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ソニーの「Music Unlimited」を体験してみる

−音質はHE-AAC 48kbps。邦楽も順次追加予定


「Music Unlimited」対応デバイスを集めたところ

 ソニーが3日から、日本でサービスを開始した「Music Unlimited」。概要は昨日お伝えした通りだが、ソニーでメディア向けの体験会が開催されたので、配信フォーマットなど、細かい情報も含めて、実際の使い方を改めて紹介したい。

 「Music Unlimited」は、クラウド型の音楽配信サービスで、サーバーに用意された1,000万曲以上の楽曲を、インターネット経由で好きなだけ再生できる“サブスクリプション型”のサービスだ。有料となっており、30日間1,480円で利用可能。ただし、加入最初の30日間は無料で体験できる。海外では既に展開されており、日本でも新たに利用できるようになったカタチだ。

 ソニーは現在、映像配信サービスの「Video Unlimited」や、撮影した動画・静止画をクラウド経由で共有できる「PlayMemories Online」、PlayStation 3やPS Vita向けにゲームなどを提供している「PlayStation Network」(PSN)を展開しているが、同様の1つとして「Music Unlimited」も追加される。

 そのため、これらのサービスで利用されているSony Entertainment NetworkのIDが、「Music Unlimited」でも利用可能。例えばPSNで使っているID/パスワードを、そのまま「Music Unlimited」に入力すれば、新たに会員登録などをせずに利用できる。ただし、有料サービスであるため、IDにクレジットカード情報の登録が必要だ。利用を開始すると30日ごとに1,480円が課金される。


「Music Unlimited」の位置付け。Sony Entertainment NetworkのIDが利用できる 海外では既に展開されていた

 なお、支払方法は現在のところクレジットカードのみだが、「具体的にアナウンスはできないが、他の方法も検討している」(ネットワークエンタテインメント部門 ビジネス企画部 ビジネス企画課の大澤雄人統括課長)という。



■マルチデバイスで利用可能

 「Music Unlimited」最大の特徴は、様々なデバイスで利用できる事。具体的には、PCのWebブラウザ、Androidスマートフォン、Androidタブレット、Android OS採用ウォークマン、PlayStation 3、PS Vita、液晶テレビBRAVIA、ソニー製BDプレーヤー、ソニー製AVアンプ、iPhone/iPod touchで利用できる。ただし、この中のBRAVIA、BDプレーヤー、AVアンプ、iPhone/iPod touchの対応は7月中旬以降の予定だ。詳細な対応モデルの情報は、下の画像の通り。

ソニーのAVアンプ「TA-DA5700ES」も対象モデル ソニーのBDプレーヤー「BDP-S380」、「BDP-S480」でも利用できる 対応モデル情報

 これらの機器であれば、同じID/パスワードを入力する事で、どのデバイスでも音楽が楽しめるようになる。また、後述するプレイリストや、ユーザーの嗜好情報といった情報もIDに紐付いているため、デバイスを問わず、同じ感覚で「Music Unlimited」の機能を活用できる。

 まず、PCのWebブラウザを使ってみる。「http://munlimited.com/go」にアクセスすると、グラフィカルなUIが表示され、左側にメニュー、右側に様々な楽曲コンテンツが並ぶ。左のメニューには「チャンネル」、「マイチャンネル」、「チャート」、「マイライブラリー」、「プレイリスト」などが並んでいる。

 この中から例えば「チャンネル」を選ぶと、ジャズやロックなどの音楽ジャンル、ヒットチャートの楽曲などのチャンネルが表示される。これは、1,000万曲以上の楽曲をわかりやすく楽しみ、新しい音楽との出会いも実現するために用意された機能で、ラジオのようにチャンネルに集められている楽曲を連続で再生する事もできる。

PCのWebブラウザから利用しているところ 用意されているチャンネルの種類 選べるチャンネルリストの一覧

 なお、サインインしていない状態でも楽曲の選択・再生などの操作が可能だが、再生時間は30秒間に制限される。おおまかな使い方を体験した上で、気に入ったらサインインして本格的に使う事ができる。

 再生時の操作メニューは、画面の上部に用意。通常の音楽プレーヤーのような再生/停止、曲送り/戻しのボタンが用意され、シークバーで任意のポイントから再生する事も可能だ。

