新「PlayStation 3」の動作音/消費電力をチェック

-さらなる静音化。筐体は劇的に小型/軽量に


左から新型、2代目、初代モデル

9月3日発売

希望小売価格:29,980円

 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)から、9月3日に発売される薄型/低価格な新型「PlayStation 3」(PS3/CECH-2000A)。Blu-rayのドルビーTrueHD、 DTS-HD Master Audio音声がビットストリーム出力できることや、システムソフトウェア 3.00でDTCP-IPに対応するなど、AV的なトピックも満載の注目ハードである。

 AV関連の細かい強化点は、記事や西田氏の「RandomTracking」でのインタビューなどで掲載した通りだ。今回、発売前に実機に触れる機会に恵まれたので、新型PS3と従来モデルとの比較写真や、動作音、消費電力の違いなどを紹介する。


■ 比べてわかる大幅な小型/軽量化

 ハードウェア面の最大の特徴は、なにより小型/軽量化した事。新型の外形寸法は290×290×65mm(幅×奥行き×高さ)で、初代や2代目の(325×274×98mm)から約2/3に削減されている。なお、今回は薄型/軽量のCECH-2000A(以下、“新型”と記載)、比較用にCECHH00シリーズの40GB HDDモデル(以下、2代目)、初代CECHA00シリーズの60GB HDDモデル(以下、初代)を用意した。

 重量も3.2kgで、初代の5kgから2/3に軽量化。2代目の4.4kgと比べても1kg以上軽くなっている。これにともない、パッケージも小型化される予定。

 初代や2代目と並べると、数値で見る以上に、“劇的に小さくなった”という印象を受ける。天面がカーブしたデザインは踏襲しているためそれほど“薄い”という印象は受けないのだが、全体的に小型化されているため“凝縮感”を強く感じる。

 約3.2kgという重さも手にすると従来よりも大幅に軽く感じる。特に初代モデルは男性が両手でしっかりと掴まないと危険を感じるほどの重さがあり、分厚いことや、表面がツルツルして掴みにくい事も含め、持ち運びが楽とは言えなかった。新モデルは薄く、つや消し仕上げで掴みやすいため、男性ならば容易に片手で運搬できる。

 従来は店舗で購入後、電車で持ち帰ると、ホームに登ったあたりで後悔するような重さだが、新型ならば気軽に持ち帰れそうだ。自室とリビングの両方で使うなど、家庭内で頻繁に移動させているという人にも嬉しい進化ポイントだろう。

高さが98mmから65mmへと薄型化された側面に排気/吸気口は備えていない。手前が新モデル従来モデルと比べると大きさの違いがよくわかる

 外観上の大きな違いは、天板の光沢の有無。従来の筐体はポリカーボネイトのクリア感がある光沢仕上げだったが、新モデルはプラスチック感が強く、触るとザラザラとした質感だ。PS2の筐体よりは高級感はあるが、従来の筐体と比べると、どうしても“安っぽさ”はある。ただ、ホコリや指紋が付きやすく、かつ目立つ従来モデルと比べ、新型は汚れがほとんど気にならないという利点もある。また、天面のロゴマークも新しい物に変わっている。

曲線を描いた天板は従来と同じ天板には新しいロゴマークが入れられている従来のロゴとの違い

 光沢のある素材が使われているのはスロットインドライブの前面にある、操作ボタンパネル。ボタンそのものはつや消しで、従来のタッチセンサータイプから、押し込むボタン式に変わっている。高級感では劣るが、本体掃除中など、意図せず触れて電源が入る事も従来モデルでは多かったため、ボタン式が良いと感じる人もいるだろう。なお、ボタンの上部にはランプも内蔵されており、起動中は電源ボタン上部が緑に、ディスクが入っているとイジェクトボタン上が青くライトアップされる。

 前面左下には、コントローラやカードリーダなどを接続するためのUSB端子を2系統装備。初代の4系統と比べると削減されているが、2代目と同じである。初代にあったカードリーダは新モデルでも非搭載で、ドライブ左側のパーツは開閉しない。

BDドライブはスロットインタイプ操作パネルには光沢のある素材が使われている
電源ボタンとイジェクトボタンは押し込み式の通常のボタンに変更された前面左に2系統のUSB端子を備えている

