◇ 過去の連載 ◇
【Watch記事検索】

西田宗千佳の
― RandomTracking

Appleに聞く、iPhone 3G Sと新MacBook Proの詳細

ハード担当者合同インタビューで分かった新機能


基調講演会場

 WWDC基調講演後、日本の一部のプレスを集め、基調講演で発表されたMacBook Pro新製品とiPhone 3G Sのハードウエアに関する合同インタビューが行なわれた。ここでは、その場で得られたハードウエアに関する新情報をお伝えする。

 なお、写真撮影は一切禁止されていた。また、特に断りがないかぎり、機能はすべて日本で発売されるモデルでも同様に利用することができる。インタビューに答えてくれたのは、MacBook Proと、iPhone 3G Sのハードウエア担当者。ただしここではまとめて、「アップルからの回答」としてご紹介させていただく。



■ ユニボディMacBookは「プロ」に。Snow Leopardでは日本語の手書き入力も?

アップル:まずはMacBook Proから。今回発表したのは、13インチ、15インチ、17インチのMacBook Proです。すべて7時間以上のバッテリライフを実現しました。美しいLEDバックライトを搭載、従来比で60%も色域がアップしています。

 そして、非常にポピュラーなハードウエアである、SDカードスロットも搭載しました。デジタルカメラなどとの連携が便利になるでしょう。

 13インチモデルは、新たに「MacBook Pro」として生まれ変わりました。様々な部分で「Pro」仕様の機能になっています。


“Proになった”13型MacBook Pro 15型MacBook Pro 17型MacBook Pro

−ということは、現在の白い、ポリカーボネートボディのものだけが「MacBook」となるわけですね?

アップル:その通りです。少し前に製品のアップデートをしました。非常にポピュラーですし、学校などでも広く使われています。

−13インチMacBook Proのバッテリは、着脱はできなくなったんですか?

アップル:はい。17インチなどと同じく、ビルドイン型でインテリジェントなものに変わりました。その結果、15インチモデルと同じく、バッテリ持続時間が7時間へと伸びたのです。

−すべてのインテルMacBookのパッドで、「手書き中国語入力」が出来るのですか?

アップル:はい。Snow Leopardを入れれば、すべてのMacBookで中国語・日本語などの手書き入力ができるようになります。

−日本語の手書き入力も可能になるのですか?! 基調講演では中国語のみのデモでしたが。

アップル:その点についてはOSのプロダクトマネージャーに確認し、フォローアップをさせてください。

【追記】
Appleから追加情報として、すべてのMacBookで中国語の手書き入力ができるが、日本語は未対応、との回答が寄せられた(6月12日)

−これは、iPhoneで使われている技術と同じものですか?

アップル:確認するまで正確なことはいえませんが……。私の意見としては、おそらくそうでしょう。

−新MacBook ProのHDD交換は容易ですか?

アップル:はい。メモリーも同様ですが、8本のネジを外し、後ろのふたをあければ簡単にアクセスできます。

−MacBook Airについてもアナウンスがありましたが、ハードウエアについては変更がない、という理解でよろしいのでしょうか?

アップル:はい。本日、非常にお手軽な価格として発表させていただきました。特に上位機種の価格は、きわめて安いと思いますね。唯一の違いは、バッテリ持続時間が従来の4.5時間から5時間へと増えたことです。

−外見に変化はないわけですか?

アップル:はい。以前通り、薄く3ポンド以下、という形です。



■ 3G Sのカメラは「動画でもオートフォーカス」。秀逸な「編集機能」を搭載

基調講演で例示された動作速度の違い。具体的にプロセッサな変更などは明示されていないが、速度ははっきりと変わっているようだ

アップル:では、iPhone 3G Sについて説明していきます。Sは「スピード」のSです。ハードの進化とソフトウエアの最適化により、3G Sはほとんどの場面でより速くなり、快適になりました。ソフトの起動も、ダウンロードや閲覧も同様です。複雑なウェブページのレンダリング速度も大幅に向上しています。一般的に言って、iPhone 3Gでできることのすべてが、おおむね2倍にに高速化している、といっていいでしょう。

 しかし、デザインは変えませんでした。重さも、薄さも、より進んだテクノロジーを搭載したにも関わらず、変更していません。


iPhone 3G S

 大きく変えたのはカメラです。まったく新しいカメラモジュールを搭載しています。3メガピクセルでオートフォーカスがつきました。この解像度でも、8×10サイズのプリントは、非常にきれいにできますよ。

 さらにいい点は、オートフォーカスを搭載したことです。このオートフォーカスは単にフォーカスが合うだけでなく、露出やホワイトバランスなども自動で合わせるため、もっと良い写真が撮れるようになるのです。

