ミニレビュー

スマホを「置く」だけでレコーダの番組を高速転送

バッファローのSeeQVault対応TransferJetアダプタを試す

 バッファローが11月下旬に発売した「BSCRTQ01/V」は、レコーダで録画した番組をスマートフォンに転送できるSeeQVault対応のTransferJetアダプタ。対応レコーダに接続した本体にTransferJetを搭載した対応スマートフォンを置くだけで、録画番組をスマートフォンへ転送することができるという製品だ。

バッファローのSeeQVault対応TransferJetアダプタ「BSCRTQ01/V」

 レコーダで録画した番組をスマートフォンへ転送するという仕組みはすでにいくつかの方法が存在するが、BSCRTQ01/Vの特徴はTransferJetによる高速な転送だ。バッファローによれば、ビットレート2.4Mbpsで設定した番組であれば、1時間分の録画番組を約2分で転送できるという。TransferJetはケーブルでの接続も不要なため、「置く」だけの簡単な操作でファイルを転送できるという手軽さも魅力だ。

スマートフォンをアダプタの上に置くだけで対応レコーダの録画番組を転送できる

東芝製レコーダに対応。スマートフォンは現在のところ1モデルのみ対応

 初めにBSCRTQ01/Vを利用した番組転送に必要な環境を確認しておこう。まずはレコーダだが、BSCRTQ01/VをTransferJetアダプタとして認識できるのは東芝のBDレコーダ「DBR-T670」のみ。ただし、「DBR-M590」、「DBR-T660/650/560/550」、「DBR-Z620/610/520/510」も、レコーダ側のSeeQVault SDカードバックアップ機能を利用することで、操作手順こそ異なるものの、ほぼ同等の機能が利用できる。

BSCRTQ01/Vに対応している東芝のBDレコーダ「DBR-T670」
F-02HとBSCRTQ01/Vを並べたところ

 対応スマートフォンは現在のところNTTドコモの2015年冬モデル「arrows NX F-02H」のみ。TransferJetを内蔵したスマートフォンはF-02Hのほか、1つ前のモデル「ARROWS NX F-04G」もTransferJetを内蔵しているが、BSCRTQ01/Vに対応するのはF-02Hのみとなる。

 このほか、BSCRTQ01/Vおよび対応スマートフォンのF-02Hともに、SeeQVault対応のmicroSDカードが必要。BSCRTQ01/Vは標準で16GBのSeeQVault対応microSDカードが同梱されているが、F-02H用のSDカードは自分で用意する必要がある。

DBR-T670とF-02H、BSCRTQ01/Vの3製品で番組転送の環境が整う
対応スマートフォンはNTTドコモの'15年冬モデル「arrows NX F-02H」
BSCRTQ01/VにはSeeQVault対応のmicroSDカードが同梱される

転送用の番組は録画時に設定。電源オフ時に自動でダビング

BSCRTQ01/V

 BSCRTQ01/Vの本体サイズは111×178×13mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約140g。接続インターフェイスは録画用のmicroSDカードスロットとレコーダ接続用のUSBポートのみで、あとは動作を示すLED程度と非常にシンプルな構成。USBバスパワーで動作するため、レコーダのUSBポートに接続するだけで本体の準備は完了だ。

側面にmicroSDカードスロットを備える
レコーダ背面のUSB端子に接続する

 続いてレコーダ側の設定を行なう。「DBR-T670」の場合は、設定メニューの「本体設定」-「その他」から待機設定を「通常待機」に設定、瞬速起動のチェックをすべて外しておき、本体設定の「録画設定」-「持ち出し用画質」からTransferJetで転送する際の画質を設定する。バッファローの推奨画質は「1280×720(2.4Mbps)」だが、容量をできるだけ節約したい、容量は気にせず高画質で視聴したいというニーズに合わせ、画質の設定は「320×240(0.6Mbps)」から「1280×720(12Mbps)」まで8段階が用意されている。

 なお、「DBR-T670」以外の対応機種の場合は、上記設定に加え、本体設定の「録画設定」にある「バックアップ先設定」から「SeeQVault1:SD」を指定しておく必要がある。

待機設定を「通常待機」に
瞬速起動のチェックをすべて外す
録画設定で画質を指定
画質は8段階
番組表を起動

 設定が終ったらスマートフォンに転送したい番組の録画予約を行なう。「DBR-T670」の場合、番組予約メニューの「持ち出し設定」から「TransferJet機器転送」をオンにして録画予約を設定しておくと、レコーダ本体の電源がオフになったタイミングでBSCRTQ01/Vへのダビングが自動で行なわれる。「DBR-T670」以外の対応機種ではTransferJetアダプタとして認識はされないが、録画予約時に「録画モード」を「AE」、「バックアップ設定」を「する」にすることでBSCRTQ01/Vへのダビングが可能だ。

「録画予約」を選択
持ち出し設定で「TransferJet機器転送」を選択
録画済みの番組は「ダビング」から操作できる

 ダビングはレコーダの電源がオフになると開始されるため、当然ながら電源をオンにしたままではダビングが行なわれない。ただし、本体設定の「未使用時自動電源オフ」を設定しておけば、就寝中などに自動で電源がオフになり、朝にはBSCRTQ01/Vへのダビングを完了することができる。