 底面には長方形の切れ込みがあり、爪で開くと中からネジが現れる。HDD交換用のネジで、これを外すことで前面右側に格納されたHDDユニットを、手前に引き出すことができる。従来は側面から行なっていた。新モデルは側面に排気/吸気穴が無く、左右に近接して物を置く事もあると思われるので、HDD交換のしやすさに繋がりそうだ。なお、天板の裏側にはスリット状の吸気口が開いており、それが前面や左右に伸びている。

背面のインシュレーター部。ここにもスリット状の吸気口がある背面の中央前方にある切れ込み。これを外すとHDD取り外し用のネジが現れるHDDユニットは前面右側に配置。前方に引き出す

 背面にはEthernet、HDMI出力、光デジタル音声出力、AVマルチ出力を備える。電源ケーブルはメガネ型の着脱式。薄い筐体にも関わらず、電源も内蔵しているのは驚きだ。初代や2代目と異なるのは主電源スイッチが省かれたこと。そのため新型では電源ケーブルを接続するとそのままスタンバイモードになる。背面には横に長く排気口を備えている。

新型の背面2代目の背面初代の背面

縦置きしたところ。左から新型、2代目、初代
 従来モデルは縦置きも想定し、排気/吸気口の無い左側の側面に、縦置き用のゴム足を備えていたが、新モデルでは省かれている。新モデルでも縦置きは可能だが、別売の縦置きスタンド(CECH-ZS1)が必須となる。このパーツは9月3日に2,000円(希望小売価格/税込)で発売される。

 このスタンドが良くできており、背面のパーツを起こすと、PS3を固定する爪が開き、その状態でPS3の側面に装着。パーツを平らに倒すと爪が内側に動いてPS3とスタンドをロックする機構になっている。


縦置き用の別売スタンド。本体側面に装着するスタンド裏側のパーツを立ち上げるとロックが外れる本体を固定するためのロック部

 

■ 動作音/消費電力をチェック

動作音を録音しているところ
 次に動作音をチェックしてみよう。初代、2代目(40/80GB HDD)、新型を並べ、電源ONから、XMB(クロスメディアバー)が表示されるまでの音を、背面の排気口から約6cmの距離に置いたレコーダで録音してみた。風量も感じてもらうため、風切音も若干入れている。


 

 新型
(CECH-2000A)
2代目
(CECHH00)
初代
(CECHA00)
起動時の騒音new.mp3
(430KB)
2nd.mp3
(424KB)
1st.mp3
(418KB)
消費電力
(XMB表示時)
約76W約106~110W約140~154W
消費電力
(BDビデオ再生時)
約83W約118~119W約168~169W
※AV Watch調べ
※消費電力は「ワットチェッカー」での実測値

 違いは聞いての通りだが、起動時に瞬間的にファンの回転数が上がった時の風量は、初代/2代目から激減、カリカリというHDDのシーク音などもほとんど聞こえなくなっている。1m以上離れると起動しているのかしていないのかわからず、筐体に顔を近づけてようやくファンの音がかすかに聞こえるレベル。

 参考までに騒音計測器を用意したが、空調が効いた44dBの室内で、PCMレコーダと同位置で計測したところ、アイドル時で初代が50~52dB、2代目が50~51dB程度であるところ、新型は47~46dB程度に収まっていた。

 また、ファンの回転数を強制的に上げようと背面排気口を手や厚紙などで一時的にふさいでみたが、1分程度では変化がなく、2分ほどふさいだまま筐体に耳をつけるようにして2、3段階ファンの回転数がアップしたかな? と感じる程度。最大回転時の騒音は2代目とほぼ同じとのことだが、そもそも最大回転しにくくなったと言えそうだ。

 消費電力は、「ワットチェッカー」を使用して、XMBが表示されているアイドル時と、Blu-ray Discビデオ再生時(パイレーツ・オブ・カリビアン デッドマンズ・チェスト/チャプタ2)を計測してみた。結果は上の表の通り。状況や処理内容によって違いは変化すると思われるが、BDビデオ再生においては初代モデルと比べ、半減したと言えそうだ。

新型のBD再生時。アイドル時も100W以下に抑えられている初代のBD再生時

 ビットストリーム出力だけでなく、静かな動作音はシアタールームでのBDプレーヤー利用時にこそ恩恵が大きい。消費電力の低減も、AVアンプやプロジェクタ、大画面テレビなど、消費電力の大きな機器と併用するシーンが多いだけに、嬉しいポイントだ。BD/ネットワークプレーヤーとしても、一段と魅力的なモデルに進化したと言えそうだ。


(2009年 8月 31日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]