ミニレビュー

nasneのスマホ/タブレット視聴を快適に「TV SideView」

録画予約も統合したテレビを「楽しむ」ためのアプリ

 ソニーが同社のテレビ/レコーダ向けに提供しているリモコン&テレビ番組表アプリPクライアントアプリ「TV SideView」が、最新バージョンの2.6でソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)のネットワークレコーダ「nasne」に対応した。Android版とiOS版が公開されており、有料(500円)のアドオンを追加することでDTCP-IPに対応するため、AndroidやiOSのスマートフォン/タブレットからのnasneの番組予約や操作、録画番組などが可能になった。

nasneの番組をスマートフォン/タブレットから視聴可能にする「TV SideView」

 これまでnasneに対応したDTCP-IPクライアントアプリは、デジオンの「DiXiM」、パケットビデオの「Twonky Beam」(Twonky)、アルファシステムズの「Media Link Player for DTV」(MLPlayer)という3つのアプリが提供済み。TV SideViewはこれらアプリに次ぐ、4番目のnasne対応DTCP-IPアプリということになる。

 アプリそのものか追加機能かという違いはあれど、TV SideViewを含むDTCP-IPアプリはいずれも有料(DiXiM for Androidは一部機種に無料でプリインストール)だ。ただし、これまでのアプリは価格帯が700円から1,000円の範囲で設定されていたのに対し、TV SideViewはアプリ自体が無料、DTCP-IPの追加機能が500円と若干ながら安価。また、ソーシャルメディアと連動した番組のレコメンド機能、番組表からの録画予約機能といった独自の機能も搭載している点が特徴だ。

 視聴機能としては宅内でのストリーミング再生、録画済み番組のスマートフォン転送機能など、先行するアプリとほぼ同等の機能を搭載。ただし、外出先から録画済み番組を視聴できるDTCP+は対応していない。

 とはいえ、TV SideView自体はソニーの一部レコーダの組み合わせにより、外出先から録画済み番組やテレビを視聴できるNexTV-F規格に準拠したリモート視聴機能「外からどこでも視聴」に対応している。nasneは現時点ではこの機能に対応していないものの、将来的にはリモート視聴に対応する予定だ。

アプリ名DTCP-IP対応価格
宅内再生宅外再生持ち出し放送中番組録画予約
Android版iOS版
DiXiM-
(プリインストールのみ)
1,000円*1×
Twonky Beam700円700円-×
MLPlayer900円900円-×
TV SideView500円500円
nasne側が非対応

*1iOSは追加500円、AndroidはDTCP+対応バージョンのプリインストールモデルのみ

 TV SideView自体はすでにリリースされているアプリであり、新しい機能が追加されたというわけではないが、nasneユーザーにとっては今まで使ったことのない新しいアプリとも言える。今回はAndroid版のTV SideViewをベースとして、TV SideViewの設定やnasneと組み合わせた使い勝手などを紹介する。

初期設定は簡単。追加プラグイン購入も初期設定でサポート

 TV SideViewの初期設定ははじめに国・地域を選択し、ソフトウェア使用許諾契約書に同意。続いて画面に表示される「機器登録」から宅内の同一ネットワークにあるnasneを登録したのち、外出時の録画予約設定に移る。

TV SideViewの機器登録
nasneを登録
外出先録画予約設定
TV SideViewにサインイン

 DTCP-IP機能を利用して宅内ストリーミングや持ち出しを行なう場合は、追加プラグインの購入が必要。初期設定では追加プラグイン購入の誘導も行なわれるので、画面に従って操作するだけでいい。

 外出録画予約はTV SideViewにサインインすると発行される登録パスワードをnasneの管理画面「nasne HOME」から登録。パスワード表示画面にはnasne HOMEのリンクが表示されており、ここから簡単にパスワードの登録が可能。その後エリア登録を行なえばTV SideViewの初期設定は完了する。

モバイルプレーヤー用のプラグインを購入
Android版はGoogle Playで500円で販売
外出先録画のパスコード設定

テレビを「楽しむ」ことを意識した画面構成

 他のDTCP-IPアプリに比べ、TV SideViewのインターフェイスや方向性は非常にユニーク。TwonkyBeamやDiXiM、MLPlayerは録画済み番組を視聴することが主たる目的であるのに対し、TV SideViewは放送中の番組やこれから放送される番組はもちろん、ネット動画も含めたさまざまな動画を楽しめる構成になっている。

 アプリの起動直後に表示される「みどころピックアップ」は、設定済みエリアで放送中のテレビ番組が最上位に表示され、その下にはこれから放映予定の人気番組を一覧表示。さらにその下にはおすすめの番組、YouTubeのおすすめ動画と続く。DLNAサーバーが一覧表示される他のアプリとは一線を画すユーザーインターフェイスで、サーバーやネットワークの知識がなくとも使いやすい。

アプリ起動直後に表示されるのは放送中の番組
放映予定のテレビ番組
おすすめ番組
YouTubeのおすすめ番組

 番組をタッチすると詳細情報が表示され、放映中の番組や録画済みの番組であれば「モバイル視聴」をタッチすれば視聴が可能。右下の時計アイコンからは録画予約、ハートマークからはお気に入り登録が可能だ。

 画面を左にスワイプすると番組に関するツイートを、右にスワイプすると関連するテレビ番組を一覧表示。テレビや録画済み番組を単に視聴するだけでなく、より楽しく視聴するための仕組みがいくつもちりばめられていると感じた。

