西田宗千佳のRandomTracking

WWDC2013基調講演詳報【iOS 7編】

新デザインにみる「UI進化」、iTunes Radioのインパクト

 2013年のWWDCでの発表の目玉は、やはり次期iOS「iOS 7」の発表だ。デザインを大幅に刷新し、機能を一新し、今までのiOSとはずいぶん印象が異なるものになった。本記事では、iOS 7にフォーカスしつつ、それと連携するOS X側の機能についても解説していきたい。

iOSは「デザイン」を大幅刷新、UIの一貫性維持は成功するか

アップルのティム・クックCEO。iOS 7のビデオ公開後、歓声に応えて手を上げた

「iOSデバイスの出荷数は、6億台を越えた。これは凄い数。しかし、我々の目標は数を増やすことではなく、最高のプロダクトを作ることだ」

 アップルのティム・クックCEOは、iOSの話題に入る前に、そう語りかけた。ここでアップルの言う「最高のプロダクト」とは、ユーザーに支持されるもの。そしてその結果、iOSプラットフォームの上で多くのビジネスが回ること、である。調査会社J.D.Powerの消費者調査において、9回連続で1位を獲得したことも、Androidよりも一日の利用量が50%多いことも、その証である……という論調。

 そして、そうした傾向をさらに強化するのが「iOS 7」だ、という流れである。

iOSデバイスはトータルで6億台の出荷を達成。
iOSとAndroidで一日の利用時間を比較。iPhoneの方が50%長い、とアップルは主張する。
iPhoneが、アメリカの消費者調査会社・J.D.Powerの調査で、顧客満足度が9年連続No.1であることを紹介
WWDC会場内の垂れ幕。基調講演の前から「7」の存在はアピールされていた

 iOS 7の登場は予測されていたものであり、会場には、基調講演前から「7」の文字が踊っていた。来場者にとっての興味は、どのようなデザインに変わるのか、どのような新機能が追加されるのかに興味が集中した。

 会場では、インダストリアルデザイン担当シニアバイスプレジデントのジョナサン・アイブ氏のビデオが流された。アイブ氏は会場にいたのだが、解説とデモは、その後に、OS Xと同様に、ソフトウェアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントのクレイグ・フェデリギ氏が担当した。

iOSを含め、すべての「デザイン」を統括した、インダストリアルデザイン担当シニアバイスプレジデント、ジョナサン・アイブ氏。今回はビデオでの登壇だけだった
iOS 7の発表を担当した、アップル・ソフトウェアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデント、クレイグ・フェデリギ氏

 なによりまず、画面をごらんいただこう。このところアップルのデザインは、実際に存在する物の質感に合わせたようなものが多かったが、iOS 7からは、噂通り、シンプルでフラットな形になった。「GameCenterには、もう緑のフェルトはない」(アイブ氏)「カレンダーはこんな(フラットな)デザインになったけれど、壁からは落ちないよ」(フェデリギ氏)と、従来との違いを強調するような言葉が目立った。

iOS 7の画面。実物を模したデザインから、フラットでシンプルなデザインへと移行する
「GameCenter」の画面は、もっとも劇的に変わったもののひとつ。カジノを思わせるグリーンのゲーム台ではなくなった

 デザインのフラット化に取り組んでいるのは、なにもアップルだけではなく、マイクロソフトやAndroid系のデバイスを手がける企業の間でも広がる、ある種のトレンドといえる。

 だがアップルは、フォントとの関係も含め、相当に細かい部分までデザインを作りこんできており、その部分こそを「差別化要因」としたいのだ、と感じられる。

 実際のところ、この後詳しく説明する各機能を含め、「iOS 7で新規導入された要素」のほとんどは、他のプラットフォームや著名アプリなどで実現済みの要素が多く、飛び抜けた新規性はない。

iOS 7では、フォントやアイコンも含め、かなり慎重なバランスで開発されているようだ。こうした部分はアップルの得意な点だろう

 しかし、デザイン面・操作性での強い統一感まで含めて考えれば、同じ要素を持つものは、今のところiOS 7しかない。

 ただ、アップルとしては、デベロッパー側にも、アイコンやアプリのデザインを、iOS 7的なレベルへと切り替えることを強いる、ともいえる。また、現地では日本語での表示を確認できなかったため、そのあたりの「なじみ」がどうなっているかも気にかかるところだ。

