ディスコレ

スカイツリー、ゲートブリッジなどを“鳥の目線”で眺める

XDCAM HD422高画質映像の「東京空撮HD」Blu-ray

「ディスコレ」(Disc Collection)は、Blu-ray/DVD/CDなどから、ジャンルを問わずに選んだ作品のショートレビューコーナーです

東京空撮 快適バーチャル遊覧飛行 TOKYO Bird's-eye View

 シンフォレストの「東京空撮HD フルハイビジョンで快適バーチャル遊覧飛行 TOKYO Bird's-eye View」は、ヘリコプターで東京を空から撮影した風景を収録したBlu-ray。

 東京ゲートブリッジや渋谷ヒカリエ、東京スカイツリー、東京駅の新しい丸の内駅舎といった新名所はもちろん、東京タワーやお台場、都庁、浅草など定番のスポットもほぼ全てといっていいほどカバーしている。

 撮影は、ブレを抑えるジャイロスタビライザーを備えたヘリコプターから行なっており、7.6mmからの超広角レンズと、XDCAM HD422記録により、ワイドで高画質な収録(BD記録はMPEG-4 AVC)を実現したことも特徴。

 ヘリコプターからの撮影というと、ニュースの資料映像やドラマのワンシーン(刑事ドラマでの警視庁など)でも見かけるが、この作品は「名所の位置関係がわかるように編集点を極力減らし、チャプター間は映像を区切らず、離陸シーンから着陸シーンまで全編を1本のファイルとして収録した」とのこと。

 有名なスポットや建物だけでも50カ所以上を紹介。普段は見ることができない“少しだけ”高い視点から街を眺めつつ、それぞれの名所がコマ切れではなく1本につながった形の映像になっている。これによって、単なる名所案内とは異なり、1時間の空のツアーを楽しむような仕上がりになっているのが特徴だ。

 今回はBD版を鑑賞したが、DVD版も発売されているほか、チャプタごとに購入できるDRMフリーのダウンロード版(1,920×1,080ドット/1,280×720ドット/640×480ドット)も用意されている。なお、BD版とダウンロード版では映像/音声の仕様が異なり、BD版は映像が60iだがダウンロード版は30p、音声はBD版がリニアPCM、ダウンロード版がAACとなっている。

ダイナミックな視点変化で空中散歩を楽しむ

 ルートを大まかに説明すると、東京へリポートからスタートして、お台場、東京タワー、六本木、渋谷、新宿、代々木、東京駅、赤坂、市ヶ谷、秋葉原、上野、浅草、スカイツリー、豊洲、そして東京へリポートへ戻るという内容だ。途中でUターンしたような編集点もあるが、その場合も字幕の説明などにより、自分が観ている位置を最後まで見失わずに把握していられる。さらに、作品のサイトには「飛行ルートマップ」のPDFも無償公開されているので、これを見ながらだとさらに分かりやすい。

 撮影時は50Mbpsで収録し、HQXコーデックを用いたフルHDマスターデータから1,920×1,080ドット/60iのMPEG-4 AVC/H.264に変換してBDに記録。よくある観光地の映像やドラマのワンシーンのように作られた派手な色味ではないが、海の青や木々の緑の深さがしっかりと出ており自然な印象。海面の光の反射や高層ビルの窓といった細部も破綻なくとらえている。

 また、何度も視点がダイナミックに変化することで、映像が単調にならないこともポイント。JR渋谷駅前や新宿駅前の交差点に大きく寄って人並みをとらえたと思えば、今度は高くそびえる都庁のツインタワーに向かって真俯瞰に近い位置までゆっくりと進み、超えていくところが前半の見どころ。また、後半の浅草では雷門に一度正対してから、仲見世通りを浅草寺の本堂へ向かって真っすぐ進み、そこから右に旋回するとスカイツリーが目の前にそびえ立っているという具合。言葉による説明が無くても、名所の魅力を雄弁に語りかけてくるようだ。

