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第142回:画質に死角なしの3D対応新プロジェクタ

3D映画も高画質/コントラスト ビクター「DLA-X7」



DLA-X7。3Dメガネとトランスミッタは別売だ

 プロジェクタの世界にも3D(立体視)の流れがやってきた。

 2011 International CESでも、三菱のSXRD採用3D機「LVP-HC9000D」やシャープのDLP方式の3D機「XV-Z17000」が発表されるなど、3Dテレビ発売ラッシュの余波は、今やプロジェクタ製品に及びつつある。

 今回紹介するビクターの「DLA-X7(84万円)」も、同社初の3D対応機だ。ビクターのプロジェクタと言うことで、当然、同社独自の反射型液晶パネル「D-ILA」を採用したモデルになる。

 昨年2010年最後の大画面☆マニアで紹介したソニーの「VPL-VW90ES」のライバルと目される3Dプロジェクタということもあり、注目度が高い。その実力をじっくりと検証してみることにしよう。なお、今期のDLA-Xシリーズは、低価格モデルのX3と選別モデルのX9が用意されているが、主要機能の数々はX7と共通なので参考にしてほしい。



■ 設置性チェック 〜左右対称の筐体デザインに先祖返り。「スクリーン補正モード」搭載

DLA-X7。従来の筐体より大きく、設置時の存在感はかなりのものだ

 前機種のDLA-HD950/750/550/350で2年間使い続けてきた左右非対称型の尖った前衛的なデザインの筐体から決別し、今期のDLA-Xシリーズはオーソドックスな左右対称デザインに立ち戻った筐体を採用している。見た目としては個性が薄れたが、逆に落ち着いた雰囲気を醸し出されている。なお、カラーはブラックのみで、下位モデルのDLA-X3がブラックとホワイトが用意される。

 DLA-X7のサイズは455×472×179mm(幅×奥行き×高さ)となり、前モデルDLA-HD950の365×478×167mm(同)と比較するとだいぶマッチョな外観となった。

 底面側にはネジ式の高さ調整式の脚部が4つ配されている。競合他機種では前部にのみ調整式の脚部を配置して後部は固定式の脚やゴム製のバーを取り付けているだけのものが多いが、ビクターは四点支持に昔からこだわっている。この安定性の高さは台置き設置派にとっては歓迎される要素となるだろう。重さは15.1kgと、このクラスとしては重め。HD950が約11kg、ライバルのVPL-VW90ESの約12kgと比べてもかなり重い。


四点支持にこだわるビクターは4脚にネジ式を採用

 天吊り設置に際しては、純正オプションの天吊り設置金具「EF-HT13」(54,600円)が設定されている。

 さて、今回のDLA-Xシリーズでは、この天吊り金具のラインナップに関して、細やかな配慮がうかがわれる。

 これまでは、今回のような新筐体に移行すると、5万円以上の高額な天吊り金具がオプション品に新設定され、旧機種ユーザーは移行の際に新しい天吊り金具に買い替えなければならなかった。しかし、今回は過去モデル向けの天吊り金具を流用するアタッチメントがオプション設定された。

 具体的には、前の筐体DLA-HD350〜950向けの天吊り金具だった「EF-HT12」を流用するためのベースプレートが「EF-BP2」(23,100円)、前々筐体DLA-HD1〜HD100を流用するためのベースプレート「EF-BP1」(23100円)が用意される。なお、設置延長ポールの「EF-EP1」(29,400円)は引き続き今回も利用できる。天吊り金具の買い替えは金額的な負担だけでなく、金具の付け替えもかなり面倒な工程だ。天吊り金具を付けたままリプレース出来るというのは、買い替え派にとって購入に踏み切る際の背中の一押しになる。この点は地味ながら高く評価したい。

 投射レンズは、電動ズーム、電動シフト、電動フォーカスに対応した2.0倍ズームレンズを採用する。光学スペック的にはHD950と完全に同一の「f=21.4mm〜42.8mm,F=3.2〜4」となっている。また、光学仕様が同じということは、DLA-HD350〜950からの移行も楽と言うことになる。

電源オフ時にはカバーが閉じてレンズへの埃の付着を保護してくれる

 投射レンズは、先代筐体から採用になった電動開閉式のレンズカバーによって保護されている。電源投入時には、モーター音を響かせながら扉がスライド式に開く様は、「いざ、ホームシアター開演」と言う意気込みが感じられて満足感を高めてくれる。接客時にもウケがいいことだろう。

投射レンズは光学スペック的には先代と完全に同一

 100インチ(16:9)の最短投射距離は3.01m、最長距離は6.13mで従来から変更無し。レンズシフトは、上下±80%、左右±34%で、ライバルのVPL-VW90ESを上回るシフト量に対応する。狭めの部屋から広めの部屋までに対応し、任意の位置で自由度の高い画面サイズを決められるため、設置性はかなり優秀といえる。

 投射系に大きなスペック変更がないDLA-X7だが、光源ランプは仕様変更がなされ、従来の200Wの超高圧水銀ランプから高出力な220Wの超高圧水銀ランプとなった。10%出力の高い光源ランプとなったが、これは原理的に視聴輝度が暗くなってしまう3D立体視への配慮だろう。

