◇ 最新ニュース ◇
【Watch記事検索】

【スマホLIFE】レコーダ録画番組をDTCP-IPで家庭内転送! 「Twonky Beam」

タブレット/スマホをTVに。なぜかライブ転送も!


Twonky Beam

 スマートフォンやタブレットの普及が進む中、多くの家電メーカーが手がけるのが「録画番組をタブレットで見る」という提案。家庭内であれば、テレビの設置場所に縛られずに、寝室やお風呂(防水対応であれば)などで録画番組を見られることから、自社のレコーダとタブレット機器のスマートな連携を構築し、その魅力や使い勝手を訴求している。

 こうした、デジタル放送番組のホームネットワーク配信のためには、レコーダとタブレットの双方が著作権保護方式の「DTCP-IP」に対応している必要がある。しかし、スマートフォンやタブレットにおいては、ハードウェア側でDTCP-IPに対応している製品がまだ少なく、DTCP-IP対応機器は、ほぼ国内メーカーだけといっていい状況だ。例えばASUSやAcerのタブレットや、SamsungのGALAXYシリーズなどはDTCP-IP非対応だ。こうした機器では、上記のような「レコーダとの連携によるセカンドテレビとしてのタブレット/スマートフォン利用」ができないわけだ。また、取材などでも「DTCPの暗号鍵管理などで基本的にハードウェアでの対応が必要」と聞いていたため、筆者も「ソフトウェア追加によるDTCP-IPサポートはできない」と認識していた。

 そんな中、5月のNTTドコモの新製品発表会でひっそりと発表されていたのがパケットビデオの「Twonky Beam」。DLNAレンダラー(再生機器)への再生指示やDLNAプレーヤー、DLNAサーバーとして利用できるアプリだが、これがDTCP-IPにも対応したのだ。ドコモの新機種「ARROWS X F-10D」など6モデルにダウンローダがプリインストールされるほか、このTwonky Beam自体はGoogle Playで無料で提供されるため、ドコモ以外のキャリアの端末でも利用できる。ただし、DTCP-IPへの対応は4.0以降に限定される(アプリとしてはAndroid 2.2以上で利用可能)。

 DTCP-IP対応機器の大幅な拡大を予感させるTwonky Beam。今回はDTCP-IP非対応のスマートフォンやタブレットを使って、デジタル放送番組視聴を試した。


■ DTCP-IP非対応タブ/スマホでも、レコーダの録画番組を再生可能!

レコーダ ソニー「BDZ-AX2700T」とMOTOROLA「XOOM TBi11M」、「GALAXY Nexus」

 Twonky Beamの動作条件は、DTCP-IP利用ではAndroid 4.0以降で、スマートフォン側でMPEG-4 AVC/H.264映像とAAC音声が再生できることが必要条件。今回は、4.0対応でDTCP-IP非対応のスマートフォン「GALAXY Nexus」と、タブレットMOTOROLA「XOOM TBi11M」を用意。レコーダはソニーの'11年モデル「BDZ-AX2700T」でテストした。


GALAXY Nexus XOOM TBi11M BDZ-AX2700T
AX2700Tのホームサーバー設定が必要。クライアント登録方法を[自動]にしないとコンテンツリストが出てこない

 Twonkey Beamを各端末にインストールするほか、レコーダ側の設定も必要。AX2700Tのホームサーバー設定でサーバー機能を[入]とし、クライアント登録方法も[自動]とした。クライアント登録を行なっていないとコンテンツリストが出てこないので要注意だ。これらの設定により、Twonky Beamから録画番組のリスト表示が可能になる。

 GALAXY NexusでTwonkyを利用する際には、右上のWi-Fi風のデザインのアイコンを押すことでサーバー選択画面に移行。これにより、AX2700Tサーバー上の[ビデオ]、[フォト]などのコンテンツにアクセスできる。ビデオ内には録画済みの番組がリストで表示される。

トップページ。右上のWi-Fi的なボタンを押すとサーバー一覧画面に BDZ-AX2700Tを選択 ビデオ、フォト
ビデオ内はジャンル、フォルダ、全て、ライブチューナー(後述)で分かれている 録画番組一覧 再生デバイスとして[本デバイス](GALAXY Nexus)を選択

 なお、アプリには映像のトランスコード機能を備えていないため、DRモード(MPEG-2 TSストリーム記録)番組をスマートフォンで再生する場合、レコーダ側でMPEG-4 AVC/H.264に変換する必要がある。そのため、レコーダの「番組持ち出し機能」で持ち出し用ファイルを(AVC映像とAAC音声)を作成しておき、それをTwonkyが読み込む形となる。

 また、今回利用した「BDZ-AX2700T」など、ソニーの'11年以降発売のレコーダと接続した場合は、Twonkyからの再生指示を受けた時にレコーダ側が自動で720pのAVCに変換し、スマートフォンに転送してくれる。

 GALAXY NexusでTwonky上から番組を選択すると、8〜10秒程度で再生開始。レスポンスが良いとはいえないが、利便性を考えれば十分納得できる。シークバーを使ったスキップなども可能で、これも数秒待たされるものの大きな問題とは感じなかった。