ポイントは「マルチレイヤー化」、マルチタスクもようやく本格化

 さて、iOS 7は「フラット化」したデザインが特徴ではあるが、内部的に見ると、いくつかおもしろい要素がある。

 一つ目に、各画面構成要素が「マルチレイヤー化」していることだ。各レイヤーの間には透過度が設定されていて、重なりの様子が「すりガラス」を通したかのようなイメージで把握できる。

 例えば、iOS 7から導入された「コントロールセンター」は、ボタンがすりガラスの上に配置されたようなデザインになっている。背景にあるアイコンや壁紙によって、画面全体の色調・イメージが大きく変わる。美観的な利点もさることながら、「これが上にかぶせられた層である」ことが容易に把握できて、ITの「お作法」に詳しくない人でも理解しやすい、というメリットが生まれる。

「コントロールセンター」を例に、磨りガラス的な効果を紹介。壁紙やアイコンが違うだけで、ずいぶんと違うイメージに見える
ビデオの中でも、マルチレイヤー化について解説
「コントロールセンター」。「設定項目が呼び出しづらい」という不満に対応。画面下から上へスワイプすると現れ、音楽再生やAirPlayの呼び出しも可能。「LEDライト」も新搭載

 UIコンポーネントのマルチレイヤー化は別に珍しい話ではない。だが、レイヤー同士の関係を「無意識に理解する」のは意外と大変だ。アップルはiOS 7にて、この点に相当気を使っている。一番上はロックスクリーン、次がコントロールセンター、次に通知系、アプリ画面とアプリのアイコン、壁紙という明確なレイヤーが用意されている(順番は一部筆者推測)が、その間で「混乱」を招かないように、という配慮だ。

 その余録として生まれたのが「ちょっと立体に見える」ことである。本体を傾けると、視線からアイコン列、壁紙の間の相対的な方向が変化する(仮想的に、だが)ため、「空中に浮いたアイコンの間から壁紙をのぞいている」ような効果が生まれる。要は、傾ける方向で、壁紙のアイコンで隠れている部分が「ちょっと変わる」のだ。写真では伝わりにくい「百聞は一見にしかず」的な機能であり、多分に装飾的な意味合いが強いが、「レイヤー構造」を体感してもらうには、適切なしかけといえる。もちろん「それが本当にわかりやすいか」は議論があるところだろうが、少なくとも「好ましい方向性」ではある、と筆者は考える。

2つの写真をよく見比べると、壁紙の中でアイコンが隠れている場所が異なる。傾きセンサーを使い、本体の傾きを関知して、アイコン層と壁紙の「レイヤー構造」を見せるテクニックだ

 もうひとつ、こうしたレイヤー構造が必要になる理由として、iOSでようやく「完全なマルチタスク」が実現されることにある。Androidが初期からマルチタスクをウリにしている一方、iOSは「消費電力」を理由に、一部機能のマルチタスクにとどめてきた。だがiOS 7では、「すばらしいバッテリーライフで」(フェデリギ氏)マルチタスクを実現する。

ようやくiOSでも「完全なマルチタスク」が実現。アップルはOS側の制御により「すばらしいバッテリーライフ」を実現できたために導入された、と説明している

 結果、よりアプリの活用自由度があがる。バックグラウンドでのファイル転送を活発に行うアプリなどはもちろんだが、iOSが規定していない外部センサー類(主にBluetooth 4.0 で接続されるものだろう)を生かす用途が激増するであろうことを考えると、バックグラウンド処理の自由度向上は必須。ユーザーとしても、アプリ切り替えの自由度は高まってほしいのは事実だ。ただそうなると、「アプリとアプリの関係」、「告知系とアプリの関係」がわかりづらくなる。理解できている人には問題ないが、仮想的なイメージをどうやって「ふつうの人」に認識してもらうかが問題ではある。