 交換ランプは「PK-L2210U」となり、価格は25,200円だ。約2,000円ほど先代までのランプより高価になったが、競合他機種と比較すればかなり安価で、上級機としてはランニングコストはかなり低い。消費電力は従来の280Wから350Wへと引き上がってしまった。これは競合VPL-VW90ESの320Wよりも高い。

 筐体デザインの変更に伴って、吸排気のエアフローも先代までとは異なっている。先代は側面排気という珍しいデザインだったが、DLA-X7では、背面吸気の前面排気という最近よくあるデザインになっている。なお、底面にも吸気ダクトがあり、ここは交換式のエアフィルタが組み込まれている。エアフィルタは前面から引き出せ、設置したままの交換が可能だ。これは嬉しい配慮だ。

背面吸気の前面排気のエアフローを採用。正面向かって左側の底面にも吸気口があり、ここのエアーフィルターは設置したままのユーザー交換が可能

 動作時のランプ輝度「標準」モードの騒音レベルは20dB。先代までは19dBだったため、若干上がったことになるが、本体から1mも離れれば冷却ファンの音は聞こえない。

 ただ、ランプ輝度「標準」モードとは他機種で言うところの低輝度モードのこと。取扱説明書によれば「ランプを160W駆動したときのことに相当する」とあり、ランプのフルスペック220W駆動時が「高」モードという位置づけだ。この場合でも、耳を澄ませば「ファンの音が上がった」と気づくが、1mも離れていれば普段の視聴で気になることはあまりない程度に抑えられている。

 それと、これまでありそうでなかった設置関連の新機能「スクリーン補正」機能についても触れておこう。これは各スクリーンメーカーのスクリーン製品ごとにビクターが用意した適切な色温度プリセット値を選択できるというものだ。

「スクリーン補正」機能。2桁の数値で補正プロファイルを呼び出すと言う活用形式

 プロジェクタから投射された映像を映すためのスクリーンは、回帰性反射系のビーズ系、拡散反射系のマット系などいくつかのタイプに分かれ、さらに同材質系でも製品によってもRGBの反射ゲイン特性が異なったりする。もっとも違いが分かりやすいのは黒浮き低減を重視したグレー系のスクリーンを組み合わせた場合で、こうした有色系スクリーンでは、一般的なホワイト系のスクリーンと比較して色の出方が少々異なってくる。いわば、この機能は、「スクリーン製品タイプごとに、ビクター自身が理想と考える発色に調整したプロファイルをご用意しました」というものだ。

 用意されているモードは全94種類。機能利用時には登録されているプロファイル番号の2桁数字を入力するだけになるので、どの2桁コードがどの製品に対応しているかは別途ユーザーがWebで調べておく必要がある。

 2011年2月現在は、「スクリーン補正モード対応表」のページに記載されているので、参考にして欲しい。そうした調整無しの場合は「00」を選択することになる。



■ 接続性チェック 〜3D視聴環境はオプションにて対応

 従来は側面に備えていた接続端子パネルは、DLA-X7では背面に移設された。従来のデザインでは、後部面に吸排気口などのスリット類がないため、壁に寄せぎみで設置しているケースもあると思うが(筆者所有のDLA-HD350の設置がまさにそのパターン)、そうしたケースからの置き換えでは、設置金具が流用できても、接続端子のクリアランスを確保するために移動する必要があるかも知れない。

背面側に移動した接続端子群。アナログビデオ入力はコンポーネントビデオのみ

 さて、接続端子パネルをみて、旧来のAVファンであれば感慨にふけってしまいそうなのが、Sビデオとコンポジットビデオ端子がないという点だ。DLA-X7のアナログビデオ入力端子としては、コンポーネントビデオ端子(RCA)があるのみなのだ。これも時代と言うことだろう。

 アナログ入力端子を削減したからといって、デジタル入力端子が多く搭載されていることはなく、HDMI入力は2系統のみ。HDMIバージョンはVer 1.4aと発表されており、3D対応のほか、1080/24p、Deep Color、HDMI CECに対応する。x.v.Colorには未対応。

 PC入力はアナログRGB接続に対応した、D-sub15ピン端子を1系統備えている。デジタルRGB接続用のDisplay PortやDVIなどの接続端子はないが、DVI-HDMIの変換アダプタを利用することで1,920×1,080ドットのフル解像度にてPC画面の表示は行なえる。

 PC接続時のHDMI階調レベルの認識については、DLA-HD350〜HD950に搭載されていた「オート」はなくなり、16〜235に対応した「スタンダード」、0〜255に対応した「エンハンス」、色差用のハイダイナミックレンジモードである「Super White」(Y=16〜255)から手動選択する方式になっている。

PS3側を「RGBフルレンジ(HDMI)」設定を「フル」(0-255)としてDLA-X7と接続した場合、DLA-X7側のHDMI階調レベルをエンハンス(0-255)とすると正しい階調で表示される

 PCをデジタルRGB接続するときはエンハンス設定が奨励され、一般的なビデオ機器との接続にはスタンダード設定にしておけばいい。

 PlayStation 3(PS3)の「ディスプレイ設定」で、「RGBフルレンジ(HDMI)」設定を「フル」設定にした場合はDLA-X7側をエンハンス設定に、「リミテッド」設定にした場合はスタンダード設定にしないと正しい階調特性が得られない。また、PS3はSuperWhiteに対応しており「ディスプレイ設定」にて「Y Pb/Cb Pr/Crスーパーホワイト(HDMI)」設定が選択できるが、この設定を行なっているときはDLA-X7側をSuper White設定にする必要がある。