 本来であれば、おでかけ転送用ファイルと、レコーダのリアルタイム変換でレスポンスが違うか検証したいところ。ただ、AX2700Tで録画したどの番組を再生しても、レスポンスはそれほど変わらなかった。というのも、今回はAX2700Tのおでかけ転送用ファイル作成のON/OFFで比較してみたのだが、パケットビデオやソニーのWebなどで設定案内などがされているわけではない(上記の情報は発表会場や電話取材で確認)ので、この設定が正しい比較なのか今ひとつ自信が持てない。また、他のレコーダの対応状況なども試してみないとわからなそうだ。このあたりは、今後の課題といえるだろう。

 画質は良好で、GALAXY Nexusのディスプレイ(4.65型/1,280×720ドット有機EL)でもHD解像度と感じられた。また、10.1型/1,280×800ドット液晶の「XOOM TBi11M」でもノイズはほとんど気にならず、人の肌目やグラデーション、字幕の輪郭なども破綻は見受けられない。また、モニターの視聴距離が近いため、テレビで見る以上の解像感が味わえる。画質面での不満は全くないといえる。

GALAXY Nexusの再生画面 XOOM TBi11Mで再生
Android 3.2のARROWS Tab Wi-FiではTwonky Beamによる再生はできなかった

 なお、DTCP-IP対応のAndoroid 3.2端末である「ARROWS Tab Wi-Fi」にTwonky Beamを入れてAX2700T内の番組再生を試みたが、「非対応機器」とのメッセージが表示され、再生できなかった。ただし、ARROWS Tab Wi-Fiにプリインストールされている「DiXiM Player」を利用すれば問題なく再生できる。


・あれ? 放送転送(ライブチューナー)も?

ライブチューナで、放送中の番組をスマートフォン/タブレットでも視聴可能

 また、気になったのは「ビデオ」の中に「ライブチューナ」という項目が出ること。ここを選択すると、各チャンネルで現在放送中の番組名がリスト表示される。ここで番組を選択すると、なんと放送中の番組がスマートフォン/タブレットで視聴できてしまうのだ。大手メーカーのレコーダやタブレットでいうところの「放送転送」が実現されているのだ。

 受信開始まで10秒ほどかかるほか、テレビ放送に比べて約6〜8秒ほど遅れての表示となるが、画質も十分高品位で録画番組と同等。ネットワーク経由で転送されているとは思えないほど。Twonky Beamのニュースリリースや更新履歴においてもライブチューナ機能への言及がなかったので、全く想定していなかったが、これはうれしい誤算。もしかしたら、レコーダ本体のAVC変換転送に対応しているソニーのレコーダのみの機能なのかもしれない。



■ DTCP-IP再生を“当たり前”にするTwonky。課題は“対応機器情報”

 ハードウェア的にDTCP-IPに対応していない機器でも、Android 4.0であればDTCPサーバーのデジタル放送番組を視聴できるようになる、というこれまでに無い魅力的なアプリ。これが無料で手に入るというのだから、DTCP-IP非対応タブレット/スマートフォンのユーザーには福音といえるだろう。

 Twonky Beam自体はYouTube動画の無線LAN伝送やDLNAサーバーなど豊富な機能を持っているだけに、インターフェイスが若干わかりにくい点もある。だが、それを補ってあまりあるほど、魅力がある。こうしたアプリの登場を歓迎したい。

 ただし、懸念点もある。それはアプリそのものではなく、使い方や対応機器の組み合わせなどに不明点が多いことだ。現時点では、レコーダメーカーが公式にサポートするアプリではないので、レコーダの録画時にどういう設定にするべきなのか、といったことや、配信までの設定手順などの案内が無い。また、そもそもDLNA/DTCP-IPの仕組み自体が多くの人にとってわかりにくい部分でもある。自分のレコーダで使えるか、否かを判断できる人はそう多くないように思える。Google PlayのTwonky Beamのページのコメントを見てもかなり混乱している人が多そうだ。

 レコーダやタブレットのメーカーとしては、サポートのコストなどを考えると、なかなか自社製品の組み合わせ“以外”を公式なサポート対象とするのは難しい。そのため、こうした情報は出しにくいかもしれない。この点については、引き続き弊誌でもテストを行ないたいと思う。とはいえ、Twonky Beamは、ドコモが今後のAndroid端末で標準的に組み込むアプリになると予想される。端末の数が増えてくれば、レコーダメーカーの側でも対応や情報公開が進むかもしれない。現時点では、“上級者向け”なアプリかもしれないが、これまで自分の端末でできなかった、できないと思われていたことが“できる”というのはとても嬉しいことだ。Twonkyの登場を歓迎するとともに、今後の環境整備にも期待したい。


【Twonky Beam】
(Google Playで見る)
発売元 パケットビデオ
対応機器 Android 2.2以降
DTCP-IP対応は
Android 4.0以降
バージョン
(公開日)
version 3.1.0
(2012年6月12日)
価格 無料

(2012年 6月 15日)

[ Reported by 臼田勤哉 ]