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“Zooma!:ズームレンズ、ズームすること、ズームする人、ズズーンの造語”

第196回:新デザインを採用した「サンヨー Xacti C5」
~ このスリム化は是か? 非か? ~


■ 大幅リニューアル?

 動画と静止画の両方が撮れるカメラには、ビデオ側からとデジカメ側からのアプローチがある。どちらの方法でも、CCDの読み出しエリアを変えたり、画層処理エンジンのモードを変えたりという都合もあって、動画モードと静止画モードをスイッチで切り替える必要がある製品も多い。

 Xactiシリーズは、三洋が得意としてきたデジカメ側からのアプローチだが、このモードを廃した上に、動画と高解像度静止画の両方同時に実行できるという点で、革新的であった。どう考えても便利なこの機能、他社がなかなかこれに追従してこないのは、三洋がこのあたりの特許を押さえているからで、三洋からライセンスを受けない限りは動画 + 高解像度静止画の同時録画というデバイスはしばらくXacti以外には現われそうにない。

 そんなXacti C1がデビューしたのはもう2年前。その後カラーバリエーション展開や、昨年には後継モデルのC4の登場を経て、今月25日に最新モデルの「Xacti C5」こと「DMX-C5」(以下C5)がいよいよ発売される。

 C1からC4は、機能的にはモニタの大型化、CCDの高画素化といった変更が成されたが、デザイン的にはほぼそのままであった。しかし今回のC5は、デザイン的に大きく手を入れて、より薄型化に成功している。またこの新デザインで、従来の顧客層よりも若い世代を狙いたい構えだ。

 数あるイメージングデバイスの中でも、一際特異なポジションにある三洋Xacti Cシリーズ。その新モデルを、早速試してみよう。


■ 一周回ってカッコイイ……のか?

 すでに発表されているように、今回のC5にはラグジュアリーシルバー、マニッシュホワイト、ノーブルブロンズの3色のカラーバリエーションがある。今回お借りしたのは、ラグジュアリーシルバーだ。

 レンズ部とその下に伸びるシルバーのライン、同じく背面の操作部とその下に伸びるシルバーラインは3色とも共通で、側面のカラーが違っている。カラーリングとしては、旧モデルのイメージを継承するシルバーが一番新デザインの恩恵を受けにくい印象で、店頭でのヒキは他2色のほうが強いのではないかと思われる。

 初期のC1からC4にかけてのデザインは、丸みを持たせたモニタ部が本体にくっついているといったイメージだったが、新モデルのC5はモニタ部まで完全にボディと一体化した。薄くなったとも言えるが、平たくなったという印象が強い。

ボディはかなり平たくなった レンズも大幅に小さくなった

 だがその分、光学系まで小さくまとめられたので、痛し痒しである。レンズ径は実測で約18mmで、前モデルの約24mmから大幅に小さくなっている。光学ズームは5倍で、これも前モデルの5.8倍から下がっている。ワイド端の解放F値は3.5と変わらないが、テレ端で4.7と、前モデルの3.7に比べて暗くなっているのも気になるところだ。

 画角は35mm換算で38mm~190mmとあるが、これは静止画および手ぶれ補正なし動画での値だ。手ブレ補正は動画撮影時のみ可能で、このときは画角が若干狭くなる。手ぶれ補正後の画角は資料がないが、これまでの例と比較すると、おそらくワイド端で48mm程度ではないかと思われる。

撮影モードと焦点距離(35mm判換算)
モード ワイド端 テレ端
手ぶれ補正なし
【静止画】

38mm

190mm
手ぶれ補正あり
【動画】

 CCDは1/2.5型、約508万画素(総画素約526万画素)の原色フィルターで、若干大型化し高画素になっている。静止画は上限500万画素となるところだが、独自アルゴリズムで倍密化し、1,000万画素での撮影も可能になっている。

 レンズ下には静止画用フラッシュ、そしてその下にはシルバーのラインがあり、「DIGITAL MOVIE」と書かれている。また文字の上部には人がバンザイしたような模様が刻まれており、んーちょっとそれは余計だったような……。