カメラは3メガピクセルと、そこそこの解像度しかない。しかし、待望のマクロ機能や動画撮影機能が搭載され、使い勝手は相当に上がっているようだ

 ここで我々は、「エプソンの一般的なデスクトッププリンタからダイレクトプリントした」という印刷見本を見せられた。確かに、画質はなかなかだ。日本のケータイ内蔵カメラのものと比較しても、少々眠さを感じる以外は大きな差がない。多くの人にとって、携帯電話内蔵のものとしては満足できるレベルになっているといえそうだ。

アップル:マクロフォーカスも重要な機能です。対象物に10cmまで迫って撮影できます。(基調講演でも紹介した)バラの写真はそのようにして撮影しました。

 まったく新しい機能として搭載したのが「タップ・トゥ・フォーカス」です。カメラを動かした時、通常は画面の中央にフォーカスがあっています。しかし画面をタップすれば、その場所を中心にフォーカスし直すのです。そしてそこで、自動的に露出とホワイトバランスも修正をしようと試みます。

−その機能は動画撮影中でも利用できるのですか?

アップル:はい、もちろん。ムービーの機能は非常に強力です。簡単にカメラ機能を静止画から動画に切り換えられます。ビデオレコーディング機能はVGA、最大30fpsで、オーディオも同時記録されます。

−フレームレートは任意に変更できますか?

アップル:いえ。自動です。撮影コンディションにあわせて上下しますが、非常に暗いところでも、最低15fpsを維持するようになっています。

−音声はモノラルですか?

アップル:はい、モノラルです。

−記録ビットレートはどのくらいでしょうか?

アップル:記録方式はH.264です。ただビットレートはいま手元に情報がありません。

アップル:もうひとつの重要な機能が、記録したビデオを編集する、ということです。映像は写真と一緒に保存されます。ビデオをタップすると「タイムライン」が表示されます。編集するのは簡単で、イン点をタップしたあと、そのままエンド点まで指を引っ張るだけです。そうすると、右上に「Trim」ボタンが現れますので、そこをタップすれば切り取り完了です。

 同様に、共有機能も優れています。E-mailへの添付も、MMSへの添付も、YouTubeやMobileMeへのアップロードも、ワンタッチで可能です。

ビデオの編集は、必要な部分だけを選択してトリミングする、という方式。操作も簡単だ
タップ一つで他人と共有できるだけでなく、送信経路にあわせて解像度などを変更する、という点が新しい

−これは無線LANでも3Gでも利用可能なのですか?

アップル:ええ。MMSなどでも利用できますからね。ただし、その場合、ビットレートやサイズを自動的に変更します。E-mailで送信する場合には、フルサイズのビデオが送れますよ。サービスプロバイダーがそれを許せば、の話ですが。

−サイズ変更はオートのみですか? マニュアル設定はできますか?

アップル:カメラにビットレート設定を行なえば、元々の設定をオーバーライドすることもできます。


 


■ 音声コマンドは「日本語」でもOK!。認識は「辞書」ベース

アップル:さて、また別の機能もご紹介しましょう。今回搭載された、Voice Controlの機能です。センターボタンを長押しすると、Voice Controlが現れます。3G Sは新しいヘッドセットとともに出荷されます。これには、ボリューム変更の機能も追加されていますよ。ヘッドセットのボタンの長押しでも、同様にVoice Controlを利用できます。

 この機能はすばらしいローカライズが行なわれており、みなさんの話している言葉でも使えますよ。

−ということは、日本語でも可能なのですか? 基調講演では英語のみがデモされましたが。

日本語での利用も可能な「Voice Control」。特に、iTunes機能との連携が興味深い

アップル:はい、その通りです。設定の「International」から、UIの設定とは別に、Voice Controlの言語を選択できます。

 デモの様子から、どのようにVoice Controlが動作するかを読み解いてみたい。

 Voice Controlを呼びだすと、その画面には、「音声で操作できるコマンドのリスト」がさりげなく流れる。認識は「辞書ベース」とのことなので、コマンドとして登録されていない単語では動作しない。

 たとえば電話をかけるとしよう。

「電話」と、コマンドを言うと、まずアドレス帳のリストアップが始まる。そこで人の名前を言えば、電話がかかるという仕組みだ。アドレス帳に複数の電話番号があれば、「勤務先または携帯…」と、登録されているものをリストアップしはじめるので、また「携帯」などと言えばいい。それで電話がかかる。

 もちろん、「電話。誰々。携帯」と続けて言っても問題ない。

 このインタビューの場では、時間が短かったこともあり、1つのパターンしか試すことは出来なかったが、音声に対する反応は素早く、認識精度も悪くなさそうだった。

−音声の発声は、iPhoneで合成しているのですか? iPod ShuffleのVoice Over機能は、パソコンやMacの側で合成していましたが。

アップル:iPhone 3G S側で行なっています。(認識も含め)すべての演算はデバイス内で行なっています。

−どのくらいのコマンドが辞書に登録されているのですか?

