SCE、薄型/低価格な新PlayStation 3を日本で発表
-PS2互換無し。一生ゲームで遊べるプレゼントも
ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は18日、プレイステーションに関する戦略発表会を日本で開催。薄型/低価格化した「PlayStation 3」(CECH-2000)を発表した。HDD容量は120GB。価格は29,980円。カラーはチャコール・ブラック。
現行のPS3は80GB HDDの「CECHL00」が39,980円、40GBの「CECHH00」がオープンプライスで発売されているが、既に出荷は完了しており、市場在庫のみとなる。日本では、海外で予定されている現行モデルの低価格化などの価格改定は予定されていない。
仕様は既報の通りで、HDD容量は120GB。主要半導体の改良を行なっており、Cell Broadband Engineは、プロセス45nm版が新たに採用されている。電源系、冷却システムも一新し、大幅な薄型化と軽量化実現した。外形寸法は290×290×65mm(幅×奥行き×高さ)、重量は3.2kg。初代PS3(325×274×98mm/5kg)と比べ、厚みと重量を2/3に削減。ファンノイズも低減した。
消費電力は約250W。裏側の主電源スイッチは省かれ、電源ケーブルを接続するとスタンバイ状態になる。前面下部左にUSB端子を2系統用意。コントローラはDUALSHOCK 3が付属する。カードリーダなどは内蔵していない。
大幅な小型、軽量化を実現。片手でも容易に持ち上げられる | 背面端子部。主電源スイッチが省かれた | 前面。左下にUSB端子を2系統備えている |
新たにHDMI連携機能のブラビアリンクにも対応。ソニーの液晶テレビ「BRAVIA」と接続することで、テレビのリモコンで直接PS3のXMBが操作可能。テレビの電源を切るとPS3の電源も自動的にオフになる「システムスタンバイ」機能も利用できる。ハードウェア的に対応しているため、従来モデルはファームアップしても対応できない。
従来モデルから削除された機能は「他のシステムのインストール」機能で、「ゲームをはじめとしたエンタテインメントコンテンツをお楽しみいただくことに特化するため、取り外した」(SCE)という。なお、新型の発売に先駆け、9月1日には新ファームウェア「3.00」のリリースが予定されているが、これを適用しても従来モデルであれば、他システムのインストール機能は継続して利用できる。
PS2ソフトの互換機能は新モデルでも搭載していない。今後のサポートも含め、SCEでは「未定」としている。
120GB HDDのサイズは従来モデルと同じ2.5インチ。側面に交換用のスリットは設けられておらず、底面に小型パーツで隠されたネジがある。これを取り外すことで、前面右側のHDDユニットが着脱できるようになっている。
従来モデルにあった、HDD交換用スリットは新モデルでは側面には無い | 底面にある長方形のパーツを外すとネジがあらわれる。これを外すとHDDユニットの着脱が可能に | 本体前面右側と底面。左写真のネジを外すと、HDDユニットが前方に抜けるようになっている |
また、新たに縦置きスタンド(CECH-ZS1)も9月3日に2,000円で発売。従来モデルには非対応。細かいポイントでは、スロットローディングのドライブ前に備えた電源、およびイジェクトボタンが、タッチセンサータイプから、ボタンタイプに変更された。
縦置きスタンドも本体と同時に発売される | 縦置きスタンド部。新モデルのみに対応している | イジェクトボタンと電源ボタンが押し込めるタイプのボタンに変更された |
また、ドルビーTrueHD、 およびDTS-HD Master Audio音声を、HDMI端子からビットストリーム出力できるようになった。DTCP-IPにも対応する。詳細は8月21日の記事で記載している。
底面のインシュレーター部 | 底面 |
□関連記事
【8月21日】新PS3は、TrueHD/DTS-HD MAのビットストリーム出力対応
-旧モデルも含めファーム3.00でDTCP-IP対応
http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20090821_309899.html
■ ファームウェア 3.00
新モデル発売に先駆け、9月1日にはシステムソフトウェアのバージョン3.00が公開予定。新モデルに搭載されるほか、従来モデルにも適用できる。
主な変更点はXMB(クロスメディアバー)のデザイン変更で、流れる波のような背景エフェクトに星屑が舞うようなエフェクトが追加。よりダイナミックな背景になったという。
また、使い勝手も向上。従来からPlayStation Network(PSN)のコンテンツ更新情報を知らせるインフォメーションボードを搭載していたが、文字情報だけでなく、ゲームやコンテンツのイラストがアイコンとして表示されるようになった。