 そこで、アプリ切り替えを全画面化し、「アプリの層が入れ替わる」操作にすることで、マルチタスクをわかりやすくする、という方法論になっている。これはアップルの発明ではないが、iOS全体との「なじみ」という点では悪くないやり方であるように思える。

アプリ切り替えは、アイコンベースから「アプリ画面そのもの」で切り替える方式に。2009年にPalmが発表した「Palm WebOS」で採用していたもので、少々懐かしくも感じるが、確かに使いやすく、わかりやすいやり方だ

 なお、バックグラウンド処理が強化されたことにより、アプリケーションのアップデートは自動化された。Androidではすでに自動だったので、こちらも「ようやく」という印象ではある。

iCloud連携を強化、増加する「iPhone盗難被害」対策も

 さて、iOSにおいて重要な要素は「クラウド」による機器連携、アップルの「iCloud」を使ったサービスだ。そこではMac側との連携も重要になるので、OS X Mavericks側の変更も必須だ。

 現状、iOSとOS Xのデザインモチーフは切り分けられている。新機能の中でも、Safariやマップ関係などは「OS Xライク」な見た目を維持しているが、カレンダー(iCal)については「フラット」化した。そのあたりの統一をどうするんだろう、という疑問も浮かぶが、パソコン(Mac)とiOSを使うシーン・ユーザー層が同一でない以上、棲み分けはしばらく続くのかな、とも思う。

OS X MavericksのiCal。デザインがiOS 7的に「フラット」化し、両者がそっくりに

 iCloudで連携する機能としてまず注目したいのはウェブブラウザ「Safari」の改善だ。デザイン変更・高速化なども重要だが、むしろ筆者が気になるのは「読んでいるウェブ」の同期の扱いだ。これまでは「リーディングリスト」として、登録したものだけがOS XとiOS側で共有されてきたが、今回よりTwitterおよびLinkedInのフォロワーが投稿したウェブのリンクを取り込み、同期する「Shared Links」という機能が追加された。これらのSNSをOS側がチェックしているから可能なことではあり、iOSやOS Xではできても不思議はない機能なのだが、ツイートを「お気に入り」に入れたり、メモしておいたりしても忘れがちな人(もちろん筆者もそうだ)にはありがたいものといえる。

iOS 7版「Safari」。フラット化に伴いUIコンポーネントが目立たなくなり、ウェブの表示に集中しやすくなった印象。アイコンもかなり「フラット」だ
TwitterなどのSNSに投稿されたウェブのアドレスを取り込み、リスト化する「Shared Links」。UIは異なるが、iOS 7でもOS X Mavericksでも利用可能

 Safariについては、UI・タブの扱いも含め、iOS側での制約が大幅に緩和され、見た目こそ「モバイル向け」に特化しているものの、使う上での違いが小さくなってきている。特にタブのインターフェースは従来のものから「各ページを上から見た画面」のような構造に変化しており、印象的だ。アプリの切り替えやフォルダ内のアプリ選択など、iOSとしては「なにかを探す時には横にページ送り」することが基本になっているようだが、Safariのタブについては「上下」方向だ。タブはどこまでも切り替え可能で、最後にはMac側で開いているタブ(これはiCloudで同期されている)にまで行き着く。

iOS 7版Safariのタブ切り替え画面。操作性が上がっただけでなく、見た目もかなりかっこよくなった。機能的には、タブの数制限がなくなったことが大きい

 こうした機能面での変化は、iOS機器の性能が上がり、利用できるリソースが増えた結果だろう。逆に言えば、マルチタスクの導入や表示面での変化も含め、古いデバイスでの動作は厳しくなっていくだろうことは容易に想像できる。iOS 7のベータ版は「iPhone 4以降、iPad2以降、第5世代iPod touch以降」が対象で、ついにiPhone 3G世代が非対応になった。

