データで読み解く家電の今

スマホ普及とともに市場拡大するBluetoothスピーカー。次は音声操作?

販売実績を基にしたデータから、国内家電市場の実態を検証する(協力:GfK Japan)

 スマートフォンの普及とともに、注目が高まったAV周辺機器といえばヘッドフォン、それからBluetoothスピーカーだろう。スマートフォン以前は、iPod用のDockスピーカーが人気だったが、スマホの普及とともにBluetoothが中心となってきているようだ。今回は、GfK Japanのデータを用いて、BluetoothスピーカーやDock対応スピーカーなど「アンプ内蔵スピーカー」を調査した。

ボーズのBluetoothスピーカー「SoundLink Mini II」

 家電量販店におけるアンプ内蔵スピーカーの販売は、2011年の販売数量・金額を100とすると、2015年は数量では90と減少。しかし、金額では161と大きく伸びている。これは、高価格帯の製品が伸びているためだ。

 スマートフォンの伸長とともに、かつてのiPodやウォークマンなどポータブルオーディオの機器向けのDockスピーカーから、Bluetoothへのシフトが進んでいる。2011年はアンプ内蔵スピーカー販売台数の3割がDock対応だったが、'15年には1割を切った。

アップル純正のDockスピーカー「iPod HiFi」は2006年発売

 一方でBluetoothスピーカーは広がり続けており、アンプ内蔵スピーカーにおけるBluetooth対応製品の台数構成比は、'11年の2%から、'15年には46%まで拡大。'16年(1-8月)は49%となった。

ソニーのBluetoothスピーカー「h.ear go」

 スマートフォンの普及率は、'11年に9.7%、'12年で29.3%、'13年に49.5%、'15年に62.2%(出典:総務省「平成26年通信利用動向調査」)なので、スマホの普及にあわせてBluetoothスピーカーが伸びていると言えそうだ。

 アンプ内蔵スピーカーの税抜き平均単価もBluetoothへの移行に歩みを合わせる形で上昇。2011年の4、000円に対し、2015年には7,100円と大幅に単価アップしている。

 GfK Japanの合井隆人アナリストは、「Bluetoothスピーカーは、販売数の増加に伴い、機能やカラー展開、形状において各社様々な差別化を図っている。機能面では、インターネットラジオ対応機が少数ながらここ数年増加傾向。また、店頭では防水対応など、アウトドア利用の訴求も見られる。カラーバリエーションは2万円を下回る製品では豊富。高価格帯になるとカラーバリエーションは少ないものの、グラス型をはじめ様々な形状の製品があり、個性的でデザイン性の高いモデルが人気です」と分析している。

 今後のBluetoothスピーカーの動向については、「ヘッドホン・イヤホン市場では、音楽を聴くだけではなく翻訳やスマホメッセージ読み上げといった音声に関する機能を搭載したモデルが登場している。スピーカー市場でも今後、Google HomeやAmazonのEcho(日本未発売)の音声アシスタント機能のように、音声に関する新たな機能を搭載したモデルが増えることも考えられる」と予測している。

Amazonのスピーカー「Echo」と「Echo Dot」

出典「全国有力家電量販店の販売実績集計/GfK Japan調べ