番組の再生画面
関連ツイート
関連番組

アプリからの録画予約に対応。重複録画予約のチェックが便利

 録画したい番組が決まっている場合は、画面上部の番組表アイコンか左上のメニューから番組表を表示して録画予約が可能。録画予約は宅内だけでなく、3G/LTE回線や外出先の無線LANから行なうことも可能だ。

 他のDTCP-IPアプリは番組表機能を備えておらず、スマートフォンからnasneの録画予約を行なうためにはWebサービス「CHAN-TORU」を利用する必要があった。しかし、スマートフォンからアクセスするCHAN-TORUは動作が重いことに加え、ブラウザアクセスということもあって操作を間違えるとページを閉じてしまったり、別のページが開いてしまう点にややストレスを感じていた。

番組の再生画面
CHAN-TORUの録画予約画面
録画予約の重複を表示できる

 一方、TV SideViewはアプリということもあって動作も軽く使いやすい。CHAN-TORU同様の録画予約済み番組やジャンルの色分け表示に加え、予約の修正や削除も行なえる。個人的にはこの録画予約機能だけでも十分に有料の価値があると感じたほどだ。

 また、nasne本体にもない録画関連機能が、重複している録画予約の一覧表示だ。nasneでドラマを連続予約していた場合、そのドラマが最終回を迎えると録画予約がエラーとして残ったり、番組表には録画予約済みになっていないのに実は録画されていた、ということもあったが、nasneで重複している録画予約を調べるのが面倒だった。TV SideViewは録画予約の際に同じ時間帯で重複している録画予約を表示してくれるため、終了した録画予約を簡単に削除できる。

nasneに連動した視聴管理にも対応。画質は480p固定

 録画済み番組の視聴は画面左上のアイコンを選択し、「録画番組リスト」から視聴する。番組名での検索はできないが、ジャンルごとの番組表示のほか、複数のnasneがある場合のnasne指定、未視聴番組のみの表示といった絞り込みが可能。nasneで録画した番組の未視聴、既視聴と連携できるのは同じソニーグループのアプリならではだ。

録画予約の重複を表示できる
録画番組リスト
再生画面

 再生中は一時停止や番組スキップ操作のほか、15秒単位での早送り、10秒単位での早戻しが可能だ。画面右上には画質が表示されており、タッチ操作で変更できるようになっているが、放送中番組、3倍録画、DR録画ともに480pで固定されていた。

再生画面
nasne視聴時の画質は480pに固定
画面下部のアイコンから持ち出しできる

 ルータにフレッツ光向けルータ「RV-A340NE」、スマートフォンに「ARROWS NX F-05F」を用い、IEEE 802.11aで接続した環境で動画の再生を試したところ、放送中番組の再生は約7秒程度、録画済み番組の再生は約4秒程度とレスポンスは良好。ただし、録画済み番組のスキップ操作は7秒程度と、再生開始に比べると遅くもたつきを感じる。

 録画済み番組の持ち出しは、該当する番組の画面下部に表示されるアイコンから可能。上記と同様の環境で、3倍モードで録画した1時間番組を持ち出したところ、6分30秒と実時間の1/10程度で転送が完了した。複数番組の同時転送も可能だが、一覧画面でまとめて選択することはできず、番組ごとに転送操作を行なう必要がある。

気に入ったテレビ番組を共有するソーシャル機能も充実

 テレビ番組のソーシャル連携も充実。気に入った番組につけられる「ナイス」機能はFacebookとTwitterへ同時に投稿できるほか、Facebookへの投稿はTV SideViewから「いいね!」やコメントをつけられる。友人からFacebook上で投稿されたコメントもTV SideViewで確認できるため、友だち同士で気になる番組のコミュニケーションが可能だ。

「ナイス!」した番組をFacebookやTwitterへ同時に投稿できる
Facebookへの投稿をTV SideViewから確認
YouTubeアカウントでログインするとアカウントに紐付いてレコメンド表示

 YouTubeも自分のアカウントでログインすることで自分の視聴履歴や登録チャンネルに応じておすすめが表示される。また、検索機能もテレビ番組や録画済み番組はもちろんのこと、YouTubeや同一ホームネットワーク上の動画、Webサイト、映画データベース「iMDb」(別途アプリのインストールが必要)、Wikipediaなど多彩。テレビに留まらずさまざまな動画やその関連情報までまとめて楽しもうというスタンスが感じられる。

録画を超えてテレビを楽しむアプリ。価格も安くnasneユーザーにお勧め

 nasne対応のDTCP-IPアプリとしては最後発だが、ソニーのテレビやレコーダ向けに以前から提供されていたこともあり、ネットワークを意識させずに操作できるインターフェイスや、テレビを楽しむための関連情報、レコメンドなど、単なる視聴アプリではない、テレビを楽しむための機能が充実している。

 価格も安価ながら、視聴だけでなく録画予約も1つのアプリで完結できるという点も魅力的。宅外からの視聴はnasne側の対応待ちとなる。以前のソニーBDレコーダでのレビュー記事に詳しいが、90日に1回のペアリングが必要という条件はあるものの、録画済み番組だけでなく放送中のテレビも宅外から視聴できるのは魅力的で、nasneの早期のリモート視聴対応にも期待したい。

 充実した機能に安価な価格を考えると、nasne対応のDTCP-IPアプリとしては他のアプリよりも頭1つ出た存在。すでにnasne対応DTCP-IPアプリを購入しているユーザーであっても、録画予約やおすすめ機能、ソーシャル連携といった機能は便利に使えるだろう。

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甲斐祐樹