アップル:数を正確に数えたことはないですね……。

−3G向けにはVoice Controlは対応しないのですか?

アップル:これらの演算はすべてデバイス内で行なっています。そのため、そのアルゴリズムを動かすには、十分なプロセッサパワーがないと実現できません。そのため、3G Sのみで動作する機能となっているのです。

 


■ Spotlightは「左スワイプ」で登場。端末同士のアクセスは「アドホック」でOK

アップル:コンパスの機能についても解説しておきましょう。新たなコンパス機能では、あなたがどちらを向いているかがわかるようになっています。

 コンパスのアプリケーションはきれいなものですが、「コンパス」以外の機能はありません。同様にマップにも統合されています。「現在地」ボタンを二度タップすると、マップが回転し、「ビーム」が現れます。これが、いまあなたが向いている方向です。自分が回ると、地図も方向に合わせて回転しますよ!

−コンパスアプリには他の機能はないのですか?

アップル:シンプルなコンパスのみのものです。ただし、磁北ビューと真北ビュー、両方を持っています。マップでは常に「真北」モードです。なぜなら、地図は「真北」を軸に描かれていますからね。

 この機能も、3G S独自のものですね。同様の機能としては、Nike+への対応があります。ハードが組みこまれているからです。

電子コンパス機能を搭載。シンプルなコンパスアプリでは、真北と磁北の両方を表示できる。Map上では、二度「現在地」ボタンをタップすると、方向まで分かるようになる 3G Sには暗号化チップが搭載され、暗号化されたパーソナルデータを消す時間が大幅に短縮されている。新サービス「Find My iPhone」と連携した場合、有効な機能だ

アップル:また、新たに暗号化チップが内蔵されました。特にエンタープライズユーザーから望まれていたものです。特に、データを「リモートで消す」場合、これまでは消去に長い時間がかかっていたのですが、暗号化チップがあるおかげで、3G Sでは一瞬で消去することができます。もちろん、iPhone OS 3.0の機能はすべて搭載していますよ。

−「検索」と「Spotlight」の扱いはどう違うのですか?

アップル:SpotlightはiPhoneのデータ全体を検索します。基本のホーム画面で「左側」にスワイプしてください。すると、Spotlight画面が現れ、内部のデータをすべて検索することができるようになります。

−ピアtoピア機能について。無線LANの場合、アクセスポイントが別途必要ですか?

アップル:いいえ。アドホックで直接、自動的に接続します。Bonjourで相手を自動的に見つけるので、設定も不要です。もちろん、BluetoohでもOKです。

Nike+機能を新搭載。3G S専用の機能となる 検索機能「Spotlight」がiPhone OS 3.0に搭載。ホーム画面の1枚目で「左にスワイプ」すると現れる 端末同士を設定なしで繋げ、対戦ゲームやデータ交換に使う「Peer to Peer」。Bluetoothのほか、無線LANの「アドホック接続」にも対応

 最後に、基調講演や取材などで得られた情報から、3G Sのハードウエアについて、いくつか補足をしておきたい。

 バッテリ持続時間を見ると、どうやら「無線系」にはあまり手を加えていないようだ。サイズからも、バッテリが増加しているようには思えない。おそらくは、メインプロセッサに製造プロセスが進んだLSIを採用し、パワーと消費電力を両立した上で、ソフトウエアをファイン・チューニングしたのだろう。

 またゲーム向けには、3D APIとしてOpen GL ES 2.0がサポートされたのもポイントだ。これは3G Sのみらしく、やはり組みこまれたグラフィックチップが進化しているからだろう。元々iPhoneはOpen GL ESをサポートしているが、3G Sでは、さらに高度なグラフィクスの再現が可能になる。とすれば、AppStoreで販売されるゲームでも、「3G以前用」と「3G S用」が分けて販売される可能性もありそうだ。


バッテリ持続時間は延びているが、3G通信に関わる部分は変わっていない iPhone 3G Sの「エコチェックリスト」。パッケージサイズ25%は縮小するという

(2009年 6月 10日)


= 西田宗千佳 =  1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に、取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、月刊宝島、週刊朝日、週刊東洋経済、PCfan(毎日コミュニケーションズ)、家電情報サイト「教えて!家電」(ALBELT社)などに寄稿する他、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。

[Reported by 西田宗千佳]


00
00  AV Watchホームページ  00
00

Copyright © 2016 Impress Corporation. All rights reserved.