 いずれにせよ、DLA-X7とPCやPS3とを接続した場合には、設定項目には常に意識を払っておきたい。

 なお、HDMI階調レベルを確認するために、DLA-X7には、「入力レベル確認」というテストパターン表示モードがある。このモードを起動すると、画面四隅と中央に、映像の入力とは無関係の、階調レベル0と16、235と255に相当するチェッカーボックスを表示する。あとは、これに自前で用意した階調テストパターンなどを重ねて表示し、想定された階調レベルになっているかどうかを確認すればいい。実にビクターらしいきまじめなテストモードだといえよう。

 本機と外部機器との連動動作を行なわせるためのトリガ端子も引き続き搭載。トリガ端子の設定は電源オン時に常時12V出力するパターンと、リモコンで[ANAMO]ボタンを押して、アナモフィックレンズモードを呼び出した際に12V出力するパターンが選べるようになっている。電動スクリーン、電動シャッター、照明装置などとの連動動作を行なわせるときには前者の設定を、アナモフィックレンズの着脱に利用する際には後者の設定を利用することになる。


HDMI階調レベルを確認するための「入力レベル確認」というテストパターン表示モードが搭載されている トリガ端子の設定

 LAN端子(Ethernet)はリモート制御用のもの。RS-232C端子とほぼ同様の使用目的に搭載されている。この他、赤外線リモコンの受光部延長のために利用するREMOTE CONTROL端子、3D(立体視)制御用「3Dシンクロエミッター」接続用の「3D SYNCHRO」端子がある。

 なお、以上の接続端子のうち、DLA-X3ではPC入力端子とLAN端子が省略されている。1つ注意したいのは、DLA-X3/X7/X9は、3Dプロジェクタではあるが、3D視聴環境についてはオプション扱いという点だ。

 3D視聴を楽しみたい場合は、3Dシンクロエミッター「PK-EM1」(9,450円)と3Dメガネ「PK-AG1-B」(17,850円)を別途購入する必要がある。メガネは一般的な3Dテレビに採用されているアクティブ液晶シャッター方式のものだが、価格はやや高めだ。3Dシンクロエミッターと家族の人数分の3Dメガネを揃えるのはなかなかの出費となる。

 3Dシンクロエミッターは80×90×25mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは160g。接続ケーブルは3m程度だ。スタンド部はネジ止め出来るようになっているので、天吊り設置の場合、スクリーン設置側の天井に固定して取り付けるのが理想形だろうか。赤外線同期信号の到達距離は10mと、出力はそれなりに高い。そのためか、今回の評価では3Dシンクロエミッターをプロジェクタの本体に載せ、同期信号をスクリーンに反射させて視聴者に到達させるような設置形態にしてみたが、問題なく3D視聴ができた。

3Dシンクロエミッター。スタンドは取り外し可能 3Dメガネ。ちょっと値段が張る。商品には1個も付属しないため2つ揃えれば3万5000円以上の出費に

 なお、3Dシンクロエミッターの赤外線出力が強いため、視聴者との位置関係によっては赤外線リモコン(DLA-X7だけでなく、照明などもリモコンも)が効きづらくなる現象があった。本機に2D-3D変換機能は無いので、立体視が楽しめるのはブルーレイ3Dや3Dゲームなどの、立体視対応コンテンツに限られる。


■ 操作性チェック〜視聴コンテンツのタイプに合わせて的確な画調がカスタマイズできる唯一無二のフィルム機能

リモコンは、蓄光式の[LIGHT]ボタンを押すことで全ボタンを自照式に点灯させることが可能

 リモコンは縦長のつや消し樹脂素材で出来ており、ボディの肌触りはよく、手に馴染みやすい。

 電源オン操作からHDMI入力の映像が出るまでの所要時間は約60秒。これは先代よりも遅く、最近の機種としてもかなり遅い部類に相当する。

 また、DLAシリーズは、歴代機種が全て入力切り替え操作が遅いが、DLA-X7でもHDMI1→HDMI2で約8.0秒と先代の2倍近く待たされるようになってしまった。ただ、DLA-X7では、希望の入力に直接切り替えられるようにと、入力個別のボタンをリモコンに実装している。だが、入力切り替え処理中は画面が消えてしまうため、暗室使用時に8秒間も室内が真っ暗になるのは不便。もう少し早くしてほしい。

 アスペクト比切り替えは[ASPECT]ボタンで順送り式に行なわれる。こちらの切り替え所要時間はほぼゼロ秒。用意されているアスペクトモードは以下の3つで、とてもシンプルだ。4:3映像を疑似16:9化する疑似ワイドモードの搭載がないのは先代同様だ。

アスペクトモード
4:3 アスペクト比4:3映像をアスペクト比を維持して表示する
16:9 入力映像をパネル全域を使って表示する
ズーム 4:3映像にレターボックス記録された16:9映像を切り出してパネル全域に表示する

