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【レビュー】「FlashAir」で、デジカメとiPhoneを連携

−デジカメを簡単に無線LAN接続、Safariで操作


FlashAir

 東芝が3月10日に発売した「FlashAir」(SD-WL008G)は、無線LANを搭載したSDHCカード。デジタルカメラで撮影した写真などを、ワイヤレスでパソコンやスマートフォンから見たりダウンロードできる製品だ。容量は8GBで、転送速度はclass 6。

 無線LANを使った写真の転送といえば「Eye-Fiカード」を思い浮かべる人も多いだろう。Eye-Fiはデジカメで写真や動画を撮ると、任意のPCやオンライン写真共有サービスなどに無線LAN経由で自動アップロードできるSDカード。「ダイレクトモード」を使用すれば、iPhone/iPadへ直接写真や動画を転送することも可能だ。

 また、2月には日立マクセルから「AirStash」という無線LAN内蔵SDカードリーダも発売された。この製品は、手持ちのSDカードを挿すことで、中の静止画などを無線LAN経由でiPhoneなどに表示可能。SDカードからiPhone、またはiPhoneからSDカードへ簡単にコピーでき、デジカメで撮った画像をSNSへアップロードするといった利用を想定している。

 これらに対してFlashAirの考え方はシンプルで、現時点でできるのは、SDカード内のファイルをiPhoneのSafariなどWebブラウザ上でプレビューして、コピーするということのみ。無線LANはIEEE 802.11b/g/nに準拠しているが、カメラから直接SNSサイトや共有サイトなどへアップロードすることはできない。Eye-FiやAirStashと違って、専用アプリを使わないのも大きな違いで、Webブラウザを使うため、iOS/Androidどちらでも同じインターフェイスで利用できる。もちろんPCのブラウザでも利用可能。なお、AirStashも専用アプリだけでなく、ブラウザからも閲覧/ダウンロードできる。

FlashAir
Eye-Fi(左)と、AirStash(右)


パッケージは普通のSDカードと同じシンプルなものだ

 価格はオープンプライスで、ヨドバシカメラやビックカメラなどの量販店のオンラインサイトでは7,000円弱で販売されている。一般的な8GB/class 6 SDHCカードは1,000円台でも買えるので、価格差は大きい。なお、Eye-Fiカードの8GBモデル(Eye-Fi Mobile X2)も、現在量販店などのサイトでは約7,000円前後のようだ。

 動作確認済みのカメラは、製品サイト内で案内している。一覧にある機種だと、静止画は全て対応となっているが、動画については「一部動作確認中」となっているモデルもあるので、手持ちのカメラが対応しているかどうか、購入前に確認しておくといいだろう。なお、NEX-7のように、FlashAirのファームを更新しないとSDカードとして認識できない機種も一部あるので注意したい。今回は、主にオリンパスの「E-P3」と、iPhone 4S、iPad 2/第3世代iPadを使ってレビューしている。



■ スマホ/タブレットだけで設定可能。操作もシンプル

カメラのSDカードスロットに入れる

 セットアップの方法は簡単。デジタルカメラなどのSDHCカードスロットに入れて、電源をONにした後、iPhoneなどで自動認識される無線LAN SSIDから「flashair_xxxxxxxxxxxx(12ケタの英数字)」を選んで、取扱説明書に書かれた出荷時のセキュリティーキーを入力。

 その後、Safariで「http://flashair/」にアクセスすると、カード内のファイルが表示される。ブラウザ上でSSIDや、パスワードの変更も行なえる。なお、SSID/パスワードの変更ができるのは、最初にログインした端末のみ。このログイン端末を別のものにしたい場合は、FlashAirのカード自体をPCで初期化することで可能になる。


iPadでの設定例。flashair_xxxxxxxxxxxxと書かれたSSIDを選ぶ デフォルトのパスワードを入れて(説明書に記載)ログイン 任意のSSIDとパスワードに後から変更できる

 PCを使わずにスマートフォン端末だけでも基本的な機能は使えるが、東芝がサイト内で公開しているPC用のセットアップソフト「FlashAir Tool」を使うことで詳細設定が可能。「自動起動モード」は、カメラの電源をONにすると無線LAN接続を開始するもので、デフォルトではONになっている。「無線LAN起動画面を使って起動する」にすると、カメラ側の操作で無線LAN接続するかどうかを決めることが可能。具体的には、「100_TSB」というフォルダ内にある静止画のプロテクトがかかっている状態(デフォルト)だと無線LAN通信もON、プロテクトを切ると無線LANもOFFになる。バッテリの消費を抑えたい場合は、この切り替えを使うと便利だろう。

