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Melody Wings、金星からインスパイアされた第1弾イヤフォン「Venus」。音質レビュー付き

Melody Wingsの第1弾イヤフォン「Venus」

サウンドアースは、新ブランドMelody Wingsの第1弾イヤフォン「Venus」を7月4日に発売する。価格はオープンで、市場想定価格は27,980円前後。アンバサダーとして、アニメソング歌手のELISAが起用されており、Melody Wingsのサイトにはスペシャルインタビューも掲載されている。

アニメソング歌手のELISA
「Venus」

Melody Wingsは、10年以上の音響構造設計経験を持ち、音響と材料特性に精通、深い専門知識と長年の実践的な蓄積を備えたシニア構造エンジニアがイヤフォンを手掛けている。筐体は3Dモデリングソフトを使って開発され、フィット感や快適な装着性を追求。素材は樹脂で、高精度3Dプリンターで造形されている。

造形の際には、シャープネスとサイズを正確にコントロールすることで0.136mmという業界最高水準の細部印刷を実現。素材にはHeyGears PAU20樹脂を厳選し、シェルの曲げ強度や耐性性、耐変形性を高めている。

製品開発にあたっては、天の川に輝く星々、輝く星雲、神秘的な物質からインスピレーションを得ており、天の川の星々の名前を製品名に冠し、天の川の要素を音響技術と融合させることで、独特の美しさと究極の音質を備えたイヤフォンを生み出している。最初の製品をVenus(金星)としたのは、「人類の太陽系探査の出発点であるため」だという。

Venusは、バーチ材の木製フェイスプレートを採用したイヤフォンで、内部にダイナミックドライバー×1、バランスド・アーマチュア(BA)×3を搭載。

10mmのダイナミック型の振動板には、ベリリウムメッキダイアフラムを採用。BAはカスタムしたものを使っており、1基が中域を、2基が高域を担当。3ウェイクロスオーバーも備えている。

正確なチューニングにより、4つのユニットは一貫した音色と3つの周波数のスムーズなつながりを実現。Venusの中低域の表現力を際立たせている。ノズルは高品質のステンレス鋼。

音色はニュートラルを目指し、「エンジニアは、中音域により多くの音のエネルギーを配分し、人間の聴覚の敏感な周波数帯域に関連する楽器やボーカルの性能を向上させ、中音域を完全に解放し、水平方向のサウンドステージを広くし、音をより自由にする。高音と低音の音量を厳密にコントロールし、音の真正性の回復を考慮し、歯擦音、轟音、雰囲気などの音の要素の選択のバランスを達成した」という。

イヤフォンとケーブルは着脱可能で、0.78mm 2Pinを採用。付属ケーブルは4芯銀メッキOCC。入力プラグは交換可能で、3.5mm、4.4mmバランス、USB-Cの3つのプラグが付属する。

インピーダンスは32 ohm @1kHz、再生周波数特性は20Hz~20kHz。イヤーピースは、バランスタイプとボーカルタイプの2種類が付属する。バランスタイプは、強力なダイナミクスと豊かなレイヤーで、ロック、ブルース、エレクトロニック・ミュージック、その他リズムの強い音楽にマッチ。

ボーカル用は、耳に近く温かみがあり、フォークソングやアカペラなどのヴォーカル・ミュージックや、ゆったりとしたリズムとシンプルな要素を持つ音楽に適しているとのこと。PUストレージケースも付属する。

バランスタイプ
ボーカルタイプ
付属品一覧

音を聴いてみる

短時間だが、Venusを試聴したのでファーストインプレッションをお届けする。試聴は「A&ultima SP3000」を使い、4.4mmのバランス接続で、ハイレゾファイルやAmazon Musicを再生している。

実物を手にすると、ダイナミック×1、バランスド・アーマチュア×3を搭載しているとは思えないほど、小ぶりな筐体だ。滑らかな質感で、バーチ材の木製フェイスプレートも高級感がある。

小ぶりなので耳に装着しやすく、耳への収まりも良い。ブランド第1弾イヤフォンとのことだが、経験豊富な開発陣が手掛けているだけあり、完成度が高い印象だ。

音のクオリティも高い。

付属のイヤーピースで音の傾向が選べるが、まずは「バランスタイプ」を装着。「ダイアナ・クラール/月とてもなく」を聴いてみた。

ダイナミック型らしい低音がズシッと沈み、響きも肉厚に迫ってくる。それでいて、ピアノの高音や、ダイアナ・クラールのボーカルは低音に埋もれず、クリアに聴き取れる。

低域はパワフルながら、解像度も高い。これは振動板にベリリウムメッキダイアフラムを使っているからだろうか。中高域を担当するBAの高解像度なサウンドともマッチしており、低音から高音までハイスピードに描写される。

ダイナミックドライバとBA、どちらも付帯音が少なくクリアな音なので、ドライバー方式の違いによる音色の違いも感じられない。スピード感だけでなく、トーンも低域から高域まで統一されており、ナチュラルなサウンドが楽しめるのが嬉しい。

イヤーピースを「ボーカルタイプ」にすると、少し低域のパワフルさが抑えられ、女性ボーカルやアコースティックな楽器の音が、味わいやすくなる。確かに、ロックや打ち込み系の楽曲は「バランス」を、ジャズやアカペラ、フォークなどは「ボーカル」を選ぶとハマるだろう。

新しいブランドながら、Venusはサウンド、デザイン、装着感と、非常にレベルが高い。USB-Cで、スマホなどとデジタル接続できる入力プラグも同梱しており、イヤーピースでサウンドの変化も楽しめる。このクオリティで実売約27,980円はコストパフォーマンスが高い。Melody Wings、今後も要注目のブランドになりそうだ。