 アスペクト比切り替えとは別に、DLA-X7のリモコンには[ANAMO]ボタンがあり、アナモフィックレンズを組み合わせて投射する際の特別なアスペクトモードへと移行できる。通常時(アナモフィックレンズ非装着時)は「オフ」モードだが、ボタンを押すと順送り式に「アナモフィックA」と「アナモフィックB」という2つのモードに切り替わる。

 アナモフィックAはアスペクト比2.35:1の映像を横解像度を維持したまま縦解像度を引き伸ばしてパネル全域に表示するモードで、アナモフィックレンズを装着して2.35:1の映像鑑賞を行なうためのモードという位置づけだ。

 アナモフィックBは、逆に横解像度を縮小して縦解像度を維持するモードで、アナモフィックレンズを装着した状態で16:9や4:3などのコンテンツを視聴することを想定したものになる。こちらは解像度劣化を伴うという点に注意したい。

 1つ注意したいのはアナモフィックモードで3D立体視は利用出来ないという点だ。立体視を利用すると強制的にアナモフィックモードは解除されてしまう。同様に台形補正機能などとアナモフィックモードの同時利用も出来ないようになっていた。これは映像プロセッサの仕様制約のようだ。アナモフィックレンズを組み合わせた立体視を夢見ていた人は、次期モデルなどでの改善を待つべきかも知れない。

 プリセット画調モードの切り替えは、9個の各画調モードへ直接切り替えられる個別ボタンが用意されている。切り替え所要時間はまちまちで、例えばFILM→CINEMAは約4.0秒かかり、あまり早くはない。切り替え先のモードによってはランプモードや絞り、フィルタなどを切り替える「カチン」というやや大きめなメカニカル音が鳴るため最初のうちは驚くかも知れない。

 用意されているプリセット画調モードは「FILM」「CINEMA」「ANIME」「NATURAL」「STAGE」「3D」「THX」の7つで、それぞれに対応する切り替えボタンが用意される。残り2つのボタンはユーザーがカスタマイズしたユーザー画調モードへ切り替える[USER1][USER2]になる。

 一般的なユーザーは、視聴コンテンツに応じた7つのプリセット画調モードを選べばいいだけなのだが、よりハードコアな映画ファンやホームシアターフリークのためにビクターはさらにもう一段階きめ細かいカスタマイズ要素を提供している。

 それが「カラープロファイル」「ガンマ」「色温度」のプリセット設定値だ。

 つまり、整理するとDLA-X7では、「画調モード×カラープロファイル×ガンマ×色温度」のプリセット値の組み合わせで画調をカスタマイズできるのだ。数値パラメータの上げ下げでカスタマイズするのはだいぶマニアックになってしまうが、プリセット値の組み合わせでカスタマイズできるというのは、中級ユーザーにとってはちょうどいい難易度のカスタマイズフィーチャーだと言える。

カラープロファイルと画質モードの組み合わせ仕様一覧

 「(プリセット)画調モード」は、視聴するコンテンツのタイプの大まかな方向性を決めるもの…という位置付けのものだ。「コントラスト」「明るさ」「色のこさ」「色あい」「シャープネス」といった一般的な画調パラメータやノイズリダクションや倍速駆動モードの設定などはここに属する。

 「カラープロファイル」は、いわゆる色域モードの設定に相当するもので、「スタンダード」を標準値とし、表示するコンテンツの種類に適した色域モードが選べるようになっている。

 簡単に紹介すると、以下のようなものがプリセットされている(解説文はビクター側の説明に加え、筆者のインプレッションも付加している)。

カラープロファイルのプリセット
フィルム1 キセノンランプをKODAK製フィルムに透過させて得られる色空間をシミュレートしたモード
フィルム2 キセノンランプをFUJIFILM製フィルムに透過させて得られる色空間をシミュレートしたモード
シネマ1 DCI規格準拠の色空間モード
シネマ2 ビクター作成の映画向き色域モード
スタンダード HDTV色空間(sRGB相当)
アニメ1 明るい色彩再現に特化したCGアニメ向きモード
アニメ2 淡い色の再現に注力したセルアニメ向きモード
ビデオ テレビ向けコンテンツ向きモード
Vivid RGB-LEDバックライトを使用した液晶テレビライクな色空間再現
Adobe Adobe RGB準拠の色空間モード
ステージ 音楽ライブ、オーケストラ、オペラ、舞台などに適したモード。
スタンダードよりも彩度は高め
3D 3Dメガネを通して見たときに破綻しない調整を行なった色空間モード
ガンマはカスタム設定も可能

 「ガンマ」は、階調特性を決定づける画調パラメータだが、DLA-X7では、コンテンツの種類に適したプリセットプロファイルが提供されており、ここから選べるようになっている。

 ビクター側の説明と筆者のインプレッション付きで簡単に紹介すると以下のようなものがラインナップされている。


ガンマのプリセット
ノーマル 基準設定
フィルム1 KODAK製フィルムの階調特性をシミュレートしたモード。暗部の階調はやや沈み込ませ気味
フィルム2 FUJIFILM製フィルムの階調特性をシミュレートしたモード
フィルム3 フィルム1に対して暗部階調をやや持ち上げたモード。いわばフィルム1の暗部階調重視モード
フィルム4 フィルム2に対して暗部階調をやや持ち下げたモード。いわばフィルム2のコントラスト強調化モード
A(3D) 3D向けの標準モード
B(3D) 3D向けの明るさ重視モード。デフォルトではこちらが採択されている
A ノーマルに対して暗部階調をやや持ち上げたモード
B フィルム向けS字曲線ガンマカーブ
C Bに対して、暗部を持ち下げ、明部を持ち上げたモード
D ノーマルに対して中間階調に多くの輝度を振った中明色重視モード
色温度はカスタム設定も可能

