レビュー

iPhone/iPadで地上デジタル放送が見られる「ポケットフルセグ」

チューナとワイヤレス接続で取り回しの良さが魅力

ポケットフルセグとiPhone 5s

 ソフトバンクBBが3月14日に発売した「ポケットフルセグ 録画対応テレビチューナー」は、12セグ/ワンセグの地上デジタル放送をiPhoneやiPadで視聴できるポータブルチューナー。オープンプライスで、SoftBank SELECTIONでは12,720円で販売されている。対応機種はiPhone 5/5s/5cと、第4世代iPad、iPad Air、iPad mini Retina。

 iPhone/iPadからポケットフルセグへ無線LANで接続することで、iPhone/iPadには端末を装着することなく単体で視聴できるのが特徴。本体には2,500mAhのリチウムポリマバッテリを内蔵しており、電源ケーブル不要で動作するほか、iPhoneのモバイルバッテリーとしても利用可能だ。別売の外付けアンテナを用意すれば、室内ではより安定した画質でテレビを楽しむこともできる。

 本体サイズは約116×72×16mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約130gで、成人男性の手のひらに乗る程度の大きさ。iPhone 5sと比べて厚みは倍近いが、縦幅は若干コンパクト、横幅もやや大きい程度で、ポケットにも十分収まる小型サイズだ。

ポケットフルセグ
パッケージ
同梱品
ポケットフルセグの前面
本体にロッドアンテナ装備
側面

 microSDカードスロットを搭載しており、microSDカードへの番組録画も可能。microSDカードスロットはSDHC/SDXCに対応し、64GBのmicroSDXCを利用すれば最大で6.4時間まで番組が録画できる。テレビを視聴できるのは同時1端末のみだが、録画した番組は複数の端末から視聴可能だ。

 本体上部には電源ボタンと本体の状態を表すバッテリー残量表示ランプを搭載。本体左側面にはminiB-CASカードスロットとmicroSDカードスロット、リセットボタン、本体右側面にはロッドアンテナ、本体充電用のmicroUSBポート、iPhoneを充電するためのUSBポートのほか、別売の外付けアンテナを接続できる3.5mmミニジャックが用意されている。

USBやアンテナ入力など
miniB-CASカードスロットやmicroSDスロットを装備
背面

チューナーのSSIDにiPhone/iPadから接続するだけのシンプル設定

アプリ起動時はかならずロゴが表示される

 本体の設定は非常にシンプル。まずは準備として本体に同梱されているminiB-CASカードを本体に装着し、App Storeから専用アプリ「ポケットフルセグ」をiPhone/iPadにインストールしておく。準備ができたら本体上部の電源ボタンを約2秒長押しし、ランプが緑色に点灯するのを確認したら、iPhoneの無線LANから「SBTV」で始まるSSIDを選択し、背面に記載されたキーを使ってポケットフルセグへ接続する。あとはアプリを起動すれば利用が可能だ。

 初回接続時はロゴに続いて設定ガイドが表示されたのち、チャンネルサーチを実施。チャンネルサーチの後に表示される操作ガイドを確認したらアプリが使用できるようになる。2回目以降に利用する場合は操作ガイドまでの手順をスキップし、ロゴ表示に続けてテレビを視聴することが可能だ。

初回に表示される設定ガイド
ポケットフルセグへ無線LAN経由で接続
チャンネルサーチ

日本語表示でわかりやすい操作画面。バックグラウンド動作は不可

再生中の画面

 操作は画面下部にボタンが並び、すべて日本語で説明が書かれているのでわかりやすい。操作でほとんど迷うことはないと思うが、録画に関しては設定画面からmicroSDカードの初期化が必要なため、いざというときに録画できないということがないよう事前に行なっておこう。

 再生中は電波をフルセグ優先またはワンセグ固定の2種類から選択できる。フルセグ優先の場合も電波が弱い場合は自動でワンセグに切り替わるが、電波が不安定なエリアでは最初からワンセグ固定にしておけば安定した視聴が可能だ。このほか、字幕の切り替えや主音声と副音声の切り替えなど基本的なテレビ機能も搭載している。