 iCloudで連携するものとして「通知の同期」も挙げられる。アプリの新着情報などiOS向けの通知は、iCloudで同期され、OS X Marvericksでも表示される。これまでは、Mac側に表示されなかったのはもちろんのこと、複数のiOSデバイスを使っている場合、どちらでもチェックしなければならなかった。元々iOSの「通知」は、端末側の負荷軽減の目的から、アップルのiCloudサーバー側で処理され、通知のトリガーに必要な情報だけが端末に送られていた。だから、その情報を複数端末で共有するのは難しいことではなかったのだが、今回よりようやく実現されたことになる。

 さらに、今回iCloudを使った同期の面で目立つのは、「セキュリティ」関連の要素だ。
 OS X MavericksとiOS 7には、サイトのパスワードやクレジットカード情報を暗号化して保持する「iCloud Keychain」という機能が搭載された。これまではサードパーティー製アプリなどで実現されていたものだが、元々OS Xが持っている「Keycahin」の考え方を拡張し、各サイトへのアクセスの安全性を高めている。

 特にアメリカでは、スマートフォンやタブレット(中でもこちらの伸びが大きい)を使った「モバイルショッピング」の需要が拡大しており、そこでの安全性保持を重視した施策と思われる。一方、こうなったことで「iCloud自身」のパスワードの重要性はさらに高まるため、いっそう気をつける必要がある。

「iCloud Keychain」。複雑なパスワードを「付箋で貼る」日々よさようなら
アップルのクラウドサービス「iCloud」に、パスワードやクレジットカードの情報を安全に記録し、自動入力する

 また今回より、落としたり盗まれたりした端末の「リモートワイプ」機能に「アクティベーションロック」が加わった。これは、いったん端末をリセットしても、ユーザーがiCloud経由で指定した端末については、その端末の持ち主の「iCloudの正しいIDとパスワード」を入力しない限り、端末のアクティベートができない、という仕組みである。仮に盗んだ端末を初期化しようとしても、この機能があれば使うことはできない。

「アクティベーションロック」。一旦失ったiOS機器を登録しておくと、アクティベートする時にiCloudのアカウント入力が必要に。持ち主以外の利用を防止することで、盗難被害の軽減を狙う

 実際昨年以降、スマートフォンの盗難件数は増えており、中でもiPhoneは、リセールバリュー(中古販売時の買取価格)が高いことから、非常に狙われやすい。筆者の直接の知り合いだけでも、この2年の間に4人が、海外での「iPhone盗難」被害にあっている。幸運なことに日本ではそこまで深刻な話は少ないが、世界レベルで見れば大きな問題であることは間違いない。アクティベーションロックの導入によって「盗んでも売れない」状態になれば、盗難被害も減ることが期待できる。この機能については早急に普及してほしい。

写真整理機能が拡張、音楽系では「iTunes Radio」に注目。

 iOS 7では、AV系の機能ももちろん強化されている。

 もっともわかりやすいのは「写真」の管理機能強化だ。これまでは単に写真が大量に並ぶだけで、管理や検索が難しかった。これはおそらく、「携帯電話の写真」が、端末内に大量に蓄積されることを想定していなかった時代の名残だ。アップルの場合、写真はケーブル接続やクラウドを使ってMacに転送し、Mac側の「iPhoto」やその他ソフトで管理する……という方法論を軸にしていたのだろうが、いまやiPhoneは世界でもっとも利用されているカメラであり、「写真の保管庫」としての役割も広がっている。

 そのためiOS 7では、時間と場所をベースにした自動管理が組み込まれた。スマートフォンで撮影される写真にはGPSによる位置情報が記録されるのが当たり前なので、この二種類を手がかりにするのは正しい方向性だと思う。正直遅すぎた、と感じるほどだ。