 この再生メニューの中に、ハートのマークと、ハートにヒビが入ったような2つのマークが存在する。これは、再生中の楽曲に対して、ユーザーが“好き”、“嫌い”というリアクションを行なうためのもの。この情報を蓄積していく事で、「Music Unlimited」側がユーザーの嗜好を把握。好むであろう楽曲を、次々と再生してくれるようになる。つまり、使い込んでいけば、同じジャズチャンネルを選択していても、AさんとBさんで、全く違う曲が流れることになる。

写真はスマートフォン版だが、PC版でも使い方は同じ。ハートマークを押せば「好き」、ひび割れハートマークでは「嫌い」となる

 また、ジャンルを問わず、ユーザーが好むであろう曲が用意される「お気に入りチャンネル」も用意。さらに、ソニーの12音解析を使い、「エネルギッシュ」や「エモーショナル」など、楽曲の感覚・ムードで分類された「SensMe」も用意。「爽やかな楽曲をまとめたチャンネル」、「夕方に似合うチャンネル」といったものが用意される。他にも、年代ごとに分けられたチャンネルも利用可能。

 プレイリストも作成でき、チャンネルやテキスト検索結果、ヒットチャートなどから好きなように登録可能。楽曲、アルバム、アーティストごとにソートする事もできる。

 また、1つの楽曲と関連するアルバムを表示する機能も備え、新しい曲との出会いを提供するシステムにもなっている。

PlayStation 3版を使っているところ。PS3の処理性能を活かし、3DのグラフィカルなUIが採用されているが、用意されている機能はPC版などとほぼ同じだ



■所有楽曲とMusic Unlimitedを照らし合わせる“マイライブラリー”

 PCのWebブラウザ版からは、「Music Sync」というアプリをダウンロードできる。これは、自動的にユーザーのHDD内にある音楽ファイルや、プレイリスト(m3u)を解析。同じ楽曲がMusic Unlimitedの1,000万曲の中にあった場合、「マイライブラリー」という項目に、その楽曲を一括登録してくれるもの。

 注意したいのは、「Google Music」などとは異なり、ユーザーが持っている楽曲ファイルそのものをオンラインストレージなどにアップロードするような機能ではなく、Music Unlimitedにそのようなサービスは存在しない。あくまでユーザーが持っている曲の情報を収集し、同じものが「Music Unlimited」上にあれば、それを「マイライブラリー」にリスト的に登録してくれる機能。言い換えれば、「自分が持っている曲が、Music Unlimited上にあるかな?」という検索&リスト化を、一括して代わりにやってくれる機能と言える。そのため、Music Unlimited上にない曲は、当然「マイライブラリー」には現れない。また、ユーザーが持つ音楽ファイルを、オンラインストレージにアップロードするような機能は、現在のところ予定されていないという。

 なお、「Music Sync」は、ユーザーPC内楽曲のメタデータだけを読み取っているのではなく、波形なども見てマッチングしてるという。ただし、DRMで保護された楽曲は解析できない。また、プレイリストの解析は、m3u、iTunes、Windows Media Playerに対応している。

PCのブラウザから「Music Sync」アプリをインストールするところ PC内のライブラリと、Music Unlimitedのライブラリが照らし合わされ、マッチした楽曲のみが登録された「マイライブラリー」



■音楽データはHE-AAC 48kbps

 PS VitaやAndroidスマートフォン/タブレット/ウォークマンなど、その他の機器では、UIのデザインや配置に若干の違いはあるものの、基本的な使い方は共通。楽曲検索、チャンネルの再生、プレイリスト再生、マイライブラリーの再生なども可能。Webブラウザ版で作ったプレイリストを、そのまま他のデバイスで再生でき、PCのHDDを解析して登録されたマイライブラリーも、他のデバイスで楽しめる。

 AndroidスマートフォンやPS Vita、今後登場予定のiPhone向けアプリなどでは、無線LANだけでなく、3G経由でも楽曲再生が可能。3Gの通信速度も考慮し、ストリーミング配信される楽曲は、HE-AAC 48kbpsでエンコードされたものとなる。