 また彫り込み文字はボディ左のスピーカー部にも「HIGH QUALITY SOUND」と刻まれており、さすがにそれは勘弁しちくりと思う。まあなにかないとバランスが取れないという事情はあるだろうが、世の中「HIGH QUALITY SOUND」と書いてあるものがハイクオリティサウンドだったためしがないので、個人的には印象が悪い。

正面センターには「DIGITAL MOVIE」の文字 いや今どき「HIGH QUALITY SOUND」て

液晶モニタは大型化したが、枠も大きくなった 液晶内部には謎のダイヤモンド

 液晶モニタは1.8型から2.0型に若干大型化しているが、モニタ枠が結構幅広いため、あまり大きくなった印象はない。またモニタ格納部には、ダイヤカットのビーズのようなものが2つ埋め込まれている。これは「おしゃれ」な装飾なのか、それとも何か機能的に必要なのか、さっぱりわからない。

 ショーなどで展示される三洋製品のコンセプトモデルには、人だかりができるほど洗練されたデザインのものもあるというのに、どうして実際の製品がこういうセンスになっちゃうのか不思議である。

 各機能は、背面に集約された。従来同様動画RECと静止画シャッターが横に並び、間のズームレバーはずいぶん細身になった。さらにRECとPLAYの切り替えスイッチまでも背面に装備して、完全に親指だけですべてのオペレーションが可能になっている。

REC/PLAY切り替えスイッチまで背面に集約された SDカードスロットも背面に移動

本体左側にはスピーカがあるのみ

 またSDカードスロットは、底面から背面に移され、バッテリのスロットと一体化された。フタはバネで開くようになり、従来機のように、バッテリ交換時に取り外したフタの始末に困るようなことはなくなった。ちなみにバッテリは従来機と同型である。

 本体左側にはスピーカがあるのみで、つるんとしている。ホールド感を考慮して、若干エッジが丸めてあり、反対側のエッジ感と対を成している感じだ。またストラップ用の穴は、従来機の底面から上部に移されている。

 付属のストラップも、従来のリストバンド型からネックストラップに変わっている。軽量化と薄型化に伴い、首から提げるのに違和感が無くなったということのようだ。ただこのストラップ、取り外し機構部分が安っぽく、ちょっと外しにくいのが難点である。

付属のネックストラップ キャリングポーチは合皮製

 付属のキャリングケースは合皮製で、本体がぴっちり収まるタイプ。上下が開いており、ケースに入れたままストラップで首から提げておくこともできる。また小さなレンズキャップまで付属しているのは念の入ったことである。

 クレードルも大幅にデザインが変更され、黒い薄型のものとなった。コネクタの形状などは同じだが、前モデルのようなちょっとコミカルな形ではなく、質実剛健的な印象となっている。また旧モデル同様、小型のDC/USBアダプタも付属している。

極小レンズキャップも付属 クレードルは薄型になった

 メニュー構成も見てみよう。基本的にはC4時に改変されたものを継承しているが、今回は2ページ目に新たにスポットフォーカスのON・OFFと、3種類の測光方式(中央重点・多分割・スポット)が追加されている。

 そのかわり、前回2ページ目にあった「ノイズ軽減」と「フリッカー軽減」は、オプションメニューに追いやられた。基本的にはどちらもあまり変更しないもの、という判断だろう。

新たにスポットフォーカスと3種類の測光方式が追加された ノイズ軽減とフリッカー軽減はオプションメニューに移動された


■ 動画はほぼ同レベルを維持

 では実際に撮影してみよう。筆者は普段初代C1を使用しているが、C5をホールドしてみると、薄くなった本体に若干の違和感はあるものの、これはこれで持ちやすい。細身のズームレバーもある程度高さがあるので、指への馴染みもちょうどいい具合だ。