 電波が良好な状態でアプリを起動してから視聴を開始するまでの時間は、iPhoneからポケットフルセグに接続し、さらにチャンネルを選局して再生するまで約18秒。フルセグ搭載Androidの「ARROWS NX F-01F」ではアプリを起動するとすぐに選局を開始するため、7〜8秒程度で再生が可能になるが、ポケットフルセグへ無線LAN経由で接続するという仕様上この程度の時間は仕方がないところだろう。実際に使ってみても許容範囲内の起動時間だと感じた。

フルセグ優先とワンセグ固定は設定からも切り替えられる
microSDカードはフォーマットが必要

 ただし、アプリはバックグラウンドの動作に対応していないため、一度でもホーム画面を表示したり、他のアプリに切り替えた場合は再度接続しなければならない。また、無線LANでポケットフルセグに接続する仕様上、iPhoneの場合はネット接続が3G/LTE経由になり、3G/LTE非対応のiPad Wi-Fiモデルでは同時にネット接続することができない。フルセグを視聴する際は他のことをせずテレビ視聴に専念する必要がある。

ワイヤレスは便利ながら画質に難あり

チューナーを電波状況の良い場所に設置しておけば好きなところでテレビが見られる。ただし、フルセグ内蔵スマホよりも感度は劣っている

 肝心の地上デジタル放送視聴に関する使用感だが、ポケットフルセグならではの特徴であるワイヤレスは非常に便利。フルセグ搭載Androidの場合は本体そのものが電波良好な場所にいる必要があるため、視聴エリアが窓際などに限定されることもあるが、ポケットフルセグであれば電波感度の良い窓際などに本体を置いておき、自分はポケットワンセグの無線LANが届く範囲であれば自由な場所で視聴できる。

 一方で電波感度そのものはさほど高くない。筆者の自宅ではフルセグの電波感度が比較的良好で、本来ならフルセグ視聴に外付けアンテナが必要なARROWS NX F-01Fでもアンテナを接続せずすべてのチャンネルが室内で視聴できている。一方、ポケットフルセグは窓際に本体を設置した状態でも視聴できないチャンネルがいくつかあった。受信感度については改善が必要と感じる。

 再生される映像は1,280×720ドットの720pとなるため、フルセグに比べると文字がにじんで表示されたりと劣る面はあるものの、画面サイズが4インチのiPhoneで視聴する分には必要十分。問題はフレームレートで、ARROWS NX F-01Fと比較して明らかにカクツキを感じる。ソフトバンクBBによれば、フルセグでは30fpsになるのことだが、体感としてはワンセグと同程度の15fpsくらいのように見える。視聴に問題があるほどではないものの、Androidのフルセグに慣れていると見劣りしてしまうのが正直な感想だ。映像をタッチするとメニューの表示・非表示を切り替えられるほか、アプリを横表示している際はメニューを非表示すると自動的に画面が最大化される。また、縦持ち時は画面上部に表示される「web」アイコンをタッチすると、画面下部にブラウザを同時に表示することができる。

視聴時
Webの同時表示

 なお、音声はiPhone本体またはイヤフォン経由でのみ出力可能で、Bluetooth経由での出力は非対応。外出先などで音が出せない場所ではBluetoothではなく本体に直接イヤフォンを装着する必要がある。

録画機能は簡易的。複数端末での視聴にも対応

録画はチャンネルごと表示される番組表から選択

 番組の録画は前述の通りポケットフルセグに装着したmicroSDカードをアプリから初期化した上で、アプリ下部の「番組・予約」から行なえる。番組の選択はいわゆる番組表ではなく、現在表示している放送局の番組を日別に表示する仕組み。そのため視聴したい番組がどのテレビ局で放映しているかを把握している必要がある。また、録画は1回のみで、繰り返し録画機能は搭載していない。

 録画の際は画質をフルセグとワンセグ2種類から選択可能。フルセグの場合、1時間当たり10GBの容量が必要なため、microSDカードの容量がさほど大きくない場合やたくさんの番組を録画したい場合はワンセグのほうがいいだろう。