最初の見どころ、東京ゲートブリッジ
明治神宮の奥に新宿の高層ビルが見える
都庁と新宿中央公園

 見知っている建物や名所でも、普段と目線のちょっと違う風景だと新鮮に映る。例えば明治神宮は、地図サイトの航空写真で上から見ても木がたくさんあるのは分かるが、鳥瞰からの立体的な映像で見ると、周りの喧騒を寄せ付けない木々の深さがよく分かり、まさに「杜(もり)」のイメージにぴったり。また、六本木の新東京国立美術館は、正面から見ると波打つような斬新なデザインが特徴的だが、少し上からだと見ると奥側は普通に四角いビルなので、全体を見渡すと「こんな形だったんだ」と今までの印象が大きく変わってくる。

 そして、一番のクライマックスがスカイツリー。前半のシーンから何回かチラッと画面の一部に映るのだが、画面中央でとらえるのは後半に入ってから。浅草から隅田川を渡って徐々に近づき、あまり見る機会がない、真上からの映像も交えている。スカイツリーを中心にした映像は、周りの建物がまるでミニチュアのように見え、改めてその異様なまでの高さを感じさせる。前半にある、東京タワー側から見たスカイツリーとの2ショットも印象的なシーンだが、スカイツリー側からだと東京タワーはかなり小さくしか見えないのにも驚かされる。

 ただ名所の間を移動するだけではなく、時には車の大通りに沿ったり、線路を走る電車や川を下る船と同じ方向に動くなど、人や他の乗り物の流れに沿ってカメラが移動するシーンも面白い。もちろん、陽の射し方もそれぞれの建物に対して順光になっており、影の映りも含めて良い角度から観られる。普通に観光して、一日でこれほどベストなアングルから名所を観られることはまずないだろう。欲を言えば夜の風景も見たかったが、この短い時間で回るには最適な、かなり練られたルートだと思えるし、この街に様々な見どころが凝縮されていることも再認識できた。

東京駅・丸の内駅舎
東京タワーと東京スカイツリー
スカイツリーの真上を通る

 音声は、48kHzのリニアPCMで収録。全体を通してジャズ調の音楽が流れる。最初は優しい曲調から始まり、チャプターによって少しずつ変化。スカイツリーなどの要所では盛り上がり、ゴールが近づくにつれて、またゆったりとした曲へと戻っていく。「生楽器、生演奏ならではの臨場感を重視した」とのことで、聞いているとまるで朝から昼、夕方という時間の流れを表しているようだ。音楽を担当しているのは、同社から2010年に発売された「バーチャルプラネタリウム」と同じOrihotone Music Entertainment。ちなみに、バーチャルプラネタリウムといえば、声優・能登麻美子がささやくようなナレーションに癒されることでも知られるが、「東京空撮」の音声は音楽のみとなっている。

 字幕は名所の名前だけをシンプルに表示するもので、日本語と英語を併記。この字幕はOFFにすることもできる。時間は約66分で、再生はエンドレス仕様。メニュー画面は設けられていない。ネイチャー映像のような派手な演出はないものの、「ありのまま、今の東京」をとらえた記録として、外国の人にも観てもらいたいと思えるし、手持ちの再生機器の画質チェックにも使えそうだ。なお、同社はちょうど10年前に「東京空撮クルージング」というDVDも発売しているので、当時の映像との違いを楽しむのも良いだろう。

「東京空撮HD」Blu-rayの評価ポイント(5段階)
映像のクオリティ★★★★
主役:スカイツリーの存在感★★★★★
旅行気分の満喫度★★★
東京空撮HD
フルハイビジョンで快適バーチャル遊覧飛行
価格:4,935円
発売日:3月7日発売
品番:RDA14
収録時間:約66分
映像フォーマット:MPEG-4 AVC/H.264
音声:リニアPCMステレオ
発売元:シンフォレスト
販売元:竹緒
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中林暁