 これは「チャンネルの再生など、モバイルでも多数の楽曲を楽しむ使い方になる事と、音質のバランスを試聴&検討した結果、決定したもの」(ソニー)とのことで、どのデバイスで利用しても同じ楽曲データとなる。

 イヤフォンで分析的に試聴すると、シンバルなどの高域描写がやや荒く、音像の厚みも減る傾向が感じられるが、高域にシャラシャラしたノイズが乗るような、聴いていて不快な音にはなっていない。大量の音楽を次々と楽しんだり、BGM的にずっと流すような使い方をメインにするならば、この程度の音質でも満足できそうだ。

スマートフォンとPS Vitaでマイライブラリーにアクセスしたところ。同じライブラリが表示されている タブレットとAndroidウォークマンでも同じマイライブラリーが表示されている



■デバイスごとに細かな機能差。オフライン再生も

 前述のように、基本的な使い方は各デバイスで共通しているが、そのデバイスに沿った機能が追加されているものもある。

 例えば、PS VitaとAndroidスマートフォン/ウォークマンでは、プレイリストごとに「オフライン」指定ができる。これを指定しておくと、プレイリストに登録した音楽を、一旦端末にキャッシュするため、ネットに接続していない状態でも再生できるようになる。キャッシュ可能曲数の上限は、スマートフォンが4,000曲、Vitaは1,000曲。Vitaではさらに、「チャンネル」ごとキャッシュする事が可能だ。

 なお、Music Unlimitedを解約した場合、キャッシュした楽曲はしばらくすると再生できなくなる。これは、各端末が30日毎にMusic Unlimitedにアクセスし、認証する必要があるため。そのため、解約していなくても30日に一度はMusic Unlimitedにアクセスする必要がある。その他の機能差として、液晶テレビ・BRAVIAでは、プレイリストの作成ができないなど、デバイスに合わせた機能の簡略化も図られている。

 詳細機能比較は以下の写真の通り。なお、アカウントの作成は、できるデバイス/できないデバイスが存在するが、「近日中にAndroidのスマートフォン/タブレットから、アカウント作成が可能になる予定。BRAVIAには、アカウント作成機能の追加は予定していない」(大澤氏)という。

各デバイスにおける機能比較。当然の話ではあるが、持ち出さないテレビのBRAVIA向けには、オフライン再生機能が省かれているなど、細かな機能の違いがある

 また、複数のデバイスから利用できるが、音楽を配信するストリーミングは、1つのIDにつき、1つまでに制限されている。このため、例えばリビングのBRAVIAで音楽を再生している時に、書斎のPCから音楽を再生すると、BRAVIA側が停止し、PCから再生される。

 ただし、オフライン再生はストリーミングでないため、ストリーミング再生との同時再生が可能。このオフライン再生には、1つのアカウントにつき、最大3台までという制限もある。そのため、4台目のスマホなどを追加する場合は、既に利用している他の端末の設定メニューから、オフライン機能を「無効」にすると、新しいデバイスがオフライン保存できるようになる。

BRAVIAから利用しているところ。2010年以降発売のモデルが対応しているが、HX80RとEX30Rシリーズは対象外となる



■邦楽の拡充など今後の予定は?

ネットワークエンタテインメント部門 ビジネス企画部 ビジネス企画課の大澤雄人統括課長

 スタート時のラインナップは「1,000万曲以上」とされているが、洋楽が大半で、邦楽は「数万曲という単位」(大澤氏)と少ない。大澤氏によれば、既に国内レーベル各社への説明・紹介は開始しており、「今後は邦楽も順次追加し、早い時期に曲数2桁万台を目指したい」という。

 なお、配信されている楽曲のラインナップは、サービス対象の国ごとに異なる。そのため、例えば米国向けに提供している洋楽のラインナップと、日本から再生できる洋楽のラインナップは異なるという。

 また、海外では利用プランが2つ用意されており、全ての機能が利用できるプレミアムプランと、利用できないチャンネル(トップチャートなど)が存在する低価格なベーシックなプランがある。日本でのサービスはプレミアムプランに該当するが、日本でより低価格なプランを提供する予定は、現在のところ無いという。



(2012年 7月 4日)

[ AV Watch編集部 山崎健太郎]