SCE、PS3でDTCP-IP対応する新ファーム「3.00」公開
-レコーダの番組再生検証。音楽アップサンプリング強化
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は1日、PlayStation 3(PS3)の最新システムソフトウェア バージョン3.00を公開した。DLNAサーバー機能を備えたBlu-rayレコーダなどから著作権保護されたコンテンツを再生する、DTCP-IP対応が行なわれるなど、AV機能が強化された。
既報の通り、9月3日に発売される薄型/低価格な新型「PlayStation 3」(CECH-2000A)は、BDビデオに収録されたドルビーTrueHDやDTS-HD Master Audioのビットストリーム出力に対応。ブラビアリンクにも対応するのが特徴だが、それ以外の新機能は、システムソフトウェア 3.00を適用した従来のPS3でも利用できる。
機能 | 新型PS3 CECH-2000A | 従来モデル (現行80GB以前) |
ドルビーTrueHD DTS-HD Master Audio ビットストリーム出力 | ○ | - |
ブラビアリンク対応 | ○ | - |
システムソフトウェア 3.00 | ||
DTCP-IP対応 | ○ | ○ |
XMBデザイン変更 | ○ | ○ |
インフォメーションボード強化 | ○ | ○ |
音声同時出力 | ○ | ○ |
HDD内動画の | ○ | ○ |
コントローラー 右スティックで 動画の早送り/戻し | ○ | ○ |
起動時に左側に表示されるロゴマークが新しいロゴになっている |
しかし、バージョン3.00にアップデートしただけでは、DTCP-IPに関する設定項目は登場しない。一度、対応するBDレコーダなどと接続し、著作権保護されたコンテンツを再生しようとすると、「DTCP-IPが有効になっていません。有効にしてください」というメッセージが表示される。
その後、PS3の設定から「本体設定」に移ると、新たに「DTCP-IPを有効にする」という項目が出現する。ここから機能をONにすると、初めて録画コンテンツが再生できるようになる。
アップデートの主な内容の一覧 | DLNAサーバーとして、音楽やビデオの機能欄からBDレコーダが表示される |
BDレコーダ内を表示しているところ。初回に再生使用とすると、右のメッセージが表示される | DTCP-IP設定を有効にするよう、メッセージが表示される |
編集部ではDLNAサーバーとして、ソニー製BDレコーダの「BDZ-L95」を用意。地上デジタル放送の番組をDRモードやAVC録画モードの「SR」、「LR」、「ER」などで録画。それをPS3から再生してみたが、いずれのモードも再生できた。ただし、初回再生時に一度「再生できません。800288D8」というエラーメッセージが表示されたが、再度再生を試みると問題なく再生できた。
メッセージが表示された後で本体設定に移ると、DTCP-IPに関する設定項目が追加されている | 最初のファイルは再生できないと表示されたが、もう一度選択すると再生できた | レコーダ側の録画コンテンツ。DRモードだけでなく、AVCモードで録画したコンテンツも再生できた |
再生中は早送り、巻き戻しに加え、1.5倍、30倍、120倍速再生も可能。ただし、ローカルファイルの再生とは異なり、飛び飛びでの画面表示となるが、高速再生時のレスポンスも良好。指定間隔でサムネイルを表示するシーンサーチや、フラッシュ再生も可能。レジューム再生も可能で、DLNAクライアントとしての機能は豊富と言える。
また、バージョン3.00の新機能として、動画再生中にワイヤレスコントローラの右スティックを回すことで、0.01倍単位で任意のスピードに調節して早送り/早戻しができるようになっており、スロー再生が容易に行なえる。この機能はネットワーク再生時にも利用できるが、DTCP-IP時はスロー戻しができず、戻しの場合は2倍速の早戻しから機能する。
ワイヤレスコントローラの右スティックを回すことで、任意のスピードで早送り、早戻しが可能。スピードは画面左下にグラフィカルに表示される |
DLNAアクセス時には、番組のジャンル分け表示が可能で、番組名も表示される。ただし、「BDZ-L95」と接続した場合はサムネイル画像は非表示。また、再生前は動画マークのブランクアイコンが表示されるだけだが、一度再生したコンテンツには青い「Video」マークが表示されるようになる。
PSPでリモート接続したところ。BDレコーダは見えるが、中の録画番組は表示できない |
さらに、[サウンド設定]内に[音声同時出力]が追加され、HDMI出力、光デジタル出力、AVマルチ出力端子に音声を同時出力できるようになった。なお、[音声出力設定]で設定した端子以外に出力される音声チャンネル数は2chに制限される。また、HDMIに出力される信号が、リニアPCM 7.1chの場合、リニアPCM 5.1chまでに制限される。
さらに、リニアPCM 88.2/96/176.4/192kHzの出力も行なえず、リニアPCM 44.1/48kHzまでに制限される。加えて、新型PS3(CECH-2000A)でサポートするドルビーTrueHD、ドルビーデジタルプラス、DTS-HDは出力できないといった多くの制限があるので、設定する際には注意が必要だ。
また、従来は音楽CD再生時にしか利用できなかったアップサンプリング機能が、MP3などの音楽ファイル再生時にも利用できるようになった。通常44.1kHzで収録している音楽CDや楽曲ファイルを、その2倍となる88.2kHz、4倍の176.4kHzにアップサンプリングして出力する機能で、[ミュージック]の設定欄で[44.1/88.2/176.4kHz]を選んでいると、音楽ファイル再生時にも適用される。
ただし、同時出力をON時の制限は、音楽ファイルのアップサンプリング出力も該当するので、同時出力をONにしていると、HDMIにもアップサンプリングせずに出力されてしまうので設定には注意したい。また、編集部で試したところ、通常は音楽再生時にXMB(クロスメディアバー)をオーバーレイ表示する事が可能だが、アップサンプリング中は表示できなかった。
音声同時出力設定時の注意文 | 受け取るAVアンプ側のOSD表示。音楽ファイルも176.4kHzなどにアップサンプリング再生できる |
ほかにも、[ビデオ設定]に[HDD音声言語]と[HDD字幕言語]が追加。PlayStation Storeから配信されたコンテンツなど、HDDに保存した映像の言語/音声設定ができるようになった。
ビデオ設定にHDD内動画の音声言語、字幕言語の設定が追加された | 音声同時出力設定の画面 |
インフォメーションボードが機能拡張され、アイコンを主体とした情報量が豊富な表示になった |
また、[フォト]、[ミュージック]、[ビデオ]で表示できるフォルダの階層が増加。記録メディアのフォルダが、2階層目までXMB上に表示されるようになっている。
表示面ではインフォメーションボードの機能拡張が行なわれ、ゲームソフトの最新情報、追加コンテンツ、動画配信の最新情報などがよりグラフィカルに確認できるようになっている。
(2009年 9月 1日 山崎健太郎)
[AV Watch編集部 ]