「写真」機能は大幅改善。写真の種別を、撮影日時と場所を手がかりに自動整理

 また、Macだけに対応していたWi-Fiのアドホック接続によるファイル転送機能「AirDrop」に、iOS機器も対応したことは朗報だ。複雑な設定をしなくても、近くの人と簡単にファイルのやりとりができて実に快適なものなのだが、Mac同士ではどうにも使いどころが少ない。iOSが対応することで、写真などの受け渡しが劇的に簡単に、高速になりそうだ。専用アプリで似たことを行うものもあるが、AirDropの登場により、その地位を奪われるだろう。

ファイル転送機能「AirDrop」。これまではMac OSだけが対象だったが、iOSも対応。写真などを簡単に人に送れる。

 音楽プレーヤーと動画のプレーヤーは、デザインがフラットになり、かなりシンプルになった。

音楽プレーヤー。表示はかなりシンプルでわかりやすくなった。アルバムのカバーフローは姿を消し、アルバムアイコンを一覧するような感覚に
音楽プレーヤーのアイコン
ムービープレイヤー。Windowsなどでもよく見かける、UIボタンがシンプルに動画に重ねられるパターンに。当然非操作時は消える

 機能面での注目は、音楽配信として、ストリーミング型の「iTunes Radio」が用意されたことだ。ラジオと命名されているが、古典的なネットラジオとは少し違う。曲のプレイリストが用意され、それを流しっぱなし、聴き放題にして楽しむサービスだ。アメリカを中心にその種のサービスは急成長している。特に、米Pandra Mediaの「Pandra」や、スウェーデン生まれの「Spotify」はその中心にいる。日本でも定額式の音楽配信は、ソニーの「Music Unlimited」やKDDIの「KKBOX」などが、ユーザー数の面では苦戦しつつも、すでにビジネスを展開している。音楽配信トップのアップルとしても、多少市場が食い合うとしても、このジャンルに参入しないわけにはいかない。

「iTunes Radio」を発表する、インターネットソフトウェア&サービス担当シニアバイスプレジデントのエディー・キュー氏

 iTunes Radioは広告ベースの無料モデルを採っているが、海外ではスタートしているクラウド蓄積型サービス「iTunes Match」(アメリカでは年額24.99ドル)の利用者の場合、広告が出ない。また、iOSの音楽プレーヤーやPC・Mac上で使えるiTunesにビルドインされていて、気に入った曲をiTunesで購入する導線もできあがっている。

 アップルとしては無料に客を誘導するのではなく、「新しい音楽への出会いとして」(iTunes Radioのプレゼンを担当した、インターネットソフトウェア&サービス担当シニアバイスプレジデントのエディー・キュー氏)という扱いにしたいのだろう。

iTunes Radio。聴き放題型のサービスなので、ラジオ感覚でプレイリストが流れる「ステーション」を選んで聴く
iTunes Radioは広告ベースの無料サービス。ただしiTunes Matchの利用者は広告が表示されない。そうして有料側へ誘導する狙いだろう
iTunesと統合されているので、気に入った曲を直接買うことも。他のサービスでも同様の導線はあるが、最有力であるiTunesと連携しているのは強い

 iTunes Radioは今秋にアメリカからスタートする。日本でのサービス展開の予定は、まだ公開されていない。しかし筆者は、日本でも意外と早くスタートできるのでは、と思っている。有料型が多いとはいえ、すでにストリーミング型のサービスは日本でも開始されており、ライセンス面での交渉は可能と考えられるためだ。

 実際、「クラウドへ蓄積するロッカー型はスキップして、日本はストリーミング型が先に広がるのでは」と予想する音楽関係者は少なくない。PandraやSpotifyなど強力なライバルより先に日本でビジネスをスタートすることになれば、諸外国とはまた違った状況が生まれる可能性は高く、要注目である。

西田 宗千佳