動画サンプル
画質モード 記録解像度 フレームレート ビットレート サンプル
TV-SHQ 640×480ドット 30fps 約3Mbps
ezsp01.mp4 (4.17MB)
TV-HQ 640×480ドット 30fps 約2Mbps
ezsp02.mp4 (3.4MB)
TV-S 320×240ドット 30fps 約640kbps
ezsp03.mp4 (1.35MB)
WEB-HQ 320×240ドット 15fps 約384kbps
ezsp04.mp4 (1.01MB)
WEB-S 174×144ドット 15fps 約256kbps
ezsp05.mp4 (864KB)

動画サンプル

ezsp06.mp4 (3.23MB)
ビデオ的にはアングルとしてもう一歩寄り足りない感じがある

 まず5.8倍から5倍になった光学ズームだが、デジカメならともかく、動画を撮るカメラとしてズーム倍率減はイタイ。アングルとして、もう一歩引き寄せたい感じがある。

 前モデルのC4で搭載された動画の手ブレ補正だが、C4では手ぶれ補正ONだとモニタ上では画角が狭く表示されてしまい、手ぶれ補正が効かない静止画撮影では、モニタで見えている範囲よりも広い絵が撮れてしまうという問題があった。

Bモードでは動画撮影範囲を示すガイドラインが表示される

 そこで今回は手ぶれ補正の表示方法に、A/B2つのモードを持たせている。従来のように、手ぶれ補正後の狭い範囲をモニタ表示するのがAモード。逆に手ぶれ補正ONでも広い範囲を表示するのがBモードである。Bモードでは、動画撮影時にはこの範囲になりますよ、というガイドラインが画面内に表示される。

 だがたとえBモードを使ったとしても、結局は動画と静止画で撮れる範囲が違うことには変わりなく、「えーそれでOKってことにしちゃうのー」という不満は残る。動画静止画両方に、手ぶれ補正が使えるようにしてくれたほうが良かったのだが。

 スミアに関しては、動画ではやや出やすいほうだろう。静止画では問題ないのだが、動画では光源入れ込みのアングルには注意する必要がある。

光源入れ込みのアングルには注意したい

 ただ動画に関しては、思ったよりもレンズの小型化に伴う影響は少ない。というのも、もともとXactiの動画は、最高でもMPEG-4で3Mbps程度しかなく、画質面でDVカメラを凌駕するようなものではないからだ。まあ言うなれば「こんなちいさいのにそこそこのサイズで動画が撮れる」というスタンスなのである。


■ 高画素化した静止画

 一方の静止画は、もとをただせばデジカメなので、かなり高精細な絵が撮れる。500万画素CCDを生かした5Mピクセルのモードには、低圧縮と標準圧縮の2モードを備えているのも新しい点だ。ただし動画と同時に撮影する場合は、5Mの標準圧縮が最高解像度となる。

静止画サンプル
画質モード 記録解像度 サンプル
10M 3,680×2,760ピクセル
5M-H 2,592×1,944ピクセル
5M-S 2,592×1,944ピクセル
2M 1,600×1,200ピクセル
0.3M 640×480ピクセル

インフォーカス部のディテールは素晴らしいが、背景のボケ足にやや難がある

 倍密化の10Mピクセルまで撮影が可能だが、結局はソフトウェア的に補間しているだけなので、同アングルの5Mピクセルの画像と比べると、このモードが必要なのかなと思う。特にアウトフォーカスした背景のディテールなどを比べると、かなりアラが目立っており、あまり必要性を感じない。

 暗くなったテレ端のF値だが、まったく増感無しのISO 50では、日中でも木陰ではもう辛くなってしまう。オートではそれなりの明るさとなるが、感度はISO 100ぐらい上がっている。

ISO50では日中でも日陰はすでに厳しい オートでは増感され、若干ノイズ感が増す

 今回から搭載されたスポットフォーカスで、深度表現はずいぶんやりやすくなっているのはポイントだろう。以前は5点測距しかなかったので、絵柄のバリエーションもかなり広がった感じがする。

