プレイバック2016
“あの作品”も4K/HDR配信!? Bluetoothヘッドフォンは新たな次元へ by 海上 忍
2016年12月23日 10:15
昨年は「画と音」の各ジャンルで1製品をピックアップしてみたが、今年は少し趣向を変え「ソフトとハード」各ジャンルから印象に残った製品(コンテンツ)をピックアップしたい。
まずはソフトから。2016年はいよいよUHD BDが本格稼働、「レヴェナント:蘇えりし者」や「マッドマックス 怒りのデス・ロード」など4K/HDRならではの映像美を堪能できるタイトルもそろい始めた。だから最初はUHD BDのなかから一つと考えたが、今年は邦画の当たり年。内容にこそソフトの真価を問うべきことを思えば、「シン・ゴジラ」に「君の名は。」、「この世界の片隅に」と夏以降に封切られBD化されていない作品たちも忘れ難く……それに、VODや放送波を含めないというのも不公平な話だ。
4K/HDR配信に対応したVODサービスといえば、2015年11月に商用サービスを開始した「ひかりTV」が先駆であり、スカパーJSATも10月から4K/HDR放送を開始しているが、独自コンテンツの充実という点ではNetflixの攻勢が記憶に残る。「マルコ・ポーロ」や「火花」などオリジナル作品の多くは4K/HDR対応で、今後公開される作品についても期待できそうだ。そう、あの作品も。
あの作品とは、もちろん「スター・トレック:ディスカバリー」のこと。公開は来年の5月だが、おそらく4K/HDR対応だろうし(知るかぎり映像スペックは正式発表されていないけれど)、きっと米国とのタイムラグなしに配信されるはず。この発表こそが、個人的には2016年のソフトジャンルにおけるNo.1のトピックだ。
これまでスター・トレックシリーズは、レーザーディスクにDVD、Blu-rayと買いそろえてきたが、ディスカバリーはNetflixオリジナルコンテンツということで、どうなるかわからない。「ハウス・オブ・カード」や「マルコ・ポーロ」がBD化されている事例を見れば、たぶん後追いで発売されるのだろうが、今後TOS(宇宙大作戦)/TNG(新スタートレック)/DS9(スタートレック:ディープ・スペース・ナイン)/VOY(スタートレック:ヴォイジャー)/ENT(スタートレック:エンタープライズ)と全TVシリーズが配信されるおまけもあり(本稿執筆時点ではTOSとDS9のみ)、少なくともスタートレック:ディスカバリーの終了までNetflixを退会することはなさそう。
こうして世界中のスター・トレックファンが囲い込まれるのだろうか。恐るべし、Netflix。
ハードのビジュアル分野では、ソニー製品の健闘が強く印象に残った。レーザー光源を採用した4K/HDR対応プロジェクタ「VPL-VW5000」の描画力・映像美に圧倒されてしまったし、液晶テレビ「BRAVIA Z9Dシリーズ」に採用された新しいバックライト技術「Backlight Master Drive」の効果には感心した。前者はコンシューマ向けとはいいにくい価格だが(100型は受注生産で800万円!)、その技術がミドルレンジまで下りてくる日に期待しよう。
オーディオ分野では、昨年に続きポータブル製品が気を吐いた。特にワイヤレス製品は、iPhone 7などスマートフォンで3.5mm端子が廃止されたことが響いたか、Bluetoothヘッドフォン/イヤフォンの製品数が急増、質的にも向上したように思う。
特に印象に残った製品は、オーディオテクニカ「ATH-DSR9BT」。Bluetoothチップが受信した信号をデジタルオーディオプロセッサDnoteでデジタルのまま伝送する「ピュア・デジタル・ドライブ」による音は、新コーデック「aptX HD」の効果もあり、従来のBluetoothヘッドフォンから1つ上の次元に到達した感がある。Dnoteの使いこなしが進んだという点でも、素直に評価したい製品だ。
左右のユニットが完全に分離した“トゥルー・ワイヤレス型”Bluetoothイヤフォンも、特筆しておきたい。左右を無線でつなぐだけに、レイテンシーによる定位のずれなど解決困難な問題も残るが、ワイヤレスのメリットである機動性・取り回しのよさを最大限に生かした構成は、女性や実用性重視の消費者にとって魅力的に映るはず。技術的にも伸びる余地が大きいカテゴリであり、引き続き注目していきたい。
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