 「色温度」は、いわゆるホワイトバランスの設定パラメータだが、DLA-X7ではコンテンツの種類に応じたプリセットプロファイルが選択できるようになっている。ただし、一般的なテレビやプロジェクタのようにK(ケルビン)設定も可能で、この場合、5500K〜9500Kの間で500Kステップで設定が行なえる。

 なお、「色温度」モードは、以下のようなものが用意されている。こちらもビクターの説明に筆者のインプレッションを付加して紹介しておこう。


色温度のプリセット
Xenon1 フィルム映写機で使用されるキセノンランプ色をシミュレートしたモード。
赤みを帯びており色温度は一番低い
Xenon2 デジタルシネマ用プロジェクタで使用されるキセノンランプ色をシミュレートしたモード。
Xenon1よりも赤みが低減
Xenon3 Xenon2から色温度を上げたモード。白は純白に近い発色になる

 現実的な活用方針としては、映画コンテンツを視聴する際には、その映画の素性をまず理解して「画調モード」を選ぶ事から始めることになる。

 例えばTHX準拠のタイトルであれば「THX」画調モードを選ぶのが順当な選択となる。THX画調モードでは色温度とガンマのモード設定は固定になるので以上の設定の必要はない。

 そして、フィルム撮影された映画ならば「FILM」画調モードを選ぶことが奨励される。この場合、次に「カラープロファイル」と「ガンマ」をKODAK向けかFUJIフィルム向けかを選ぶ必要があるのだが、こうした情報は「Internet Movie Database」などの情報サイトを利用することで調べられる。例えば「ナイト&デイ」ならばこのサイトの最上部の検索欄に「Knight and Day」(原題入力が基本)を入れて、見つかった該当リンク先にある「See full technical specs」をクリックして見ることができる。実際に調べてみると「Knight and Day」はFUJIフィルム、「A-TEAM」はKODAKという事が分かり、この他、ほとんどの最近の映画はFUJIフィルムかKODAKのどちらかのようなので、この情報に従って選択することができる。

 「色温度」モードについては、フィルム撮影が明白なタイトルは「Xenon1」モードがマッチすることだろう。2000年代未満のクラシックタイトルなどは、ほとんどの場合が該当するはずだ。

 一方、近年のデジタル撮影されたタイトルなどのブルーレイ/DVDソフトはデジタルマスターからの記録になるはずなので、デジタルシネマ向けを想定した「Xenon2」との相性がいいことだろう。

 ちなみに、「トイストーリー」シリーズのようなPIXARものに代表されるCG映画などは、前出のデータベースで調べるとフィルムプリントされた場合にはKODAKやFUJIフィルムのどちらかになっているが、こうした映画もデジタルマスターなのは自明なので「Xenon2」がいいだろう。

 これまではホームシアターと言えば、自分の経験と好みだけを頼りに、最終的な画調を決めるしかなかったが、DLA-X7では「制作者の想定に近い画調で見られる」という新しい楽しみ方ができる点でユニークだ。なお、このフィルムの種類に基づいたプロファイルが利用出来るのはDLA-X7/X9のみで、下位モデルのDLA-X3にこの機能は無い。

 さて、このカラープロファイル、ガンマ、色温度の設定はリモコンではそれぞれ[COLOR PROFILE],[GAMMA],[COLOR TEMP]ボタンで順送り式に切り換えられる。確かに、そうしたコンテンツごとに適したプロファイルを選択して楽しみたいユーザーにとっては、ワンタッチでプロファイルが切り替えられる操作系はありがたい。

 この他、倍速駆動モードを司るCLEAR MOTION DRIVE機能の設定切り替えを行なう[C.M.D.]ボタンや一般的な画調パラメータを順送り式に呼び出してエディットできる[PIC.ADJ.]ボタンなどがリモコンにある。

従来機のR(赤)、G(緑)、B(青)、Cy(シアン)、Mg(マゼンタ)、Ye(イエロー)による「6軸カラーマネージメント」はOg(オレンジの)の追加で「7軸カラーマネージメント」へと進化した。オレンジは人肌の色調整に便利
3Dモードの切り換えはメニュー階層を潜ってでしか行なえない。リモコンからもワンタッチで行なえるとよかった。2D←→3Dの行ったり来たりはゲームなどでは結構多用するため

 実際に使ってみて操作系には磨きがかり、以前までのDLAシリーズと比べると使いやすくなったとは思うが、1つ残念だったのは、3D対応プロジェクタでありながら、3Dモードの切り替え(フレームシーケンシャル、トップ・アンド・ボトム、サイド・バイ・サイド)や2Dモードへの移行(3Dオフ)がリモコン上で行なえない点だ。