 そのほか、FlashAir Toolでは、カードの自動起動のタイムアウト時間(1/3/5/10分)が設定可能。カードのファームアップデートや、初期化もこのソフトで行なう。

購入時のファームでは、NEX-7に対応していなかった 同社サイトで配布しているPCソフトの「FlashAir Tool」 ファームを更新したところ、NEX-7でも使えた

 設定が済んだところで、カメラで静止画を撮影して、iPad(第3世代)でSafariを開いて画像を表示した。ブラウザ上にサムネイルが表示され、タップすると拡大表示される。写真は撮影日付で区切って表示された。

 今回は、E-P3でJPEGの最大サイズ「LF」モード(4,032×3,024ドット)で撮影。PCのInternet ExplorerでFlashAirのファイルを開くと同じ解像度の表示となったものの、第3世代iPadで表示すると、解像度は1,008×756ドットにリサイズされていた。この解像度はiPhone 4SでもiPad 2でも同じだったので、おそらく一律なのだろう。タブレットやスマートフォンの画面では大きな問題はないと思うが、撮った画像の細かいチェックを考えているなら、フル解像度でないことは留意しておきたい。

 拡大後、さらにタップで長押しすると「画像を保存」または「コピー」が選べるので、保存するとiPadなどの写真(カメラロール)に保存。コピーするとメールなどにペーストできる。保存した画像をiPhotoで開いたところ、元の解像度である4,032×3,024ドットで保存されたことが分かった。なお、フォルダ内の静止画の一括ダウンロードや、複数選択してまとめてダウンロードするということはできない。

iPadで表示した画面 iPhoneでの画面 Androidタブレット「ARROWS Tab Wi-Fi」で表示したところ
iPhoneなどで画像をコピー/保存できる 第3世代iPadでも、表示解像度は756×1,008ドットとなっていた 保存すると、元の解像度のファイルがカメラロールに残っていた(画面はiPhotoで開いたもの)

 次に動画も試した。E-P3ではAVCHDとMotion JPEG(AVI)で撮影できるが、Safari上では、当然どちらも再生はできない。しかし、手持ちのアプリ次第でダウンロードが可能だ。例えば、Motion JPEG動画を開こうとすると他のアプリを起動するように促され、筆者の手持ちアプリでは「Share Player」、「Evernote」、「Dropbox」、「ServesMan」などが表示された。

 その中からDropboxを選ぶと、動画のダウンロードが始まり、ダウンロードが完了するとDropbox上で動画が再生された。EvernoteやShre Playerなど他のアプリの場合も、同様に再生が行なえた。

 AVCHDの場合、EvernoteやDropboxなどは立ち上がらず、筆者の手持ちのアプリではServersManのアプリのみが使えた。実際はダウンロードするだけで再生は行なえないが、とりあえず保存することだけはできた。なお、こういった動作は、Safari標準の機能なので、FlashAirに限ったものではない。なお、FlashAirに接続したまま3Gなどのデータ通信は使えないので、EvernoteやServersManといったオンラインサービスへアップロードするには、一度FlashAirとの無線LAN接続を外す必要がある。

 ブラウザでの表示は、DCIMフォルダなどカード内のフォルダ構造がそのまま見えるため、AVCHDファイルの場所なども探せる。なお、サムネイルが表示できるのは静止画ファイルのみだったが、ソニー「NEX-7」で撮影したMP4動画については、自動生成された同名のサムネイルファイル(.THM)も開くことができた。MP4動画やTHMファイルそのものをサムネイル表示することはできないが、動画を再生する前にTHMファイルを開けば、どんな動画かは判別できる。なお、ブラウザ上でファイルを削除することはできない。

Motion JPEG動画(AVI)を開こうとすると、他のアプリを開くように促された Dropboxでダウンロード後、再生している画面
AVCHDのMTSファイルは、ServersManでダウンロードした ServersManへアップロード後、iPadアプリから見たところ。再生はできない NEX-7のMP4動画のサムネイルファイルも開くことができた

 試しに手持ちの音楽ファイルもFlashAirに入れてみると、ブラウザから再生できるファイルは再生できた。今回試したところでは、MP3を選ぶとSafari内でQuickTime Playerが立ち上がって再生できたが、AACやWAVは再生できなかった。PCのブラウザ(Internet Exploror使用)だと、Windows Media Playerなどブラウザ側で設定したプレーヤーが起動し、AAC/WAVファイルも再生できた。また、テキストファイルや、自分で作ったWord/Excelは開くことができたが、保護されたWord/Excelや、PDFは開くことができなかった。この辺りはブラウザの仕様に沿っているのだろう。

