンのような日本にしかないニーズに合わせた製品づくりをするには、日本で開発する以外の方法はない」と説明。REGZA J10シリーズは、映像エンジンもNewレグザエンジンCEVOに進化したが、東芝REGZAの特徴となっている半導体から製品企画まで一気通貫した開発体制に変更はなく、それが今回のJ10にも反映されているという。

 一方で気になるのは、4Kシフトを明確にしていた中での「プレミアム2K」としてのJ10の投入だ。'13年のZ8/J8シリーズでも「フルHD集大成」とアピールし、これから4Kに注力する姿勢を強調していた。今回J10を投入するということは、東芝の4Kへの取り組みが変化したのだろうか?

「4Kを中軸に据えていくという方針に変更はありません。この年末は、50インチ以上の4割が、40インチ以上でも2割が4Kになるなど、『これからは4K』というトレンドは変わりません。ただ、現状8割は2Kであることも事実で、また各社が4Kに集中したことで、2Kのラインナップが寂しくなっています。4Kはまだ早いと思っているけど、やはり良いテレビがほしい。そうした方に応える『骨太の2K』がJ10シリーズです」(本村氏)。

(臼田勤哉)