 「入力信号」メニューの「HDMI」設定階層に潜り「3Dフォーマット」設定を十字キーで変更してやらないと3Dモードが切り替えられないのだ。「3D」はウリの機能のはずなので、そこの使い勝手がよければさらによかったと思う。


下が東芝レグザRE1、大きい画面がDLA-X7の投射映像。DLA-X7の方が5フレーム遅い

 また、表示遅延を計測をしてみたところ、最速に近いと思われる東芝 REGZA RE1シリーズに比べて5フレームほど遅いことが判明した。これは画調モードによらず、同じ結果であった。5フレームの表示遅れはアクション系のゲームプレイにおいてはハンデとなる。

 次期モデルには、高画質化ロジックを全てバイパスさせて遅延を低減させるゲームモードの搭載も望みたいところだ。



■ 画質チェック〜圧倒的なコントラスト感、巧妙な階調特性
 1080/24pの3D映画に限定すれば3D画質も文句なし

 DLA-X7の映像パネルは、いわずとしれたビクター独自の反射型液晶パネル「D-ILA」(Directdrive Image Light Amplifier)だ。パネル世代は0.7型のもので製造プロセス的には先代のDLA-HD950/550と変わらないとのことだが、ドライバー回路を一新し、D-ILAの駆動のさせ方を新アルゴリズムに変更しているとのことだ。

 従来機ではカメラがパンするシーンなどで目に付くことがあった階調段差や擬似輪郭が、新駆動方式では大幅に改善されているという。

 実際に、大写しの人の顔が画面内を動くような映像を見てみたが、確かに従来機では頬に見えていた等高線のようなアーティファクトが、DLA-X7では見えなくなっていた。

 その新アルゴリズムの仕組みについての情報開示はないが、DLA-X7においても、アナログ駆動ではなくデジタル駆動であるとのことなので、同様の問題を抱えていたプラズマTVが行なったような1フレームを生成時間の中心時刻から前後に輝度平均化させるCLT法(Concentrated Luminous Time)のようなアプローチを取ったのではないかと思われる。いずれにせよ、この、文字通り「目に見える」改善は歓迎されるべきであり、先代までのDLA-HD系のユーザーが最もうらやむ部分かもしれない。

 公称コントラストは7万:1。これはネイティブコントラスト値だ。競合他機種のような動的絞り機構を組み合わせたダイナミックコントラスト値ではないため、数値的には競合のVW90ESの半分程度になるが「1フレームに同居できる明暗の対比」と言う意味においては、DLA-X7は優るとも劣ってはいない。実際、星空のようなシーンは驚くほど夜空が暗く、そしてきらめく星が明るい。投射系ディスプレイながら自発光さながらの描画になっているのは感動的だ。

 最大輝度は1,300ルーメン。これは競合のVW90ESよりも高い値だ。このDLA-X7の圧倒的なコントラスト感は、黒の沈み込みの優秀性もさることながら、この高輝度パワーによるところも大きいと思われる。

100インチ投影で画面中央にてフォーカスを合わせて、画面端で撮影してこのクオリティの画素が描画される。色収差は最低限でフォーカス力も相当なものだ

 これまで反射型液晶パネルのプロジェクタは輝度を抑えて黒の沈み込みでコントラストを稼ぐ傾向があったが、DLA-X7の場合は、高輝度のエネルギー感も持ち合わせており、これまで明るさ重視でプロジェクタを選んできたユーザーにも強い訴求力があると思う。実際、ランプモード「高」ならば、蛍光灯照明下でもPC画面などは普通に見られるほど明るい。

 そして、先代から高い評価を得ているレンズ性能だが、DLA-X7もやはり素晴らしい。画面中央でフォーカスを合わせれば、ほぼ画面全域で合ってくれるので、フォーカス合わせは非常に楽ちんだ。

 色収差は皆無とは言わないが、ほとんど気にならないレベル。レンズ解像力の高さと相まって、1ドット1ドットがとてもクリアに見える。これも競合機種に対する大きなアドバンテージとなる部分だ。

 なお、RGBの色ズレを補正するための「画素調整」機能は、DLA-X7にも搭載されているが、完全な1ドット単位のシフトにしか対応していないため、ほとんど役に立たないのは相変わらず。ソニーのVPLシリーズでは、ディザーに近い疑似手法で疑似的に1ドット未満のシフトを実現しており、さらに上級機ではエリアごとにシフト方向を変えられるほど凝っている。ここは、ビクターには追いついて欲しい部分かもしれない。


「画素調整」機能。シフト単位は1ドット単位なのであまり意味がない

 発色も水銀系ランプとは思えないチューニングで赤緑青、全ての純色にクセがない。特に赤の発色が先代よりも良くなっていると感じる。色温度モードをDCI準拠のXenon2にした時は特に素晴らしい。

 肌色も見事で、水銀系ランプ特有の黄味がなく、赤すぎず白すぎないかなりリアルで暖かみのある発色になっている。こちらもXenon2モードが絶妙だと感じる。


色温度=Xenon1 色温度=Xenon2 色温度=Xenon3

 階調表現も良好だ。暗部階調はほとんど部屋の暗さに等しい黒からリニアに立ち上がっている。かなり暗い階調もグレーに落ち込まずに色味があればその色がちゃんと乗って見える。暗いシーンの"陰"の部分にも奥行きが感じられたり、あるいはものがあれば、その形とテクスチャがちゃんと見える。DLA-X7の出力映像は、明るいシーンだけでなく、暗い空間表現にも「リアル」が感じられるのだ。