 なお、録画予約時に設定しておかなくても、録画予約をBSCRTQ01/Vへ手動でダビングすることも可能。ただし、ダビングは番組の放送時間とほぼ同時間が必要なほか、「持ち出し用変換」した番組を再度同じ手順で今度はBSCRTQ01/Vへ転送するという二度手間が発生する。BSCRTQ01/Vへの転送も、1時間番組でも10分以上がかかるため、持ち出ししたい番組はできるだけ事前に設定しておくと便利だ。

HDDから「持ち出し用変換」を選択
画質を選択できる

スマートフォンを「置く」だけで転送。1時間番組の転送は2分以内

転送にはアプリ「SeeQVautプレーヤー TJPlus」(下段左から2番目)を使用する

 BSCRTQ01/Vからスマートフォンへの転送は、専用アプリ「SeeQVautプレーヤー TJPlus」を利用する。F-02HにはTransferJet対応の転送アプリも搭載されているが、こちらでは番組を検出できないので注意しよう。

 転送方法は番組を指定する「選択転送」と、BSCRTQ01/Vへの番組を自動で転送する「おまかせ転送」の2通り。おまかせ転送の場合はBSCRTQ01/Vへの転送日時が新しいまたは古い番組を自動的に1つ転送する仕組みだ。

アプリの「録画一覧」の画面
転送方法は「選択転送」と「おまかせ転送」の2通りから選べる
「おまかせ転送」利用時はBSCRTQ01/Vへの転送日時が新しい、または古い番組を自動的に1つ転送する
F-02Hを上に重ねたところ

 アプリを起動した状態でF-02HをBSCRTQ01/Vの上に載せると自動的にTransferJetの転送モードが起動する。おまかせ転送の場合は設定に従った番組1つのみを自動で転送。選択転送の場合は転送できるファイル一覧が表示され、転送したい番組にチェックを入れて「転送開始」を押せば転送が完了する。

 DRモードで録画した1時間のドラマをバッファローの推奨する「1280×720(12Mbps)」でダビングし、BSCRTQ01/VへTransferJetで転送した際の転送時間は約1分30秒。ドラマはCMの部分を除くと54分程度のため、ほぼ公称通りの数値となった。なお、640×360(1.5Mbps)で1時間の番組を転送した際の時間は約1分程度。転送速度が非常に高速なため、よほど多くの番組をまとめて転送しない限り、転送時間はそこまで差はなさそうだ。

接続機器の待機中画面。画面のメッセージに従ってBSCRTQ01/VにF-02Hを重ねる
転送中の画面
転送が終わった持ち出し番組の一覧

 スマートフォンの縦表示時は画面中央にタイムバー、画面下部に録画番組一覧が表示され、横表示に切り替えると番組がフルスクリーンで表示される。画面をタップすると操作メニューが表示され、一時停止、早送り/早戻し、15秒スキップ、5秒戻しなどのトリックプレイや音量の調整が可能だ。また、右上のメニューから「音声設定」で主音声や副音声を切り換えることもできる。

転送した番組を縦画面で見ているところ
操作メニューが表示され、一時停止、早送り/早戻し、15秒スキップ、5秒戻しなどのトリックプレイや音量の調整が可能

 画質は「1280×720(12Mbps)」の設定でも非常に高く、動きの多い画面でもブロックノイズは見られず、ニュースのテロップや人物の輪郭などもくっきり写る。画質面ではほぼ不満を感じることはなさそうだ。録画番組がSDカードに保存されているため操作もスムーズで、トリックプレイも1秒以内で完了するため操作にストレスも感じず、番組の視聴に集中できる。

横画面で視聴中に操作メニューを表示
右上のメニューから各種設定を呼び出せる
主音声/副音声の切り替え画面

非常に手軽な番組のスマートフォン転送。今後の対応機種拡大に期待

 冒頭でも触れた通り、レコーダの動画をスマートフォンへ転送するには、無線LANを使うワイヤレス転送のほか、microSDカードやUSB接続による物理的な転送などいくつかの方法が存在するが、microSDカードやUSB経由の場合はスマートフォンとレコーダとの接続に手間がかかる。一方、無線LANは接続の手間はかからないものの、該当のレコーダを指定して接続するための待ち時間がかかる。

 BSCRTQ01/Vの場合、対応機器を揃えなければいけないという条件はあるものの、番組を転送する手段としては最も手軽と感じた。スマートフォンでアプリを起動し、好きな番組を選んでおけば、起床時の準備をしているわずかな間にも転送が完了する。アプリの動作も軽く、転送モードにするまでにもたつきも感じない。BSCRTQ01/Vへのダビングも寝ている間に完了するため、実用上もダビングを待つことがなく非常に使いやすい。

 番組の転送方法としては非常に便利である一方、BSCRTQ01/VのストレージはmicroSDカードのため容量に制限があり、持ち出し番組を大量にストックしておきたいという使い方には不向き。次期モデルなどはぜひSeeQVault対応のHDDモデルや、録画時に設定することなく自動でダビングする機能、一定期間を過ぎると古い番組を自動で上書きする機能などがあれば、よりスマートフォンでの番組視聴を効率よく楽しめそうだ。対応機種の拡大も含めて今後に期待したい。

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BSCRTQ01/V DBR-T670

甲斐祐樹

Impress Watch記者から現在はフリーライターに。Watch時代にネットワーク関連を担当していたこともあり、DTCP-IP周りのネット連携や動画配信サービスなどが興味分野。ライター以外にもネット家電ベンチャー「Cerevo」スタッフとして活動中。個人ブログは「カイ士伝」)