アイコンを選択すると、更新内容の概要が文字で下部に表示。選択状態でボタンを押すと、PSNにログインしPlayStation Storeの該当ページにジャンプしたり、ゲームの公式Webページにアクセスする事ができる。
3.00のXMB画面。様々な情報が画面右下にアイコンとして表示されるようになった | アイコンにフォーカスすると大きく表示されるほか、各項目の概要説明も表示される | そのままボタンを押せば、ゲームの追加コンテンツ販売ページにダイレクトでジャンプできる |
同機能はユーザーがインストール/プレイしているゲームの情報も参照しており、「良くリトルビッグプラネットをプレイしているユーザーのXMB画面では、リトルビッグプラネットの追加コンテンツ発売開始のアイコンが表示される」といった、ユーザーに合わせた情報の出し方が可能になっている。ゲームだけでなく、映像コンテンツの新着情報などもアナウンスされる。
ほかにも、画面右上の時計部分のデザインを変更。オンライン/オフラインのステータスが容易に確認できるようになり、フレンド招待やメッセージの受け取りなどが視認しやすくなっている。
PlayStation Storeの更新情報を表示しているところ |
■ 「PlayStationは変わり続ける」
各ハードウェアのロゴマーク |
さらに、今後の予定として9月24日から幕張メッセで開催される「東京ゲームショウ」、11月1日に発売する「PSP go」にも触れ「PlayStationブランド全体が進化する。PlayStationは変わり続ける。今日から年末商戦のスタートと考え、年末に向けて新しいハードウェア、ソフトウェアの発売が連続する。今後のPlayStationにご期待ください」と語った。
なお、今回の発表会は新型PS3の発表/紹介に特化した形となっており、新しいゲームソフトやサービスなどの紹介は一切行なわれなかった。これは、新PS3に関する発表を東京ゲームショウに先駆けて行なうことで、ゲームショウではソフトのラインナップ紹介に重点を置きたいという狙いがあるようだ。
■ 一生ゲームで遊べるポイントが当たる
新PS3の発売に合わせ、「playface」と呼ばれるプロモーションイベントが9月3日から開催される。これはゲーム(PS3)を楽しんでいる自分の顔を撮影し、プロモーションサイトに投稿。表情の面白さなどを競うというもので、人気投票で順位が決定。賞金としてPSNのポイント1,000万円分が用意されており、1位の人に250万円分のポイントがプレゼント。2位に100万円分、3位(2人)に50万円分が贈られ、残りの550万円分はランキング上位から、獲得投票ポイント数に応じて配分される。
250万円分のポイントを獲得すれば、年間5,000円のソフトを5本遊ぶとして、その100年分に相当するため、SCEでは「一生ゲームで遊べるポイントを稼ごう」とアピールしている。
公開されたplayfaceのCM。様々な人がゲームをプレイしている顔がアップで写されている |
ユーザー自らが撮影するだけでなく、9月3日から11月24日までは、東京お台場のメディアージュ、ゲームショー会場、ヨドバシAKIBA、なんばパークスなどで「playface撮影キャラバン」も開催。プレイ中の顔を360度から一度に撮影できる専用システムを設置し、来場者が最新ゲームを体験している時の顔を撮影/投稿できる。
撮影キャラバンに用意される撮影システム | プレイ中の顔を様々な角度から撮影できる |
シニア・バイスプレジデントの金勲氏は、プロモーションの目的を「PlayStationに新たな価値を与えるためのもの」と説明。「今の日本には閉塞感や無力感が漂い、“エキサイティング”が足りない。生活は快適だが何かを強く感じる事が無く、子供達は失敗するのが嫌でチャレンジすらしないという声もある。PlayStationはそんな状況を治す事ができる」という。
「ゲームを通してもっと笑い、泣き、歓喜し、怒り、焦り、悔しがり、悲しむほうがいい。軽い明るさや癒しに逃げず、よりビビッドで豊かな感情体験を積極的に楽しむ事をPlayStationは肯定する」と語り、“PlayStationで感情体験をしている顔を撮影する”というplayfaceの狙いを解説。新ブランドメッセージ「こころは、もっと動く。」も発表した。
シニア・バイスプレジデントの金勲氏 | 日本にはエキサイティングが足りないという | 閉塞感、無力感に包まれた日本をPlayStationが変化させる |
新ブランドメッセージ「こころは、もっと動く。」 | playfaceの概要 | 発表会は東京・秋葉原のベルサール秋葉原で行なわれた |
(2009年 8月 19日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]