 注目される3D視聴時の画質だが、今回は「バイオハザードIVアフターライフ3D」「ガフールの伝説3D」の2本をPS3で視聴したが、比較論で行けばVW90ESよりもクロストークは少なかった。皆無とは言い切れないが、よほど気にしなければ分からない……というレベルにまで押さえ込まれている。

 ただ、クロストークが少ないのは、1024/24pの3D映画の時の話だ。720p、毎秒60コマの3D表示となるゲーム、たとえばPS3用レーシングゲーム「グランツーリスモ5」を3D(720p、60fps)でプレイしたときなどでは、クロストークがうっすらと見える。

 DLA-X7のD-ILAパネルは120Hz駆動であり、特別超高速駆動パネルを採用しているわけでもない。ビクターによれば、ここまで低クロストークが実現できたのにはデジタル駆動であることが効いているのだとのこと。この秘密についても詳細は明かされていないが、例えば左目用の映像であれば、その直前まで表示していた右目用の映像表示から左目用の映像表示に推移する際に、その描画内容を補償するような駆動を行なうような工夫が盛り込まれているのかもしれない。ただ、1080/24pではそうでもないのに、720p/60fpsの3Dゲームでクロストークが残るというのは、やはりパネルの応答速度不足によるものかもしれない。

 3D映像はデジタル駆動の恩恵と、1,300ルーメンの高輝度性能の相乗効果もあって明るい。

 競合のVW90ESも輝度優先の3Dモードにするとそこそこ明るくなるが、この時はクロストークが顕著になってしまう。DLA-X7の3D映像は、VW90ESの輝度優先モード時よりも明るくそれでいてVW90ESよりクロストークも少ないので、かなり優秀だと感じる。

 3D映像を見る際には、画調モードの「3D」がいい。3Dメガネを通して見た時のホワイトバランス変調に配慮してか、「3D」画調モードのデフォルトの色温度は8500Kと高めなので、これが気になる場合は7500Kくらいに下げるといいだろう。

 なお、3D映像を表示している際には、補間フレーム挿入を伴った倍速駆動残像低減機能は無効化される。これは、D-ILAパネルが120Hz駆動なので致し方ないところか。

 高画質化機能についての紹介とインプレッションも述べておこう。

 先ほど触れた倍速駆動残像低減機能に、ビクターは「Clear Motion Drive」という機能名を与えており、DLA-X7ではMODE1、2、3、4の4モードと「フィルムモーション」と呼ばれる毎秒60コマ映像にテレシネ変換された映像を本来の毎秒24コマで表示するモードが選べる。モード1、2はそれぞれ黒挿入の弱・強設定、モード3、4はそれぞれ補間フレームの弱・強設定に相当する。

 まず黒挿入だが、確かに動きにキレは出てくるのだが、表示映像を見ながら視線を動かすとカラーブレーキングが知覚されて虹色が見えてしまう。個人差はあると思うが、筆者は弱、強のいずれの設定においても見えた。D-ILAのデジタル駆動表示と黒挿入はどうも相性が悪いようだ。

倍速駆動残像低減機能の「Clear Motion Drive」には、画面の半分に分けてオンとオフの効果を比較できるデモモードが搭載されている

 補間フレームの品質は先代からあまり変わっておらず、ピクセル振動がしばしば観測される。ビル群を飛び回るような、映像中に類似した領域が反復して描かれているシーンなどは画面のかなり広範囲で映像が振動してみえることがある。振動が顕著なシーンでは、補間フレーム・弱(モード3)設定でも振動が支配的なので、エラーは仕方ないとしてももう少し効きの弱い設定を設けるべきではないかと感じる。「Clear Motion Drive」機能は積極活用しなくていいと思う。

画調モード「フィルム」の時にだけ利用出来る「フィルムトーン機能」

 新搭載の「フィルムトーン」機能は、画調モード「フィルム」の時にだけ利用出来る機能で、赤、緑、青、白(赤緑青、全体に掛かる)の各色に対して露光のアンダー/オーバーの具合を調整するものだ。色温度やガンマの調整に似ているが、フィルム特有の階調を損なわずに出力ゲインを調整することができる。

 もう一つ、暗部と明部の階調出力ゲインを、ガンマとは独立して暗部と明部に対して局所的に調整できる機能、「暗部・明部補正」機能も新搭載の機能だが、こちらはなかなか便利だ。部屋を暗室に出来ないときなどに、暗部と明部だけを持ち上げれば、色や階調のダイナミックレンジは狭まるが、映像の情報量は多くなり見やすくはなる。

 この「暗部・明部補正」機能は、入力系統ごとに管理される画調パラメータとして管理されるものだが、画調によらず、機器全体、グローバルに階調を持ち上げるための機能「黒レベル」設定もある。こちらは「暗部・明部補正」機能とは違い、明部側の持ち上げは出来ない。


暗部と明部の階調出力ゲインを、ガンマとは独立して暗部と明部に対して局所的に調整できる「暗部・明部補正」機能 暗部持ち上げをグローバルに設定するための機能「黒レベル」設定