 ワンセグ視聴中は録画予約ができないほか、フルセグで録画する場合は同時に番組を視聴することができないなど、録画中の機能には制限が多い。とはいえリアルタイムで見られないから録画するという一般的な使い方であれば基本的には問題ない。

録画時に画質を選択できる
フルセグ録画時にはアラートを表示

 録画番組の再生時はスライダーで再生位置を指定できるほか、30秒単位での早送り/早戻しが可能。また、テレビ視聴時と同様、縦表示時は画面下部にブラウザを同時に表示することも可能だ。

録画番組の一覧画面
録画番組の再生画面
起動時は必ずチャンネルサーチが走る

 また、録画した番組はポケットフルセグをインストールしたiPhone/iPadであればどの端末からでも視聴可能。自宅ではiPadを使って録画操作を行なっておき、外出時にはiPhoneとポケットフルセグを持ち歩いて移動中に視聴する、という使い分けもできる。

 気になったのはポケットフルセグが起動する際の動作。ポケットフルセグは起動時かならずテレビのチャンネルサーチを実施するため、最初から録画した番組を見たい場合でもスキャンが終了するのを待たなければならない。また、アプリはポケットフルセグと接続していない状態では起動すらできないため、アプリ内のマニュアルを読むこともできない。このあたりはひとまずアプリだけ起動し、その後テレビや録画、マニュアルなど好きなものを見られるようにして欲しいところだ。

いざというときのモバイルバッテリー機能が便利

 ポケットフルセグをモバイルバッテリーとして使用する場合は、ポケットフルセグの電源をオンにした状態で側面のUSBポートに充電ケーブルを接続と自動的に充電を開始する。出力は1.0Aで、iPhone 5sのほか手持ちのARROWS NX F-01Fも充電可能だったが、iPadは充電に2.1Aを要するため充電できない。また、スマートフォンを充電している際は本体の充電を同時に行なうこともできない。

 2,500mAhという容量は大容量化が進むモバイルバッテリーと比べるとさほど大きい容量ではないが、いざというときの予備バッテリーとして使えるのはありがたい。また、モバイルバッテリーとして普段から携行しておけば、テレビを見たいという時にポケットフルセグを家に忘れる、という事態も防げるだろう。

外出時にテレビを見たいiPhone/iPadユーザー向け

 iPhoneやiPad本体に何も接続することなくワイヤレスで視聴できる点では非常に便利だが、実際に使ってみると使いにくいところも多い。アプリ内のブラウザ表示はできるとはいえ、マルチタスクで他のアプリを使うたびにアプリが再起動し、無線LAN回線もポケットフルセグに接続する必要があるため、フルセグを視聴する時はほぼ他のことが何もできない状態になる。画質に関してもトランスコードされているためフルセグ本来の画質ほど高くはない。

 自宅内で電波感度の良い場所に設置しておき、好きなところでテレビを楽しむという使い方もあるが、12,720円という本体価格は、あと数千円出せばnasneの500GBモデル(16,980円)が購入できるほどの価格だ。nasneでは、テレビ視聴も録画もスマホで視聴でき、外出先からリモート録画予約もできる多機能さを考えると、自宅内だけで使うには、ポケットフルセグのコストパフォーマンスはさほど高くなない。

 こうした状況を踏まえるとポケットフルセグが活きるのはやはり屋外での視聴だろう。普段はモバイルバッテリーとして持ち歩き、好きなときにテレビが見られるというのは、テレビ機能をそもそも持たないiPhoneにとっては魅力的な付加価値と言える。720pという画質も外出先で楽しむには十分な程度だ。製品のスペックに対してある程度の割り切りと明確な使い方を描ける人向けの製品と感じた。そのためにも受信感度やアプリの操作性改善などを望みたい。

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ポケットフルセグ

甲斐祐樹

Impress Watch記者から現在はフリーライターに。Watch時代にネットワーク関連を担当していたこともあり、DTCP-IP周りのネット連携や動画配信サービスなどが興味分野。ライター以外にもネット家電ベンチャー「Cerevo」スタッフとして活動中。個人ブログは「カイ士伝」)