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MRI検査装置内にスクリーンで映像投写、東芝が患者の不安を軽減するシステム

 東芝と東芝メディカルシステムズは、MRI検査を受ける患者が、狭い空間や騒音によって感じる不安を軽減するため、装置内部にドーム型スクリーンを設置。プロジェクタから映像を投影することで、検査空間を感じさせない広視野・高臨場感映像を表示できる技術を開発した。11月29日から米シカゴで開催されている「第101回北米放射線学会(RSNA)」で参考展示する。

投写のイメージ

 両社はこれまで、MRI検査を受ける患者の不安を軽減するため、直径71cmの大口径オープンボア(ボア:MRI検査装置内で検査を行なうためのトンネル状の構造部分)や、検査時の騒音を低減する「Pianissimo機構」を開発・製品化。今回開発した技術により、「さらに快適性を向上させ、検査空間を感じさせないMRI環境を提供する」としている。

 寝台の位置に応じて動く半透過ドーム型スクリーンをボア内に設置。磁界の影響が及ばないMRI検査装置の後方に設置したプロジェクタから、スクリーンとボア内カバーに映像を投影し、寝台に設置されたミラーに反射された映像を患者が見ることにより、検査空間を感じさせない映像空間を実現するという。

ボア内部の構造。患者はミラーで反射された映像を見る

 このドーム型スクリーンには、車載用ヘッドアップディスプレイや、超高臨場感用頭部搭載型ディスプレイの基盤技術が活用されており、物体の色や形状を処理する中心視野に加えて、空間の奥行や広がり、動きを処理する周辺視野に映像刺激を与えることで、視野角60度以上の広視野・高臨場感映像を実現するという。患者はミラーに反射された映像を見ると、実際のボア内カバーより遠くに映し出されているように感じられ、広々としたバーチャル空間を得られるとする。

検査前には、スクリーンはボア入口に位置して映像を表示。検査への不安を軽減する

 検査前には、スクリーンはボア入口に位置して映像を表示。トンネル構造を見せない事で、検査への不安を軽減。検査開始時には、スクリーンが寝台と連動してボア内に移動することで、患者は常に一定の映像を見続けることができ、閉所であるボア内へ入り込む感覚を低減できるという。

 両社では今後、「患者がボア内で検査していることを忘れてしまうようなリラックスできる空間を提供するため、騒音低減技術を融合させ、早期の実用化を目指す」としている。

(山崎健太郎)