 動的絞り機構を駆使したダイナミックコントラスト性能は邪道だ…、という立場に見えるビクターだが、DLA-X7にも実は絞り機構が組み込まれている。これがDLA-HD750/350の時から搭載されているレンズアパーチャー機能だ。

 これは投射レンズに中段辺りに備え付けられた電動の絞り機構だが、投射映像に連動した動的絞り制御には対応しておらず、あくまで「固定絞り機構」として機能する。絞り具合は-15(最大絞り)〜0(絞り開放)の16段階が指定可能だ。

 この固定絞り機能、投射映像の迷光を抑えてコントラスト感を引き上げるために活用する。といっても絞ると最大輝度は下がるので映像としては暗くなってしまう。

 DLA-X7では、ランプ高輝度モードで活用していても、かなり暗部は暗いので、あまりこの機能にお世話になる必要はないと思われる。実際、DLA-X7では、この機能をあまり大きくアピールしなくなっている。

ランプ「標準」(160W)モード ランプ「高」(220W)モード
レンズアパーチャー、絞りきり(-15)状態 レンズアパーチャー、絞り開放(0)状態

 プリセット画調モードについては、今回、画調が「画調モード×カラープロファイル×ガンマ×色温度」で決定され組み合わせが膨大な数となるため、7種のプリセット画調モードのデフォルト状態の写真を参考までに示すだけとする。具体的な活用方針インプレッションについては「操作系チェック」の項目の方を参照して欲しい

フィルム シネマ アニメ
ナチュラル ステージ
3D THX


■ まとめ〜画質面で死角無し。今後は操作系の洗練に期待。安価なDLA-X3も

 画質面ではほとんど不満がない。2D画質、3D画質、ともにホームシアター向けプロジェクタ製品としてはトップレベルと言ってもいいだろう。階調再現性やコントラストだけでなく発色もよく、これまで指摘されてきた擬似輪郭問題も克服。さらに、3D画質のクオリティの高さもDLA-X7の強い魅力となっている。

 ただ、操作系の面では改善を望みたい部分もあった。特にHDMI階調レベルが完全手動設定になってしまったのは使いにくい。「オート」がなくなってしまったことで、PS3のように、再生するコンテンツによってHDMI経由で色差信号を出力したり、RGB信号を出力したりする機器では、HDMI階調レベルが変わってしまい、そのたびにDLA-X7側のこの設定を切り替えなければならない。完全手動設定をユーザーに求めるならば、せめて色差信号とRGB信号の場合分けの設定が欲しかった。

 最後に、今期のDLA-Xシリーズのラインナップについて整理をしておこう。

 今期のビクターのプロジェクタ製品は型番を一新し、従来の「DLA-HD + 3桁数字型番」から「DLA-X + 一桁数字型番」へと変更され、ラインナップとしてDLA-X3、DLA-X7、DLA-X9の3機種構成となった。X3がエントリ機、X7がハイエンド機、X9がプレミアムハイエンド機という位置づけだ。

DLA-X3(W) DLA-X9

 今回紹介したのはハイエンドのDLA-X7になるが、基本設計は全モデル同じであり、異なるのは画質モードや画質チューニングモード、接続端子のあたりになる。特にDLA-X9は、事実上、D-ILAパネルの最優良選別品を採用したDLA-X7といえ、ネイティブコントラストが10万:1に高められている以外のスペック上の違いはない。なお、日本市場では初回限定100台のDLA-X9には、本体筐体にシリアル番号付きの「プレミアム-X」の特別エンブレムステッカーが貼られるが、北米モデルには無いとのこと。購入希望者は早めに行動を起こすべきか。価格は105万円だ。

 DLA-X7は84万円、2011年2月の実勢価格は70万円といったところで、価格差20〜30万円に、このプレミアム感の価値見出せるかが「X7かX9か」の問いに結論づけるポイントとなることだろう。ただ、DLA-X9は、メーカー保証期間がDLA-X7/X3の3倍の3年間と長期に拡張されている。

 下位モデルながら馬鹿にできないのがDLA-X3。フィルム・シミュレーション関連の機能やカラーマネジメント関連の機能が省略され、PC入力端子とLAN端子がないこと、ネイティブコントラスト値が5万:1になっているほかは、DLA-X7/X9とほぼ同じだ。もちろん3Dにも対応する。実勢価格は50万円程度で、DLA-X7との価格差は20万円程度。フィルム・シミュレーション関連機能はないが、DLA-X3でもDCI規格準拠のプロファイルは選択できるので、最近の作品をメインに視聴するというのであれば、X3という選択もありだろう。

(2011年 2月 17日)

[Reported by トライゼット西川善司]

西川善司
大画面映像機器評論家兼テクニカルジャーナリスト。大画面マニアで映画マニア。本誌ではInternational CES他をレポート。僚誌「GAME Watch」でもPCゲーム、3Dグラフィックス、海外イベントを中心にレポートしている。映画DVDのタイトル所持数は1,000を超え、現在はBDのコレクションが増加中。ブログはこちらこちら。近著には映像機器の仕組みや原理を解説した「図解 次世代ディスプレイがわかる」(技術評論社:ISBN:978-4774136769)がある。