 そのほか、iPhone/iPadの標準ブラウザであるSafari以外でも試したところ、SleipnirやiCab Mobileでは同様に表示できたが、OperaではiPad/iPhoneともに表示できなかった。

 FlashAirとiPhoneなどの通信は、カードを入れたカメラがスタンバイになると途切れるため、再接続したい時にiPhoneが他の無線LANにつながってしまうと、もう一度、設定画面でFlashAirのSSIDを選び直す必要がある。このため、ある程度長い時間ネットワーク接続したい場合は、デジカメのスタンバイまでの時間を長めに設定しておくといいだろう。

MP3をブラウザで再生 テキストファイル Wordファイル


■ アプリや対応デジカメの登場にも期待

FlashAir、Eye-Fi、AirStashそれぞれに良さがある

 結局のところ、冒頭に挙げた「Eye-Fi」や「AirStash」と比べてどれがいいかと問われると、「使う人が何を重視するかによる」という当たり前の回答になってしまうが、筆者の場合はFlashAirの“すべてマニュアルで操作する”ということが気に入っている。


【4月5日訂正】
記事初出時、「Eye-Fiのダイレクトモードは一括転送するもの」と記載しておりましたが、選択転送が可能でした。訂正してお詫びいたします。

【4月6日訂正】
Eye-Fiに関する記述を削除しました。

AirStashのアプリ画面。対応動画の再生もアプリから行なえる

 AirStashは、アプリとブラウザという両方の選択肢があって、アプリでは動画/静止画のコピーが簡単にでき、iPhoneからSDカードへコピーするときは複数選択も可能だ(SDからiPhoneの場合は複数選択できない)。また、FlashAirでは現在行なえないファイルの消去も可能。動画は対応ファイル(m4v/mp4/mov)の場合、アプリで直接再生できる。さらに、ブラウザを使えば、FlashAirと同等のことが可能。大きな不満は無いが、リーダー自体も充電が必要(約7時間動作)なことと、SDカードを挿しかえる手間が要るということが他と異なる。ただ、逆にこれがAirStashの利点でもあり、既に高速転送/大容量SDカードを持っている人は、それを活用できるAirStashの方が便利だと感じるかもしれない。

 今回のFlashAirは、Eye-FiやAirStashに比べると現時点でできることは少ないが、デジカメにカードを入れたまま、iPhone/iPad/Android端末で簡単にアクセスして中の写真を見たり、“いま必要な写真だけ”をダウンロードできる。接続は1対1ではなく、アプリのダウンロードも不要なので、写真を撮った後、その場にいる複数のスマホユーザーへ簡単に写真を配ることもできる。また、今回試した限り、周りに他の無線LANが複数あっても、FlashAirにつながらないということはなかった。

 無線LAN搭載SDカードについては、SD Associationが策定中の「Wireless LAN SD」という標準規格も発表されている。まだ同規格は最終仕様が発表されていないが、東芝によれば「1月のCESで発表された時点の仕様にFlashAirは沿っている」としており、全くの独自規格という路線はとらないとのことだ。

 一方、動画に関していえば、AirStashのアプリだと簡易再生できるが、FlashAirだと一旦保存する手間などがやや煩わしく感じる。ただ、動画はスマホへのバックアップ用と割り切って使えば、フォーマットによる対応/非対応は無いので、取り急ぎの保存方法としては十分ともいえる。筆者が考える、FlashAirを使うかどうかの決め手は以下の3点だ。これらのポイントを重視するなら、FlashAirは十分役立つといえる。


  • 写真を多く撮って、必要な数枚のカットだけすぐに保存/活用したい
  • 動画などのファイル形式を気にせず、とりあえずバックアップを取っておきたい
  • その場にいる他のスマートフォンユーザー(または手持ちの複数の端末)と、機種を問わず簡単に写真などを共有したい

 

 製品発表時にアナウンスがあったように、今後対応デジタルカメラなどの機器間でダイレクトにファイルの送受信ができるようになれば、さらに便利になっていくだろう。この使い方は、実際にカメラメーカーからの要望もあったとのことで、東芝によれば、国内のほとんどのカメラメーカーと既に話し合いを持っているという。

 そのほか、ファイルを複数選択して一度にコピーする機能についても検討中としている。また、クラウドサービスへのアップロード/ダウンロードなども対応予定とのことで、実現を期待したい。こういった連携機能が今後充実して、今のシンプルな使い方と、多様な共有方法のどちらも可能になれば、デジカメからのワイヤレス転送方法としてさらに便利になりそうだ。

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(2012年 4月 5日)

[ Reported by 中林暁 ]