スポットフォーカスのおかげで深度表現はやりやすくなった 発色はかなりナチュラル志向 静止画では逆光でもスミアが出ない

 発色に関しては、赤が若干浅いものの全体的に忠実志向で、変な色づけがない。また動画も静止画もコントラストが違うぐらいで、ほぼ同じ傾向の色味となっている。


■ 総論

 C1やC4の既存Xacti Cユーザーにとって、C5はデザインこそ変わっているものの、ほとんど機能的には同じで、むしろ光学系のスペックは下がってしまっているのが不満に思うことだろう。撮影していて気になったのは光学ズームの減少ぐらいで、それ以外にはレンズ小型化の影響は少ないのだが、正直言って買い直すほどのスペックではない。

 もし買い換えるとしたら、少なくとも静止画の手ぶれ補正搭載、バッテリの大型化もしくは低消費電力化、コンバージョンレンズ使用可という3点がクリアされて欲しいと思う。

 ただ今回のC5は、発表会でも触れられているように、従来の顧客ターゲットとは違う層にアピールするためのデバイスだと捉えるべきなのだろう。そう言う意味では、おもいっきし従来の顧客層である筆者などは、ちょっと新しいC5のデザインについていけない部分もあり、「えーホントに今の若いヤツってこんなダイヤモンドちりばめちゃってるようなのがいいわけ?」などと思ってしまう。

 考えてみれば、Xactiの基本コンセプトは、すでに初代C1で完成されてしまっており、2年かけてC4、C5と進んできたものの、根本的な部分では実際にはほとんど進化していない。まあ競合モデルが登場せず安泰なのかもしれないが、「次はどうなるんだろう」というワクワク感がXacti Cに対して感じられなくなってしまったのは残念だ。やはり競争の原理というのは必要なのだなぁ。

□三洋電機のホームページ
http://www.sanyo.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.sanyo.co.jp/koho/hypertext4/0503news-j/0301-1.html
□関連記事
【3月1日】三洋、片山右京を招いて「Xacti C5」の発表会を開催
-8,000m級の山でも、パリダカの砂漠でもXactiで撮影
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20050301/sanyo2.htm
【3月1日】三洋、手ぶれ補正搭載のMPEG-4カメラ「Xacti C5」
-508万画素CCD、2型液晶搭載。デザイン一新
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20050301/sanyo1.htm
【2月23日】三洋電機、新デジカメのディザー広告を開始 (デジカメWatch)
~3月1日発売、ハイブリッドデジカメ後継機?
http://dc.watch.impress.co.jp/cda/compact/2005/02/23/1039.html
【2004年8月25日】【EZ】前モデルの問題点を駆逐した「Xacti C4」
~より使い勝手が上がったSDビデオカメラ~
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040825/zooma168.htm
【2004年8月23日】三洋、手ぶれ補正搭載のMPEG-4カメラ「Xacti C4」
-動画/静止画同時記録対応。液晶も大型化
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20040823/sanyo.htm
【2003年12月8日】三洋、MPEG-4カメラ「Xacti C1」の最新ファームウェアを公開
-動画撮影時のAF安定性の向上、など
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20031208/sanyo.htm
【2003年10月29日】【EZ】ビデオカメラの新常識!? 「SANYO Xacti C1」
~底力を見せつけた入念設計に脱帽!
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20031029/zooma131.htm
【2003年10月1日】三洋、動画撮影中に静止画記録ができるMPEG-4カメラ
-VGA初の30fps記録対応。手ぶれ補正ソフトも付属
http://av.watch.impress.co.jp/docs/20031001/sanyo.htm

(2005年3月9日)


= 小寺信良 =  テレビ番組、CM、プロモーションビデオのテクニカルディレクターとして10数年のキャリアを持ち、「ややこしい話を簡単に、簡単な話をそのままに」をモットーに、ビデオ・オーディオとコンピュータのフィールドで幅広く執筆を行なう。性格は温厚かつ粘着質で、日常会話では主にボケ役。

[Reported by 小寺信良]



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