ミニレビュー
ゲオの2178円Bluetoothスピーカーは価格破壊か? 「大人の作業用」にアリかも
2025年7月17日 08:00
ゲオからBluetoothスピーカーの新モデルが登場したが、その安さに驚かされた。なんと2,178円(税込)。しかも左右別筐体になっていて、かつ見た目も良さそうだ。
これで性能が良ければまさに“掘り出し物”。失敗しても財布へのダメージは少ないので、試しに買ってみた。
想像以上に軽くて小さい
製品名は「PC用 Wood調コンパクトスピーカー」(型名:GRLOE-SPK SPA20)。“大人空間を演出するアイテムとして選んでいただけるもの”というコンセプトを掲げ、書斎などに合うよう木目調のデザインが採用されている。
実物を見てみると、失礼ながら想像以上にちゃんとしていた。チープさがまったくないとまでは言えないが、いわゆる安価なPCスピーカーよりはオーディオライクだ。
手で持つと、とにかく軽い。測ってみると片chの質量は約395gほどだが、見た目が重厚なブックシェルフスピーカーのようなので、その数値以上に軽く感じる。サイズも約90×90×135mm(幅×奥行き×高さ)とコンパクトだ。
13インチのMacbook Airと並べてみると、オーディオブランドのUSB-DAC搭載アクティブスピーカーよりもふた回りほど小さいように思う。
小型軽量であることはメリットなことも多いが、さすがに不安になるレベルで小さく軽い。一方で、底面にはフェルト素材と思われるインシュレーターが接着されており、一応の振動対策が考えられているようだ(傷つき防止のためかもしれないが)。
搭載ユニットはφ50.8mmのフルレンジが1基。最大出力は3W×2と決してパワフルではないが、よほどのことがなければボリューム不足に悩まされることはないだろう。
ちなみに、説明書には「工場出荷状態では音量が約100%になっておりますので調整してください」という記載がある。Bluetooth接続の場合はプレーヤー側のボリュームも関係するため、いきなり爆音が出る可能性は低いのかもしれないが、正直この仕様は改善の余地があるように思う。
接続はワイヤレスと有線の両方で行なえる。ワイヤレスはBluetooth 5.3に準拠し、コーデックはSBCのみ対応。有線は本体から伸びるケーブルで、AUX接続が可能だ。ケーブルには操作リモコンがついていて、電源のオン/オフ、接続切り替え、ボリューム調整が行なえる。また、電源はUSBケーブル(端子はUSB-A)から供給することになる。
このケーブルは脱着式ではなく、「左右スピーカー←→操作リモコン←→AUXおよびUSBケーブル」という具合に操作リモコンを間に挟んで2本ずつ伸びているため、ちょっと邪魔だ。スピーカー間をつなぐ1本と、マスター側のスピーカーに電源供給するためのUSBケーブル1本、AUXは脱着式という構成になっていればまだスッキリしそうだが、せっかくデザインにこだわっているだけに惜しいポイントといえる。
2,178円(税込)でも意地を見せているサウンド
それでは、MacBook AirとBluetooth接続して、音質をチェックしていこう。
まず第一印象としては、音が薄い。バランスは中域がやや盛り上がったピラミッド型だが、中域に厚みがあるというわけではなく、低域と高域がスカスカな結果というイメージ。
こう書くとネガティブにしか受け取られないだろうが、実のところは、それほど悪い印象はない。なにしろ2,178円(税込)。コストをかけられない中で、「とりあえずブーミーにしてごまかそう」、という方向にしていない事は評価したい。
また、左右筐体の置き場所と角度をちゃんと調整すれば、一体型のBluetoothスピーカーと比べて立体感は出せるのも良い。
ただ、解像感が足りず楽器の描き分けなどは難しいので、音数が増えるとごちゃっとして聴こえるのは否めない。
向き不向きがハッキリとある。ボーカルが強調されるので、小音量でも聴き取れるのは良い。インストゥルメンタルは壮大なオーケストレーションや、ブリブリのウッドベースなどは再現が厳しいが、ピアノ・ソロなどは音が限定される分だけ清らかに感じられる。
逆に、低域が弱いので、バンドサウンドではベースが聴こえず、ドラムスは痩せ、エレキギターは「ジャキジャキ」ではなく「シャキシャキ」としている。これが現代的なエレクトロサウンドが多様された楽曲になると、もはや音が足りなすぎて別の曲のように聴こえる。
総じて、音数が少なかったり静かなテイストの楽曲が向いているだろう。
自分だけのデスクトップ空間に置くならアリ?
本機をひと言で表すなら、「作業用BGMスピーカー」ではないだろうか。音量を絞って、作業のお供にうっすらと音楽を流す。そんな使い方がピッタリだ。
でも、例えばテレワークをしながら音楽を鳴らすなら大きな音は鳴らさないだろうし、デザイン的にも「書斎など上品な雰囲気を出したい空間に最適」というブランドのアピールに沿っている。音質的にはメインスピーカーとしては力不足ではあるが、デザインや価格を考えれば、サブで置いておくにはちょうど良いかもしれない。