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ソニーストア、札幌と福岡への出店を検討

5周年の名古屋は、デジカメ主力の店舗へリニューアル

 ソニーマーケティングの河野弘社長は、同社直営店のソニーストアを、新たに札幌および福岡に出店する方向で検討を開始していることを明らかにした。

 2月27日に、リニューアルオープンしたソニーストア名古屋に駆けつけた河野社長が言及した。

ソニーマーケティングの河野弘社長

 現在、ソニーストアは、東京・銀座、名古屋・栄、大阪・梅田の3カ所に出店。ソニーストア大阪は昨年11月に10周年、ソニーストア名古屋はこの3月に5周年を迎えることになり、新店舗の出店が正式に決まれば、ソニーストア名古屋以来の出店となる。

 時期や規模、具体的な出店場所については触れなかったが、「最適な立地があれば、早めに出店したいと考えている。これらの地域は商圏としても重要なエリア。いまは、ソニーグループ全体で構造改革を推進しており、国内販売を担当するソニーマーケティングにも、コスト削減が求められている。が、付加価値を持った形で、営業、マーケティング戦略を推進する上でも、ソニーストアは、重要な拠点となる。新たな店舗の出店は、ソニーマーケティングの計画のなかに盛り込まれている」と述べた。

 ソニーストアは、最新のソニー製品を一堂に展示。ソニー製品に熟知した専門スタッフが接客を担当したり、発売前の製品をいち早く展示する場として活用するなど、直営店舗ならではの売り場づくりが特徴だ。

 最近では、先頃、VAIO株式会社が5月発売を正式に発表したVAIO Z Canvasを試作段階からソニーストアの3店舗で公開。開発者によるトークショーを開催したほか、昨年秋のIFA 2014でソニーブースに参考展示したXperia Bikeを、ソニーストア大阪の10周年記念イベントに国内初展示するといったことも行なっている。

ソニーストア大阪で行なわれたVAIO Z Canvas正式発表前の開発者トークショー
Xperia Bike

 さらに、ソニーストア名古屋の5周年にあわせた特別展示として、2月28日と、3月1日正午までの一日半の期間限定で、ソニーが、CP+の同社ブースに参考展示した開発中の3本のEFレンズと、2本のワイドコンバーターも展示することになる。

 ソニーストア限定モデルや限定刻印サービスなどの取り組みも同店ならではのものだ。

 さらに、「撮る楽しさを学べる場」として、ソニーストアを活用したα Cafe体験会を開催。「αカスタマーの撮影スキルの向上、交換レンズ体感の場として、2014年4月~2015年1月までに約1,200回の講座を開催。約8,000人が受講している。1回あたりの参加は数名規模だが、単なる撮影講座に留まらず、実際の撮影体験を通じて撮影スキルを向上してもらい、交換レンズを使う楽しさなども体験してもらっている。電車の流し撮りや、紅葉、スイーツなどのテーマによって、実際に現場に飛び出してセミナーを行なうこともある。その多くが無料となっている。これは、リアルな店舗を最大限に活用した、ソニーファン創造のための取り組みのひとつになる」と、ソニーマーケティングの河野社長は語る。

 α Cafe体験会は、3店舗のソニーストア以外にも、札幌、福岡に限定して、地域の会議室などを借りて、実施してきた経緯があり、その点も、ソニーストア出店の新たな候補地に、この2つの都市があがっている理由といえる。

α Cafe体験会(写真はソニーストア大阪)

 一方で、地元量販店が、新入社員の教育などにソニーストアの施設を活用するといった例のほか、地域販売店が最新製品の説明のために、見込み客とともにソニーストアを訪れるという例もあり、販売店との協業拠点としての役割も担っている点も見逃せない。

 販売店との協業を通じたソニー製品のシェア拡大の拠点と位置づけることもでき、3大都市以外への店舗拡大は、ソニーマーケティングにとっても、戦略投資になるといえよう。

 河野社長は、「ソニーマーケティングが目指しているのは、ソニーファンの創造であり、そのためには、ソニーストアを活用した販売店との協業も重要な意味を持つ」とコメント。さらに、「ソニーファンの創造のためには、カスタマーとのダイレクトリレーションを軸としたカスタマーマーケティングの実践が必要である。フェイス・トゥ・フェイスで最も濃い顧客体験を提供することができるソニーストアは、カスタマーマーケティングにおける最重要拠点。満足度を高めるためには欠かせないものになる」と位置づけた。

 一方で、2月27日にリニューアルオープンしたソニーストア名古屋は、デジタルカメラに関連する展示を店舗の約半分に拡張するという思い切った店舗づくりが特徴となっている。

リニューアルしたソニーストア名古屋

 実際にαシリーズを使用して撮影を体験するスペースや、専門スタッフが常駐するレンズコンサルティングスペース、写真好きが集まる自由な空間を目指すαコミュニティコーナーなどを配置し、「写真を楽しむ仲間が自然と集えるストアを目指す」(ソニーストア名古屋の土谷壮一店長)としている。

(大河原 克行)